バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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UNIQUE NESS(ユニークネス)

UNIQUE NESS(ユニークネス)

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2014/08/01 (金) ~ 2014/08/10 (日)公演終了

満足度★★★★

英国コメディ風のブラックな会話劇。でも結構ドタバタ要素も。。。/約110分
あの有名なネッシー写真に関わったことにより自身も数奇な運命をたどり、家族や親族、友達にまで因果な人生を歩ませたある男の物語。

…なんて書くと同情すべき不憫な男に思えるが、今は入院中のこの男ハロルド・グレイはひっきりなしに病室を訪ねてくる近しい人々に憎まれ口を叩いてばかりの偏屈者。
速射砲のように罵言を繰り出すこのハロルドとその周囲の人々がテンポよく互いをなじり合って紡ぎ上げていく物語はロンドンを舞台としているだけあって辛辣な英国コメディさながらで、アメリカンコメディよりブリティッシュコメディのほうがずっと好きな私にはとても楽しめた。

口は悪いがどこか憎めない、まるでルパン三世みたいなハロルドのキャラクターにも好感。

そのルパンよろしき軽やかさを持つ大家仁志さんにこの役は当たり役に思えました。

そして、大家さん演じるグレイのセリフの練られていること!
セリフの一つ一つが『世界のブラックジョーク集』みたいな本から引用されているかの如き完成度で、とても面白かったです。

ネタバレBOX

本作はラストも秀逸。

死期の近いある夜、担当看護師で異母妹でもあるハンナを相手にネッシーの話をするハロルド。

ネッシーの写真が作り物であることはあっさり認めがらも、「でも見たのは本当なんだ! それで世間に知って欲しくてあんな写真を撮ったんだ!」と、それまでの悪辣さはどこへやら、子供のような無邪気さでネッシーの目撃談を語るハロルドの無垢な姿にホロリとさせられました。。。
 す き  と お り

す き と お り

miel(ミエル)

スタジオ空洞(東京都)

2014/07/30 (水) ~ 2014/08/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

人生讃歌!(とあえて呼ばせていただきます)
階段を下りて地下一階の会場に足を踏み入れた私を待っていたのは、AMではまず掛からなそうな洗練された音楽、そして、オシャレに装飾されたアクトスペース…。


“来る場所まちがえたかも…”


客入れ時はそんな居住まいの悪さを感じたものの、いざ幕が開いたら、始まったのはユーモラスなダンスと趣味のいい音楽に彩られた良質な短編集。
作家陣に実力者を揃えているだけあってどの作品も人生の機微を感じさせて面白く、また、振付家/ダンサーでもある金崎さんが演出をしているだけあって、ダンスは幕間に演じられるのみならず、6つの短編のそこここに浸食、その踊りというのがどれも愛嬌に満ちていて、妙な動きを笑顔で繰り出す役者さんたちを見ているうち、なんだか幸せな心地に…。
私は開演までの居たたまれなさをすっかり忘れ、心の底からこの公演を楽しんでいたのです。。。

6つの短編の中には重めの話もありましたが、全体としては“人生讃歌”の趣を強く感じさせる公演で、見終わったあと元気がもらえる95分でした。

照明含め“白”にこだわり抜いた美術も見逃せないポイント。

「すきとおり」というタイトルにどれだけ見合った公演かは観てのお楽しみということで(笑)。

ネタバレBOX

役者7人が順繰りでセンターを取って“人生で一番好きだった通り”を語る「好き通り」と題された一編が一番好きでした。
“好きな通り”にかこつけて“人生で一番幸せだった時代”を語る趣向も良かったし、踊り手となって語り手を盛り立てる役者さんたちの満面笑顔のパフォーマンスがハッピーオーラプンプンでとにかく素敵でした。

ダンスでは主宰の金崎さんが芯を取るダンスが◎。
直前の短編でお局OLを演じた金崎さんが、そのキャラを引きずったまま男優勢を手下のように従えて凛然と踊る姿にシビれました。。。
それは秘密です。

それは秘密です。

劇団チャリT企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★

無駄な枝葉が目立つ
私も多くの方と同様に直球すぎる印象を受けましたが、総理の腹痛をいじったりと、政治諷刺劇として皮相的に過ぎた前作『ニッポンヲトリモロス』よりは本作のほうがずっとマシ。

前作の観てきたコメントで私は
「本当にヤバい現政権を安易にお笑い草にしてはいけない。笑うことは許すことにつながるからだ」
といった主旨のことを述べたが、本作は現政権の上っ面をいじるのでなく、深部の急所にまで斬り込んでいて、現政権のおぞましさ、老獪さを抉出。
結果、時間を追うごとに笑いは薄くなっていくが、洒落にならない現政権を無理くり笑い草にし、笑えるものへと矮小化するよりはずっといいだろう。

笑いがほぼない最終盤は現政権が呼び寄せかねないゾッとする未来の写し絵にも見え、この場面を現政権の人間が見たらどう思うのかと想像。
情況に一石を投じないことには諷刺劇なんぞやる意味がない以上、本作はいっそのことyou tubeほかの動画投稿サイトに無償でアップし、現政権の人間が実際に視聴できるようにしてはいかがだろうか?

