じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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夢で逢いま笑

夢で逢いま笑

劇団ズッキュン娘

吉祥寺シアター(東京都)

2018/05/10 (木) ~ 2018/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/12 (土) 13:00

座席H列15番

価格4,500円

女優バージョンの2ステージ目を観劇。
解散したアイドルグループのリーダーがあるきっかけからお笑い芸人の世界へ……な物語。序盤で泣かせて終盤でも泣かせやがって、そういうのに弱いσ(^-^)と知っての狼藉か!(笑)
ある程度先が読める王道的な展開だったり終盤でのヒロイン・好子の行動がやや唐突だったり、な甘さもあるが、そんなところも含めて藤吉脚本でありズッキュン芝居であり今回も堪能。
今回は特に先輩芸人アマリリス、藤子姐さん、好子の母など年長者の言動が的確、というか事態を好転させるのが巧いところ。また、アリサを引きずり込む場面も良かったし。

また、5つの可動式ユニットを中心とした装置を人海戦術で(笑)動かす場転や2段のギャラリーをも使う演出も印象的。

あと、(今ひとつ売れていない)アイドルグループの解散ということに坂下雄一郎脚本・監督の映画「ピンカートンに会いにいく」を連想。
あれを観た身からすると、この15年後くらいにマカロニガールズが「一夜限りの再結成」なんてイベントを演りそうに思えてしまうんだな。
どうすか、スピンオフというか続編というか、そういうハナシは?(真顔) > 藤吉主宰

【余談気味】
本作に限らず劇中に歌ったり踊ったりな場面があり客席からの手拍子などが入った方が効果的な芝居は、出演者や劇団のアカウントが「こういう場面があるので手拍子よろしくねっ♪」とかツイートしておけばもっと盛り上がるのではないか?(もちろんそれがネタバレでなければ)
なお、冒頭のコンサート場面、この回はプレミアシート(センターブロック前2列)のお客さんを中心にそれなりに盛り上がっていたが、サビのトコはPPPHではなかろうか?(他の回ではどうだったろう?)

火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

火遊び公演「焔の命--女優の卵がテロリストになった理由」

オフィス上の空

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/11 (金) 14:00

座席D列6番

価格4,800円

「This is くれはマジック」か? いかにも松澤くれは作品で、観ているうちに虚構と現実の境界が曖昧になり虚構が現実を侵蝕してくる、あるいは劇中に自分の意識が取り込まれる感覚がアヤしくも心地好い。劇団が次第にヤバい方向に向かい始めてもそれを容認しそうになり何度「いやいやいや、違う違う違う」と自分を正気に戻したことか。
「大きな嘘を吐くには小さな嘘を積み重ねて」とよく言われるが、本作は小さなあるある・ありそーを積み重ねることによって大きなあり得ないことをありそうに錯覚させるのだろう。劇団内幕系ネタや現実にあったことなど身近なところから入って徐々に踏み外してゆくもんなぁ。

それにしてもあの重苦しい雰囲気の中で芝居としての出来(劇構造や各種仕掛けを含む)に笑みがこぼれてしまうってナンだよ!(笑)

ところで本作の感想に「あさま山荘事件」の記述が散見されるが、合宿での出来事は同じ連合赤軍関連であってもそれより以前のリンチ殺人を想起させるものであり、質の異なる両者の混同は世代/時代によるものか?

ネタバレBOX

劇団内の話し合い場面に「身内を集めて喜んでいる劇団も多いが……」という時々出る件に触れた台詞があり吹いてしまう。
また、集客は役者の仕事か?/集客できる役者が良い役者か?というのも比較的最近出た話題だし、ツイ廃として(爆)リアリティを感じたのだろう。

真理子は自分にストイックで自らを追い詰め、森は他者にストイックを求めて他者を追い詰め、その2つのストイックさが惨劇を呼んだと言えよう。

なお、ノンフィクションライターの取材により加害者家族が追い詰められる構図に劇団Bケイカクの「慟哭は戯言」と脳内でリンクしたりも。
健康への第一歩

健康への第一歩

制作「山口ちはる」プロデュース

「劇」小劇場(東京都)

2018/05/11 (金) ~ 2018/05/20 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/05/11 (金) 19:30

価格3,000円

公演全体の初日、女性版を観劇。
社内健康診断の再々々々検査で集められた面々は部署も立場も違い……な内容はキャラ合戦、女優見本市の様相。がしかし前半がクドいし2時間弱は長過ぎる。各キャラへの焦点比率を調整し90分程度に収めればスッキリしたのではないか。
特に出だしのウザキャラはあそこまで演らなくても十分にウザいどころかむしろその傍若無人ぶりは社会人としての常識を疑うレベル、その分を他のキャストに割り振った方がバランスが良かったのではあるまいか?
(男性版のキャラはどうなんだろう?)

