
山猫 / 辺獄の葡萄
牡丹茶房
新宿眼科画廊(東京都)
2019/06/08 (土) ~ 2019/06/18 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/11 (火) 14:00
価格2,000円
【辺獄の葡萄】
「山猫」から時を経た同じ山中、女系集落があるとの情報を得て取材に訪れたライターが見たのは「もう一つの地獄」……。
「山猫」とは舞台となる土地が同じだけでなく、(自粛:ネタバレBOXへ)な関連もあるし、設定その他が対照的でもあり対をなすシカケなので両編とも観ると相乗効果で面白さ倍増(個人差はあります(爆))、みたいな。

いざ、生徒総会
filamentz
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/06/11 (火) ~ 2019/06/17 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/11 (火) 19:30
価格3,800円
「国府台高校サーガ」最新作は第1話から第4話で四方の壁を作り、第5話でそこに屋根を乗せる、的構造の連作短篇形式。
その4話の内容も多彩で、そこにナイゲンや旗合戦/卒業式にいたキャラと通ずる部分のある人物も登場し、その意味で「国府台高校スターシステム」とも言えよう。
一方、監査はナイゲンとキャラは異なるものの、監査という役職と自分の心情の板挟みに悩むあたりが共通?
そうして迎えた第5話の前半は、近い将来国政レベルで起こるのでは?と肝が冷えたわ。
なお、シアター・ミラクルの一般的な使い方で言えば客席側・上手側・舞台側を客席とした三方囲み、「女優系」の方には普段の客席側ブロックの奥(角)をオススメ。

山猫 / 辺獄の葡萄
牡丹茶房
新宿眼科画廊(東京都)
2019/06/08 (土) ~ 2019/06/18 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/10 (月) 16:00
価格3,000円
【山猫】(3ステージ目)
山中でひっそり(?)暮らしている村長(むらおさ)とその息子たち、野生児のような娘と拉致された(?)母性の塊のような慈しみ深い女性が織り成す物語。
設定や雰囲気から鵺的「死旗」や鬼の居ぬ間に「土蜘蛛-八つ足の檻-」を連想。それらがお好きな方は本作も気に入るのではないか?
また、最近の某政治家の炎上発言に通ずる部分もあってニヤリ。
いやしかし男尊女卑の権化のような男たちがほぼクズばかりで、その対比もあって「野生児(台詞はなくせいぜい唸り声までなので表情や動作だけで感情などを表現するのがスゴい)」の世話をする女性が神々しくさえ見えてしまうんだなぁ。
そうして、「どう着地させるんだろう?」と思いながら観ていたが、訪れた結末に「あ、それな♪」と大いに納得。
あと、描かれている山中の雰囲気を伝える音響や炎の揺らめきを筆頭とした照明効果も芝居に臨場感を持たせるのに大きく貢献していたと思う。

令和元年のシェイクスピア
虚飾集団廻天百眼
中野ギャラリーO2(東京都)
2019/06/09 (日) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/09 (日) 17:00
価格3,000円
かつては飲食店で今はフォトスタジオというシブい味わいの会場でのメタ気味な「パラレルワールドのマクベス」なオモムキの朗読劇(立ち位置の移動はあるし冒頭の3人の魔女などサラウンドだし、衣装も着けているが(笑))。
終演後に伺ったところによれば、ハイナー・ミュラーの「マクベス」の台詞も使ったそうで沙翁のマクベスと異なる展開はそれか、と得心。
また、通常の公演では生ドラムも加えての大音量の楽曲やド派手な演出で埋もれがちな各人の声が前面に出ていて、改めて「そうそう、この人の声はこうだった♪」と認識したりも。(声色の使い分けも含む)
こういう公演も時々演って欲しいような……。