そして、政権関係者に少し頭を冷やさせてはいかがだろうか?

私の観た回には作品のビデオ収録がなされていたが、無料公開して広く拡散させたほうが現状を変えようという諷刺劇の目的には適うはずだし、仮に記録用に撮っただけでも、得られた映像はネット上に広く流通させ、劇団の主張を政権関係者に、そして日本じゅうにあまねく知らしめるべきだろう。


それはそれとして、本作には作劇のレベルで気になる点が。
前作にも感じたことだが、余計な枝葉が多く、それがテンポを削いでいる。
テンポはコメディの命なので、こういう枝葉は極力削るべきだろう。

以下、不要だと思えたくだりを二点ほど、ネタバレに挙げておきます。

ネタバレBOX

ある女性の名前が「フジムラミキ」だというくだり。「キャンディーズのミキちゃんと同姓同名なんですけどね」とフォローが入るが、若い人には誰のことだか分かるまいし、笑いを生んでもいなかったので、ばっさり削るべきだろう。

あるシーンで帝京高校の名前が出た際の、「とんねるずの出身校ね。ホラ、♪酒さえ入れば一気! 一気!♪って歌あったでしょ? あれ歌ってた2人組だよ」というセリフも不要。
キャンディーズと違い、とんねるずなら若者にも馴染みがあろうし、ならば『一気!』を引き合いに出すまでもない。それどころか、その曲名を出したお陰で「『一気!』って何?」と、とんねるずは知っていても過去の歌手活動には疎い若者たちを混乱させかねない。


こうした無駄なくだりは他にも多々。

こういう枝葉が多いのは時間稼ぎのためかとも考えたが、これは穿ちすぎだろうか?
たまには純情

たまには純情

こゆび侍

駅前劇場(東京都)

2014/07/31 (木) ~ 2014/08/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

川田智美さんのやんちゃ娘ほか、配役の妙も見所
昔『コロコロコミック』あたりで読んだファミリーギャグ漫画のような一作でした。

ドタバタ色が強く、普通の日常の中にぶっ飛んだ出来事が起こるところも、その一方で家族愛をしっかり描いてホロリとさせるところも、あのころ読んだ少年漫画そのまんま。
さらに言えば、鑑賞後のカタルシスがハンパないところも往事の少年漫画さながらで、完全に持っていかれてしまいました。。。


遅ればせながら説明しておくと、本作の舞台となるのはみんなに愛されたお母さんを亡くして十余年を閲し、大学院生になった長女が母親代わりを務める父子家庭。

大佐藤崇さん演じる冴えないけど家族思いのお父さんも、たなか沙織さん演じる大らかな長女も、川田智美さん演じる男勝りでやんちゃな次女もみんなみんな魅力的で、素晴らしかった!

しかし川田さん、あんだけ激しく動き回って体もつのか!?

ネタバレBOX

亡きお母さんが狂言回しを務める趣向が本作の肝。

もう会えない娘たちとの思い出の数々を目を細め、頬を緩めながら懐かしそうに語るその姿に思わずウルウル…。

見るからに優しそうなこのお母さんを妙演した笠島智さんには、個人的に本年度舞台女優賞を捧げたいくらい。
それほどの名演でした!!
キープレス

キープレス

劇団森キリン

アトリエ春風舎(東京都)

2014/08/02 (土) ~ 2014/08/07 (木)公演終了

満足度★★★★

ズシンときました。。。
断片的なやり取りとモノローグの積み重ねによって紡がれていく若者群像劇。


前宣伝では記憶をめぐる劇だということが強調されていたが、そんな甘ったるいものではなく、心にズシンとくる中身に圧倒された。

重い背景をしょっている主役の姉弟の独白には役者がまるで自身の境涯を語っているような生々しさがあって、劇の説得力を増強。

スタイリッシュな演出や軽めのBGMも話の重みをかえって際立たせていて、効果大。


静かな迫力を感じさせる一作でした。

ネタバレBOX

弟のカノジョに扮した渡邊ひかるさんの演技にもただならぬリアリティが...。

彼女が無邪気でやや能天気な若い娘を好演したお陰で、やはり本作の重々しさがより強く感じられた。
あんたのことなんか誰も見てない

あんたのことなんか誰も見てない

MCR

中野スタジオあくとれ(東京都)

2014/07/28 (月) ~ 2014/07/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

潔いフルチン主義に感服!
MCRの劇団員や元劇団員、劇団にゆかりの深い外部俳優など20人近くが集まって繰り広げた20周年記念興行。


いやぁ~、オモロかった!!