なお、これからご覧になる方には開演前に当日パンフレットの用語説明(3つだけ)に目を通しておくことを推奨。

俺の屍を越えていけ

俺の屍を越えていけ

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/05/12 (土) ~ 2018/05/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/13 (日) 14:00

価格2,200円

惹句の「さぁ、気が重い会議を始めよう」の通り終始どんよりした雰囲気にならざるを得ない会議、7年半前に観た七里ガ浜オールスターズ版の感想によれば(もはや記憶の外で具体的には覚えていない(爆))前半はユーモラスだったようだがそれとは異なり、ある意味リアルタイプでこれもアリ。
また、本題に入る前の部分ではった伏線を回収しての幕切れが鮮やか。

事前に7年半前の七里ガ浜オールスターズ版の出演者(豪華!)を確認しておいたので、それを思い起こしたり相違点を考えたりしながら観たのもまた楽しかった。
CoRich舞台芸術!の公演情報で過去に他団体が上演した時の出演者を調べて、知っている役者がいたらどの役を演じたか想像しながら観るのも面白いかと。

なお、ほぼ四方囲みあるいは三方半囲みの客席、アガリスクの榎並さん、たすいちの中村さん推しの方には通常で言えば上手にあたるエリア、星澤さんと家のカギの高村推しの方には逆の下手にあたるエリア、エンニュイ高木さん推しなら通常の客席側、山田さん推しなら通常の舞台側を推奨。

13番地のパブロ・ピカソ

13番地のパブロ・ピカソ

新宿公社

サンモールスタジオ(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/13 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/10 (木) 19:00

価格2,800円

ピカソの評伝的なものでなく、画商やピカソをめぐる人々の群像劇的なところに漠然とナイロン100℃の「ノーアート・ノーライフ」を想起。端々に戦争の傷痕が見え隠れするのに井上ひさし作品に通ずる気も。
また、何度も結婚をしたという以外は漠然とした「巨匠」イメージしかなかったピカソ像が新たになり、こりゃあwikipediaで調べにゃあ、と。
あと、翻訳劇調の台詞が特徴的で序盤の口論場面など吹替えの外国映画の懐かしさがあった。(笑)

画廊を表現した装置、掛けられている絵画はすべて横長だったが、下手から2枚目(とあともう1枚?)は縦構図ではなかろうか?いや、あくまで私見ですが。(笑)
ちなみに下手から2枚目のものは右下に3本の横線があるが、時計回りに90度回すと水辺で金色の朝日か夕日を見ている3人の人物に見える気がした。(記憶だけで書いているので位置などは違うかも?)

ネタバレBOX

終盤、夫の生還を7年間待ち続けた妻に届く戦死の通知は戦争の悲劇を端的に表しているし、戦争で敵国であったドイツの人を毛嫌いするフランス人というのにも地続きの隣国と敵対する恐ろしさ/哀しさを感じ、そんなところに井上ひさし作品と通ずるものがあると思ったのだった。
あのひあのとき亜希子は

あのひあのとき亜希子は

リブレセン 劇団離風霊船

ザ・スズナリ(東京都)

2018/05/09 (水) ~ 2018/05/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/05/09 (水) 19:30

座席A列2番

価格3,500円

公表されている通りパラレルワールド系だがあれこれ斬新。
落とし所が予測不能どころか途中で「あの場と整合性がとれなくなるのでは?」「そんなことをやっちゃって大丈夫?」と観客に抱かせた疑問に納得できる形の回答を見せて落し前をつける最終場はさすが。
また、橋の場での亜希子の機転は巧いしその後、ワインをオーダーしてからの父の台詞は泣ける。
お得意の時事ネタを2~3ブッ込んでいるのは言わずもがな
四半世紀ほど前、フジテレビが「if もしも」というドラマを放映していた(余談:「打ち上げ花火……」はこの中の1編)が、アレよりもフェイズが1つ多い分、複雑化したと言えるか。

