姫神連太郎の観てきた!クチコミ一覧

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どんぶりの底

どんぶりの底

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2014/09/26 (金) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

役者ができている
流山児★事務所創立30周年記念公演第一弾、ということで、スズナリでのザ・アングラとでもいうべき舞台。
パワフルで、迫力に満ちた役者の熱演が心地よいです。
30周年記念、ということもあるのでしょうが、大久保鷹さん(状況劇場)、根本和史さん(黒テント)、土井通肇さん(早稲田小劇場)そして、もちろん、流山児事務所の塩野谷正幸さんと、往年のアングラ劇団の古参(失礼!)の役者さん達がそろい踏み。
中でも、大久保鷹さんは存在感抜群で、ひとりで持って行きます(笑)。

役者の身体ができている芝居が、おもしろくないわけがない、という見本のような舞台でした。

君となら

君となら

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2014/08/09 (土) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★

テレビ向き…かも?
三谷幸喜さんお得意の、シチュエーション・コメディー。
宣伝通り、たっぷり笑えます。いっぱい笑って、健康になりましょう。

草刈正雄さんは、ずば抜けて良かったと思います!


ネタバレBOX

ネタバレ、というより、マイナス評価の話なのでこちらに。

嘘に嘘を重ねていく展開は、ちょっと物足りない。もっと、相手が勝手に誤解して、それがすれ違っていくというひねりが欲しかったです。舞台である必然性が感じられなかったのも残念。

役者さんたちの演技も、ちょっとこじんまりとしていた印象があります。舞台なので、もっと大きく演技をしていただきたかったかな。

正直、この値段はかなり高いなぁと思いました。
台所の女たちへ

台所の女たちへ

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

ベテランと若手の競演が見事です
通夜の台所を舞台にしたコメディ。

青年座創立60周年記念公演ということで、俳優さんの企画による3つの公演がうたれたAct3Dという企画の三作目。
劇団ONEOR8の田村孝裕さんを作・演出に迎え、ベテラン女優、若手女優に、唯一の男優、山崎秀樹さんを加えた、入り込みやすいコメディ作品に仕上がっています。

田村孝裕さんの脚本作品は、2013年に公開された、市井昌秀監督、星野源、夏帆主演の映画、「箱入り息子の恋」を拝見したくらい(しかもあれは共同脚本でしたかね?)で、舞台作品を見るのは初めてでした。
「箱入り息子の恋」と同様に、シチュエーションとセリフで笑いを取るスタイルで、芝居にはすっと入り込めます。

ベテラン女優と若手女優の競演作品ですが、ベテラン陣の力の抜けた芝居がとても安心して見られます。

マニアックな見所は、回想シーンの修羅場で、柱の側で話の成り行きを見守る、小百合役の尾美美詞さんの、人の不幸を喜ぶ底意地の悪い表情と、片岡富枝さんを凌駕する女の捨てっぷりでしょうか(笑)

ネタバレBOX

美代役の久松夕子さんが、最高に良いですね。
儀之介の亡霊?とのやりとりでの「めんどくせえ」の一言は、圧巻でした(笑)
久松さんの演じる美代は、ある意味ステレオタイプの演技かもしれませんが、一挙手一投足が美代を体現していて、それだけに、観る者はいつしか美代という人の一途な愛情と強かさを植えつけられてしまう。
だからこそ、ラストシーンでは、舞台にはいない美代がひとり居間で泣き濡れている姿を思い浮かべて、深い感動を覚えるのだと思います。
吾輩はウツである

吾輩はウツである

劇団朋友

俳優座劇場(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/07/29 (火)公演終了

満足度★★★★

キャスティングの妙
ストーリーはわかりやすく、肩が凝らずに老若男女を問わず楽しめる作品。時代考証や、史実的には「ん?」と思わんところもないではなかったのですが、まぁ、ご愛嬌の部類でしょう。
配役が良かったですね。特に、ネコ役は絶妙の配役だったと思います。
風鈴の演出が、とても良いアクセントになっていました。
直前にチケットを手配したもので、補助椅子での観劇になり、肩は懲りませんでしたが、お尻はちょいと痛くなりました(笑)

ネタバレBOX

この脚本家は、知人なのですが、原作があるとはいえ、彼がファンタジーを描いたのは意外でした。
配役については、「吾輩」と語るネコを女優さんに充てたのは大正解だったと思います。
暗転の際に、スライドで場面説明が入るのですが、あれは無くても良かったのではないでしょうか。内容が明治の話であるだけに、興を削がれました。せめて、場面説明は縦書きにして欲しかったです。
「廃墟の鯨」

「廃墟の鯨」

椿組

花園神社(東京都)

2014/07/12 (土) ~ 2014/07/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

夢と希望の物語
期待以上の良い舞台でした。
野外テント劇場という特性を活かした演出、そして、泥にまみれ、水をかぶっての役者陣の熱演。最前列という特等席だったこともありますが、まさに役者の息遣いも聞こえてくるような、熱気あふれる舞台でした。
マイクを使わない地声の舞台、というだけで、評価が3割増しくらいになってしまいます(笑)。

桟敷童子の東憲司さんの作・演出ということで、程よいアングラ感がありつつも、作品は、「愛と希望を持ち続けることの大切さ」ということが沁みてくる、そんな優しい作品になっています。

