
決斗、高田馬場
タナトス6 プロデュース
タナトス6(東京都)
2008/06/28 (土) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★
実力伯仲
各人の一人芝居1編ずつとほぼ即興の合作1編という構成。この合作が単に2人の共演というだけでなく、それぞれが演じた作品のキャラの共演でもあり、一方の後日譚、もう一方の前日譚という複数の意味でのジョイント作品で、そのアイデアにも感心。
で、結局追加公演も(やや遅刻して)鑑賞。
なお、「どちらともいえない」なのはネタがマニアックなので、観る人を選ぶため。

A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM
G2プロデュース
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2008/06/22 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★
劇団BOOGIE★WOOGIEの勝ち
G2バージョンの『真夏の夜の夢』だが、終盤の献上芝居のシーンが妙に冗長で、順調に走ってきてそこそこの順位に食い込めそうだった長距離ランナーがゴールを目前にして歩き始めてしまい結局選外になってしまった、な感じ?
その終盤だけでなく、シェイクスピア作品でも普段とキャラが変わらない山内圭哉(笑)や、いつもながら声が良く歌も抜群なコング桑田など個別に良い人や良いシーンはあるのにそれが散発にすぎず、全体のバランスなどを考えるとこの4月に観た劇団BOOGIE★WOOGIE『シェイクスピア BOOGIE★WOOGIE』の方が出来がイイんじゃね?みたいな。(ちょっとだけ贔屓もあるけれど、かなりホンキでそう思う

Lucky cream soda
O-MATSURI企画merrymaker
シアター風姿花伝(東京都)
2008/06/26 (木) ~ 2008/06/30 (月)公演終了
満足度★★★★
キャラメルのノウハウを活かした作品
「小学生」「カレーショップ開店」「ヒーローごっこ」の三題噺的な物語、冒頭のヒーローもの系のシーンと続く小学校のシーン、それにカレー屋開店準備のシーンのつながりが(ストーリーテラーが年代は告げるのだけれど)すぐには判明せず、ちょっともどかしく、全体的にも具材(それも食材として良質)をたっぷり入れたはいいけれど、煮込みが足りず全体的に味が馴染んでいないカレーのような感が拭い去れないのが惜しい。
一方、記憶の世界に入る時の七色の照明や運動会シーンの傘を使ったバトントワリングやシャボン玉の演出はステキだし、作・演出が演劇集団キャラメルボックスの隈部雅則なだけに随所にキャラメル臭が漂っていて(ノウハウを活かしたと言うべきか?)ニヤリ。
なお、なんだかんだいいながらも30日の大楽も観劇。

いつもそこにはそらがある
劇団やったるDAY!
劇場MOMO(東京都)
2008/06/25 (水) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★
持ち味であるあたたかさ、優しさが存分に発揮されてホロリ
事故で両親と姉を失った主人公が営むパチンコ店と従業員たちの物語で、キャラのたった個性的な登場人物たちのエピソードをキッチリ描いている分、全体としての大きな流れに欠け「連作短編風」になってしまった感はあるが、その個々の力がまとまって結末に向かうあたりはここの持ち味であるあたたかさ、優しさが存分に発揮されてホロリ。

Root Beers ~ルートビアーズ
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/25 (水)公演終了
満足度★★★
甘さと苦さが同居したルートビアの味わい?
ヤクザの兄貴分を中心にしたオトコ臭い物語。
とはいえ、その兄貴分がフトしたキッカケから記憶を失って…ということで笑える部分も少なからずあり、いつそれがバレるかハラハラしながら観ていると終盤で一転して「おっと、ビターエンドか?」という方向になり、しかしある意味ハッピーエンド(主人公にとってはどうなんだろうか?)で終わるというのが鮮やか。そのあたりは甘さと苦さが同居したルートビアの味わい?…なんつって、ルートビアの味を知らない身の想像による無責任発言だ。(爆)