ネタバレBOX

自殺後、すぐに身元が判明するように残したバッグを取り、「自殺するならこのバッグを川に落とす」と脅す亜希子の機転には感心。
また「結婚を決めた娘を安いワインで祝うわけにはいかないだろう」と言う父もイイ。

老夫婦が「もしもあの時ああでなければ私たちは……」と馴れ初めを回顧する場面から始まり、それぞれが別の相手と結婚していたら、という場面を見せるのでどうまとめるのか?と思いながら観ていたが、よりによってその三組が同じ場に居合わせる展開になるとは仰天。

そしてそれらすべてが娘を早くに亡くした老夫婦のシミュレーションだったという結末はある意味夢落ちだが、夫婦の哀しみも漂わせて鮮やか。

時事ネタは3人の亜希子のうち1人が同性婚を選ぶことと、三組が居合わせたところに大陸間弾道ミサイル発射の報が入ることなど。
幕末異聞 明治悪党奇譚

幕末異聞 明治悪党奇譚

(有)オフィス パラノイア

「劇」小劇場(東京都)

2018/05/03 (木) ~ 2018/05/08 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/05 (土) 19:00

価格4,000円

黙阿弥の「三人吉三巴白波」を明治初頭に翻案した作品の改訂版、「伝統芸能の様式美と小劇場系演劇の融合」がいかにもここらしい。
3年前の初演も観ていたが冒頭から新演出はあるわ、内容からシェイクスピアやギリシア悲劇、それにとあるアメリカンニューシネマは連想するわで楽しかったぁ♪

去年観た野生児童「純惑ノ詩」(東海道四谷怪談を現代に翻案)でもシェイクスピアとギリシア悲劇を想起したし(←こちらは原典よりも翻案によるもの)、悲劇はやはりそんなパターンになる……と言うか劇作家脳というのは洋の東西や今昔を問わず似た発想をするのか?(笑)などとも考えた。

ネタバレBOX

3年前の初演ではシェイクスピアやギリシア悲劇は連想せず、「観てきた!」コメントには「ギャング映画」を想起した、とある。もはや記憶が定かではないが(爆)、滅びの美学ということで「俺たちに明日はない」ではなかろうか?
なお、今回連想したのは「明日に向って撃て」で、終盤、主人公たちが大勢の捕り方に囲まれている、という部分について。

物語本体の前日譚というか端緒となる冒頭部分、ワキとなる人物に面を被せ二人の黒子が操る人形のように見せた演出も面白かった。
溶けない世界と

溶けない世界と

mizhen

d-倉庫(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2018/04/26 (木) 14:00

価格3,000円

十二角形の上に二十四角形を乗せた二段の台が特徴的な装置を使って繰り広げられるイマの日本を舞台としたチェーホフ「かもめ」の翻案……と言うより「かもめ」をモチーフとしたオリジナル、の方が的確? 「人名やモスクワをそうしましたか」と頬が弛む。
美しかったり妙案(綱とか)だったりの照明も印象的。

ただ、開演が7分押しても開演前、終演後を通じてそのことに全く触れないのは減点要素。黙っていれば観客は気付かないとでも思っているのかな?(毒)
押すこと自体はやむをえない事情もあろうから仕方がないとは思うが、その対応がなっていないのは困りもの。(よって☆は2つ減じた)

御釜怪奇譚

御釜怪奇譚

レティクル座

サンモールスタジオ(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/03 (木) 19:00

限界村落の復興という軸にゾンビを絡ませ、社会派テイストと昭和の映画全盛期の怪奇ものの味わいを併せ持たせるのはいかにもレティクル座。。
そう言えば、哀女「JK OF THE UNDEAD」(3月)、スズキプロジェクトバージョンファイブ「Z-Studio ~ゾンビ映画は愛を育む~」(4月)、それに本作と3ヶ月連続で若手によるゾンビものを観たが、いずれもホラー一辺倒ではなくそれぞれに訴えるものがあり、ゾンビ現象をその隠喩として使っているのがイイ。
また、アレとソレを絶妙なバランスでブレンドしたラストも○。