久しぶりに、「いい芝居を観たな」、という幸福と、「あぁ、もう見られないんだな」、という寂寞感の両方が味わえる芝居を堪能させていただきました。

ネタバレBOX

ネタバレ、というほどの話でもありませんが、ラスト近くに、群衆がスローモーションになる演出があるのですが、この時、最後列にいる時子役の坂井香奈美さんの演技が、あっぱれです。
芝居の動きで、「身体ができている」、というお手本のようで、地味だけどすばらしい演技でした!
十九歳のジェイコブ

十九歳のジェイコブ

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2014/06/11 (水) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

迸る緊張感
故中上健次の青春文学を、松井周さんが戯曲化し、ジャン・ジャン・オペラでおなじみの「維新派」・松本雄吉さんが演出するという、ある意味、異質な取り合わせの舞台。
内から溢れ出す怒りから、ドラッグに、セックスに、革命思想に溺れる、様々な境遇の若者たちの青春像を、冒頭からラストシーンに至るまで、緊張感をとだえさせることなく描ききっています。
コルトレーンのジャズが、迸る緊張感をさらに効果的に高めていきます。
観客にこびず、それでも、松本さんらしい、「言葉の洪水」のうまい使い方で、観るものを惹きつける手腕はさすがでした。
欲を言えば、キレのあるアンサンブルの動きが、もっっと多用されていてもよかったかなと思います。
のど元にナイフの切っ先を突きつけられ続けるような、緊張感の迸る2時間でした。

ジャガーの眼

ジャガーの眼

新宿梁山泊

花園神社(東京都)

2014/06/14 (土) ~ 2014/06/22 (日)公演終了

満足度★★★★

後から効いてくる
過去の持ち主の記憶を包含したまま移植された角膜をモチーフに、「肉体とはなにか、精神とはなにか」を観るものに問いかけるー。
唐十郎の手による脚本の、ちょっとおどろおどろしさ漂う世界を、良い意味で、ケレン味たっぷりに見せてくれます。
詩的なセリフと、テント芝居ならではのスペクタルな演出(と書くとちょっとオーバーかもしれませんが…)で、観るものを魅了してくれます。
役者さんは大変でしょうが、マイクを使わない舞台はやはり良いですね。

観ている最中や、観終わった直後よりも、ちょっと落ち着いてから思い起こすと、「ああ、いい世界観だったな…」という感想がジワジワとこみ上げてくるような、そんなお芝居でした。

見よ、飛行機の高く飛べるを

見よ、飛行機の高く飛べるを

劇団青年座

本多劇場(東京都)

2014/05/10 (土) ~ 2014/05/18 (日)公演終了

満足度★★★★

新劇のお手本
青年座の明日を担う(?)若手女優さんたちを中心にした配役で描かれる、明治末期の女子青春群像。笑えて泣けて考えられる舞台。
役者の立居振舞い、セリフ回しなど、きっちりと作りこまれていることが見て取れます。話の内容や、場の中心人物が客席に向かってセリフをしゃべるシーンが多いというような芝居のセオリー的なことも含めて、新劇のお手本のような舞台です。芝居に慣れていない方でも、安心して見られる舞台です。

賛否が分かれそうですが、飾らないラストシーンがとても好印象でした。

安藤瞳さんの演技が、大変良かったです。

ここからは、小劇場舞台が好きな人間のわがままで勝手な感想です。

劇団創立60周年の記念公演第一弾、ということで、劇団にとっても、思い入れ深い脚本なのでしょう。大切に作りこんでいることが良くわかりましたが、逆にそれが形式美のように出来過ぎていて、ちょっと物足りなかったかな。
演出と役者が、いかに原作を壊すか、というのも、見てみたかったです。
元の作品を観ていないので、あくまでも勝手な推測です。「じゅうぶん、解釈を加えてます!」ということでしたら、すみませんm(_ _)m

田園に死す

田園に死す

流山児★事務所

ザ・スズナリ(東京都)

2014/02/28 (金) ~ 2014/03/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

三拍子そろってる
寺山、スズナリ、流山児事務所、という、アングラの三拍子がそろったともいうべき作品。冒頭からのセリフの洪水といい、一瞬での場面転換の妙技といい、映像と舞台の効果的なシンクロといい、「芝居は総合芸術である」ということを、再認識さえてくれる見事な芸術作品に仕上がっています。かといって、決して堅苦しくはない。
ひさしぶりに、舞台の楽しさを満喫させていただきました。

痒み

痒み

On7

シアター711(東京都)

2014/03/25 (火) ~ 2014/03/30 (日)公演終了

満足度★★★★

女七人そろったら?
新劇女優7人の演劇ユニット、ということで、当たり前ですが、女優さん7人による舞台。
『かしまし娘』のテーマソングに、
♪女三人そろったら、姦(かしま)しいとは愉快だねぇ~
というのがありましたが、女七人そろってるので、その姦しさ加減は相当でした(笑)
女性同士(…というか、たぶん人間同士)の本音と建前のぶつかり合いを通して、強かに生きていく、ということを生々しく、パワフルな、ある意味、「いや、なにもそこまでしなくても…」というほど全力で、7人の女優陣が演じ切っていました。
見ているこちらも、元気をもらえる舞台でした。

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