
THE NUMBER
演劇企画集団THE・ガジラ
ワーサルシアター(東京都)
2019/06/18 (火) ~ 2019/06/23 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/18 (火) 19:00
価格3,500円
いかにも社会主義国のSFにしていくつかの作品を連想。
ヴァンゲリスのあの曲を知っていたのもプラスに作用した。
(詳報はネタバレBOXへ)

トリコロールスター
X-QUEST
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/06/15 (土) ~ 2019/06/26 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/19 (水) 19:30
価格4,000円
【白】なにもない空間の男
劇作家を主人公に据えた、彼が創った物語と彼自身の物語。
メタ構造的な部分もあるがむしろM.C.エッシャーの「メタモルフォーゼ」のように少しずつ変容していきいつの間にか始まりのあたりとはかなり違ったものになっている、みたいなところが好み。
タイトルがピーター・ブルックの著作に因んでいるように、演劇論的な部分もあり、もちろん(というよりは「何故か?」の方が的確か?(笑))アクションもあり、言葉遊びもありではあるが、X-QUESTの新境地と言えよう。
新境地と言えば従来は華麗・キレイだった衣装を内容に合わせて白いシャツ・黒いパンツとシンプルにしたのも新たなパターン。
こういうのもイイなぁ♪
ところでシアターゲームの場面、ガチ?(終えた後の言葉から推察)

カウントダウン
coconkukanunity
吉祥寺シアター(東京都)
2019/06/07 (金) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/07 (金) 14:00
座席H列14番
価格4,000円
ある児童書に巡りあった女性教師に持ち主の老人はその作者のことを語り始め……とはいえ、中心となるのは児童書の中の物語という三層構造。
その中心部分、望みを叶えるために「迷いの森(だっけ?)」を通り抜けようとする少年たちと彼らの邪魔をする三人組……という冒険もの児童文学の王道的な物語は懐かしく、劇団四季のこどもミュージカルに通ずるような雰囲気も。(ピーター・パンや青い鳥も連想)
また、悪役トリオがドロンジョ一味のように憎めないキャラなのも好み。
あと、マイム表現も良かった。

らぶゆ
KAKUTA
本多劇場(東京都)
2019/06/02 (日) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/05 (水) 19:00
座席H列1番
服役中に知り合った仲間たちが服役中の縁から地方の廃屋を手入れして共同生活を始めるが……な物語。
こういう設定だと得てして前科があることが知られてしまい共同体の崩壊に、となりがちで、実際第一幕の最後にそれを予期させるが……(以下ネタバレBOXへ)

疫病流行記
吉野翼企画
北千住BUoY(東京都)
2019/06/13 (木) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/14 (金) 15:00
価格3,800円
開場時点から半裸の男優や半透明の樹脂製の袋を被ったり被っていなかったりな女優たちが時折劇中のキャバレーの呼び込みをしており「昭和のアングラ」感満載。
そうして始まった本編も流行っている疫病とキャバレーが戦時中は何に使われていたか、などを語り、何回か歌も入る(1名のミュージシャンが生で伴奏に加わる)というアングラ中のアングラのような内容で、そもそもこの会場が一種の廃墟でもあることから昭和にタイムスリップしたような2時間余を堪能。
なお、石井舞さんが冒頭でナグリを使っていたことにニヤリ。(ワカるヤツだけワカればイイ(笑))

夜のジオラマ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2019/06/12 (水) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/15 (土) 18:00
価格3,800円
初演(2007年)、再演(2010年)とも観ており通算3度目だが、過去2回は時間SFものな部分の印象が強かったのに対して今回は親子に関する部分が心に響き、我ながら過去2回は何を観ていたんだ?と思ったり……これ、加齢によるものか、演出によるものか?(その両方かもなぁ)
こんな風に主題さえ違って見えるのが再演ものの面白さかな?

