ドレス
財団、江本純子
ギャラリーLE DECO(東京都)
2019/03/27 (水) ~ 2019/03/31 (日)公演終了
満足度★★★★
■約135分■
実際そういう関係にあってもおかしくない女優二人にライバル関係にある二人の女優を演じさせ、コネとハッタリ、そして男が力をふるう演劇界・映画界のダークサイドをリアルかつコミカルに描き出した、虚実の線引きが難しい一作。こういうのは、私のように、すべて実話と捉えて観たほうが楽しめると思います(笑)。
男亡者の泣きぬるところ/女亡者の泣きぬるところ
ニットキャップシアター
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/03/27 (水) ~ 2019/03/31 (日)公演終了
満足度★★★★
■約140分(途中休憩込み)■
女優二人による『女亡者』、男優二人による『男亡者』。どちらもフィクショナルな会話劇で、現実には起こりえなそうなお話ながら、作り事の中に日本社会の理不尽を映し出した『女亡者』は多くの日本人が無縁ではない世知辛い時相に切り込んでいて、強く刺さった。
『男亡者』はそれに比べて社会性が弱い分、もっと強いオチをこしらえるべき。
まあ、どちらもブラックな笑いがふんだんで、楽しめましたが。
イチゾウ
無隣館若手自主企画・野宮企画
アトリエ春風舎(東京都)
2019/03/20 (水) ~ 2019/03/24 (日)公演終了
満足度★★
■約55分■
『春と修羅』に加え『よだかの星』をもモチーフとしているためか、かなり物語性が強く、ために、詩の舞台化という狙いがぼやけてしまっている印象。詩的表現も作中にあまり見出せず、これでは、他の若手自主企画とあまり変わらない。
さらには、“名前がテーマ”という点。作者が当パンやテロップでそう謳っているだけで、作品自体から名前という主題はさほど伝わってこなかった。
ただし、演出にまで深く食い入ってくる美術、振り付けに面白味。
岸田國士戯曲百景
百景社
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/03/20 (水) ~ 2019/03/24 (日)公演終了
満足度★★★★
■①約75分②約115分③約70分■
遊び心と機知にあふれた演出の妙を楽しみたければ、事前に戯曲を読んでからの観劇を推奨。ここはこう来たか、な面白さが味わえる。マイベストは、ほぼ出オチの『屋上庭園』。
ハルサメ
あひるなんちゃら
駅前劇場(東京都)
2019/03/14 (木) ~ 2019/03/18 (月)公演終了
静物画
青春五月党
北千住BUoY(東京都)
2019/03/15 (金) ~ 2019/03/17 (日)公演終了
地球ブルース
不思議少年
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/03/14 (木) ~ 2019/03/17 (日)公演終了
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★
■『思い出せない夢のいくつか』鑑賞/75分弱■
駄弁がダラダラと続くばかり。。。 しかも、暗闇に浮かぶ薄ぼんやりとした照明が眠気を誘って。。。 しんどかった。
革命日記
映画美学校
アトリエ春風舎(東京都)
2019/03/06 (水) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
■約95分■
昨春観た作者本人演出版より、強い緊迫感、強い熱が感じられた。
作者演出版、すなわち平田オリザ演出版は、当パンの文章に従来型の革命への批判の言葉が連ねられ、それに引きずられて観たせいなのか、革命組織への突き放した視線が感じられ、革命家たちの観察記録とでも言うべき冷ややかさが感じられたが、今回の山内健司演出版は当パンの文章にも作品自体にも、革命家というものへの畏敬の念が感じられる。
作品が熱を帯びたのは、革命というものが山内氏にとって到底他人事ではなく、闘志たちに自分の熱を投影しながら演出を行ったせいだろうか?
