
誰も寝てはならぬ
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/04/12 (木) ~ 2018/04/18 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/12 (木) 20:00
価格2,500円
演劇というものがなくなり、もはや考古学の対象となった未来、演劇を復活させる実験のために7人の男女が集められるが……な物語。
好きなタイプのヤツだった。そして最近の映画のキャッチコピーではないが「あなたは最初から騙されている」ヤツでもあった。そしてこれは国道五十八号戦線の「俺たちの演劇」宣言だったのでは?などと思った。
また、国道五十八号戦線による初演・再演(2008年・2009年)はどちらも観ていなかったので、当時出ていた、そしてよく知っている方々がどの役を演じたか推測しながら観るのも面白かった。(結果はアタリ)
ラストの台詞は虚飾集団廻天百眼「少女椿」にほぼ同じ意味のものが出てくるので作家脳というのは似た発想をするんだなぁ、とも。

「ハムレットマシーン」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/08 (日) 14:00
二組目:初期型/身体の景色
様々な団体のアプローチを見比べることができるのがフェスティバルの醍醐味、一組目の「リミックス対決」に対して二組目は「表現法対決」のオモムキ。
内容を見て団体の組み合わせを決める訳ではないそうなのでこのような組み合わせになった偶然もスゴい。
一組目の時は「演出家や上演団体という器によっていかようにも形を変えるさらさらの液体のような戯曲」と感じたハムレットマシーン、今回は「何をやっても許される戯曲」と悟り、以下のような「観る時の心構え」を思いついた。(爆)
【ハムレットマシーンを観る時の心構え】
・考えたり読もうと思ったりしてはいけない、舞台上に起こることをただひたすら見てそこからナニカを感じよ
・ハムレットとの接点など探すなかれ、見ていて「ここはアレかな?」と思える部分があれば儲けもの
・「矢でも鉄砲でも持ってこい」くらいに開き直って臨むべし
【初期型】
某全裸芸人の進化形のようなスタイルでの「私はかつてハムレットだった……」という台詞から始まるが、今までの3団体はほとんどそこ以降が聞き取れなかったので「あの後はこう続くのか!」と新鮮な感覚。(笑)
以降、少年探偵団の「恐怖の人間カラオケ」のようなパフォーマンスも経て終盤では某100%風が3人に増殖し、でんぐり返しや組体操までやらかすのでスリル満点(爆)という型破り。これでこの戯曲は何を演っても許されると悟る。
【身体の景色】
終戦直後の日本を舞台とした翻案。それゆえ一組目でも使われた玉音放送がここでも使われ、演出家脳にはそれを思い起こさせるナニカがあるのか?などと思う。また、少し前に演劇ユニットハツビロコウの「廃墟(三好十郎)」を観たのでそちらのイメージも脳内にひろがり、それははたして良かったのか悪かったのか?(笑)

エレキ鰻は泣いている?【東京公演】
雨の一座
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2018/04/05 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/06 (木) 19:30
価格2,700円
一言で表現すれば「羊の皮を被った狼」、表面上は一見ポップでファンシーなのに冒頭をはじめいくつかの台詞が懐かしき昭和のアングラ調だし、それどころか底流にダークあるいは不穏なナニカがあるし……でもそれが何故かは非常にワカり易い。そんなアンビバレンツが愉しい♪
また、ところどころ早口なのにさほどストレスにならないのはちゃんと間は取っている(しかも大事な台詞はノーマルスピードに落とす)からだろう、芝居の会話の「間」の大切さを改めて認識した。

ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/04/06 (金) 14:00
座席J列7番
価格4,000円
テンポが良くリズム感もある場面構成、楽曲の質や使い方などエンターテイメントとして上出来な作品であることに加えて初演を脳内で再生したり今回の東バージョンを想像したりで大いに楽しんだ。
初演を観ていたので一部の人物の設定や台詞に初演時のあて書きの名残を見出したり、逆に脚本執筆の初期段階ではこちらを想定していたのでは?などと想像したり、あるいは新たなキャラクター造形に「そう来たか!」だったりで、より楽しめた感じ。
さらに、客入れ時BGMが使用曲のバックトラックだったので振付や場面を思い出したりも……
また、初演時にも感心したのだがファンタジックではありながら美醜の基準とか価値観の強要など、 けっこう大事なことを終盤で訴えるのもイイ。
それにしても普通は脚本家と作曲家が分業で成し得るレベルのものを1人で創り上げてしまうって、どういう才能だよ、多才か!?(驚)
なお、この回のアフターイベントはシアターゲームで、偶然にも前夜に観たものが人狼を劇中に取り込んだものだったというシンクロニシティも。