ネタバレBOX

途中に出てくる「間違った方法で甦っても中身は空っぽ」という台詞がゾンビそのもののことでもあり同時にソンビによって復興した村のことも表現しており、さらに現実社会でのいろいろなことに対する皮肉にもなっていて秀逸。

不死身の筈の「ゾンビ」が朽ちてしまうのはマッドサイエンティストである父親(ボス村松:好演!)に対する娘の復讐によるもの、という怪奇映画・モンスター映画にいかにもありそうなプロットを入れたのも巧い。

さらに、(ゾンビを活用するのではなく)正しい方法での復興を目指す希望を見せつつ、ヒロインゾンビが朽ちる切なさを絶妙なバランスでブレンドしたラストシーンも余韻を残して上出来。
サイキックバレンタイン

サイキックバレンタイン

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/29 (日) ~ 2018/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/30 (月)

価格4,500円

それぞれ異なる超能力を持つ若者を集めた超能力研究所に新たなメンバー2人が加わったことから巻き起こる恋愛騒動?
14時のbitterと18時のsweetをセット券にてハシゴ。

【bitter】
登場キャラや台詞回し、そしてもちろん内容もたすいちド真ん中(演者も揃って「たすいちキャラ」になりきり)で頬が緩みっ放し。そして終盤で語られるアレはこの種の話の定番的ながら改めてそうだよなぁ、みたいな。オチも巧いやね♪
初演時同様、終盤で「七瀬ふたたび」(「家族八景」もか)を連想した他、ヴィム・ヴェンダース監督のアレも想起。

【sweet】
いやはや、オープニングからもう色が違う……いや、「アレの色(謎)」もそうだがそこではなくチームとしての色ね。そうして観ていると一部の演出やキャラも違っていてこれぞダブルキャストの醍醐味。
続けて観たのでアタマの独白に終盤に通じる部分があるのに気付いたりも。

【余談気味】
この少し前に観た高木渉監督「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~」で一件落着に見えた後の「これってけっこう大事なことを言ってないか?」と感銘を受けた部分がたすいちっぽい気がしたし、本作のある人物の考え方に通ずるものがあるような → 「正義」とか「相手のため」とか思ってする行為でも、それが独善的なものならばむしろ迷惑行為なのではないか?

なお、観る前に予習(復習?)として初演の出演者を確認したら早々たるメンバーなことにビックリ。
ということで今回のメンバーの今後にも期待。三演の時に振り返って「なんてメンバーだったんだ!」になりますよう♪

たとえば私の人生に目口もないようなもの、あれこそ嘘の精なれ

たとえば私の人生に目口もないようなもの、あれこそ嘘の精なれ

劇団平成商品

要町アトリエ第七秘密基地(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/07 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/05/03 (木) 14:00

価格3,500円

北海道の幼稚園の教員たちの人間模様……チラシなどの内容説明から辛気臭系の女性の反省(←「半生」の誤変換に非ず)を描くのかと思いきや、終盤の劇中劇場面(ここの表現だけでも元が取れたと思った)を経て「ナンじゃこりゃ、○○じゃねーか!」と予想をはるかに跳び越えて怒濤の面白さに化けるトンデモ芝居(爆)、ヤられたぁ。

また、開演前に当日パンフレットの配役表を見て登場人物名にそれぞれ色が入っているのに気付いたが、開演して感服。その色が衣装に使われており、終演後に気になった役者の名前を調べるのに便利なシカケ……これは画期的!

開演直前の「お馴染みの諸注意」は録音によるもので、部分的に「ある加工」が施されていて「ナンじゃこら!」と思ったが、後半の驚愕の展開への伏線的なモノだったので「そういうことか」と納得。

ネタバレBOX

後半に入ると場の区切りに演者たちが逆回転映像のような動きが入ったりしてから実は主人公が最善の策を求めて何度も時間を遡りやり直していることが明かされる……それって小劇場系芝居でも時々ある時間SFものじゃん!
で、開演直前の諸注意のノイズ効果の中に逆再生音声らしきものがあったことに思い当たる。ただ、これをやるなら事前に普通の諸注意を生で1~2回入れておかないと「不謹慎な!」という誤解を招き易いのではないか?