カムイノミ
演劇ユニット東京スタイル
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2008/06/19 (木) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
アテルイ!
タイトルやフライヤーデザインからアイヌものと思いこんでいたらアテルイの物語で、そういえばチラシなどに「亜弖流為」の文字はあったワケで、それを読むことができていれば予習してきたのに…みたいな。
がしかし、6年前のInouekabuki-Shochiku-Mixの記憶が若干残っており、しかも非常にわかりやすい上にOPとEDのほか劇中にも生歌があるし、和太鼓の生演奏はあるし、イリュージョンも使うしという演出が良く、さらに殺陣担当がATTの根本太樹でATTメンバーも3名出演など、魅力たっぷりで休憩なし2時間40分という長尺も体感時間は2時間程度。
和太鼓やイリュージョンも使いすぎるとクドくなるところ、「もうちょっと使えばいいのに」と観客に思わせる程度にとどめる潔さもイイ。
また、テーマもσ(^-^) の弱点の1つ(笑)である「戦いの無益さ」で、「ヤマト軍も北の民だ」なんて台詞が印象に残る。

バックステージパニック
PADETRE
Studio twl(東京都)
2008/06/21 (土) ~ 2008/06/21 (土)公演終了
満足度★★★
実験的な組み合わせ
基本的にはナマの短篇4編と映像作品1編という構成で、今まで観た2回(1st, 4th)は短篇のうち2本がコント系、あとの2本が1シチュエーションのショートコメディだったのが、今回はコント系がなく、最後にオチのある短篇3本に講談(!)1席(と映像作品1編)という実験的な組み合わせ。
過去4回のうち3回演っていたガンダムの名台詞応用コントがなかったのはちょっと残念ではあったものの、講談という新たな試みはあるし、ラストの1編が毒々しいまでに濃いキャラあり1人5役をこなすラストありと凝っていて、結果的には満足。
さらに、今まで月1ペースで行なってきたところ、7・8月は休んで9月から再開するということもあってか、カーテンコールはそれぞれが個人芸を見せるというもので、これもタップあり瞬間芸ありと個性が出ていて楽しかったし。

俺を縛れ!
柿喰う客
インディペンデントシアターOji(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
初の時代劇
冒頭、劇団☆新感線(シリアス路線の方)にも通ずるようなシーンが展開され、そこでの台詞がタイトルというキャッチーな入り方で、以降は歴史アクションものという新境地。そもそも時代劇は初だそうだし、いつもより「不道徳さ」(笑)が控えめなので普段と趣を異にする…と思いきや、終盤での飛び道具を飛び道具として使った混沌・混乱はやっぱり柿(爆)だし、そこからのオチのつけ方も上手くて2時間15分という従来比長めの上演時間も気にならず。
なお、26日マチネで再見。

つづきのとちゅう
空晴
劇場MOMO(東京都)
2008/06/19 (木) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★
ある意味ズルい?(笑)
ランニングシアターダッシュ時代から岡部尚子の書く芝居はそこはかとない笑いの中にじんわりと優しさが浮かび上がってくる、というスタイルだったのが今回は序盤から一方の勘違いにより僅かに噛み合っていないけれど全体的には成立してしまう会話で大いに笑わせるという。
またここでの会話が(「大阪の人って日常的にもボケとツッコミで会話するんでしょ?」な偏見もあるとはいえ)リアルでテンポがイイし、勘違いだと分かった時のリアクションも非常によくその心境が表れていて…。
が、これが中盤で思いやりや気遣いを強調したハートウォーミング系に急転するもんだからその落差が大きくて、ある意味ズルい?みたいな。(笑)
そのせいかどうか、本編中ではホロリとしなかったけれど、カーテンコールの頃になってじわじわと心にしみてきて…。え、それは単にニブいだけだろうって? いやいや、剣術の名人に斬られた場合はしばらく経ってから気付く、みたいなモンですよ。(爆)
あと、やはり終盤の台詞には劇団員一同の「ある想い」が込められているような気がして、それで泣けたというのもあるのだけれど。

カイシャ
TEAM JAPAN SPEC.
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★
娯楽要素もたっぷり盛り込んだ秀作
経営が悪化した名門企業に招聘された建てなおしの専門家(&そのチーム)と若手営業社員を中心に描いた作品。
一見堅苦しいと思われる題材を、ミーティング中の資料(キャッシュフローなど経営・財務関連のチャート)を壁面の大型ディスプレイに表示したり、当日パンフに用語解説を載せたりという工夫で分かりやすくし、スリルと感動という娯楽要素もたっぷり盛り込んだ秀作。
終盤の会長室シーンでの逆転劇の痛快さとそれに続く営業2課の面々が再集結するシーンの感動は特筆もの。
また、舞台となる4ヶ所(株主総会会場、営業2課、建てなおしチームのルーム、会長室)を簡単な換装で表現し分ける装置のアイデアもなかなか。