劇団の黒歴史をコントで振り返るコーナーあり、もう結構な年なのに団員歴が一番浅いというだけで古参メンバーからパワハラを受けているという伊達香苗さんがみんなに仕返しするコーナーあり、ワンステだけの公演なのに中身ギッシリで、しかも自虐ネタのオンパレード!

しかも主宰の櫻井さんは自らの劇団内恋愛体験を自筆コントで赤裸々に明かす始末で、何でも晒してやろうという潔いフルチン主義には頭が下がりました。

ただ、これらはあらかじめ用意されていたコンテンツで、言ってみればまだまだ安全牌。

あひるなんちゃら関村さん司会によるトークコーナーでは、上述の劇団内恋愛の他にも櫻井氏の思わぬ女性関係が暴露されたのに加え、劇団員でもない日栄さんのマジ恋話までがリークされて舞台上の役者たちも観客席も大盛り上がり!


笑いに重きを置く劇団らしい、破れかぶれで何でもアリの約100分を思いっきり楽しませていただきました!!

ネタバレBOX

個人的に一番ウケたのは、気が荒いことで有名だという櫻井さんが某コメディ劇団からもらった名刺を目の前で引き裂いたという話。

櫻井さんいわく、その劇団は「すっごく生意気」だったそう。

MCRとあの劇団はいかにも相性悪そうで、納得しつつも爆笑!
窓に映るエレジー

窓に映るエレジー

ジョンソン&ジャクソン

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/08/06 (水)公演終了

満足度★★★★

ブルー&スカイ×商業演劇
ブルー&スカイ作品を観るのは昨年こまばアゴラ劇場で上演された『音楽家のベートーベン』以来。

『ベートーベン』より会場がずっと大きく、役者陣も豪華なこの作品は『ベートーベン』よりエンタメ色、商業演劇色が強く、それに伴い、エンタメ劇らしい力強くメリハリの利いた演技が幅を利かせていましたが、ブルー&スカイと大倉孝二の共作による脚本だけは大衆迎合的でなく不条理な笑いに徹していて、その点、とても好感が持てました。

とはいえ、じわじわ、ひたひたと徐々に迫ってくるようなブルー&スカイ流のユーモアには抑えた演技がやはり似つかわしい。
この思いは最後まで拭えませんでした。

ネタバレBOX

高層マンション暮らしの夢を倹約によって叶えた女が窓からの絶景を自慢しすぎて周囲から嫌われるエピソードがツボでした。
その絶景をポストカードにして売り出すとか、よくもそんな発想が出てくるもんだと感心。
飴屋法水『教室』

飴屋法水『教室』

吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会

SNAC(東京都)

2014/07/25 (金) ~ 2014/08/02 (土)公演終了

満足度★★★★★

飴屋法水渾身の「授業」
飴屋法水とそのパートナー、そして2人の間にできた小1くらいの娘。
そんな飴屋一家が飴屋一家自体を演じ、人類全般、生物全般を視野に収めつつ一家の来歴を説いていく“飴屋流ヒト学講義”といった趣のセミドキュメント的公演。

この素晴らしさを一体どう伝えればいいだろう?

父、母、娘それぞれの独白と家族間の対話によって説かれていく、飴屋家ならびにそれをくるみ込む人類全般、生物全般のヒストリーは、平易なのに力強い言葉の数々とそれに随伴する音響の奇蹟的なコラボによってズシンと胸に突き刺さり、一時間強にわたって私を放心させ続けた。

そして、シャッター全開の会場側面から見えた夏の下町の美しかったこと。

さらに、たびたび外にまで躍り出て夏の白光のなか遊び、演じる飴屋一家の美しかったこと。

演劇作品の一部と化した町並みが普段歩く町並みとは相貌を異にし、ここまで美しく見えるのは一体どういうわけなのか!?


