じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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蒼白の馬上~1978326~

蒼白の馬上~1978326~

オフィス再生

APOCシアター(東京都)

2017/09/07 (木) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/08 (金) 19:00

価格3,000円

まさしく再生、な演出で描く三里塚のあの日。
オープニングシーンの二種類の「明かり」は「あー、これこれ」だしラストの明かりは良い意味で予想を覆すし。装置も入場時に「あれ?」ながら途中で「そういうことか!」に(笑)
また、冒頭、映写された映像で思い出した出来事の「演劇的再現」も面白く、さらに「アレをそうしてゆく」彼らの姿は管制塔を目指して進むことの表現か?とも思ったり。
あと、三里塚闘争の思想的背景にはそんなことも!?なオドロキも。(←思想的背景と言うより行動の途中で思想にこじつけた、な感じ?)

受付開始時から開演直前まで流れているのは本編の舞台となる1978年のヒット曲集。それらの曲をよく知っている世代には漠然とその歌が流行っていた頃の自分や世間に思いを馳せさせ、気持ちを当時に遡らせる効果があるのではないか。

ネタバレBOX

冒頭の明かり、舞台上の白い布に奥から光を当てて人物をシルエットにするのは今年のトレンド(私見)。太くて長いマッチを使うのは再生の得意技。
いつもは装置が「そびえ立っている」のに今回は少しだけ組まれた鉄パイプがあるだけ。まさか芝居をしながらそこから上に向けて鉄パイプを組み上げてゆくとは。しかもその組み方は一定せず、毎回異なるそうで。
そして、そうして組み上げてゆくのは彼らが管制塔に向けて進む姿の演劇的表現か、とも。
我が労働

我が労働

UNITレンカノ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2017/07/12 (水) ~ 2017/07/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/14 (金) 14:00

価格3,000円

新人編集部員対超人見知りのベテラン漫画家という既視感のある題材がベースながら「何でもアリ」っぷりが楽しい劇中マンガ案と「もう一つの劇中作品」の対比が良くテーマの問いかけも含む締め括り方も巧みだった。
若干の説教臭は親子ネタと相殺か?(笑)

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

キ上の空論

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/08/31 (木) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/02 (土) 13:00

座席I列7番

価格5,000円

場あるいはスキットを重ねて創り上げ、終盤でそれらが収束して行く「キ上手法」(特に今回は水面に浮かんでいたり次第に浮かび上がってきたりなあれこれがゆっくりと流れながらまとまってゆくイメージ)が効果的で、常連組・年長組のサポートがさすが。そうして初見となるガキさんの名演に舌を巻く。

ネタバレBOX

二度も「見送る」ことしかできず自責の念にかられ続けている葵が「あったかもしれない日常」を想うシーンが切なく、それまで出てきたいくつかの場面に葵が「かけたかもしれない声」をかけるというその「想いの見せ方」もイイ。そしてそういった経験をした相手に対して「もういいんだよ」などと安易に慰めてはいけないのではないか、とも思う。
人本のデストピア

人本のデストピア

バカバッドギター

上野ストアハウス(東京都)

2017/07/15 (土) ~ 2017/07/17 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/15 (土) 14:00

価格2,500円

直接的・間接的含めてジブリっぽさが漂う異世界未来冒険譚。基本となる設定が突飛なのに「そういう世界観なのね」と納得してしまうのはなぜなんだろう?(笑)
また、ちょこちょこ入るあの手この手の笑いも愉しく、装置のアイデアも良く衣装も◎。

ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/08/10 (木) 19:00

価格3,500円

研ぎ澄まされた鋼(はがね)の刃(やいば)のような緊張感。そのソリッドな感覚と焦りや苛立ちから声を荒らげてしまう部分があるのが「ハツビロコウ味」。犯行直後から始めて各人物のモノローグなども挟みながら過去も見せ、クライマックスは……な構成が巧みだし、生い立ち的な部分は事件を起こすような人物に特有のものでなくむしろ至ってありそうなあるいは普遍的なものなのも深いなぁ、と。いろんな意味で面白かった。
あと、オペブースを使っている様子がないな、と開演前に気付いた通り音響・照明の大半も出演者が操作しているという……。
音響面では他に開場時から流れている「アレ」と、最後に流れる「あのアーティストのあの曲」(←「あのアーティストの曲」でも「あの曲」でもない)にも納得。