2.8次元
ラッパ屋
紀伊國屋ホール(東京都)
2019/06/09 (日) ~ 2019/06/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/13 (木) 19:00
座席S列11番
以前と較べて集客に苦労している老舗劇団・雑草座に2.5次元ミュージカルの話が舞い込み……な「創り上げ系」バックステージコメディ。世代ギャップネタや小劇場ネタで笑わせながら鈴木主宰/ラッパ屋の演技論・演劇論が見え隠れするなど35周年の団体の実力がおのずと顕れたといったところ。

江戸川区立第3中学校避難所
リブレセン 劇団離風霊船
ザ・スズナリ(東京都)
2019/06/12 (水) ~ 2019/06/17 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/12 (水) 19:30
座席H列5番
価格3,500円
タイトルの通り東京23区が全滅するという未曽有の災害に襲われた後の避難所の人間模様。
あれこれ盛り込んでとっちらかった感は免れ得ないし、ツッ込みどころも少なからずある(匕首の件とか)が、後半で出てくる時事ネタに「あ、それか!」と得心。
そしてそこからの結末はまさかの……(自粛)……であり、以前は時々やっていたが最近はあまりなかった「アレ」で締めくくるという。そのあたりが「やっぱり離風霊船」だった。
なお、ネタがネタだけに再演はなさそうなので気になった方は観逃さないように。

山猫 / 辺獄の葡萄
牡丹茶房
新宿眼科画廊(東京都)
2019/06/08 (土) ~ 2019/06/18 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/11 (火) 14:00
価格2,000円
【辺獄の葡萄】
「山猫」から時を経た同じ山中、女系集落があるとの情報を得て取材に訪れたライターが見たのは「もう一つの地獄」……。
「山猫」とは舞台となる土地が同じだけでなく、(自粛:ネタバレBOXへ)な関連もあるし、設定その他が対照的でもあり対をなすシカケなので両編とも観ると相乗効果で面白さ倍増(個人差はあります(爆))、みたいな。

いざ、生徒総会
filamentz
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/06/11 (火) ~ 2019/06/17 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/11 (火) 19:30
価格3,800円
「国府台高校サーガ」最新作は第1話から第4話で四方の壁を作り、第5話でそこに屋根を乗せる、的構造の連作短篇形式。
その4話の内容も多彩で、そこにナイゲンや旗合戦/卒業式にいたキャラと通ずる部分のある人物も登場し、その意味で「国府台高校スターシステム」とも言えよう。
一方、監査はナイゲンとキャラは異なるものの、監査という役職と自分の心情の板挟みに悩むあたりが共通?
そうして迎えた第5話の前半は、近い将来国政レベルで起こるのでは?と肝が冷えたわ。
なお、シアター・ミラクルの一般的な使い方で言えば客席側・上手側・舞台側を客席とした三方囲み、「女優系」の方には普段の客席側ブロックの奥(角)をオススメ。

山猫 / 辺獄の葡萄
牡丹茶房
新宿眼科画廊(東京都)
2019/06/08 (土) ~ 2019/06/18 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/10 (月) 16:00
価格3,000円
【山猫】(3ステージ目)
山中でひっそり(?)暮らしている村長(むらおさ)とその息子たち、野生児のような娘と拉致された(?)母性の塊のような慈しみ深い女性が織り成す物語。
設定や雰囲気から鵺的「死旗」や鬼の居ぬ間に「土蜘蛛-八つ足の檻-」を連想。それらがお好きな方は本作も気に入るのではないか?
また、最近の某政治家の炎上発言に通ずる部分もあってニヤリ。
いやしかし男尊女卑の権化のような男たちがほぼクズばかりで、その対比もあって「野生児(台詞はなくせいぜい唸り声までなので表情や動作だけで感情などを表現するのがスゴい)」の世話をする女性が神々しくさえ見えてしまうんだなぁ。
そうして、「どう着地させるんだろう?」と思いながら観ていたが、訪れた結末に「あ、それな♪」と大いに納得。
あと、描かれている山中の雰囲気を伝える音響や炎の揺らめきを筆頭とした照明効果も芝居に臨場感を持たせるのに大きく貢献していたと思う。