たいへんよく生きました!
劇団ズッキュン娘
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/04/25 (木) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/29 (月) 16:00
座席G列17番
価格5,000円
この春先は悪く言えばベタ、良く言えば王道な物語が複数あったが、本作も「余命宣告もの」+「同窓会もの」というベタ中のベタ。(笑)
がしかし、その「旨味」を活かしつつズッキュンテイストもたっぷり盛り込み、その意味で「集大成」と言えよう。
本作の後はしばらく充電股間に入り演劇公演は休むそうだが、それを経ての「第二期ズッキュン娘」に早くも期待♪

ネオ☆マインドパワーカップ forE.S.M
QUEENS' LEAGUE
新宿スターフィールド(東京都)
2019/06/05 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/06 (木) 14:00
価格3,900円
5年前の演目の再演……というよりはリニューアル版。
金儲け新興宗教団体に取り込まれたお料理教室の仲間たちの運命やいかに?を寸劇的な場を重ねて語る合間にダンスやギター漫談(?)、よく当たる占い師の仕組みなどの「講義」が入るというバラエティー系。
5年前よりもイマの方がより現実に即しているかも???

無伴奏~消えたチェリスト
劇団東京イボンヌ
cafe&bar 木星劇場(東京都)
2019/05/02 (木) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/03 (金)
3日に14時の「消えた……」と18時の「無伴奏」を続けて観劇。
東京での演奏会を前に突然姿を隠した国際的な評価も高い気鋭のチェリストが訪れたのはかつて彼女が働いたこともあるペンションで……な物語。
初演も観ているが細部の記憶は薄れており、しかしチェリストとカメラマンのエキセントリックさが少しマイルドになったような?
また、初演の「観てきた!」に結末は深読みの余地があるように書いているが今回そいかんじなかったのはσ(^-^)の感性の変化か?
で、その結末、「消えた……」は婉曲、「無伴奏」は直接的な表現か?とも思った。
さて、7月のサンモールスタジオ版はこれを経てどうなるのかしらん?

10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】
中野劇団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/05/24 (金) 19:00
価格2,500円
同じ時間をループしてそこから抜け出すべくあれこれ試すパターンの芝居では繰り返しの中に出オチの如く再スタートしてすぐにその「回」が終わるなどで変化をつけないと全く同じ長さを繰り返すうちにダレる危険があるので多少の不安と共に観始めたが、すぐにそれが本作では杞憂に過ぎないと気付き以降安心して観劇。
まずは基本となる、と言うかループが始まるまでのターンでもコント気味な小ネタが多数仕込んであり、それだけでもクスクス笑えるのに、ループが始まるとそれが伏線となっていることがワカったり、多段式ロケットのように回を重ねるとともに可笑しくなっているネタがあったり(例:「バニーガールの店」)あれこれ巧妙。
(店員の名札がある回だけローマ字になっているという小ワザも好き)
さらに、何度かループを重ねた後に主人公が妙に疲れているターンになったかと思っていたら三十何回目かになっているという大胆な(?)省略もあれば途中で事態が好転する見込みがなさそうで「この回は捨てた」と主人公が放り出すこともあって、バリエーションも幅広い。
そうする中で抜け出す方法を見出し、最終的にかつての仲間が再集結して映画を撮る方向に進むという結末もさわやかで、大変満足。

「ボードゲームと種の起源・拡張版」
The end of company ジエン社
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/02 (日) 14:00
価格3,800円
東京から地方に移住してボードゲームカフェを営もうとする男とその妻やゲーム仲間たちが織りなす物語。
同時多発会話や時や場所は異なるが共通する部分のある台詞・会話を続けて見せる「会話のコラージュ」はいかにもジエン社。(笑)
それに加えて本作ではこの作品のために創作したボードゲームでの選択・行動が現実パートにも取り入れられているのが特徴で、観ながらこれは「ゲームでの出来事を現実社会の出来事にするとこうなりますよ」ではないのか?という疑念が生じ、胡蝶之夢とかタマゴが先かニワトリが先かとかそんな感覚を味わう。(こういう感覚、好きなんだなぁ)
後でうかがったところによれば「自分が何者だかワカらない」状況を芝居で描くために、あのゲームを創り上げたそうで、大いに納得。
なお、開場時から開演まで、舞台上ではそのゲームがプレイされており、σ(^-^) が観た回は典型的なパターンが複数起こったのでそのゲーム展開も脚本にあるのか?という気もしたが、さすがにそんなことはなく、ガチのプレイだそうで……(笑)

