満足度★★★★
■約95分■
昨春観た作者本人演出版より、強い緊迫感、強い熱が感じられた。
作者演出版、すなわち平田オリザ演出版は、当パンの文章に従来型の革命への批判の言葉が連ねられ、それに引きずられて観たせいなのか、革命組織への突き放した視線が感じられ、革命家たちの観察記録とでも言うべき冷ややかさが感じられたが、今回の山内健司演出版は当パンの文章にも作品自体にも、革命家というものへの畏敬の念が感じられる。
作品が熱を帯びたのは、革命というものが山内氏にとって到底他人事ではなく、闘志たちに自分の熱を投影しながら演出を行ったせいだろうか?
いや、なにも、劇中の闘志たちのように、非合法革命への志向が山内氏にあると言いたいのではない。しかし、そのツイートには現在のこの国への激しい怒りがにじみ出し、世直しへの強い思いがうかがえて、最後のひと文字まで目で追わずにはいられない。
この私にも、どんどん浅ましく醜悪になっていくこの国をなんとかしたいという思いがないわけではない。だから身を入れて観てしまった。
滑り出しがぎこちなくて心配したが、演技は時間を追うごとによくなっていった。