飴屋一家の放つ光は私の人生をも照らし出し、少なくとも本作を観ている一時間強の間、私は散文的で取るに足りないこの私のこの人生というものが愛おしくて愛おしくてたまらなくなり、必ずや来るこの生の終わりを思ってやりきれない気持ちになったのだ。

ネタバレBOX

3人きりの出演者のうち誰かに最優秀俳優賞を上げるとするなら、やっぱり娘さん。

可愛い上に、与えられた役割をきちんとこなしていた。

それにしても、いちおう段取りに従っているはずなのに、演じている感じがまるでしないのは一体どういうわけなのか?

彼女の自然すぎる演技、というより振舞いが、本作の持つドキュメント性をより強めていたのは間違いのないところだろう。
小劇場!中高生!大往生!2

小劇場!中高生!大往生!2

花まる学習会王子小劇場

王子小劇場(東京都)

2014/07/25 (金) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

稽古期間はわずか3日!
ワークショップの成果発表会というより、ワークショップそのものを見物している気分にさせられる公演。

ワークショップを指揮し、公演の構成・演出も務めた悪い芝居の山崎さんは教え子たる制服姿の中高生がゲームや演技をする様子を舞台隅から笑顔で眺めているのみで、さすがに本番、舞台に出てきて指導まではしないのだが、まるで稽古のごとく自由闊達に演じさせる工夫を凝らしてあるため中高生の演技はとても初々しくスーパーナチュラル、それを見ている非番の中高生たちも超自然体で、出番の仲間たちの演技が可笑しけりゃあクスクスウヒャウヒャと素で笑い出す有り様で、それを見ているこの私、彼らくらいの子供がいてもおかしくない年齢のこの私も、それを見ながら保護者感覚で“つられ笑い”を始める始末。
中高生の本物の保護者を含む他の多くのお客さんも私同様、頬を緩めて彼らを見ていて、会場内はそれはそれは幸福な空気に包まれていたのでした。


…なんて書くといかにも発表会然としたユルい公演を想像されるかもしれませんが、構成は実によく練られていて、その構成の妙が味わえるだけでも演劇好きには楽しいのでは?

公演を見世物として面白くすることはもちろん、演劇をやりたい中高生への教育的効果も考えてしつらえられたこの構成には唸らされました。

ネタバレBOX

“演じることによって自己を異化する視点を持たせる”
今回のワークショップのプログラムはこれを一番の目的として組まれていたと思う。


そのために山崎さんが中高生にやらせたことは、自分に近い人物から演じさせ、徐々に遠い人物を演じさせるというもの。
その中間段階で演じられ、私的に一番面白く拝見したのが、個々の中高生の身の周りの名物教師を、その教師を知らない者が残りのみんなを生徒に見立てて演じるというもの。

自分を教え導く教師という存在になりきり、自分が本来その一人であるところの「教え子」たちを相手に「授業」をする体験は別人を演じることと同時に自己を相対化することをも中高生たちに学ばせ、教育的効果大であると感じた。
いや、その前に、教師役を演じた数名の中高生にはおそろしく芸達者な子が約二名いて、生徒役の子たちと作り上げる授業風景が単純に演し物として面白かった。


数年後、何かの公演のフライヤーにその名前を見つけたらきっとオジサン嬉しくなるので、上のお2人をはじめとするワークショップ参加者の皆さん、近い将来本格的に役者の道を歩み出したら、できるだけ本名で活動してくださいね!!
グッドモーニング、アイスパーソン

グッドモーニング、アイスパーソン

天才劇団バカバッカ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/07/24 (木) ~ 2014/07/27 (日)公演終了

満足度★★★★

国際色の強い座組を生かした舞台
こんなにお遊びの少ないバカバッカは初めて(笑)。おなじみのダンスシーンは少なめ、脱線エピソードに至っては無きに等しく、ちょっとさみしくもあったけれど、お陰で話の呑み込みの悪い私にも物語がちゃんと消化でき、終盤に突きつけられるメッセージも深く胸に刺さりました。

ついでに言うなら、多国籍性の強い座組がここまで生かされたバカバッカを観るのも私にとっては今回が初めてでした。

ネタバレBOX

作品が突きつけるメッセージが強い説得力を帯びていたのは、国際色豊かなこの座組に負うところ大だったと言えるでしょう。

ただ、総じて本作は笑いが少なめ。

アイスパーソンの謎に取り組む科特隊的組織の面々が飲兵衛だらけという折角の設定はストーリーにも生かされていない上、あまり笑いを生んでもいない。

かと言って、アイスパーソンのあるカップルが西暦2500年代の未来人だと分かっても、「異様にゴキブリを恐がる」という可笑しな特質が明かされるのみで、“未来人あるある”をさらに重ねてウケを取りにいくわけでもない。

コメディ劇団を標榜する以上、笑いにはもっと貪欲であるべきでしょう。

とはいえ、話の入り口と出口が遠い、飛躍と意外性に満ちたストーリーには大いに惹きつけられました。
朝日を抱きしめてトゥナイト

朝日を抱きしめてトゥナイト

ロロ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/11 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

面白い!
初ロロでしたが、ぶっ飛びすぎてるギャグ漫画みたいでとても面白かったです。

いくつかのシーンではたまらず爆笑!

