鍋田(仮)の観てきた!クチコミ一覧

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FRONT LINE mission 3 : Alien

FRONT LINE mission 3 : Alien

Bugs Under Groove

博品館劇場(東京都)

2012/06/27 (水) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

全隊、泊まれ!
シリーズ1.2でのネタが伏線となっていた今作も、相変わらずの
軽妙で見事なストーリー展開で、台詞劇としてとても面白かったです。
出演者の皆さんが、超が付くほどの個性的な役を難なく演じられていて、
その技術の高さも、安心して観ていられる要素の一つだと思います。
途中で入るダンスシーンも楽しく、ダンサーさんが芝居をするのも
大アリだよね!と思わせてくれます。
次回はいよいよラストミッション…?期待しています。

組曲『回廊』

組曲『回廊』

空想組曲

OFF OFFシアター(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

回廊の中に。
こちらの劇団は今回初めて拝見させて頂きました。繊細さと優しさと、
少しだけ闇を感じるような緻密な脚本は、役者さんの雰囲気や演技に
ピタリと嵌っていて、まるで宛書きされているかのように思えました。
小説で言うならば短編を繋ぎ合わせて一つの物語を形作っているの
だと思いました。一つ一つが独立しながらも、大きな物語の1ピースと
して存在している。時折、大爆笑出来るようなお話が挟まれるので、
良い具合に肩の力を抜くことが出来ました。話によっては観客すらも
回廊の中の登場人物となる演出も見事。物語の軸となる人物達の
出会うラストシーンは切なくて、温かくて、とても美しいと思いました。
ゲストさんを含めたそれぞれの役者さんの技量が素晴らしく高くて、
きちんと作品を理解して、とても丁寧に演じられていて感動しました。
これからの作品も、楽しみにしています。

花ト囮

花ト囮

DAZZLE

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

美しい作品。
何度拝見しても、観終わった後に「また観たい」と云う気持ちが湧いてくる。
万華鏡のように次々と変化する、幻想的で、怖いくらいに美しい世界。

ダンスであり、演劇であり、アートであり、またそのどれでもない。

DAZZLEを見る度に、彼らと出会えた幸せを噛み締めます。
来年の坂東玉三郎さん演出の舞台にも期待しています!

SHADOW GAME

SHADOW GAME

DAZZLE

スパイラルホール(東京都)

2013/01/13 (日) ~ 2013/01/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

光と、影と。
ずっと楽しみにしていたDAZZLEの新作です。

一言で表すなら、素晴らしかった。

DAZZLEにしか作り出せない、幻想的で美しい舞台空間に圧倒されました。
緻密に計算され、様々なアイディアを盛り込んだ照明。
独創的な振り付けのダンスと、一体化した音楽。
最初から最後まで意識を吸い取られて、心を揺さぶられ続けました。

ダンスカンパニーでありながら、ダンスを知らない人にもダンスの素晴らしさを
伝えたい、その「伝える方法」を真摯に模索している団体です。

故に、90分に及ぶ公演はダンスだけではなく、そこに物語性の高い
オリジナルのストーリーで展開されます。
様々なメッセージが込められ、多くの解釈が出来る骨太な脚本も魅力。
「ダンス」を最大限に魅せる為に、台詞は背後に字幕のように投影され、
時にはナレーションが入ります。

今回は黒を基調としたスタイリッシュな衣装も、とても素敵でした。

何よりも彼らがダンスに人生を捧げ、生命を燃やして踊っている姿に
胸を打たれ、涙が止まらなかった。
DAZZLEに出会えて、幸せだと思いました。

どうか、ひとりでも多くの方がDAZZLEに気付いて下さいますよう。

バラーレ

バラーレ

TBS

赤坂ACTシアター(東京都)

2015/03/07 (土) ~ 2015/03/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

美しさ。
演出の坂東玉三郎さんの求める「美しさ」をダンスでカタチにした作品。

どの瞬間も、とにかく細部まで美しさを求める姿勢が表れていました。
春の祭典は凄みがあり、マーラーは透明で美しく、タンゴは情熱的で
楽しかった。
この舞台を乗り越えたDAZZLEが、これからまたどんな景色を私達に
魅せてくれるのかが楽しみになりました。

百物語

百物語

ファントマ

シアターKASSAI(東京都)