ネタバレBOX

開場時から流れているFENらしき音声はそのまま本編冒頭のカーラジオに引き継がれる。一方、最後に流れるのはサイモン&ガーファンクルの「きよしこの夜/7時のニュース」。クリスマスの犯行ではないが、この「清らかな夜」がテーマの歌は皮肉だし、併せて流れるニュース音声は(殺人事件などではないが)冒頭のラジオ音声と対を成す。
七、『土蜘蛛 ―八つ足の檻―』

七、『土蜘蛛 ―八つ足の檻―』

鬼の居ぬ間に

王子小劇場(東京都)

2017/07/05 (水) ~ 2017/07/10 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/05 (水) 19:30

価格3,200円

かなり救われない物語で人間不信になりそう。が、そんなしんどい話に2時間近く引き付けるのがこの団体の特色。
また、舞台となる異なる2つの場所を1つの装置に同居させ明かりの当て方で区別する美術も巧い。

ただいま おかえり

ただいま おかえり

東京タンバリン

小劇場B1(東京都)

2017/06/29 (木) ~ 2017/07/03 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/03 (月) 15:00

価格3,300円

会話の自然さ、意外な真相に加えて装置のアイデアが印象的で題材的に10年前に父を亡くした時の母を今更ながら思ったりもした。(もっとずっと年長ではあったが……)
本当に会話が自然と言うかリアルと言うか、勢いでつい口にしてしまってハッとする感じとか観ていて共感(共有?)するようだし、よその家のリビングでの会話を盗み見ているよう。
あと、親子史の要所要所をかいつまんで見せる場も的確で見事。
夫の一周忌を迎える妻の「秘めた(?)寂しさ」が微かに漂うのが絶妙でもあった。何だろう、もしかすると本人も自分の寂しさを自覚していないのでは?と思ってしまうほどの加減?
ウチの母の場合は、それなりの歳だし、書道や水墨画の教室の友だちもいたし、σ(^-^)も月に1度は泊まりに行っていたし、で大丈夫だったのだろうと思っておこう。

学園恋愛バトル×3!

学園恋愛バトル×3!

劇団だるめしあん

王子小劇場(東京都)

2017/09/07 (木) ~ 2017/09/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/07 (木) 19:30

価格2,700円

前半2編は話の軸となるモノと語り口がそれぞれ一致し、3編目は去年よりも終盤の展開がずっと沁みて感じられ、そして配役が見事にハマって会場の特徴的な使い方も巧みで愉しかった。

ネタバレBOX

1編目の「ムラサメ」(20分強)は伝奇的文書、2編目の「親指姫」(30分弱)は童話がモチーフ的に使われている(後者はちょっと違うが)が、文書を読み上げたりストーリーテラーの口調が童話風だったりで雰囲気を醸し出しているのが上手い。
3編目「絶対恋愛王政」(45分)終盤の、対立が激化した末の対話から自らを顧みて反省し相手も認めるという展開に前年以上に「大切なことだなぁ」と感じいったのは某国の暴挙を巡る昨今の世界情勢によるものか。(真顔)

出演陣も役にハマっており、しかも複数の作品で異なる役どころなのに「あー、この人、こういうキャラに合ってるな」と思わせるのがスゴい。

会場入口側から奥へと連なる「全体が花道」のような意匠の舞台は一目見て「そういうことね」と意図がワカるだけでなくその細長さを利用した場の見せ方も効果的。「あそこ」を使うことや「あのシカケ」も良かった。
月経ファンタスティック

月経ファンタスティック

美貴ヲの劇

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/06/29 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/01 (土) 21:00

価格2,800円

竹取物語から尾崎紅葉、芥川に乱歩まで文学コラージュ/文学リミックスなパートも交えた「女はつらいよ」ストーリー。
文学パートにBS朝日で放映していた「あらすじ名作劇場」を想起。また、先に見せたスキットを後で応用するのも面白い。

新宿コントレックスVol.16

新宿コントレックスVol.16

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/06/30 (金) ~ 2017/07/01 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/01 (土) 14:30

価格2,000円

トップバッターが塁に出て2番手がきちんと先に進めて3番4番が得点にする、な印象
笑の内閣は手術台の上のミシンとコウモリ傘のようにそのネタとあのネタを組合せますか……なのだけれど、時事ネタである落としどころに説得力が、いやさすがにそれは言い過ぎか、がしかし大いに納得、さすが。
アガリスクエンターテイメントは20分の枠に同じテーマの短編3本を詰め合わせたスタイル。その尺とオチの切れ味がまさしくコントで、「ディス・イズ・コント」な感じ。なお、「お父さんを……」は人物名が初演のままなので初演キャストが背後霊の如く見えるよう(笑)

ざらば

ざらば

新宿公社

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/06/28 (水) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/30 (金) 19:00

価格3,000円

構造が凝っていて序盤は暗がりで手さぐりをしながら観ているようながら構造や人的関係がワカってくると「そういうことか」と納得。
演者がそれぞれ三役を演じることと3つの時制にまたがる物語というのを知らずに観るとハードルが高いかも?