僕をみつけて/生きている
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/04/05 (木) 20:00
価格3,500円
【僕をみつけて】
バイト仲間たちが1人の家に集まっての人狼パーティーをするが……な物語。
小劇場系で人狼をやって見せるイベントは少なからずあったが、芝居中に取りこんで別のテーマと重ね合わせるとはズルい……いや賢く、やったモン勝ちなコロンブスの卵♪
そこにラブコメ……と言うより「ラブファルス(恋愛笑劇)」を組み合わせるのがまた上手く、思いきりベタなぶりっ子系や心理学専攻などのキャラを配し人物がそれぞれ生(活)きているのもイイ。
人狼の場面ではじめのうちは時々照明を落とすことで役職などを見せないことで観客も参加しているように思わせる演出も巧み。
そして訪れる結末、ゲームで人狼チームが勝利したかのような印象を残すラストカットは画竜点睛を打つが如し、お見事!

僕をみつけて/生きている
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/05 (木) 15:30
価格3,500円
【生きている】
全く異なる味わいの短編3本、色は違えど確かに各編ともそれぞれ「生きている」だなぁと感心。
「俺とお前の生きる道」
妻に内緒で会社を退職していた男、その秘密が妻にバレて……な比較的身近/現実的なウェルメイド。
終盤、夫がずっとやり続けていたゲームのクリア音声がそのまま事態のクリアを示唆しているのが上手い。
「進軍、ブラック社蓄兵」
ブラック企業の営業マンコンビと一見ホワイトな取引先担当者とのひとこま。
ブラック企業を誇張・戯画化しているので長編コントのようなオモムキ。
ホワイトに見えた相手先も実は……なのがほろ苦い。
なお、始まる前に転換時に流れるのがシルヴィ・バルタン「悲しみの兵士」で、終わった後の転換時はミッシェル・ポルナレフ「哀しみの終わるとき」という選曲にニヤリ。(奇しくもその両者のベストアルバムを昨年秋から冬にかけて買っていたのは予知か?)
「Gの家」
あれこれヤバそうなキャラものパロディ的後日譚からのファンタジー。衣装(?)も楽しく、次第に現実から離れてこれを最後にもってくるのも巧み。

「ハムレットマシーン」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/04 (水) 19:00
一組目:サイマル演劇団/隣屋
【サイマル演劇団】
少し前にスペクタクルなOM-2版を観た後だけにダイナミズムに欠けるように感じたが、実は案外こちらがオーソドックスか?などと思いながら観ていたところ、アフタートークで赤井主宰が傘の女性が「ハムレットマシーン」のテキストを読み、絡んでいる男女が「ハムレット」を体現(ハムレットとガートルード)、腰掛けている男性が全く別の小説を朗読していると明かしてくださりギャフン!(笑)
そもそも戯曲が沙翁のハムレットの「リミックス」的なものなのにそれをさらにリミックスするとは恐れ入りました。(笑)
【隣屋】
台詞/会話担当の男女、身体表現系の女性、生演奏/生音担当の2人でのパフォーマンスにて「ハムレット」「ハムレットマシーン」「罪と罰」のテキスト(アフタートークでの三浦主宰談)にフリートーク風の会話と、こちらも「リミックス演劇」。
光のサークルや「命の風船」(どうやってあの高さに浮かせているのやら?)という美術・小道具(?)もユニークにしてポップな雰囲気も。
どうやら「ハムレットマシーン」という戯曲は「液体」らしい、なぜなら演出家・上演団体によってカタチを変える……なんてことを考えた。(また、「戯曲は皿、演出家はDJ(もしくはミキサー)」説も)
これからの8団体はどんな「容器」なんだろう?

