満足度★★★
無駄な枝葉が目立つ
私も多くの方と同様に直球すぎる印象を受けましたが、総理の腹痛をいじったりと、政治諷刺劇として皮相的に過ぎた前作『ニッポンヲトリモロス』よりは本作のほうがずっとマシ。
前作の観てきたコメントで私は
「本当にヤバい現政権を安易にお笑い草にしてはいけない。笑うことは許すことにつながるからだ」
といった主旨のことを述べたが、本作は現政権の上っ面をいじるのでなく、深部の急所にまで斬り込んでいて、現政権のおぞましさ、老獪さを抉出。
結果、時間を追うごとに笑いは薄くなっていくが、洒落にならない現政権を無理くり笑い草にし、笑えるものへと矮小化するよりはずっといいだろう。
笑いがほぼない最終盤は現政権が呼び寄せかねないゾッとする未来の写し絵にも見え、この場面を現政権の人間が見たらどう思うのかと想像。
情況に一石を投じないことには諷刺劇なんぞやる意味がない以上、本作はいっそのことyou tubeほかの動画投稿サイトに無償でアップし、現政権の人間が実際に視聴できるようにしてはいかがだろうか?
そして、政権関係者に少し頭を冷やさせてはいかがだろうか?
私の観た回には作品のビデオ収録がなされていたが、無料公開して広く拡散させたほうが現状を変えようという諷刺劇の目的には適うはずだし、仮に記録用に撮っただけでも、得られた映像はネット上に広く流通させ、劇団の主張を政権関係者に、そして日本じゅうにあまねく知らしめるべきだろう。
それはそれとして、本作には作劇のレベルで気になる点が。
前作にも感じたことだが、余計な枝葉が多く、それがテンポを削いでいる。
テンポはコメディの命なので、こういう枝葉は極力削るべきだろう。
以下、不要だと思えたくだりを二点ほど、ネタバレに挙げておきます。