噂に聞く、イっちゃってる頃の赤塚漫画ってこんな感じだったのかも。。。


おかしな話の合間を縫って漂ってくる不思議な詩情、妙な後味を残す言葉遊びにも惹きつけられました。

ネタバレBOX

登場人物の中では、他人の記憶を盗聴する女がツボでした。
マボロシ兄妹

マボロシ兄妹

悪い芝居

青山円形劇場(東京都)

2014/07/18 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

デタラメな家族関係が面白い
まずは苦言から。

青山円形劇場で上演された本作、役者が派手に動き回るシーンも多い反面、役者の向きや位置関係が固定されたままに演じられる静的なシーンも多く、後者の場合、役者によっては延々と後ろ姿を見せられる羽目になってとてももどかしい思いをしました。

舞台をぐるりと囲むお客さんにできるだけ顔が見えるようこまめに体の向きを変えながら演じるのが円形劇場での演技術なのに、悪い芝居はこのタイプの劇場での公演経験があまりないのか、一観客として上のようなストレスを感じる結果になったのは残念至極。

ただ、そこに目をつぶるなら、様々な観方ができる、演劇的豊かさに満ち満ちたとても良い公演でした。


現実と幻想、地と図の区別の不可能性に迫った哲学的な劇としても、演劇によって演劇を考えるメタ演劇としても、また、全キャストがド派手な装いで現れて駆け回ったり踊ったりする目に楽しい劇としても楽しめますが、個人的には、主人公の妹で奥歯という名前の娘がじつはどんな様態で存在しているのか、それが徐々に明らかになっていく過程がとても面白かった。

そして本作、チラシその他にもある通り、ドサ回り一家を描いた家族劇でもあって、そのムチャクチャな家族関係も堪能。
家族というものについての社会通念のみならず、生物学の枠組さえも踏み超えたデタラメな家族関係は、これまでとは異なる新しい人類のあり方を示しているようでもあり、単なる遊び心の産物のようでもあり、とにかく面白かった。
この一家が登場するスピンオフ作品があったらぜひ観てみたいです。

ネタバレBOX

奇形児が生まれやすい血筋のドサ回り一家は、各地を転々としながら見世物小屋を開いて生計を立てているという設定。

残念なのは、興行のシーンが短いこと。

オチの部分しか見られない、シャム双生児の姉妹による自虐漫才は、できればフルで見せて欲しかった。
0号 -2014-

0号 -2014-

ゲキバカ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/07/17 (木) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

大箱劇ならではの魅力を堪能
ドリフのコントのような出だしから、序盤からは想像もつかないようなラストまで、一気に運び去られた150分。合間合間に挟み込まれたショー的シーンも恐るべき完成度で、とても見応えがありました。

また、芸劇の広い舞台と、その大舞台に乗せられる限りの大勢の役者たちをフルに生かした、大箱劇ならではの輝きを放つ作品だとも感じました。

ネタバレBOX

ただ、戦火に恋を邪魔された元映画俳優の男女が撮影所で互いに幽霊となって再会し恋を成就させる、本作の軸の一つを成す恋物語にはあまりのめり込めませんでした。

生前の2人が互いに引かれ合ってゆく過程がつぶさに描かれていれば感情移入もできたでしょうが、出会うや互いにひと目惚れして燃え上がってゆくビビビ・ラブじゃあ互いのどこに引かれたのかよく分からず、感情移入はしづらいです。

また、恋に落ちた時にはまだ女優でなく、撮影所そばの食堂で働いていた女が、乞食のような身なりをした漫画チックなギャグキャラとして描かれていたのも恋物語にハマれなかった一因。
相手の男があそこまでおかしな女に恋をするのは、いくらなんでもリアリティを欠きすぎている。
7月20日18時追加あり あゆみ

7月20日18時追加あり あゆみ

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2014/07/12 (土) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

青年座版はやや年輩者向け?/約90分
作者・柴氏の本人演出による『あゆみ』は、2011年暮れから翌年春のツアー公演以来、約2年半ぶり。
そのツアーを私は横浜赤レンガ倉庫で観て、『あゆみ』という作品に初めて触れたのですが、美しく感動的な公演と劇場周りの港の光景が渾然一体となって素敵な記憶をなしていて、今でも時々思い出すほど。