少し前にガジラの「ドグラ・マグラ」を観た会場だし、ドグラ・マグラにインスバイアされたという「マークドイエロー」に出ていた菅山望さんもご出演だし、どうしてもあれを連想しちゃいますわな(笑) いや、あれほどおどろおどろしくないけれど。
それどころか「連続殺人事件」も中心ではなく、刺身のツマと言おうか人物それぞれの行動・思想の原動力に過ぎないので推理ものを期待して観ると肩透かしをくらうかも?

なお、終盤でリボルバーが出てきた時につい弾数をカウントしてしまったσ(^-^)である(爆) いや、もちろんちゃんとしていたが。

【余談】そう言えば舞台で使うオートマチックの拳銃はスライドしないものの方が無難、というのと同種の理由において舞台で使う銃の発砲音(銃声)はモデルガンの発火によるものでなく、S.E.の方が無難ではないか? 万一湿気ていて不発だったら……ねぇ?

かわしま君

かわしま君

劇団ペリカン

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2017/06/27 (火) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/28 (水) 14:00

価格3,500円

脚本が論理的・理知的で会話や議論にきちんと筋道が通っており、人物もそれぞれ個性があり物語の中でちゃんと生きていることに舌を巻いた。
それゆえ偏見と思い込み丸出しで言えば「昨今の高校生はそこまでオトナか?」などとも思ってしまったんだが(笑)。終盤の「あること」に関するそれぞれの主張は全員がディベート部員なんじゃね?な感じで、ちょっとツッ込みたかったくらいだし。
終盤と言えば、歌をバックに動作のみで「あの行事」っぽいところを見せるのも良かった。

昭和のNHKの学校ドラマの今様仕立て、的な印象も。けれど世代的にそれはむしろ懐かし面白かったし、堅苦しさなどはなく知的娯楽性(?)があって好感を抱く。

全体的に台詞が巧かったが、序盤でのメガネ君の理屈とその少し後のディベートの例を示す場面での「はい論破!」的なのが特に印象的。脚本を売っていたら買ったのにな、次回公演で売っていたりしないものか?

欅坂の楽曲も、当日パンフレットで一方の脚本家さんが述べているように安易に歌詞を引用するのでなく内容あるいは精神を反映させたもので、もちろん知らなくても無問題。が、今回のモチーフにはなっていないある曲のある部分がまんま出てきたのにはニヤリ(笑)

いやしかし思いの外(失敬!)地に足のついた芝居を観ることができて満足満足。次回の乃木坂モノも観るかな。

なお、阿佐ヶ谷アートスペース・プロットで、通常とは逆に奥を客席、手前を演技エリアという配置にすると客席入口の斜め上にあるオペブースの微かな明かりとそれに照らされるオペレーターの動きが目に入ることもあるので要注意。

ネタバレBOX

モチーフとしては挙げられていなかった最新シングル表題曲「不協和音」の中の台詞「僕は嫌だ」が(汎用性のある台詞なのでかすかに予期はしていたが)出てきたのにニヤリ。
私の評価は星がする

私の評価は星がする

怪奇月蝕キヲテラエ

北池袋 新生館シアター(東京都)

2017/08/30 (水) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/30 (水) 19:30

価格2,000円

早口の台詞はテンポの良さと聞き取りにくさの両刃の剣、そんなところに起因する序盤の「ダイジェスト感」が気にならないでもないが、そこ以外はアーティスト志望のコの成長を絡めたパンク讃歌、軽い揶揄や皮肉にもニヤニヤできて愉しく、ワカり易い(=ベタとも言う(笑))各キャラクターの設定とその表現も的確。
また、「アレ」を3人で聴く場面やその後の「2人」が少し踏み出すための会話をする場面を筆頭に照明が見事。
劇中に出てくる固有名詞や単語を知っているとより楽しめるかも。

作品は音楽業界を描いているが、脳内で別の世界に置き換えながら観るのもまた一興。さらに頷けたり笑えたりするのではないか?(笑) え、そっちが元ネタ!?(爆)