さらに本作がイマではなく少し先の、やがては第三次世界大戦に向かう頃のハナシだということも明かされて終わるのも近未来SF風。

このSF的であるということを一切明かさないのはスゴいというか何と言うか。
知らずに観に行ってビックリするのは観客として歓迎だが、そのテの話が好きな客を呼び込めないのか劇団にとってどうだろう?(観た側が「アイツならこういうの、好きだか薦めよう」というのもはばかられるし)
未開の議場

未開の議場

戯曲勉強会ビオロッカ

アトリエファンファーレ高円寺(東京都)

2018/04/28 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/29 (日) 18:00

価格1,800円

やはり傑作戯曲、随所に北川さんっぽさ(私見)があり、「12人の怒れる男」、「12人の優しい日本人」、「ナイゲン」などの会議ものに共通の終盤の「アレ」など頬が緩む。
それを画期的なテーブル配置(ホント妙案)といかにもそれらしい各自の衣装と演技で見せて頂き余は満足じゃ♪

会議テーブルを演技エリアの対角に配置したのは妙案にして画期的「発明」。
カムヰヤッセンによる初演もその後2回の北区民版も対面客席の間にある会議テーブルの配置は客席と平行でどの席に座っても大半の時間は出演者の半数の顔が見えないところ、当公演は客席に挟まれた演技エリアの対角線方向にテーブルを配置することで席によってはほぼ全員の横顔が見えるという。
その意図を察して手前ブロック最前列上手端(=いわゆる「お誕生日席」の背後)を選んだσ(^-^)の席からはほぼ全員の顔が見えた。演出の井上さんに伺ったところ、過去3回の上演をご覧になって気になったのでこの配置にしたとのこと。

ネタバレBOX

終盤で出てくる「仲良くしようの暴力」をはじめとして、トメニアの諺や「責任を取れ!」のあたりが北川さんっぽいな、と(私見)。
あと、トメニアがチャップリンの「独裁者」に出てくる国名だとふとしたことで知る。
また、終盤で「ある思い込み(あるいは信条)」から1人が頑なに反対するのはある意味「会議もののお約束」。先に挙げた会議もの芝居を知っていると「そうそう、これこれ」と醍醐味の1つに感じられて愉快。
辺境、どこまで行っても

辺境、どこまで行っても

Minami Produce

アトリエTANTOO(東京都)

2017/05/05 (金) ~ 2017/05/10 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/05/05 (金) 19:00

価格2,000円

夭折した歌人、岸上大作の遺書的なノートの朗読会の稽古をする5人の女優たちが……。好きな要素が複数含まれており、 見事にしてやられたぁ、的な。
広義のバックステージものであり、同時に女優青春群像的な感じ。奇しくも朝ドラ「ひよっこ」の当公演初日に放映された回と通ずる味わいも。

岸上大作が死に近づいてく様子をずいぶんはっきりと覚えているな、オフィス再生のプレトークで聞いたにしては細部まで知っているぞ……と訝っていたが、終演後に確認したら本編で(もちろんプレトークも)観ていたのだった。(爆) 2年半前の記憶ってそんなものか……。

老舗劇団の劇団員や卒業後はたぶん続けないと考えている学生演劇のコなど女優たちの背景/出自的なものが多岐にわたっているゆえ深みが生まれるのがまた巧いところ。

鉄とリボン

鉄とリボン

キコ qui-co.

座・高円寺2(東京都)

2018/05/02 (水) ~ 2018/05/03 (木)公演終了

満足度★★★★

超常現象あるいは「世にも奇妙な物語」的な導入部からクラッピング/ストンピングも交えたオープニング主題歌を経て展開されるのはメルヒェンチックな「生命(せいめい)讃歌」あるいは「生命(いのち)の大河ドラマ」的なヒューマニックドラマ。「受け継がれてゆく生命」とか「生まれいずる悩みならぬ生まれいずることができなかった哀しみ」なんてフレーズも脳裏をよぎる。
前半で提示されたいくつかの流れが後半のある時点で一気に結び付いて全体像が明らかになるのがえも言われぬ感覚。また多人数を活用した声や足踏みの効果もイイ。
また、タイトルにもある「リボン」が直喩・隠喩含め3つ4つの意味を持つのも巧い。