ハッカ
ハダカハレンチ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/05/31 (金) ~ 2019/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/31 (金) 19:30
劇団ハッカは新作公演に18歳のアイドルを客演として迎えることとなったが、主宰で作・演出のヤスヲの筆は一向に進まず……な物語。
劇中劇(稽古場面)、劇中現実、ヤスヲの脳内(回想?幻想?妄想?)が渾然一体となっているので「今はどのパート?」と考えながら観るのが面白い。
劇中現実かと思って観ていると突飛な展開となり「実は劇中劇だったのか?それともヤスヲの幻想?」とか惑わされるばかりでなく、稽古場面にも巧みなシカケと見事な罠が仕掛けられているし。
また、劇中劇/稽古場面の台詞が詩的ながら意味不明(笑)な「いかにも昭和のアングラ芝居」風なので頬が弛む。
終盤で突き放すような台詞も出てくるが、それも含めて「演劇讃歌」と受け取った。
あと、こわっぱちゃん家の眞野たろすけさんの美術も「あ、なるほど眞野さんだね」だった。

ざくろのような
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/29 (水) 19:30
座席G列14番
価格4,200円
会社買収に翻弄される社員たち……な内容は会社合併を経験した身にとって「悪夢ふたたび」、いや初演も観ているので「悪夢みたび」か?(笑)
で、物語の「うねり」(というか買収劇に揺られる社内の様子というか)に乗っているジャンボジェット機が旋回や上昇下降によって前後左右に傾いては戻るような感覚(劇中の会社が零細企業や中小企業ではないので「乱気流にもまれる」レベルではない)を覚えたが、終演後に本作の演出上の(?)狙いを伺って当たらずとも遠からずだったな、とニヤリ。
あと、会場規模に合わせて大幅にグレードアップした装置がスゴかったなぁ。
その装置、後方が部分的に透けて見える構造なのでメイン舞台である部屋から出て行った人物が建物を出て道を歩いて行く様子を(後方の席からは)うかがえるのも良き効果。

カケコミウッタエ
日本のラジオ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2019/05/25 (土) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/29 (水) 14:00
座席I列19番
価格2,500円
原作「駈込み訴え」の一人芝居版を2つ観ていた先入観もあってか印象が「一人芝居っぽい」。……と言うか一人芝居に再現場面を挿入したような?
しかしその一方で主人公以外の登場人物も皆アクが強くキャラが立って存在感を主張しているという二律背反アンビバレント状態なのがフシギ。
また、事前情報で構造を一部知っていた舞台美術も「まさかの使い方(笑)」で、なんと贅沢な。
前回といい今回といい、なんちゅー使い方を……次に使う機会があったらどうするのかという期待も膨らむ。
あと、メインの二人の役名、名瀬と粕井の由来は察したし、後で改めて当日パンフレットを見たらほぼ元ネタまんまなものも2つ。屋代さんによればすべての役名に意味があるとのことだが、それら4つ以外は察することができないのがちょっとクヤしい。(笑)