前説でケータイ、スマホなどの電源オフのお願いの時にその理由を「他のお客様の集中の妨げになりますので」と明言して下さるのもありがたい。これ、広まるといいなぁ。
あと、帰路、いち早く忘れ物お知らせ+αのメールが来たが、当初告知した予定上演時間の変更(10分ほど延びた)や前日の確認も含めて細やかなメール対応もお見事。

ネタバレBOX

3人がフラゲした大森靖子のメジャーデビュー曲を聴く場面、イヤホンゆえに音が観客に聞こえないのはある意味当然で、無音ながら照明の切り替えで表現したのは巧いし、セイコとミズキが会話する場面では照明表現によって「川べりの土手」が見えた。
学ばない時間。

学ばない時間。

グワィニャオン

【閉館】日暮里ARTCAFE百舌(東京都)

2017/06/23 (金) ~ 2017/06/25 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/06/25 (日) 14:00

価格2,800円

なるほどそう言えばこういう少人数の作品は珍しいな、と気付いた一種のバックステージ系コメディ。
あの先生方のキャストで「Aくんメモ」も見てみたい。
あと、ラスト二場、ステージの様子を「直接見せない」のは妙案ながら暗転が長目で流れが途切れる感が惜しい。
そのラスト二場、演技をバックにクレジットが流れ、もう一つ短い場があって最後にタイトル、という脳内イメージ。

言草(ことのは)Pillow Talk

言草(ことのは)Pillow Talk

まるけ

新宿眼科画廊(東京都)

2017/07/21 (金) ~ 2017/07/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/07/22 (土) 19:00

価格3,000円

タイトルに関連した言葉にちなんだ複数の連作を併走させ、最後にそれらを1つにまとめてさらにもう一段落とす構成が見事。構成だけでなく各編もそれぞれシカケがあるし、時事問題揶揄もあるし楽しいのなんの。感服!
いくつかは元ネタを知らないとピンとこないかもしれないが、幸いにしてほぼ(全部かも?)ワカったし、最後にまとめるための伏線にもうっすら気付いていたのでホント楽しめた。
「あの作家」や「古典のアレ」のリミックス、時事ネタである不祥事オンパレード、言葉遊びやあの手この手のリンクなど鮮やかだし、いささか苦しい無理矢理気味の結び付けもかえって可笑しい。

ネタバレBOX

枕に関するネタはダブルミーニングの「枕営業」、筆名が「石に漱ぎ流れに枕す」に由来する夏目漱石リミックス(冒頭場面には「草枕」の一節も)、落研の新人が主人公の「噺のマクラ」、枕草子が絡む平安の女官たち、タクラマカン高原ならぬ「マクラタカン高原」派兵。
欲を言えば古典落語リミックスに「寝床」が欲しかったし、せっかくなので「枕詞」ネタがあっても良かったかな、とも。

各編の主人公の相手のオトコを同じ女優が演じており、「もしや伏線?」と疑っていたら案の定それが同一人物という設定で各編を束ね、さらに落研パートで出てきた夢落ちで締めるのが巧み。
VAMPIRE

VAMPIRE

TEAM空想笑年

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2017/07/06 (木) ~ 2017/07/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/05 (水) 19:30

座席H列14番

価格4,000円

かつての「大戦」後に生き延びた7人のヴァンパイアと彼らを討伐しようとする王国騎士団との物語。娯楽活劇の様式でありそういう面もありつつヴァンパイアの設定や幕切れでのメッセージなど示唆に富み、終盤で明かされるラスボス(?)の正体も巧い。
これを観る少し前に「ブレードランナー ファイナルカット」を観たためにヴァンパイアの設定にレプリカントを連想(いやそれよりもショッカーの改造人間に近いんだが世代的なものもあってそれは後から)。
が、民間人を戦争に使う、という点において徴兵制度や志願兵などに想いが及び、テーマが深いな、と。
自らヴァンパイアを創り上げて利用しながら戦勝後には処分しようとする王国側の対応に、興味本位で飼い始めながら成長して手に負えなくなると棄てたり殺処分したりする身勝手な飼い主、という世相も連想。

瞬間光年

瞬間光年

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/08/18 (金) ~ 2017/09/05 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/22 (火) 19:30