令和元年のシェイクスピア
虚飾集団廻天百眼
中野ギャラリーO2(東京都)
2019/06/09 (日) ~ 2019/06/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/06/09 (日) 17:00
価格3,000円
かつては飲食店で今はフォトスタジオというシブい味わいの会場でのメタ気味な「パラレルワールドのマクベス」なオモムキの朗読劇(立ち位置の移動はあるし冒頭の3人の魔女などサラウンドだし、衣装も着けているが(笑))。
終演後に伺ったところによれば、ハイナー・ミュラーの「マクベス」の台詞も使ったそうで沙翁のマクベスと異なる展開はそれか、と得心。
また、通常の公演では生ドラムも加えての大音量の楽曲やド派手な演出で埋もれがちな各人の声が前面に出ていて、改めて「そうそう、この人の声はこうだった♪」と認識したりも。(声色の使い分けも含む)
こういう公演も時々演って欲しいような……。

たいへんよく生きました!
劇団ズッキュン娘
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2019/04/25 (木) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/04/29 (月) 16:00
座席G列17番
価格5,000円
この春先は悪く言えばベタ、良く言えば王道な物語が複数あったが、本作も「余命宣告もの」+「同窓会もの」というベタ中のベタ。(笑)
がしかし、その「旨味」を活かしつつズッキュンテイストもたっぷり盛り込み、その意味で「集大成」と言えよう。
本作の後はしばらく充電股間に入り演劇公演は休むそうだが、それを経ての「第二期ズッキュン娘」に早くも期待♪

ネオ☆マインドパワーカップ forE.S.M
QUEENS' LEAGUE
新宿スターフィールド(東京都)
2019/06/05 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/06 (木) 14:00
価格3,900円
5年前の演目の再演……というよりはリニューアル版。
金儲け新興宗教団体に取り込まれたお料理教室の仲間たちの運命やいかに?を寸劇的な場を重ねて語る合間にダンスやギター漫談(?)、よく当たる占い師の仕組みなどの「講義」が入るというバラエティー系。
5年前よりもイマの方がより現実に即しているかも???

無伴奏~消えたチェリスト
劇団東京イボンヌ
cafe&bar 木星劇場(東京都)
2019/05/02 (木) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/03 (金)
3日に14時の「消えた……」と18時の「無伴奏」を続けて観劇。
東京での演奏会を前に突然姿を隠した国際的な評価も高い気鋭のチェリストが訪れたのはかつて彼女が働いたこともあるペンションで……な物語。
初演も観ているが細部の記憶は薄れており、しかしチェリストとカメラマンのエキセントリックさが少しマイルドになったような?
また、初演の「観てきた!」に結末は深読みの余地があるように書いているが今回そいかんじなかったのはσ(^-^)の感性の変化か?
で、その結末、「消えた……」は婉曲、「無伴奏」は直接的な表現か?とも思った。
さて、7月のサンモールスタジオ版はこれを経てどうなるのかしらん?

10分間2019~タイムリープが止まらない~【ご来場ありがとうございました】
中野劇団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/24 (金) ~ 2019/05/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/05/24 (金) 19:00
価格2,500円
同じ時間をループしてそこから抜け出すべくあれこれ試すパターンの芝居では繰り返しの中に出オチの如く再スタートしてすぐにその「回」が終わるなどで変化をつけないと全く同じ長さを繰り返すうちにダレる危険があるので多少の不安と共に観始めたが、すぐにそれが本作では杞憂に過ぎないと気付き以降安心して観劇。
まずは基本となる、と言うかループが始まるまでのターンでもコント気味な小ネタが多数仕込んであり、それだけでもクスクス笑えるのに、ループが始まるとそれが伏線となっていることがワカったり、多段式ロケットのように回を重ねるとともに可笑しくなっているネタがあったり(例:「バニーガールの店」)あれこれ巧妙。
(店員の名札がある回だけローマ字になっているという小ワザも好き)
さらに、何度かループを重ねた後に主人公が妙に疲れているターンになったかと思っていたら三十何回目かになっているという大胆な(?)省略もあれば途中で事態が好転する見込みがなさそうで「この回は捨てた」と主人公が放り出すこともあって、バリエーションも幅広い。
そうする中で抜け出す方法を見出し、最終的にかつての仲間が再集結して映画を撮る方向に進むという結末もさわやかで、大変満足。