自由を我らに
カプセル兵団
ワーサルシアター(東京都)
2019/05/28 (火) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/05/28 (火) 19:30
価格4,000円
終戦後、新たに制定される憲法を分かり易く親しみ易い文章にすべく集められた文学者・新聞記者・広告文案家などの文筆家たちだが、翌朝の新聞に載せる必要から彼らに与えられた時間は2時間……という出だしはまさにコメディで20年以上前の初演時はそれが狙いだったとのことだが、改憲論が出る当世ではむしろ現行憲法のキモを確認する内容に感じられてしまうのは皮肉。
劇中で討論されるのは第三章・国民の権利および義務、第一章・天皇、第二章・戦争の放棄。コメディだけに笑いがたっぷりではあるが時折鋭い指摘があり、改めて日本国憲法の大事なところ・優れたところに気付かされる。
特にクライマックスの第九条に関する熱弁はどこぞの「コドモ総理」に耳にタコができるほど聞かせたい(切実)。
また、そんな本編の面白さはもちろん、結論が出たあとのエピローグもイイ。
本作に限ったことではないが会議の開始時点では見ず知らずだった同士が親しくなったり、議論で対立していたのが和解したりという人間関係の変化や参加者の成長を見せながら一人、また一人と議場を去ってゆくことによる余韻。
会議劇が好きなポイントの1つはそこだな、と改めて気付いた。

俺が代
かもめマシーン
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2019/04/27 (土) ~ 2019/04/30 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/04/30 (火) 15:00
価格2,800円
2016年の(東京)初演は観たもののその後の再演は見ず3年ぶりに観たが大きく進歩。2016年版はビルの屋上だったため演者の身一つだったのが演技エリアの真ん中に樹木を思わせる金属製のオブジェがあり、冒頭も入口から演者がゆっくりと入って来るし、それ以降も伝統芸能の様式美を想わせる演出になっているし、これは徐々にこのスタイルに変化していったものか?あるいは屋内版(?)となった時にほぼこのスタイルに変じたもか?
そして、やはり時期が時期だけに3年前よりもメッセージ性が強くなったように感じた。

骨ノ憂鬱
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2019/05/21 (火) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/22 (水) 19:00
価格2,800円
ブロローグが平成の東京なのでちょっとビックリするが、本編はプロローグの人物の少年時代の物語で舞台も九州なので「あ、やっぱり」……(笑)
そうして語られるのは「理詰めの悲劇」あるいは「真綿で首を絞めるような悲劇」。
物語というものはだいたいクライマックスありきでそこに向けて進んでゆくものだが、下手な作り方だとそのクライマックスに向けて「話を進めるためにエピソードを積み重ねてゆく」のが見え見えで、「これ、何だろう」と思った部分がクライマックスへの布石だったりするものだが、桟敷童子の場合は軋轢・歪みなどが自然に積み重なってゆき、そも結果として悲劇が起こる、的な。(よって「VS嵐」のローリングコインタワーの如く、いつか崩れることは目に見えているがそれがいつなのか予測できない、みたいな?)
お馴染みのダイナミックな仕掛けからの美しいラストシーンでその悲劇性が少し緩和される気がするが、考えてみると実はとても切なく「取り返しがつかない」感が強調されるのも上手い。

「芸術家入門の件」
ブルドッキングヘッドロック
吉祥寺シアター(東京都)
2019/05/18 (土) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/21 (火) 14:00
座席C列7番
価格3,500円
老芸術家の話、美大生たちの話、ギリシャで大きな彫像を建造する者たちの話が併行して進むが、観ているうちにそれらが脳内で勝手に関連付くというか境界がなくなってゆくというかで、パラレルワールドとかメピウスの環とかが頭に浮かび時に夢の中にいるようだったり時に迷宮をさまよっているようだったり。
そうして迎えるクライマックスは、ある彫刻を知っていると「おや?」であり、そこから「そう落とすのか」を経て「うおぉ~!」という……。
しかしあのシカケは紅白の小林幸子だよね。(笑)
あと、大きな工房のような印象の舞台美術もイイ。

バンブー・サマー
アナログスイッチ
駅前劇場(東京都)
2019/05/15 (水) ~ 2019/05/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/05/17 (金) 19:30
座席B列2番
男子生徒5人だけの過疎地の高校、夏休みを前にして女子が転校して来るが……なひと夏の騒動記。
懐かしきNHK少年ドラマシリーズやコース・時代に連載されていたジュヴナイルの系譜。程よく笑いもまぶしながらヒューマンドラマ系に転ずるのも好み。装置の「手描き」感とギミックもイイ。