その美しい思い出を温存するべく、今回の青年座版『あゆみ』は観るまいかとも思ったのですが、どう違うのか確かめたい誘惑には勝てず、また、どんな姿勢で青年座版に取り組んだのか柴氏の口から聞きたくもあり、けっきょく早々にチケットを取ってアフタートーク付きの回を前方席で観てしまいました(笑)。


柴演出の『あゆみ』としては初めて男性キャストを起用し、しかも横長の広い舞台を持つ青年座劇場で13人もの大人数により、それも年輩者主体の座組で演じられた青年座版は、若手女優8人きりで演じられたツアー公演とは当然ながら違っていました。

平凡な日本人女性の一生を歩くことになぞらえて描いた劇であることに変わりはないものの、まず、男性役を男優が演じることで具体性が増していたし、青年座らしいメリハリの効いた演技体で演じられた今公演は口語演劇的だったツアー公演よりもずっとパワフルな印象。
柴氏いわく、「皆さん、まるで猛獣みたいで、あまりに自由に演技する皆さんを抑え込むのが今回のいちばん大きな仕事でした(笑)」とのこと。

また、若手女優だけで演じられたツアー公演はキャストと同年輩のお客さんをメインターゲットにしていたのか、若者が共感しやすいよう、幼年期から思春期にかけてのくだりに時間を割いていましたが、役者陣が年輩者主体の今公演では思春期までのくだりを端折り気味にする代わりに、壮年期以降のくだりがボリュームアップされていて、年輩のお客さんが感情移入しやすい作りになっていました。


より抽象度が高く、そのぶん客が自己投影しやすい上、こぢんまりしているぶん、“どこにでもある小さな人生”を覗き見ている感じがより強くしたツアー公演のほうが私好みではありましたが、パワフルでダイナミックな青年座版は役者陣のハジけた演技がツアー版では少なめだった笑い所を増やしていて、それはそれで楽しく、幸せな90分でした。


ちょっと意外だったのは、この演目の命とも言うべき、リズミカルなセリフと動きで作られる音楽性が年輩者主体の座組による青年座版でも損なわれていなかったこと。
役者陣が声と体のみで作りだす韻律が、ツアー版ほど鮮烈にではないにせよ、この青年座版にも確かに感じられたのです。


それにしても、やっぱり『あゆみ』は名作ですね~。
大概の人が経験する、人生の節目節目の出来事がリアルに、そしてユーモラスに描かれていて共感しやすく、観た後に人生というものが愛おしくてたまらなくなったのは、ツアー版を見た時と同じでした。

ネタバレBOX

青年座60周年記念公演ということで、青年座のあゆみ、そして各キャストの役者としてのあゆみが語られる長めの口上が本編の前後にあり。

残念なのは、本編と後口上の合間が短く、余韻に浸る時間があまりないこと。

この後口上は作品の一部という性格が強く、合間を置きすぎて中だるみするのを嫌ったのでしょうが、もうちょっとだけインターバルを長引かせてくれると有り難かったです。
パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

パダラマ・ジュグラマ終演いたしました!総動員3672人。ありがとうございました!

おぼんろ

王子MON★STAR(東京都)

2014/07/09 (水) ~ 2014/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

初おぼんろ。客いじりが壁に?
何百年も語り継がれているお伽噺のような、とても普遍的でよく出来た物語を、ピエロのような白塗りの役者たちが、それこそ軽業師のごとき図抜けた身体能力を頼みに、劇場じゅうを駆けずり、跳ね回りながら演じる臨場感満点の公演を大いに楽しみました。

これがおぼんろなのですね。

もしも私に子供がいたら、子連れで観たい劇団。

客いじりも子供は大いに喜ぶことでしょう。

ただ、大人はどうなのか?
正直、客いじりが苦手な客は少なくないと思いますし、私も苦手なほう。今回はいじられずに済みましたが、できることならそっとしといて欲しい口です。

そこで提案。
客いじりがイヤなお客さんには「客いじり不可」と書かれたワッペンをつけてもらい、ワッペン着用のお客さんはいじらないことにしてはどうでしょう?
あるいは客いじりOKの人とNGの人で客席を分けるとか。

作を追うごとに倍々ゲームで動員を増やし、いずれコクーンで公演を打つのがおぼんろの目標だそうですが、客いじりがハードルとなって動員増が思うように進まないという事態は大いに考えられます。

やはり上のような対策を講じたほうが良いのでないでしょうか?