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―

野生児童

小劇場B1(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/23 (水) 19:00

前半が冗長であまり活きていない部分があったり(例:劇団関連の部分)一部の展開(対立・和解・殺意など)が唐突だったりする一方、原典の再構成の仕方やそれによって想起するものなどが面白く、冒頭部分とリンクさせて求婚の言葉通りに最期を迎える二人という幕切れが鮮やか。

原典である東海道四谷怪談の伊右衛門は心の弱さもありつつ基本的には「悪漢/ピカレスク」な印象だが、本作の登場人物は時には悪になるものの、基本的には故意・悪意がないので物足りないような気も。あの内容・精神を現代に不自然でなく持ってくるとそうならざるを得ないのか?
一方、伊右衛門・お岩の二人の役割を複数の人物に振り分けたことで犯罪臭が薄れむしろ悲劇の色合いになってあれこれ想起するようになったのは面白い。

主人公姉妹は悲劇的な結末を迎えるが、姉の方にはかすかな沙翁的なもの、妹の方にはかなりのギリシャ悲劇的なものを感じた。脚本を執筆した有田主宰によれば特に意識した訳ではないとのことだったが、悲劇のルーツがあのあたりということか?

X-QUESTの荻窪さんが、演技に取り入れている「あること」を探すのも一興?(笑) σ(^-^)は2つ気付いたけれど、そんなものやあんなものは残念ながら気付かず……

サマデーナイトフィーバー

サマデーナイトフィーバー

20歳の国

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/08/07 (月) ~ 2017/08/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/08/07 (月) 19:30

夏休み直前の一夜の熱狂。
「ワカる♪」「(自分の時も)あんなだったら良かったのに」など各人物に共感やら郷愁やら抱く。そしてベタ気味・あるある気味ではあるが状況やエピソードの組合せが絶妙で愉しい♪
そうして「ある映画」や「(劇中で使われる)ある歌が本来はどういう心境で歌われるか」を知っていると、より頷けるというか納得できるというかでさらに楽しめるのでは?
人物の背景・立場などが台詞・会話の中に巧みに織り込まれていて、観ているうちにワカってくるのもイイ。竜史国王、ヤるな。
なお、後方のほぼ中央という席を選んだのでラストシーンで本水を使った雨の場面のあと、ステージに残った水に兄弟が「逆さ富士」のように映っていて画的にも美しかった。

ネタバレBOX

台風で帰れないという状況に相米慎二監督の「台風クラブ」を連想。
また、「ウエストサイド・ストーリー」で「トゥナイト」が歌われる状況を知っていると、あそこで使われる意味が類推できてより面白い。
Paranoia Papers

Paranoia Papers

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2017/05/31 (水) ~ 2017/06/06 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/06/02 (金) 15:00

価格7,000円

最終日のぶっ通しを観劇。
エロ、グロ、バイオレンス、ハードボイルドとお馴染みの要素ア・ラ・カルトながら従来比で笑いの要素も大幅増量(エロも増量気味か?)。
黝の章・赭の章を通しで、さらにアフターイベントまであって休憩を含め6時間近い尺でありながら思ったほど長く感じなかったのは短編集であることに加えて案じたほどダークではなかったこと、そしてその笑いで緩和していたことなどが要因か?。
「血糊が飛ばない虚飾集団廻天百眼」的でもあったか?(笑)

ネタバレBOX

黝の章2編目「ウェストご夫妻の偏り尽くした愛情」のスプラッタ・コメディは今までになかったパターンかもなぁ。もしや、あの方を客演に迎えた効果?

赭の章1編目「ジルドレと黒魔術」で、舞台下手後方の幕の向こう側で少年たちが惨殺される場面、その様子が下手袖あたりに設置された灯体により舞台上手壁にその様子が影絵のように映し出されていたのが巧い。観客は下手の幕を(その陰で起きていることを想像しながら)注視しているのでは?
殺しの神戯

殺しの神戯

虚飾集団廻天百眼

ザムザ阿佐谷(東京都)

2018/02/25 (日) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/02/26 (月) 19:00

それを手中に収めれば強大な力を得るという赤子→幼女→少女→乙女と急成長する禍々しいナニカを護送する業界ナンバー4の女殺し屋・サロメに次々と襲い掛かる同業者たち……な内容は昭和中期・映画全盛期の日活無国籍・無時代アクションと東映の妖術なども使う時代劇を混ぜ合わせて貸本漫画の胡散臭さ(笑)も加えて現代(?)テイストに仕立て上げたような感覚(既視感多数なるも具体的に思い当たらず)、これぞ21世紀のアングラ芝居!神道・キリスト教・仏教方面の雑学があるとより楽しめるかも?