「頭に尻を乗せてくれ」「最後の奇蹟」
ヨッタイキオイ
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/05/14 (火) ~ 2019/05/22 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/22 (水) 15:00
価格2,800円
共に初演を観ていたので「あぁ、これか♪」と思い出しつつ愉しく観る。
また、オリジナルキャストである「頭を……」のみならず「最期……」までまるであて書きのようにハマっていたのも良かった。
「頭に尻を乗せてくれ」、元々二人芝居は「台詞のラリー」的なものだが、本作はそこにもう一つ「縛り」を加えており、それゆえ時にスポーツにおけるファインプレー(例えばテニスでラインぎりぎりの球を打ち返すとか)のような「!」もあって愉しい。
「最後の奇蹟」、途中のS.E.で「あ、アレか」と思い出す。そして附加した(だよね?)部分により「HMU」化するとは!(笑) さしずめ「ホテル・ミラクル・ユニヴァース/エンドゲーム」といったところ?

あさどらさん
十七戦地
座・高円寺2(東京都)
2019/05/16 (木) ~ 2019/05/17 (金)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/17 (金) 13:00
座席H列15番
価格4,000円
ながら見も多いが毎日朝ドラを見る生活が長い身として「あのドラマにあったパターンか」と感じたり「朝ドラであれば誰が演じる役どころだろう?」と思ったりもしつつ観て頬が弛みっ放し。
また、母娘の二代記的にすることで朝ドラの例えば「あさが来た」「わろてんか」的なパートと「とと姉ちゃん」「まんぷく」的なパート(描かれている正確な年代ではなく、あくまでイメージ)を同居させたのも妙案。
オープニングとエンディング(あるいはプロローグとエピローグ)で「対をなす」ものというのは「安定した」印象。
この少し前に観たものはエンディングがオープニングの後日譚的なもので、本作はオープニングと同じ人物が同じ動作をするがエンディングでは1人増えているという…
冒頭で客電が落ちないうちから舞台に登場して茶を淹れる蘭子。終盤でそれが再現されるが、その傍らには娘の楽子も(その風景は現実ではなくおそらく楽子の心象風景)。母娘の絆・継承を表すとともに本編の始まりと終わりを飾って安定感を生み出す美しさ。
ところで、劇団鋼鉄村松「息つぎがうまくできない。」は恋愛もの、ズッキュン娘「たいへんよく生きました」は余命限定もの、十七戦地「あさどらさん」は老舗の女主人もの、と悪く言えばベタで既視感ありまくり、良く言えば基本に忠実で王道な作品が4月以降相次いでいる。「温故知新」がトレンドか?
補足すれば敢えてベタな素材や展開を選んで、それを自分流に仕立てて見せることで新たな価値を附加する、的な?
観る側も「それな」とか「そうなると思った」みたいな共感(?)や優越感(?)を得ることができてwinwin、みたいな。

殿はいつも殿(しんがりはいつもとの)
ポップンマッシュルームチキン野郎
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/05/16 (木) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/05/16 (木) 19:00
価格4,000円
PMC野郎作品の特徴の1つである家族愛(本作は夫婦愛)が前面に押し出された優しさ溢れる物語、2014年の黄金のコメディフェスティバルで上演された初演(45分版)を「あぁ、そうだった♪」などと思い出したり「ここは当時なかったな」と思ったりしつつ観る。
その「ここはなかったな」な部分も付け足しな感じではなく、また、初演時からの部分も水増しした感覚ではなくキメが細かくなった印象で「もとからそうだった」よう。
終演後に吹原主宰に伺ったところによると今回の90分版の方が本来のもので、初演は規定の45分に収めるために削り凝縮したとの由。
その意味でも「本来の姿」で観ることができて良かった。