2012/08/31 (金) ~ 2012/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

ファントマらしい、涼。
短編ホラー「家」。キャストの皆さんも演技が達者な役者さんばかりで
面白くも戦慄しながら最後まで拝見しました。
前半部分に挟まれるギャグや、そのスベリっぷりが楽しく、物語の中盤から
クライマックスは、それぞれ別の意味で非常に怖かったです。
延命さんのMAX状態が夢でうなされそうなほど怖かったです。(褒めてます)
あわ様を久しぶりに拝見できたのも嬉しかったです。相変わらず、独特な
存在感の素敵な女優さんだと思いました。
そして怖さの中にも「さまざまな人間の想い」が感じられるラストでした。
トークや企画も楽しく、小さい劇場にギュウギュウでしたが(笑)とても濃い
時間を過ごせました。また、劇場側のトラブルもあったようなのですが、
主宰やスタッフの方が丁寧に対応されていたのも好印象でした。
それから照明や音響の使い方が良くて、より怖さを引き立てていました。
また来年の夏、東京でも「百物語」が観られると嬉しいです。

男なら、やってやれ!!

男なら、やってやれ!!

梅棒

世田谷パブリックシアター(東京都)

2014/11/20 (木) ~ 2014/11/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすがは梅棒。
本編が始まると、台詞は無く、J‐POPの歌詞を上手く使って物語が展開されてゆく。分かりやすい物語と、ピッタリな選曲。気持ちのこもったダンスが観ていてストンと心に届いてきて、とても楽しい時間が過ごせました。これから大阪・福岡の公演がありますが、足を運べる方はぜひぜひ観て貰いたい作品です。普通にイメージされる「ダンス舞台」の固定観念がガツンと覆されるのでは無いでしょうか。

二重ノ裁ク者

二重ノ裁ク者

DAZZLE

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2014/02/14 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

大勢の人に観て欲しい作品。
公演中なので内容には触れませんが、好きとか嫌いとか、ダンスを知ってるとか知らないとかを
完全に超越した、人間の放つ煌めきをバシバシ感じる「凄い」作品でした。

まだDAZZLEを知らない人がいるのは勿体無い。是非、大勢の人に観て頂きたい作品です。

*ASTERISK

*ASTERISK

ASTERISK

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2014/05/09 (金) ~ 2014/05/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

進化する。
再演でありながら、新しいキャスト/追加されたシーンにより物語や舞台空間に深みが増していました。各団体の超絶パフォーマンスも直接、身体を魂を揺さぶられるような濃密な二時間を体感させてくれました。

唯一、客席のマナーの悪さが目に付き、本当に残念でした。開幕前、あんなに丁寧にアナウンスしてくれていたのに…。観客は、自分も「舞台」を完成させる為の大切なピースなのだと知っていて欲しい。観客も進化してゆかなければ。

SHADOW GAME-deep-

SHADOW GAME-deep-

DAZZLE

かめありリリオホール(東京都)

2013/09/18 (水) ~ 2013/09/18 (水)公演終了

満足度★★★★★

深く、深く。
初演の時よりもダンスの部分はさらに磨き上げられていて、追加された
シーンも照明の使い方が面白く、美しく、動く影がまるで生きているようでした。
内容的にも、初演の時よりも観る側に委ねた部分・分かり易くなった部分が
あって、より深く作品を理解出来るようになったと思います。
DAZZLEを観る度に、彼らに出会えたことがまるで奇跡のように思えます。
こんなにも舞台で心を揺さぶられる存在に出会えて、幸せだと思いました。

gymnopedia

gymnopedia

ミヤタユーヤ

中野スタジオあくとれ(東京都)

2013/11/28 (木) ~ 2013/12/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

煌めく。
まず私はサティについての知識が殆ど無く、その音楽ですら舞台が
始まってから「あぁ、聴いた事がある」というくらいの無知でしたので、
かえって自分なりのサティのイメージが存在しなかったのは
この舞台を楽しむ上では良かったのかも知れません。

良質な舞台に出会えて、ついつい長くなったので続きはネタバレにて。

ネタバレBOX

エリック・サティの物語でありながら、脚本・演出・出演をされている今の
ミヤタさんそのものを表現している舞台なのだと感じました。

「天才」と呼ばれるエリックの人物像は、どちらかと云えば音楽や芸術に
対しては風変わりな面があっても「普通」の青年、と云う描き方をしている
ように思いました。
そんな彼が今、「天才」「奇才」と呼ばれている、その原因となったお話。

彼と、「Erik Satie」を創り上げたピアノの調律師の友人・クリスとの物語。
脚本はシンプルながらも良く練られていて、90分と云う時間が全く
苦にならずに最後まで集中出来ました。舞台上に一人しかいない筈なのに、
転換の間、人物の入れ替わりなども帽子一つで工夫されていて感心。
これは単独公演を続けられてきた素地が、しっかりしている為でしょう。

