じゅーこーの観てきた!クチコミ一覧

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ファーム

ファーム

サンプル

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/09/19 (金) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

変態なのは誰なのか
わかりやすい!! サンプル史上、最大の分かり易さ。

と、無邪気に分かった気になるのは明らかに作家の術中に陥っているわけで、分かり易さのうらにある、自分の変態さ加減を正しく認識できていない人たちが織りなす喜劇が空恐ろしい作品だなぁ、と。

この物語を外側から「喜劇」と観ているあなたは、自分の変態さを正しく分かっているの?というところまで含めて、この芝居の世界なのかな、と思うと、壮大かつ空恐ろしい芝居ができあがったかな、と思えて、すごーく面白い。

サンプルの初期作品である「地下室」も分かりやすい作品で、でも、ラストで「リサイクル」という概念を通常のレベルから一段深みに落っことして、芝居の全レイヤーをドカンと一段深いところに一瞬にして構築し直す、という、演劇構造としても明解な作りになっているのと比較して、「ファーム」は、分かり易さはそのままに、芝居の世界の作りは、額面通り受け取ってもよし、ひねくれて受け取れば、また、もっと深い別の世界が存在しているような構造で、「地下室」から360度一回りしているんだけど、らせん階段で1レイヤー上に上がった作品のような印象を受けた。

っていうか、かなり小難しくなりそうな物語を、そして、小難しくしてしまえばその方が楽そうな物語を、ギリギリのところで「分かりやすい」と感じさせる展開で危うく保っているのは、作家の想像力の強さ、想像した世界が明確に見えている、ということなんだろうなと、感心しました。これは、すごい。

あと、終盤に突然現れるビジュアルの美しさ。ストーリーでは「惑わす人」が醸し出す突然の美しさで、物語上も美しく在らねばならない人が突然美しいビジュアルを作り出すわけで、このシーンだけでも鳥肌もの。細切れで唐突なシーンが、背後の世界ではちゃんとつながっているのも見事。

動け!人間!

動け!人間!

鰰[hatahata]

アトリエ春風舎(東京都)

2010/04/16 (金) ~ 2010/05/05 (水)公演終了

満足度★★★★

「出世魚」白神ソロダンス 〜一世一代のソロ〜
「出世魚」メイン企画は、岡崎藝術座の朝公演同様、お散歩付きである意味健康的な楽しさ。が、出世魚企画中出色なのが「白神ソロダンス」。昨今のコンテンポラリーダンスをさくっとパロった返す刀で、バレエもめった切り。その刀には毒ではなく、愛が詰まっているのも切実に伝わってきて。その愛の歪みっぷりが、また、人間らしさを醸し出していて。空間構成力も確かで、あんなにきちんと踊れているダンスを観ながら大爆笑したのは初めて。美しいダンスも作れるのに、おバカダンスを創ってしまうその情念と思想性まで透けて見える、まさしく一世一代の目が覚めるようなソロ。生きる活力をもらったような、本当に嬉しい時間であった。

私が踊るとき

私が踊るとき

珍しいキノコ舞踊団

世田谷パブリックシアター(東京都)

2010/01/22 (金) ~ 2010/01/25 (月)公演終了

満足度★★★★

私も踊るダンス
面白い、のではなく、『楽しい!!」ダンス。序盤と終盤のカタルシスは自然にこちらの体が動き出してしまいますとも。遊び心、を超えて遊びそのものが満載。いってみれば「盆踊り」の楽しさ。ああ、ダンスってこれでいいんだぁ、と再確認。もちろん、身体強度の強いダンスを、さも簡単そうに踊れる実力がダンサーにあるから実現できているわけであるが。それにしても、世田谷パブリックシアターの客席で、キノコダンサーズと一緒に、スタンディングで両手を振り上げて踊ることが出来るとは。クラブなどとは違う感覚でトリップしてしまいそうな、至福のひとときでした。