登場人物たちが地獄らしき所など複数のヘンテコな世界を巡るので次第に「ココハドコ?」状態に陥るとともに、フト「もしかすると観終わって劇場から出たら以前と違う世界に出るのでは?」などと思った。
また、ヘンテコな世界を巡ることで地獄から逃れ出た先もまた地獄、を表し、地獄とは何か?現世もまた地獄ではないか?と問うているような気も。 

他に自分に馬乗りになり腹を裂いて内臓を引きずり出す相手を体内に取り込み、赤子として産み出す(!)場面の装置のギミックや、サロメが地獄(?)から脱出する「切れない蜘蛛の糸」のような場面などが印象的。

なお、いつもより血糊が控えめと思ったら、久しぶりにポンプを使わなかったそうで……(笑)

【勝手にキャッチコピー】
「殺し屋たちのドグラ・マグラ」
「ニッポン黙示録」

渦中の花

渦中の花

room42

王子小劇場(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/28 (土) 18:00

事前に目にした感想に「暗い」「重い」「救われない」などが頻出している中、乞局、elePHANTMoon、角角ストロガのフなどと近いというものがあり「あっちの系統か」と思って臨んだのはラッキー。
確かにそれは言える一方、あちらは鋭角的でこちらは面取りが施されている、あるいは片や鋭利な刃物、片や鈍器のような違いもあるな、などと考えながら観ることの愉しさよ♪
また、実在の事件をモチーフにしているところやダークな味わいは鵺的やJACROWに通ずるものがあるが、やはりどこか違うし。
また、やはり目にした感想の中にあった登場人物が全員憎く感じたというのも認めつつ、逆にそれぞれ理解できる……というよりそういう立場になったら「それを言っちゃあ/やっちゃあオシマイだよ」なものも含めてああいう言動をしてしまいそうとも思う。
そんな風に思わせるのがまた上手いんだな。

技巧的にはある2人の人物の互いへの言葉遣いで関係を観客に推測させてから第三者にその関係を問わせる「説明台詞排除」やギャラリーの使い方が印象的。いや、面白かった。

ネタバレBOX

なお、「顔にいくつもの角が出た鬼」という形容が台詞で出た時はピンと来なかったが、ラストシーンで「チラシビジュアルはそういう意味だったのか」と合点がいった。ちなみに聞いたところによるとチラシは台本完本前にできていたそうな。

【勝手にキャッチコピー】「小劇場界屈指の悪女爆誕」
君のナニは。

君のナニは。

Peachboys

シアター711(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/24 (火) 20:00

価格2,200円

年に1度の明るい下ネタ祭り♪(爆)
いつもにも増してネタが盛り沢山でシッポまでアンコが詰まった鯛焼きどころか鯛の形のアンコに粉が付いているレベル、もはやネタの隙間にストーリーがある、的な?(爆) しかしそのストーリーが一応体を成しているのがまたスゴいしヒドい(笑)(褒めてます)
本作に限らず毎回のことだが下ネタ、エロネタを前面に押し出しながら、照れや後ろめたさなど微塵もなくイキオイで突っ走る(しかもそのイキオイが全く衰えない)ことで潔さや爽やかさ(ホントか?)を感じさせる「確信犯的犯行」がここの魅力か? ポップンマッシュルームチキン野郎の開演前パフォーマンスがお好きな方はハマるかも?ってか、ポップンマッシュルームチキン野郎をナンセンスな部分とハートウォーミングな部分に分けるとPeachboysとはらぺこペンギン!になるのではないか?(笑)
思い返すとネタの大半は30年くらい前のもので、中には40年近く前のものもあり、20代の観客にどれだけ通じたの?という疑問は残る。ま、σ(^-^)は9割がた拾えたからイイけれども。(爆)

ネタバレBOX

【拾えたネタ覚書】
(最近のもの)文春砲、角界、将棋界、小室
(懐古系)雪平/アンフェア、沢尻エリカ、X JAPAN、ピンクレディー、SW、Zガンダム、シティハンター、エヴァ、ドラゴンボール、マリオ、ストリートファイターetc.etc.

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