いや、なにも、劇中の闘志たちのように、非合法革命への志向が山内氏にあると言いたいのではない。しかし、そのツイートには現在のこの国への激しい怒りがにじみ出し、世直しへの強い思いがうかがえて、最後のひと文字まで目で追わずにはいられない。
この私にも、どんどん浅ましく醜悪になっていくこの国をなんとかしたいという思いがないわけではない。だから身を入れて観てしまった。
滑り出しがぎこちなくて心配したが、演技は時間を追うごとによくなっていった。
はなにら
MONO
吉祥寺シアター(東京都)
2019/03/02 (土) ~ 2019/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
■約120分■
家族でもないのに決裂もせず長年ともにあり続ける集団を、結成30年のMONOにやんわりと重ねて描いた人間ドラマ。フライヤーには「擬似家族」という語も出てくるけれど、そんなドライな言葉を用いるのがためらわれるほど、劇中の人間関係は濃密で温もりに満ち、愛すべき面々の人間であるがゆえの失態や小競り合いは失笑、苦笑、大笑とあらゆる種類の笑いを誘って、最後まで惹きつけられた。
近年のMONO作品では最も社会派色が弱く、そこに物足りなさを感じる向きもあろうけれど、観る者の心と目頭をここまで熱くさせてくれれば、私としては満足、惜しみなく★★★★★を差し上げたい。
社会派色の薄さと並ぶ本作のもう一つの特徴は、土田劇にしては珍しく、ひねりを欠いたクサいセリフが目立つこと。とはいえ、本作のごとく、その言葉を吐くに至るまでの話者の感情の軌跡が繊細かつ丁寧に描いてあれば、クサいセリフもストンと腑に落ち、胸に沁みてくるのだなぁ~~。。。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★
■『隣にいても一人』C鑑賞/70分弱■
対照的な境遇にある夫婦ふた組が夫婦について語り合う趣向は面白いものの、同じ議論の蒸し返しが目立ち、少々食傷。40分ぐらいに刈り込めないものか? 以前観た同演目の琉球弁バージョンは、なんとか方言を聴き取ろうと躍起となるあまり、退屈は感じずに済んだのだが。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
■『銀河鉄道の夜』A鑑賞/70分弱■
銀河鉄道の夜という物語の要諦が、本作を観てようやく分かった。要点を漏らさず詰めて、よくこの尺にまとめたなあ。
あじさい
大森カンパニー
本多劇場(東京都)
2019/02/20 (水) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
■約105分+カーテンコール■
吉川友さん見たさに観劇。キッカちゃんが出なければ観なかっただろう、この「人情喜劇」シリーズの一作に、乾いた笑いを好む私が満足したのは自分としても意外だった。
老若男女にわたる劇中人物たちは、大なり小なり己の人生に後ろめたさを感じている人たち。彼ら彼女らが背負い込んでいる個々の悲劇とメインストーリーとが見事に呼応し合った有機的で厚みのある脚本がまず素晴らしい上、“人情”要素と“喜劇”要素の配分も至高。人情要素がふくれあがって喜劇要素が味付け程度にとどまってしまうという凡百の「人情喜劇」の轍を踏むことなく、本作は人情要素と喜劇要素ががっぷり四つに組み合ってすこぶる豊かな劇世界を作り上げている。これは、半期に一度のハイペースで良質なコメディを作り続ける電夏の竹田哲士に脚本を依頼した甲斐があったというもの。
また、人物造形にも抜かりがなく、ヒロインに向けられる励ましの言葉が十二分な重みと説得力をともなって響いてくるのも、話者の細密に作り込まれたバックボーンから無理なくセリフが生み出されているからだろう。もちろん、セリフが重みをもつ裏には、極限までの言葉の吟味があるのは言うまでもない。
緩急にとことん配慮することで笑いも涙も自在に生みだす大森演出も秀逸。コント公演「更地」シリーズでしか大森演出に触れてこなかった私は、今回はじめて一本モノを鑑賞し、その演出家としての才気を今さらながら思い知らされた次第。
キッカちゃんは、普段のぶっとんだキャラクターからは距離のある、落ち着いた大人の女性を凛々しく演じて、なんとも素敵でありました。
そして今日も、朝日
無隣館若手自主企画・福名企画
アトリエ春風舎(東京都)
2019/02/16 (土) ~ 2019/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★
■約65分■
重い内容ながら、人物造形がきめ細やかで生々しく、知らず知らず惹きつけられていた。個々の人物が精緻に描かれている一方、四人の人間関係の背景はあえてぼやかされているが、これが不気味さを倍加。不明な部分を自分なりに謎解きしながらとぼとぼ歩く帰り道は、なかなかに豊かで充実したひとときでした。
平田オリザ・演劇展vol.6
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/02/15 (金) ~ 2019/03/11 (月)公演終了
満足度★★★★
■『コントロールオフィサー』鑑賞/約30分■
平田オリザにしては珍しい、純粋な笑劇。劇構造自体はよくある類のものながら、その構造をオリンピックのバックヤードという設定に落とし込むで、とても可笑しくなっていた。賞味期限の短そうな劇なので、観るなら今のうちか?