アジア舞台芸術祭2009東京【「東京舞台」LIVE版2009】

アジア舞台芸術祭2009東京【「東京舞台」LIVE版2009】

APAF-アジア舞台芸術人材育成部門

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2009/11/28 (土) ~ 2009/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

Cプログラム/チェルフィッチュ/時空を担うテキストと身体
金沢での公演「記憶の部屋について」で獲得した方法論を精鋭化。金沢では空間にコンテンポラリーアートのオブジェがあり、それに拠ることが出来た。が、今回、役者は寄りかかるものは何一つない。舞台の時空を一人で背負うことを要請されている。それはあまりに過酷で、だから、あまりにスリリング。本当にドキドキしながら、役者の微細な動きに見入ってしまった。今回は次回公演のプロローグであり10分間だから問題ないが、本公演もこの方法論で行くとしたら、役者はどれだけ消耗してしまうのだろうかと、心配にすらなった。それくらい、ハードルの高い、強度のある表現。そんな緊張感に支えられて構築してきた舞台のラストのビジュアルは、鳥肌が立つくらい、きれい。物体は何もなくても、空間・時間は制圧され尽くしている。本当に素敵。

ともだちのいもうと

ともだちのいもうと

RONNIE ROCKET

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/10/20 (火) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇と音楽が醸し出す贅沢な時空
始めは単なる青春回顧ものかと思いきや、さにあらず。状況が判明するにつれ逆に謎が深まり物語の中へ引きずり込まれていく。そして作品世界にどっぷりつかった状態で一気に明かされる数々の事情。切なさに涙が。とどめの音楽も本当に魅力的。音楽をナメていない、その扱い方が本当に素敵で、もう、ノックアウトです。非現実的なのにリアルだったり、丁寧で繊細な演技なのに仕掛けはチープだったりとメリハリの効かせ方が見事。上質のエンターテイメントを間近で観ることが出来て、本当に贅沢な時間でした。

『ヘアカットさん』 / 『朝焼けサンセット(朝公演:朝食付き)』

『ヘアカットさん』 / 『朝焼けサンセット(朝公演:朝食付き)』

岡崎藝術座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/10/16 (金) ~ 2009/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

カタルシスある演劇要素の解体と再システム化
いまどき、個人的な心の動きを舞台でそのまま大声で語ったら、イタいやつにしか見えない。この作品では、その演劇的恥ずかしさの回避策として、テキストと身体と音楽の演劇的ポジションを一旦解体してしまった。それも芝居が始まって瞬く間に。で、そこから新たにテキストと身体と音楽の位置を再構築して、この作品独自のシステムを一気に創り上げる手際に固唾をのんだ。この作品がスポットを当てている心の動きは根源的なものであるだけに、恥ずかしさの回避に成功したことにより、強烈かつダイレクトに心に響く。これまでの演劇的成果をすべて取り込んだ後にさらに一歩踏み出した、最先端の舞台表現と言って良い。危惧する点があるとすれば、この次の一歩を踏み出す地点が存在するのか、ということではあるが。

て

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2009/09/25 (金) ~ 2009/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★

一粒で二度おいしい
何がすごいって、序盤ただの小気味よいファミリードラマのような流れの中で歌われるカラオケで、なぜか泣けること。背景も人物像もその時点では泣けるものではないはずなのに、なぜか泣ける。で、多視点というあっと驚く演劇手法を用いて重層な背景が判明した後、再度歌われるカラオケで今度は事情がわかって泣けてきて。言葉ではない、何か醸し出すオーラで観客を泣かすなんて、演劇としてものすごく素敵。その後、言葉と物語で背景を描いた結果、さらに泣かすというのも見事。家族というミニマムな集団の中で、人と人との断絶を暖かな目で、しかし一切目をそらさずに見つめきった上で、演劇的にも極めて完成度の高い表現に仕上がっている。何度観ても飽きない、シビレル作品。