照明が美しく、中盤までの夜を想わせる青と緑の光の澄んだ美しさと
後半の赤と黄色が混じりあったオレンジの光の、温かさや、強い熱を
感じられる光も印象深かったです。
黒を白を基調とした、シンプルでモダンな印象の舞台装置と衣装を
より引き立たせているように感じました。

音楽は、全編を通してサティのピアノ曲だったようで、心地の良い音と、
その音を奏でるように踊るミヤタさんのダンスが美しかったです。
ストリートダンスは「表音ダンス」と云うそうで、音楽を身体の動きで
表現するダンスだそうですが、作中での「音が舞うよう」と云う台詞を
体現していたと思います。
特にピアノの鍵盤を叩くイメージで、指先を流れるように動かす振りを
多用していたのですが、この指の先まで神経が行き届いたダンスは
とても印象に残りました。
最期のクリスとの別れのシーンでのダンスは、ミヤタさんが泣きながら
踊っていて、その涙の跡が照明に煌めいて、その美しさに胸が詰まりました。

父親への反抗心から自分の名前の綴りを c から kに変えていた
友人のクリスと共に、100年後もエリックの音楽は生き続ける。

Eric だった彼の名前の綴りは、こうして Erik となる。

終演後、ふと目を落とすと、配られたパンフレットの表紙には、控えめに、
そして確かにこの作品のすべてがありました。

舞台には冬の夜のような澄んだ空気が漂っているけれど、その底には
人間の温かみが感じられる。芝居と、ダンス。良質で素敵な作品でした。

カーテンコールでのミヤタさんの言葉にも、深く感銘を受けました。
やはりこの作品はエリック・サティの物語であり、ミヤタユーヤさんの
物語でもあったのだと思いました。
花ト囮 Misty Mansion

花ト囮 Misty Mansion

DAZZLE

あうるすぽっと(東京都)

2012/04/11 (水) ~ 2012/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

マイ・アワード。
こちらに登録する前に観た舞台ですが、私の中では間違いなく
最も衝撃を受けて、煌めいていた作品。
再演での演出の変更により、一切の妥協のない完璧な美しさと
儚さを湛えた圧倒的な作品となっていました。

ラストシーン。赤い花びらが舞う中での和傘を使った圧巻の群舞。
あの空間・時間・感動を共有できた事を、私は一生の宝物にします。

ダンスカンパニーなので、演劇好きさんの中ではまだご存知ない方も
多いと思われるのが本当に残念です。

アイーダ

アイーダ

劇団四季

四季劇場 [秋](東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

質の高い舞台。
朴さんのアイーダ、阿久津さんのラダメス、光川さんのアムネリスの
バランスがとても良くて、久しぶりに心が震える素晴らしい舞台を
観たと思いました。脇役、アンサンブルもきっちりと作品世界を表現
していました。朴さんアイーダは王女としての凛とした美しさと女性と
しての可愛らしさ、時折見せる無邪気さなど、魅力的なアイーダでした。
歌声も美しく、ローブを纏う場面では凄みすら感じました。
ラダメスは荒々しくも、どこか少年のような印象で、二人の女性が彼に
惹かれるのも納得。ただ、少し歌声がお疲れ気味に感じました。
光川さんのアムネリスは、とにかくスレンダーで華やかで美しい。
王女としての可愛らしさと共に、心に潜む孤独や重圧を見事に表現。
特にラストシーンの、王女から女王へと変わってゆく彼女の切ない覚悟に
涙が止まりませんでした。ダンスシーンも迫力があり、振り付けも
空手の型のような動きがあったりで格好良かったです。
キャッチーで耳に馴染む音楽も素晴らしいと思いました。
舞台美術も、特に照明を使った人物のシルエットを効果的に見せる
手法がとても美しかったです。

狐影 日本の伝統芸能×ストリートダンス

狐影 日本の伝統芸能×ストリートダンス

東京発・伝統WA感動実行委員会

日暮里サニーホール(東京都)

2013/12/14 (土) ~ 2013/12/14 (土)公演終了

満足度★★★★★

上質な時間。
第一部は高校生たちのダンス×歌舞伎という試み。
VTRでの紹介では若手の歌舞伎役者さんが実際に指導にいかれていて、
高校生たちも楽しそうに歌舞伎独特の姿勢や動きを習っていました。
それを踏まえての、創作ダンスは各高校の個性が出ていて面白かったです。
こうして若い方にも、もっと伝統を知って貰える機会が増えれば素敵ですね。

