満足度★★★★
迸る緊張感
故中上健次の青春文学を、松井周さんが戯曲化し、ジャン・ジャン・オペラでおなじみの「維新派」・松本雄吉さんが演出するという、ある意味、異質な取り合わせの舞台。
内から溢れ出す怒りから、ドラッグに、セックスに、革命思想に溺れる、様々な境遇の若者たちの青春像を、冒頭からラストシーンに至るまで、緊張感をとだえさせることなく描ききっています。
コルトレーンのジャズが、迸る緊張感をさらに効果的に高めていきます。
観客にこびず、それでも、松本さんらしい、「言葉の洪水」のうまい使い方で、観るものを惹きつける手腕はさすがでした。
欲を言えば、キレのあるアンサンブルの動きが、もっっと多用されていてもよかったかなと思います。
のど元にナイフの切っ先を突きつけられ続けるような、緊張感の迸る2時間でした。