「ここで光ってみる」 「飛ぶ布団」 「愛愛愛愛愛愛愛っ」

「ここで光ってみる」 「飛ぶ布団」 「愛愛愛愛愛愛愛っ」

ロロ

スタジオ・ガンボ(東京都)

2009/10/03 (土) ~ 2009/10/03 (土)公演終了

満足度★★★★

最小の表現で的確に捉えるピュアな話
ちょっとずつテイストの違う短編3本。どれも素敵で好き。ナンセンスからスルッとノスタルジーへ切り込んでいく1本目。あり得ないシチュエーションを設定しつつ、男の子の落胆を正確に捉える2本目。さらに傑作なのは3本目。ピュアーな愛の話を直球で創りつつ、恥ずかしさ回避の仕掛けも万全。ちょっと言葉になってない部分もあれど、男の子目線の恋愛ものとしては珠玉の出来映え。コンパクトでライトでおしゃれだけれど、実は中身が濃厚な3本。好きだなぁ、これ。

シリタガールの旅

シリタガールの旅

本能中枢劇団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/20 (土) ~ 2009/06/27 (土)公演終了

満足度★★★★

精緻極まる、ゆるさ
これは好きだぁ〜。シュールなゆるさが反復しまくる前半。繰り返しの効用で、脳みその焦点がどんどんぼやけて参ります。さらにゆる〜いストーリとなる後半。常識から解放され、夢うつつの気持ち良さでございます。ああ、舞台って、こんな最少な情報だけできっちり成立するものなのね。ステージでやっていることは本当に些細なことなのだけれど、その些細なことだけで空間が充足するなんて、なんて緻密なお芝居なんでしょ。ゆるさと気持ちよさを寸分違わず作り上げる見事なセンスと技量。ほんとうに気持ちよくって、好きだわぁ〜。

「リサイクルショップ『KOBITO』」

「リサイクルショップ『KOBITO』」

ハイバイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/06/05 (金) ~ 2009/06/16 (火)公演終了

満足度★★★★

涙なくして笑えない
リアルな人生に比べたら、演劇なんて所詮は茶番なんだという冷徹な認識からスタート。で、表面的にはその茶番を繰り返しながらも、気が付くと舞台にモノクロームでノスタルジックな、記録映画で見たような昔の日本の情景が浮かんでいて。まさにスペクタクル。どんな苦境も成り行きと図太さで凌いできたおばちゃんの生き様と、茶番だろうと亜流だろうとイジケること無くあらゆる手を尽くして雑多な舞台に大河ドラマを立ち上げるこの芝居の演劇構造がシンクロして。途中までは気楽に笑ってたんですけど、終盤は涙なしには笑えないですよ。それがこの芝居のすごみでもあり、おばちゃんのすごみでもあり。たかがおばちゃん、されどおばちゃん。そして、たかが茶番劇、されど茶番劇。すばらしすぎます。

めくるめくセックス

めくるめくセックス

シンクロ少女

王子小劇場(東京都)

2009/01/28 (水) ~ 2009/02/01 (日)公演終了

満足度★★★★

めんどくさいけど、やめられない
女の子目線な色恋沙汰。ダメなヤツと言うより、鬱陶しいヤツがいっぱいいて。人のイヤらしさ(エロさの方ではなく、ずるさとか醜さの方)は薄く描くけど、テンションがフッと切れちゃう瞬間とか、もうダメってイヤになっちゃう瞬間の描写は緻密にしてリアル。恋人同士も面倒なら、片思いも面倒。夫婦はもっと面倒。でも、そこからフィジカルに立ち上がる関係もあって。そこから愛へと至る道が、なぜかグレコローマンスタイル??になっている演劇的ぶっ飛びもカタルシスがあってまた良し。心に刺さる面白さも、エンターテイメントとしての面白さもあって、かなり面白いですよ、これ。

レドモン

レドモン

カムヰヤッセン

王子小劇場(東京都)