それから、客いじりはもっと明るくカラッとやるべき。そう心がけてはいるのでしょうが、ツッコミの口調がドギツいことがままあって、短気なお客さんならキレてしまうのではないかとヒヤヒヤさせられました。


さらに気になったのが、会場の使い方。
他劇場での公演はどうだったのか分かりませんが、王子モンスターでの今回公演は会場の三分の一ほどがデッドスペースになっていて、どこかガランとした印象が否めませんでした。
密な感じを出すためにも、あのスペースは塞いでしまうなり、何らかの物で埋めてしまうなりしたほうが良いのではないでしょうか?

なお、私の観た回の上演時間は前口上を含めて約150分でした。

ネタバレBOX

荒んだ世界に絶望している二匹のキツネと生まれて間がなく希望にあふれる一匹のヒヨコ、その二者を対比的に描く物語の構図がとにかく素晴らしかった。

ただ、話が少々くどく冗漫な印象も。
鶏舎への行き来の回数を減らし、もっと話をスリムアップすることはできないものでしょうか?

あと、序盤の列車のシーンは物語の行き着く先を暗示するネタバレ的シーンと言え、あのシーン抜きで話が構成されていればなお良かったと思います。
おそらくあのシーンは敢えて入れ込み、あえてネタバレさせたのでしょうが、私は正直、序盤のあのシーンがあったお陰で結末が見えてしまい、少々興を削がれました。

それでも、独特の寓話的劇世界には大いに惹きつけられたので、次回作も可能な限り観るつもりです。
うちの犬はサイコロを振るのをやめた

うちの犬はサイコロを振るのをやめた

ポップンマッシュルームチキン野郎

駅前劇場(東京都)

2014/07/04 (金) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

重厚な物語に目一杯のギャグ!
本来ギャグなど寄せつけなそうな重厚な物語に目一杯のギャグを詰めこんだ、サービス精神MAXな一作。

今作は戦争が絡んだお話とあって、ブラックなギャグ、体を張ったギャグがいつにも増して多かったような。。。

中でも、とある役者さんが昭和史に名を刻む大物に扮して繰り出す笑いは体を張っている上にブラックでもあり、そのハチャメチャな可笑しさに爆笑!
私は歴史に疎いのでよく分かりませんが、実はああいう人物だったという根強い噂でもあるのでしょうか?

ネタバレBOX

今作は戦中から戦後にかけての動乱期の話とあって、忙しない展開のなか忙しなく繰り出されるギャグが目立った。
一編の独立したコントを観るようにゆったりした心持ちで気軽に楽しめるシーンがあると、メリハリがついてなお良かったか?

例えば犬(加藤慎吾)と少女(増田赤カブト)が働くキャバレーでのダンスレッスンのシーン。

これを本筋からもっともっと自立させ、もっともっとくだらなくしてよりいっそう寸劇仕立てにすれば、当該シーンは劇中で上述のような位置を占め、全体的に慌ただしい本作におけるいい箸休めになったかも。

もちろん、少女に起きた悲劇が露呈するのがこのくだりなので、コント仕立てにできるのはその前段の部分までですが。
私たちのイブたち 蝕~岸田理生作・戯曲「私たちのイヴたち」より~

私たちのイブたち 蝕~岸田理生作・戯曲「私たちのイヴたち」より~

ユニットR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2014/07/05 (土) ~ 2014/07/07 (月)公演終了

満足度★★★★

セリフが立つ演出
“アングラ劇=ビジュアル偏重”のイメージを大きく裏切る一作。

衣裳や美術へのこだわりを最小限にとどめる代わりに役者が織り成す陣形=フォーメーション、そして舞台隅の楽師による音効を兼ねた打楽器演奏で美を生みだし、それらとセリフのみで魅せるシンプルな劇世界にグイグイ吸いつけられました。

そうした演出はおのずから役者のセリフに聞き入らせ、リオフェス参加作のうちアゴラで上演された三編の中では、巧み抜かれた理生言語を最も堪能できた。
その美しい言語に酔えたのは、年輩者主体の役者陣による重厚で説得力あふれるセリフ回しによるところ大だったことは、ここにしっかりと記しておきたい。


物語はアナーキスト・大杉栄の一代記。
その女性関係を軸に話が展開するのは、その革命思想について知りたかった大杉初心者としてはやや物足りなかったけれど、そのような戯曲の上に本作が成り立っている以上、これは致し方のないことなのでしょうね。