第二部は三味線奏者の上妻宏光さんとダンスカンパニーDAZZLEとのコラボ
作品「狐影」の上演。50分という時間が、瞬く間に過ぎてしまいました。
森の中で狐の嫁入りを見てしまった「私」を中心に、幻想的で美しい物語が
DAZZLEならではの緻密に構成されたダンスと、上妻さんの芯の通った
素晴らしい三味線の演奏によって展開され、ライブの高揚を感じながらも
作品にどっぷりと引き込まれてしまいました。
客席には年配の方々も多くいらっしゃいましたが、終演後の表情が一様に
満足そうで、DAZZLEのファンとしても、とても嬉しく感じました。
こうしてストリートダンスと伝統芸能という、全く異なるジャンルであっても
これほどまでに融合出来るのか、としみじみ。
上質で濃密な、素敵な時間を過ごすことが出来ました!

『サムライ・ナイト・フィーバー 再燃』

『サムライ・ナイト・フィーバー 再燃』

WBB

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/12/14 (土) ~ 2013/12/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

ぜひ、当日券で討ち入りを!
本当に、隙のない綺麗な脚本だと思います。役者陣の巧さも素晴らしい。
あれだけ笑って、笑って、それなのに後半は大号泣。でも後味は悪くない。
お馴染みの「忠臣蔵」の裏話的なストーリーですが、本当に面白い。
絶対に当日券を出します!とのことなので、まだ体験していない人は
思い切って討ち入りすることを強くおススメします。(笑)
岡幸四郎さんが演じる吉良上野介の「悪役」っぷりが最高です。

* ASTERISK (アスタリスク)

* ASTERISK (アスタリスク)

パルコ・プロデュース

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2013/05/18 (土) ~ 2013/05/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

エポック・メイキング。
正にストリートダンス公演のエポック・メイキングと言える舞台でした。

DAZZLEの世界観をベースにしながらも、個性的な団体が見事に
溶け合って一つの幻想的で美しい物語を創り出していました。
ダンスと音楽、そして物語を語るナレーションによって展開される舞台は
今までダンス公演を観た事のない人でも充分に楽しめる。

出演者のダンスへの情熱が、作品全体のクオリティを高い次元で
安定させて、一場面ごとに息を飲み、ため息が漏れる瞬間が訪れた。
Twitterで纏められていた賞賛の声は、決してお世辞でもなければ、
ダンサーだから感じるものではないのだと私は知っています。
なにしろ、全力で一般人の私が言うのです。(笑)

今後の課題としては、こんなに素晴らしい舞台を創造できるストリート
ダンサーや舞台の存在を、どうやってもっと多くのダンサーでは無い
一般の人々にも知ってもらうか、と云うことでしょうか。

来年には第二弾の公演が決定しているようです。流石に気が早いとは
思いつつも、あんなに凄い舞台を魅せられては期待するしかありません。

ディズニーミュージカル「リトルマーメイド」東京公演

ディズニーミュージカル「リトルマーメイド」東京公演

劇団四季

四季劇場[夏](東京都)

2013/04/07 (日) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

海の中。
ディズニーの原作は未見。とにもかくにも「海の中」感が素晴らしい。オープニングで幕が開いた時に目の前に広がった海の深い青と、人魚姫の美しさには鳥肌が立った。フライングやパペットを使っての水中での動きは、まるで舞台の向こう側に本物の水があるかのようなリアルな浮遊感と、鮮やかな色彩。海の中では役者陣が、絶えず泳いでいる姿勢を崩さない。地上での絵本のような美術も楽しい。歌やダンス、それぞれの魚の動きなども素晴らしかった。欲を云えば、人魚姫と王子との関係がやや薄くて、どちらかというと人魚姫と父王との関係が深く描かれている物語のような気がした。もうちょっと王子が活躍してくれれば、好みの脚本だったかも。

ゴベリンドンの沼  終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!

ゴベリンドンの沼  終了しました!総動員1359人!! どうもありがとうございます!