2009/01/16 (金) ~ 2009/01/19 (月)公演終了

満足度★★★

長大な物語の、入り口を描く。丁寧に。
オバマなこの時期に、このネタを選ぶのはタイムリー。上手い。で、長大となるであろう物語の、その、ほんの入り口だけを懇切丁寧に創り込んだ。言ってみれば、箱庭のような演劇。長大な物語の一部分なのだから、この芝居としてのラストは想定の所に収斂。とはいえ、「おや、想定外の方向へ踏み出すのか??」と思わせる仕掛けも随所に。よって、飽きずにラストまで芝居に入り込みで観ていられる。演劇として、短射程距離で正確に観客の心をヒットする技があるのは解ったので、欲を言えば、もっと射程距離の長い大型ミサイルも何発か発射してくれたら素晴らしかったのだけれど。とはいえ、SF風ファンタジーとしてものすごく解りやすく、上手なエンターテイメントとして仕上がっているのは確か。面白い。まずはそれだけで満足。この先、箱庭としての完成度を上げるのではなく、この程度か、もっと荒くていいから、射程距離を伸ばす方向の作品をぜひ観たいなぁ。

鳥のまなざし

鳥のまなざし

ポかリン記憶舎

シアタートラム(東京都)

2008/11/27 (木) ~ 2008/11/30 (日)公演終了

満足度★★★★

美しい情景、恐ろしい時空
自分が在るべきでない世界を彷徨う男、自分の想いとは裏腹に世界の果てを歩く女。そんな、この世界とは別のもう一つの時空がトラムの中に湧き上がっていた。そこでの会話は禅問答のよう。全てを語らず、しかし言葉で語れぬ心の闇まで語り尽くす。その情景を一言で言えば、走馬燈。意識が無くなる直前、人が見る景色は、これほど美しく、それゆえ恐ろしいものなのか。そう思うと背筋がゾクゾクするのであった。かくも幽玄なる幻の世界と、我々の住む現世をつなぐ演劇的インターフェイスとして、独特な身体表現である、さざ波のように微動する舞踊要素も随所に交えられていて。が、トラムを大空間として利用したためか、身体の揺らぎに場所の磁場との共鳴や、それ故の繊細さがあまり感じられず。大空間こそ全体がうごめくような共振を体験したかったのだが、それは贅沢なことなのだろう。

『リズム三兄妹』 / 『はやねはやおき朝御飯』

『リズム三兄妹』 / 『はやねはやおき朝御飯』

岡崎藝術座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/10/30 (木) ~ 2008/11/10 (月)公演終了

満足度★★★★

融合ではない。超越だ。
開演時点で既に尋常ではないことになっている。が、中盤以降、もはや演劇のルールを放棄して別のルールを採用してから、このステージはターボ全開、ロケットエンジン大噴射で急加速。そこで踊っていることに必然性が出て、ゾクゾク。続いて、ダンスなのに膨大なテキスト。音楽と、ムーブと、テキストの洪水でトランス状態。ダンスが演劇要素を取り入れるとか、演劇にダンスの要素を組み込むとかのレベルではない。ダンスと音楽とテキストが化学反応して、別のものがそこに出現する瞬間が見えた。未知の「何か」が発生しているんだよ、きっと。願わくば、観客も踊れるクラブのような空間で観たいぞ、これ。

トカゲを釣る-改-

トカゲを釣る-改-

スロウライダー

新宿シアタートップス(東京都)

2008/09/02 (火) ~ 2008/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★

自己増殖型ホラーと背後の現実
ホラーとして、これは怖い。何せ対象の得体が知れないものだから、観客自らの想像力で恐怖がどんどん自己増殖していく。その得体の知れないものに、この現実の「得体の知れない何か」を写像する物語構造もみごと。ただの夢物語ではない、ある種の現実味を演劇世界に与えていて。ただ、破綻へ向かって突き進むストーリーの最終点が、あまりにイノセントで優しすぎではないかと。そして、その先で物語が現実に回収される様子があまりにあっけなさすぎではないかと。せっかく、気持ち悪さと恐怖に満ちた、現実か非現実か分からない世界を創ったのだから、その先で、観客が自分で育てた恐怖を抱え込める破綻を観てみたかったなぁ、と。