ネタバレBOX

本作では、ナレーターを含め色んな役回りを色んな役者が兼任。

この趣向が功を奏し、演じ手によって大杉栄がただの女好きなロクデナシに見えたり、ただの女好きなロクデナシに見えたり、ただの女好きなロクデナシに見えたり...や、本作を観るとまず第一にそうした印象を受けるのだが、でも時に廉直な熱血漢に見えたり、ウジウジしたさみしがり屋に見えたりと様々な大杉像を観客にもたらし、この公演をより豊かで広がりのあるものにしていたと思う。
カタロゴス-「数」についての短編集-【5454次回公演は11月後半!!】

カタロゴス-「数」についての短編集-【5454次回公演は11月後半!!】

劇団5454

劇場MOMO(東京都)

2014/07/03 (木) ~ 2014/07/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

好舞台/約100分
数がテーマの短編集。話が硬軟さまざまでどれも皮肉が効いていて、観ながら『世にも奇妙な物語』が頭をよぎりました。

数をお題に物語を作るのはやはり大変だったのか、ややネタ数は少なめでしたが、どれもまったく違うアプローチで数というお題に挑んでいて、とても楽しめました。

可能ならばマイムショー付きの回が観たかった身としては、佑樹丸さんのマイム芸を生かした一編があったのはめっけもんでした(^_^)v

ネタバレBOX

短編集ということで具体的な場所を想起させない抽象的なセットが組まれてましたが、一編め「スコアラー」はそれを逆手に取った、コロコロと場面の変わる自由自在な展開が演劇的快感をもたらす好編。

一番興味深く拝見したのは「ロス」と題された一編。“数字=利益”の追求が結果として大きな損失を生む例もあることを数学的証明を交えながら一つの物語として分かりやすく示していて、とても面白かった。
ツヤマジケン

ツヤマジケン

日本のラジオ

王子小劇場(東京都)

2014/07/01 (火) ~ 2014/07/06 (日)公演終了

満足度

キャストはいいけど...
話が茫漠としすぎていて、まったく楽しめませんでした。

また、その背景説明が粗いため、田舎の宿泊施設へ部活合宿に来た女子校生徒達のネトついた人間関係にもまるで興味が湧かず、したがって百合演劇としてもまるで楽しめませんでした。

とてもとても長く感じられた約95分でした。

ネタバレBOX

女子高生のグループ同士が宿泊所内でニアミスしてはバラけ、ニアミスしてはバラけ、その繰り返しでなかなか話が進展せずにイライラさせられました。

宿にたどり着けなかった城戸という女生徒がなぜ一行からはぐれたのか、はぐれてどうなったのか、殺される宿の管理人がなぜ有毒植物を育てていたのか、いろんな謎が最後まで明かされずじまいなのにもイライラ。

謎なんて、あらかた解明されながらもなお不明な部分が残るからこそ面白いのであって、最後まで完全に謎のままじゃあ面白くもなんともない。

事程左様に、いろいろと難の目立つ舞台でした。

演劇部合宿の話ということで、ライトなど舞台用機材が積まれただけの素舞台で演技が行われたことも、舞台美術好きとしては残念。
大がかりなセットを組まないまでも、何かしら美術上のひと工夫を凝らして欲しかった。
命名騒動!

命名騒動!

劇団おおたけ産業

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/06/27 (金) ~ 2014/06/29 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しいひとときでした♪
可笑しな名前を夫婦で出し合う展開だと途中でタマ切れして苦しくなるのでは?と危惧したが、その方向性で盛り上げるのは程々にとどめ、名付けにまつわる社会的諸問題に踏み込む作りにしたことが奏功していた印象。


とはいえ、あくまでベースはコメディ。約60分という短尺ではあったものの、ミュージカル仕立てのバカバカしいシーンやくだらない展開に満ち満ちていて、楽しいひとときが過ごせました。


それにしても日高ゆいさんはいい女優さんですね。彼女が舞台にいるだけで場が温もり、ハッピーオーラに包まれる。

ネタバレBOX

子供の名付けに頭を悩ます若夫婦を主役とし、名前をテーマに展開されたこの劇でいちばん盛り上がったのは、奥さん(日高ゆい)の女友達(安助るり)が結婚して「安藤夏(=あんドーナツ)」になると判り、その名前をみんなでいじり倒すシーン。

名前自体は実例があっても不思議じゃない、“ちょっとした珍名さん”程度のものだが、この名をネタに女友達を冷やかし尽くし、あげく祭りまで始める展開には思わず呆れ笑い。

もうちょっと尺を伸ばし、こういう吹っ切れたシーンをもっと増やせば、この劇団はもっと良くなるのではないだろうか?

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