JUKEBOX 2018
劇団天動虫
アルファクロス登戸店(神奈川県)
2018/03/25 (日) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/25 (日)
価格2,500円
短編4編にコント集2つにミニライブまでというバラエティに富んだ構成で体感的にはさほど長くなく、短編のうちかつて観たものも別キャストで新鮮に感ずる。
ラストの寄席が舞台のものにその前のコントのユニット名が出てきたりするのも愉快♪

Ten Commandments
ミナモザ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/03/21 (水) ~ 2018/03/31 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/29 (木) 14:00
価格3,500円
ストーリーを語るのではなく、思想や体験、調べた結果などを伝える演劇、その意味でとり・みきのエッセイマンガ「愛のさかあがり」などにも通ずるのではないか?
そしてこの少し前に初めて観た「ハムレットマシーン(OM-2版)」にも近く(あれより簡単)タイミングが良かったな、と。
また、オープニングと対をなす……と言うか同じ状況で1か所だけ異なる(=好転している)ラストで観客を安心させて無事着地させるのもイイ。
なお、「ハムレットマシーン」を連想したお客さんは他にも複数いらしたと伺い「やっぱり!」(笑)
どちらも「かつて〇〇であった××」なんて人物が出てくるしね。

ソノ先に在る、あるいは居るモノへ
劇団皇帝ケチャップ
浅草九劇(東京都)
2018/03/30 (金) ~ 2018/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/31 (土) 19:00
座席D列11番
価格3,300円
いささかダーク気味であったりファンタジックであったりなリドルストーリー4編オムニバス。核心的な部分は結局明かさない、伏線を張ったまま回収しない「確信犯的(核心犯的?(笑))犯行」な4編につき「何だかワカんなかった」「半端なまま終わる」とご不満の向きもあろう。(とは言え第4話はきちんと着地するし、ハートウォーミングな要素が複数あるから最終話として相応しいかも)
しかし「ビールは舌でなく喉で味わう」ように本作は物語でなく会話を味わう作品なのだ。
それなのに惜しいと言うか勿体ないと言うか、高級フレンチのディナーに招待されたが「都合で残り30分で店を閉めなくてはならないので急いでたいらげてくれ」と言われた時のような、あるいは言葉の途切れた部分は自動的にカットする機能が付いたICレコーダーで記録した会話を1.2倍速で再生しているような感覚。
上演時間の短縮に気をとられるあまりせっかくの巧みな会話が早口なのは目を瞑るにしても本来ならば会話にあるべき「間」がなくなってせわしなく、コクがないと言うか何と言うか……。(一体何回言わせるんだか……(笑))
個人的にはきちんと間をとり普通の速さで会話する「150分バージョン」で観たいと思った。(ゆえに☆1つ減ずる)

ビニール袋ソムリエ
制作「山口ちはる」プロデュース
すみだパークスタジオ倉(東京都)
2018/03/29 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/31 (土) 13:00
価格3,300円
友達の輪に入れない少年がたまたまコンビニ袋をかぶったことから仲間として認められたことに端を発し、樹脂製の袋をかぶることが次第に広まりやがて……な寓話。
現実とは異なる別世界でのファンタジーのようでもある前半は冗長な感がないでもないが「ある場面」以降はどこぞの国の近未来(←そんな方向に進まないでくれぃ!)、あるいはかつていくつもの国が通ってきたであろう道を思わせて圧巻。
また「あのメロディ」をモチーフとした変奏集のような音楽も面白い。
さらにたとえば終盤の「アレ」など、どこまで脚本でどこから演出なのか、その領域を推測するのも一興。

焔~ほむら~
JACROW
駅前劇場(東京都)
2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/30 (金) 15:00
座席I列11番
インパクトのある冒頭シーンを見せた後は従来と較べて穏やかなタッチで進み「日曜劇場JACROWバージョン」か?(笑)と思わせて、しかしいつの間にやら不穏なナニカが漂い始めている、みたいな。そしてそれはいつものようにハッキリしたものでなく、喩えて言うなら前作までは物語の傍らを流れていた「どす黒い液体」が今回は気化して「気体」になり空間に漂っている感覚?
で、「マトモな感覚を保っている(ように見える)人」とか「ズルい企みをする小悪党(?)クラス」とかはいるものの、明確な「悪役」がいない、どころか各人物の立場・心情がワカってしまい「一体誰のせいなんだ!」のまま終わるのが何とも言えず、それはある意味リアルで現実世界に近いかも?
そう言えばここ半年~1年の間に霞ヶ関方面の事案で報道を賑わせた言葉もいくつか出てきたっけな(笑)