「ボードゲームと種の起源・拡張版」
The end of company ジエン社
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/06/02 (日) 14:00
価格3,800円
東京から地方に移住してボードゲームカフェを営もうとする男とその妻やゲーム仲間たちが織りなす物語。
同時多発会話や時や場所は異なるが共通する部分のある台詞・会話を続けて見せる「会話のコラージュ」はいかにもジエン社。(笑)
それに加えて本作ではこの作品のために創作したボードゲームでの選択・行動が現実パートにも取り入れられているのが特徴で、観ながらこれは「ゲームでの出来事を現実社会の出来事にするとこうなりますよ」ではないのか?という疑念が生じ、胡蝶之夢とかタマゴが先かニワトリが先かとかそんな感覚を味わう。(こういう感覚、好きなんだなぁ)
後でうかがったところによれば「自分が何者だかワカらない」状況を芝居で描くために、あのゲームを創り上げたそうで、大いに納得。
なお、開場時から開演まで、舞台上ではそのゲームがプレイされており、σ(^-^) が観た回は典型的なパターンが複数起こったのでそのゲーム展開も脚本にあるのか?という気もしたが、さすがにそんなことはなく、ガチのプレイだそうで……(笑)

ハッカ
ハダカハレンチ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2019/05/31 (金) ~ 2019/06/04 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/31 (金) 19:30
劇団ハッカは新作公演に18歳のアイドルを客演として迎えることとなったが、主宰で作・演出のヤスヲの筆は一向に進まず……な物語。
劇中劇(稽古場面)、劇中現実、ヤスヲの脳内(回想?幻想?妄想?)が渾然一体となっているので「今はどのパート?」と考えながら観るのが面白い。
劇中現実かと思って観ていると突飛な展開となり「実は劇中劇だったのか?それともヤスヲの幻想?」とか惑わされるばかりでなく、稽古場面にも巧みなシカケと見事な罠が仕掛けられているし。
また、劇中劇/稽古場面の台詞が詩的ながら意味不明(笑)な「いかにも昭和のアングラ芝居」風なので頬が弛む。
終盤で突き放すような台詞も出てくるが、それも含めて「演劇讃歌」と受け取った。
あと、こわっぱちゃん家の眞野たろすけさんの美術も「あ、なるほど眞野さんだね」だった。

ざくろのような
JACROW
座・高円寺1(東京都)
2019/05/29 (水) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/29 (水) 19:30
座席G列14番
価格4,200円
会社買収に翻弄される社員たち……な内容は会社合併を経験した身にとって「悪夢ふたたび」、いや初演も観ているので「悪夢みたび」か?(笑)
で、物語の「うねり」(というか買収劇に揺られる社内の様子というか)に乗っているジャンボジェット機が旋回や上昇下降によって前後左右に傾いては戻るような感覚(劇中の会社が零細企業や中小企業ではないので「乱気流にもまれる」レベルではない)を覚えたが、終演後に本作の演出上の(?)狙いを伺って当たらずとも遠からずだったな、とニヤリ。
あと、会場規模に合わせて大幅にグレードアップした装置がスゴかったなぁ。
その装置、後方が部分的に透けて見える構造なのでメイン舞台である部屋から出て行った人物が建物を出て道を歩いて行く様子を(後方の席からは)うかがえるのも良き効果。

カケコミウッタエ
日本のラジオ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2019/05/25 (土) ~ 2019/06/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/05/29 (水) 14:00
座席I列19番
価格2,500円
原作「駈込み訴え」の一人芝居版を2つ観ていた先入観もあってか印象が「一人芝居っぽい」。……と言うか一人芝居に再現場面を挿入したような?
しかしその一方で主人公以外の登場人物も皆アクが強くキャラが立って存在感を主張しているという二律背反アンビバレント状態なのがフシギ。
また、事前情報で構造を一部知っていた舞台美術も「まさかの使い方(笑)」で、なんと贅沢な。
前回といい今回といい、なんちゅー使い方を……次に使う機会があったらどうするのかという期待も膨らむ。
あと、メインの二人の役名、名瀬と粕井の由来は察したし、後で改めて当日パンフレットを見たらほぼ元ネタまんまなものも2つ。屋代さんによればすべての役名に意味があるとのことだが、それら4つ以外は察することができないのがちょっとクヤしい。(笑)