ビョードロ
おぼんろ
新宿FACE(東京都)
2019/02/14 (木) ~ 2019/02/17 (日)公演終了
『本当は知らない。 』ソロ・グループ2本立て公演
lal banshees
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/01/30 (水) ~ 2019/02/03 (日)公演終了
満足度★★★
■約80分■
ダンスとしては、スカートを穿いてかわいく元気にガーリーに踊るトリオ作品『海底に雪』のほうが楽しめた。
海、水といったテーマに身一つで向き合った横山彰乃によるソロ作品『水溶媒音』は、テーマに縛られてダンスが窮屈になっていた印象。また、海や水について何を訴えたかったのかも残念ながら伝わってこず。ダンスでテーマを表現することの難しさについてあれこれ考えた帰路でした。
『海底に雪』は上のテーマを追求しているとは思えなかったが、堪能できたのは明らかにこちら。
遊行権
無隣館若手自主企画vol.27 曽根企画
アトリエ春風舎(東京都)
2019/02/07 (木) ~ 2019/02/11 (月)公演終了
満足度★★★
■約90分(途中休憩込み)■
遊びというテーマを上手く展開しきれていない印象。これでは単に遊びを羅列しているだけ。ただ、退屈すぎて遊ぶしかない劇中人物たちの置かれた境遇には興味をそそられたので、その背景設定はそのままに、「構成・演出」でなく「作・演出」とクレジットできるような、もっと演劇然とした別作品に仕立て直せないものか?
怪童
劇団献身
OFF OFFシアター(東京都)
2019/02/06 (水) ~ 2019/02/13 (水)公演終了
満足度★★★
■約120分■
極めて特異な幼年期を過ごした女の一代記。劇構成を緻密に作り込んでから書き始めたのだとしたら申し訳ないが、脚本が行き当たりばったりで成り行き任せな印象。継起する出来事が強い必然性では結ばれておらず、出来事を並べただけのストーリーは客を前のめりにさせるだけの吸引力がない。着地のさせ方が上手いために、エンディングではいい劇を観たような気分に危うくなりかけたが、全体の構成はやっぱり魅力に欠け、途中からダレてしまった。
コメディを謳っている割にギャグもいまひとつ。無理やりひねり出したようなギャグや飛び道具的な笑いが目立ち、さらなる精進を期待したいところ。
ただ、さそうあきらの漫画に出てくるような、腕白女子というか、自然児のようなヒロインは魅力的。演じ手の女優のサッパリとして快活な演技が、役にさらなる生彩を与えていた。
僕らの力で世界があと何回救えたか
タカハ劇団
小劇場B1(東京都)
2019/02/08 (金) ~ 2019/02/14 (木)公演終了
満足度★★★★
■約120分■
初見の劇団。力作。意外や社会派サスペンスな展開をみせて、固唾を飲んだ。これは現代日本の縮図だ。ただ、SF的な味付けが少し濃すぎるかなぁ~…。こういうのは、地に足のついた話にしたほうが、届くのでは?