春暁-しゅんぎょう-
野生児童
「劇」小劇場(東京都)
2018/03/29 (木) ~ 2018/04/02 (月)公演終了
鑑賞日2018/03/29 (木) 19:00
価格3,000円
中国人である母が統合失調症になってしまった家族の話にして「半分事実・半分フィクション(冒頭の主宰曰く)」というしんどい内容に加えて徒に時制をシャッフルするのでその度に「いつに飛んだ?」と考えさせられて疲れた。
現在以外に主人公ポジションである次女の大学時代、高校時代、少女時代、まだ彼女が生まれる前で長女のみの時期、両親の馴れ初めなど決して少なくはない過去を細切れに何度も出して見る側を混乱させるのは効果的とは思えない。
そんな内容に加えて公開ゲネプロとはいえタイムスケジュール管理が恐ろしく杜撰で開演前にストレスを与えられたこともあり「So what?」に終わったのは残念。

ビューティフルサンデイ
BASEプロデュース
ギャラリーLE DECO(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/24 (土) 15:00
価格3,500円
元は俳優座劇場での上演というのが信じられない(初演・再演とも観たけれど)ほどに巧く落としこまれてずっと身近に感じられ、3人それぞれの心情が響いてくる感じ。
そして3人それぞれに優しいことから、いい人過ぎると相手への思いやりや遠慮がスレ違ったり裏目に出たりするのかもしれず、適度に(←ここ重要)甘えることも肝要ではないか?などと思う。
さらにいくつかのことはもっと一般的なことの隠喩ではないか?とも気付く。やはりこれも珠玉の作品か。

未開の議場〜北区民版2018〜
北区民と演劇を作るプロジェクト
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 19:30
価格2,500円
やはり優れた戯曲であり頭イイなぁ、と。また、カムヰヤッセンによる初演は時代を先取りしていたのではないか、とも。
で、十分に面白かったが、役者の力量差と一部のベタな(?)演出が「珠に疵」な感、無きにも非ず。
これを踏まえて4月の戯曲勉強会ビオロッカ版はどう見えるのだろうか?(wktk)
なお、こういうオーソドックスな(?)会議ものを観たことで、先日の箱庭円舞曲「何しても不謹慎」が所謂「会議もの」と一線を画すことを改めて認識。
【余談気味】
カムヰヤッセンによる初演(2014年10月)より登場人物の設定年齢と役者の実年齢が近いことから「12人の優しい日本人」の映画と舞台を思い出し、むしろ登場人物の設定年齢と役者の実年齢との差が大きい方が芝居として説得力が増すのではないか?などとも考えた。←「女形の方が現実の女性よりも女性らしく見える」的な感覚か
いや、本作がそうだというコトではなく。

ライラック
さよなら宇田川町
E-BASE(東京都)
2018/03/19 (月) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/03/20 (日) 19:00
価格2,700円
4つの場で併行して進行する出来事がやがて……な物語、その関連を推理しながら観るのも一興。σ(^-^)は2つ読めた。
また、各場が丁寧なのと、奥底にうっすらとした優しさが感じられるのはいかにも河西戯曲。カーテンコールのシカケも巧く、最後のアレは好き。
あと、序盤で「言い訳」をして終盤でその言い訳のまた言い訳をするのも好き。(謎笑)
アフタートークで映画監督の古澤健さんが語られた深読み・誤読に、そういうのが得意な身(爆)として共感し親近感を抱く。また、役者体験を通じてダメ出しを受けた役者の気持ちがワカったという経験談も面白かった。
しかし、客入れ時にミラーボールがないのは片手落ちでは?(ほぼ冗談)

有川さんと10人くらいの美女?たち
ノアノオモチャバコ
駅前劇場(東京都)
2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/03/17 (土) 13:00
価格3,800円
タイトル通り有川さんありきの物語。ノア初のコメディとのことだが、次第にどちらが夢でどちらが現実なのかとか予知なの?とか思わせるのはやはりノア風味?
また図書館という場所設定に準じて本の表紙・背表紙を拡大したような舞台美術もステキ。
しかし公演開始後もCoRich舞台芸術!の公演情報のみならず、団体HPにもキャスト、スタッフ、タイムテーブル、料金などの実務的情報だけで、作品内容に関する情報(あらすじやら説明やら)が全くなかったのはいかがなものか?
タイトルに興味を惹かれた客を斬り捨てることになりはしないか。
え、新規顧客を開拓しなくても十分集客できる?それは失礼いたしましたぁ!(毒)