生憎

生憎

劇26.25団

王子小劇場(東京都)

2008/08/07 (木) ~ 2008/08/12 (火)公演終了

満足度★★★★

木も森も見ようとする視点
個人的な気持ち悪さの次元から、そういう気持ちを生み出す周囲の環境、その環境を生み出す社会全体の構造、そしてその構造を生み出す誰か、というマンダラ模様な全体像を一気通貫で見通そうとする物語の立脚点は鋭さがあって大好き。その構造に組み込まれることの嫌悪感と気持ちよさを対比する俯瞰的視点も見事なバランス感覚で好き。問題は、その視点からストーリーを組み立てたときに、あまりに枝葉の事象を描き込みすぎて焦点がボケボケになってしまったこと。創作した、不気味なシチュエーションは確かに面白い。その状況を精緻に芝居化するか、物語の持つ視点を包み隠さず見せつけるか、どちらか一つに絞ったらスゴい作品になるのではないだろうか。

いつでもここは夏である

いつでもここは夏である

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STスポット(神奈川県)

2008/07/25 (金) ~ 2008/07/28 (月)公演終了

満足度★★★★

踊るアホウに観るアホウ
徳島の阿波踊りって、その期間中は街全体がクラブになっちゃうんですよ。そういう意味で、STが街になってて、街がクラブになってた。街の、いくらでもある断片を切り出す視点がリアル。で、そのビジュアルが美しすぎて気持ちよすぎる。個人的には、もっとfree styleで全然OK。あと、もっとみんなで踊れたら楽しいのに。とにかく、確かにそこは夏だった。

“Kiss me, deadly”

“Kiss me, deadly”

smartball

王子小劇場(東京都)

2008/07/04 (金) ~ 2008/07/14 (月)公演終了

満足度★★★★

正統派な、ちょっといい話
いつも通りunderground的なストーリーであるが、物語の主眼は三姉妹。三人のキャラクターの違いが魅力的に描かれていて。特に、姉妹間の愛情を各々どう表現するか、その違いの描き込みが見事。ラストに至るや、その違いで泣けるレベルにまで到達。情景こそ裏社会なるも、姉妹の人間模様としては、青年団ばりの正統派といえよう。難を言えば、一部の人物のキャラクターの背景が薄く、存在の厚みにムラがあること。それにしても、ちょっといい話なんですよ、これ。

「て」

「て」

ハイバイ

駅前劇場(東京都)

2008/06/18 (水) ~ 2008/06/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

作家の中に神が
こんなminimumな関係性でも、真実なんて実は無い。事実は一つでも、視点を変えれば全く別の存在がそこに。身近な問題ほど一方的な観念にとらわれがちなのに、家族をここまで突き放して冷徹に描くのは、作家の中に神の視点があるとしか言いようがない。突き放した先で唐突に始まるカラオケが理由もなく泣ける。そして、理由が分かってまた泣ける。そういう演劇的構造の妙も、この芝居のスゴさのひとつ。

「Chotto Dake YOn~?」

「Chotto Dake YOn~?」

快快

住居&フリースペース 右側二軒目(東京都)

2008/05/31 (土) ~ 2008/06/02 (月)公演終了

満足度★★★★

等身大とリアルを越えて
まっ、単なる飲み会で、そこで繰り広げられる宴会芸なわけだが、それが、超一流のクオリティ。F1ドライバーに車で駅まで送ってもらったような気分。「等身大の日常」を創る壮大な実験ですらあって、六畳一間の会場に、日常のリアルを越えた何かが起ち上がったような気がした。

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