ショートストーリーオムニバス+身体表現。
なるほど漏れ聞いていたように以前観た時とはスタイルを変えて、静と動の振れ幅が大きい感じ……と言うか従来は全体が滑らかに仕上がっているのに対して本作はところどころ尖って突き出した部分がある、みたいな印象で、これもアリ。
そして、形式の妙もあって体感時間は短め。何たって「1分間の休憩」(笑)の時点で半分あたりかと思ったくらいで。
ショートストーリーもナンセンス(もしくは「こんな夢を見た」)系あり「泳ぐ女(ひと)」ありエロティックあり歴史物(?)ありとバラエティに富んでいて、そんなところも短く感じた要因か。
そのショートストーリー、それぞれの主人公として各役者を活かしてよくできていたけれど、「ヤられたぁ!」あるいは「そう来ますか!?」だったのは最初のアレだな、バカバカしくて好き。

ネタバレBOX

幸田尚子さんに「あんな役」をふり、あんなコトやそんなコトを言わせたのはまさに確信犯的犯行……(笑)
新宿コントレックスVol.17

新宿コントレックスVol.17

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/07/28 (金) ~ 2017/07/29 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/07/28 (金) 19:30

価格2,000円

いずれも「え、そこがコント!?」ながら、従来とはガラリと作風が違うも「あー、そうなるのか、でもそこらしさはちゃんとあるな」や、従来スタイルで笑い増量という。選ぶ側もスゴいし応える側もスゴい。
壱劇屋はいつもの(てか観たことがある何本かで感じた)知的でスタイリッシュな作風をかなぐり捨てて「これが、関西人のやり方かぁ!」(←偏見)な島をテーマにしたコント3本。が、1本目の発想はここらしいのでは? また、3本目のゲストの使い方の贅沢なこと!(笑)
小西耕一ひとり芝居はいつも通りの語り口ながら笑いが大幅増量。一方、日本のラジオは壱劇屋同様従来とはガラリと違ったスタイルとはいえ、会話の構造あるいは論理の運び方(?)が屋代さんっぽいような。どこかシュールなところもそうか。
アガリスクエンターテイメントはお得意の正論系屁理屈を振り回す4連作。ま、真骨頂ですわな。
それにしてもよくぞこの組合せが実現したモンだ。さて、vol.18はどんな団体が?

大帝の葬送

大帝の葬送

ロデオ★座★ヘヴン

王子小劇場(東京都)

2017/06/28 (水) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/06/30 (金) 14:00

価格3,500円

柳井戯曲の魅力と役者陣の個性の相乗効果で2時間余を一気に見せる(魅せる?)。世代的に当時の記憶がしっかり残っていることや「事実を元にしたフィクション」ということでどこまで本当か推測する面白さがあることも良かった♪
「そういう立場の方々」にとってはさぞや緊迫した報せだったろうな、というところから始めてグッと観客を引き込み、それでいて程よく笑いも挟み、緩急のリズムで進めるのがやはり上手い。で、終盤のある台詞が辛辣な皮肉に感じられてしまう「平成の世」を考えさせるというシカケ。
なお、ある人物の言動・立場に「ナイゲン」の「監査」を連想したのはσ(^-^)だけではあるまい。(笑)
しかし考えてみると平成ももう30年近いワケで、昭和が平成に変わった頃を覚えているのは三十代半ば以上ということにビックリ。

ネタバレBOX

「法律な方」が「譲れない確かなモノ」を守っており、それを突破するために会議の他メンバーが考え出した案を「限りなくグレーに近い白(白に近いグレー?)です」などと言いながら認めるのが「監査キャラ」っぽい
売命航路/タマクイとノガレ

売命航路/タマクイとノガレ

ヒノカサの虜

at THEATRE(東京都)

2017/08/17 (木) ~ 2017/08/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/17 (木) 19:30

価格3,000円

【売命航路】
近未来、地方のある町での「開発事業」をめぐっての顛末。
最近(一方は公演期間がカブる)観た2本とシンクロニシティがあり、その2本を知っていたのでより楽しめたのではないか、そして鵺的ファンや芝居屋風雷紡ファンはお好きなのではなかろうか。(しかし函波主宰が横溝正史をご存知ないというのは意外)
さすが映画を上映するための小屋だと思った音響効果、実は一部のスピーカーを持ち込みだそうで、それにしても芝居小屋に持ち込んでもここまでの効果は得られないだろう、な音響も見どころ……聞きどころ?いやむしろ体験しどころ。

ネタバレBOX

シンクロニシティは……
・クライマックスでそれまで物語が進行している場であった陸地が水没:鵺的「奇想の前提」
・劇中でも、そして観客にも関係を隠していた娘や母が殺されたことに対して復讐をする/しようとする女性:芝居屋風雷紡「しょうちゃんの一日」

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