おかえりのないまち。色のない
キ上の空論
吉祥寺シアター(東京都)
2018/03/10 (土) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/11 (日) 14:00
座席F列15番
「どう繋がってゆくの?」な複数の場を積み重ねてゆくスタイルはキ上の得意技だが、本作は従来よりコミカルなタッチで進んで行き、終盤でコペルニクス的転回(それは好きなパターンの1つ)があるのが特色。
そして大半の部分が例えば三角関係的ではあるが修羅場には至らず比較的平和に解決したりとソフトタッチで、各人物が生き生きと描かれ演者も生き生きとした演技をしているだけに終盤で明かされる事の真相がより酷に感じるシカケ。
実は冒頭、短い導入部の「不穏なナニカ」が提示されるが、本編の軽妙さにいつしか記憶の底に沈んでしまう(時々差し挟まれるS.E.で細々と持続するとはいえ)のも巧妙。
一見、前作「青の凶器、青の暴力、手と手。この先、」と似ているようではあるが、あちらは起きたことに対する追悼、こちらはこれから起こるかもしれないことへの警鐘という違いがあるように思う。
タイトルも含め伏線が巧妙にはりめぐらされているは中島作品の醍醐味と言えよう。

『天国と地獄』
遠吠え
王子スタジオ1(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/23 (金) 15:00
価格2,000円
21日マチネは初めてなので流れを追うことに重点を置いたが2回目ゆえ細部にも気を配れた結果、眼が潤みかけたり新たな発見があったりも。
登場人物それぞれに個性がある中、「いかにも先輩っぽい3年生」「初々しい1年生」「上下それぞれに気を遣う2年生」と学年毎のカラーが出ているのが上手い。
また、脚本を担当する2人が天才肌のメロス・技巧派のアニーとタイプが異なるのも巧み。
他にメロスが最初に書いた脚本の読み合わせをする時に「初見の台本を読んでいる」感じがちゃんと出ているものイイんだな。
あと、ラストで部員たちが「おはようございまーす」と言いながら部室(?)に集まって来ることに「櫻の園」の序盤を連想したり。
さらに観ながら各人物のハマり具合はあて書きによるものか演者が役を自分に引き寄せたのか考え、じゃあ他の役者が演じたらどうなるか、など想像していたのだった。
で、劇中に出てきたいくつかの台本をコンプリートさせたスピンオフ的作品も観たいし、3年生トリオや2年生コンビが新人だった頃を描いてあだ名の由来を紹介する前日譚的短編も観たいぞ。演ってくれないかなぁ……。

ハムレットマシーン
OM-2
日暮里サニーホール(東京都)
2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/23 (金) 19:30
d-倉庫の現代劇作家シリーズ8「ハムレットマシーン」フェスティバルの通し券で鑑賞可能という恩恵に与っての予習的観劇(作品初見)。
いわば沙翁のハムレットのいくつかの断片を使った「演劇的(?)コラージュ」あるいは「リミックス演劇」といったところか。
原典の場面やキーワードが見え隠れするパフォーマンスがあれこれ変容しながら展開されるさまに以前観た黒田征太郎のライブペインティング(竜童組のコンサートで序盤から演奏に触発されたであろうものをステージ後方で描き始め、一旦仕上がったかに見えてもその上に新たなモチーフを描いて次々と描き重ねてゆく)を思い出した。その意味では「立体ライブペインティング」とも言えるか?
そしてイントレ上の2階席は全体を見渡せて正解。掃除機の排気によって徐々に膨らみゆく巨大ビニール袋と膨らみきってからのその中でのパフォーマンスやキャットウォークから何百枚(推定)もポートレートが降る風景などが一望でき美しく見えた。
他にも「そんな表現アリかよ!?」が満載で「面白い」、と言うよりは「楽しめた」。「のっとしんく・のありーど、ふぃーーーーる(考えたり読んだりするんじゃない、感じるんだ)」モードで観たのも幸いしたようだ。
(「ジョニーが凱旋するとき」のチンドン屋風アレンジも面白かった)
難解と言われる本作を楽しめたことで第一関門突破というところか?(笑)
あれを「基本形」としてフェスティバル10団体の様々なアプローチを楽しむことにしよう♪
なお、当団体も初見だが、アムリタ、sons wo:、ジエン社など「ストーリーを語ることではなく観客の内部にナニカを生じさせることに重きを置く演劇(私見)」をうんと尖らせたもののようにも感じ、BUoYを使った公演を観てみたいとも思った。
【勝手にキャッチコピー】
「エンゲキ、ヒエンゲキ、ソレワナンデスカ(ぷれい・おあのっとぷれい・ざっといずくえすちょん)」
「オモシロイ、オモシロクナイ、ソレワナンデスカ(いんたれすてぃんぐ・おあのっといんたれすてぃんぐ・ざっといずくえすちょん)」