おぼんろ

ゴベリンドン特設劇場(東京都)

2012/09/11 (火) ~ 2012/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

沼の底。
物語の途中で、沼の底に沈んでいる気持ちになった場面があった。
きっとこの物語に参加した人は、沼の底に沈むキラキラとした星の砂を
心にしまって宝物にするのだろう。

以下、帰り道で、ツイッターで呟いたことを転載。

ネタバレBOX

劇団おぼんろ「ゴベリンドンの沼」千秋楽、幕。評判が良いのも分かる。廃工場をフルに使った舞台空間、温かさと切なさを感じさせる脚本。キチンと訓練されたプロ意識の高い役者陣。何より舞台を愛し、客(彼らは参加者と呼ぶ)をとても大切にしているのが感じられて、応援したくなる。
待ち時間に飴を配ったり、桟敷席のスカートの女性に膝掛けを貸し出すなど、至るところに彼らの心配りが感じられて、開演前から温かな気持ちになる。
元々、50人入ればいっぱいな感じの客席のスペースに倍くらい入っていたからか、荷物の預かりなどで開演が20分程押した。ので、この後の公演の制作発表イベントは電車の関係で残念ながら拝見出来ず。
おぼんろは、見世物小屋の延長にある感じの、観客に演劇世界を「体感させる」小劇場らしい作品を作っていると思う。廃工場を使ったのは面白いが、飛び抜けて話の発想が凄いとかではなく、むしろ普遍的な物語だったと思う。でも、センスが良い。言葉の選び方や、衣装、舞台美術にもそれは感じられた。
主役を演じた主宰の拓馬さんは役柄も相俟って「綺麗」と云う印象。外見もスラリとした線の細い美形さんだが(恐らくロングランでかなり痩せられたと思われる)、放つ空気が透明さと鋭さと優しさを感じさせた。
ゴベリンドンを演じていた高橋さんの肉体・声のエネルギーが凄い。ダンサーやアクション俳優のような、体幹をしっかりと作っている身体だと感じた。
とても良い舞台を観たと思う。やはり作り手が観客をしっかりと意識して、自分達を客観的に見る事が出来ている人だと、観る側の心を震わせる作品になると思う。そこに辿り着けている人かどうかは、素人でも観れば分かる。

個人的には「遊び」を取り入れたシーンは戸惑いを覚えたし、背面で演じられるシーンはどうしても無理な体勢になるので、少しだけ集中力を途切れさせる感じがした。

彼らの目標はシアターコクーンだと言う。その夢を一緒に見たい、と多くの参加者に感じさせる事こそが、おぼんろの持つ特別な「力」のように思えた。
DUST SHOOTERS~ダストシューターズ~【金曜マチネ完売しました】

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カプセル兵団

笹塚ファクトリー(東京都)

2013/02/28 (木) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

10年。
10年前に拝見しているのですが、その歳月はすっかり私の記憶を洗い流して「面白かった」と云う感覚しか覚えていなかったので新鮮な気持ちで楽しめました。やはり演出面での進化が一番感じられました。最初のシーンでの音響の使い方は、まさに「飛び出す演劇」を体感出来ます。ストーリー的にも難しい事は考えずに、圧倒的な世界観とパワーを感じられる作品で楽しかったです。欲を言えば役者さんの技量にバラつきがあった事と、時折挟まれる懐かしの漫画ネタのギャグがマニアック過ぎるので、もう少し一般的にも通るネタだったらな…と思うのですが、それはもうカプセル兵団では無いのかも知れない。(笑)主演の長沢美樹さんの格好良い美しさと台詞の通りの良さは流石でした!

ゾンビ×幽霊×宇宙人「オール恐怖大行進!!」【ご来場・応援ありがとうございました! 次回は11月! からくりサーカス~サーカス編~を上演いたします。 乞うご期待!!!】

ゾンビ×幽霊×宇宙人「オール恐怖大行進!!」【ご来場・応援ありがとうございました! 次回は11月! からくりサーカス~サーカス編~を上演いたします。 乞うご期待!!!】

カプセル兵団

ワーサルシアター(東京都)

2012/07/12 (木) ~ 2012/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

演出の力。
一日で2バージョン拝見しました。同じ脚本で、演出・キャストを変えての
新たな試みを、楽しく鑑賞しました。
ストーリーが同じでも、かなり印象の違う作品になっていたと思います。
バカ版では、まず衣装・そしてキャスティングから既にバカを演出して
いる事に感心しました。出演者もノリと演技に対する反射神経の良い
方が多かったと思います。
ただ、カプセル兵団らしい懐かしいアニメや漫画・ゲームのマニアックな
ネタを組み込むシーンが多かったので、分からない人には不親切かも、と
感じました。あと女性的には、下ネタも笑えると云うよりは苦笑気味に。

ノーマルはいつものカプセルらしい感じで、適度にネタや笑いも入れつつ、
最後にはそれぞれの伏線が綺麗に回収されて、ちょっぴり感動も出来る
良い作品だったと思います。役者さんは若手の方が多かったのか、
少しこなれていない(特に台詞)部分が目立ちました。
2バージョン観ると、演出によってここまで違う作品に感じられるのだと
「演劇」の面白さを改めて実感出来る、意義のある試みだと思いました。

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