雷神ウツボ
ひげ太夫
萬劇場(東京都)
2008/06/12 (木) ~ 2008/06/16 (月)公演終了
満足度★★★★
無国籍・無時代の神話・伝説風英雄譚
いつもながらの無国籍・無時代の神話・伝説風でスケールが大きいような小さいような(笑)英雄譚、アクションあり笑いありで非常に楽しい。
また、前回披露した四段やぐらを、前回よりも少ない人数でやってのけたのはスゴいし、主人公・ウツボの稲妻攻撃を相手が避雷針でかわすシーンで稲妻と避雷針を擬人化で表現したのとキティちゃんの顔を7人くらいで表現したのがツボ。そういう発想が何とも素晴らしい。

日射し
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2008/06/14 (土) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
一粒で二度おいしい
今回はRAKENOH+の長堀博士による脚本(3度目の提供)、前半の朗読劇風のパートはそちら寄り、それが途中で一転して SPIRAL MOON 寄りになるという「二段階構造」で、どちらもよく観ている身には盆と正月が一緒に来たよう?(笑)
この2つのパートの場面転換もアイデアが凝らされており、前半の布に覆われた抽象的なものが、短時間で次々と布が外されてリアルな日本家屋が出現するのにはビックリ。
そんな中で描き出されるのはある家族の物語。前半で家族の歴史を語っておいて、後半は三姉妹が集ったある日のひとときを切り取って見せるという構造、座敷童(笑)のようなフシギな登場人物もからませて、適度な笑いもはさみながら、持ち味であるふんわりとしたあたたかさに包まれるような感覚が心地良い。
なお、18日にE列8番でリピート

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」
演劇集団キャラメルボックス
シアターアプル(東京都)
2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★
水平線の歩き方
主人公が帰宅すると23年前に亡くなった母がそこにいて…という「異人たちとの夏」を思い起こさせるような始まり方で、二重の意味で弱点を突かれるかと思ったら…(以下ネタバレに続く)

「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」
演劇集団キャラメルボックス
シアターアプル(東京都)
2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★
ハックルベリーにさよならを
敢えて常套句を使えば「少年期の旅発ち」を描いて爽やか。かつてのステージ写真でカヌーのパドルを持って川下りをしているような人物2人のシーンをよく目にしていたが、アレはあんな流れの中の1コマだったのか、と大いに納得。(以下ネタバレに続く)

絡ませたり縺れさせたりしたらほどかないとダメだよ!!
劇団ノーティーボーイズ
ザ・ポケット(東京都)
2008/06/10 (火) ~ 2008/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしさと新鮮さが同居
この劇団との出会いとなった『絡縺』(03年1月)の改訂版で、大筋(と部分的な細かいギャグ)は覚えていたものの細部は記憶から飛んでいたし、しかも改訂によって登場人物が1人増えて終盤の展開が異なったりもするので懐かしさと新鮮さが同居、的な?
また、いつもながらボケとツッコミが見事なまでにかみあっているテンポ良い会話が秀逸で大和(作・演出)の会話センスに改めて感服。

ジェントルマンズキッチン
劇団6番シード
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/06/11 (水) ~ 2008/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
『最後の1フィート』とリンクも
客足が減って経営がピンチとなった下町の弁当屋が、目にしたチラシにすがるような気持ちで有名店を渡り歩いた男を呼んだが…という物語、若干類型的ではあるが、最大のピンチに伝説の男,(?)が「船長が船を見放してはイカン」と叱るところがやはりイイ。こういう時の年長者の言葉って、深いんだよね。
さらに終盤には前月公演『最後の1フィート』の出演者がその時の役・設定のまま登場するというリンクまであって、このテのサービスって好きだなぁ。しかも、ちゃんと必然性のある出方なので『1フィート』を観ていなくても意味がわからないなんてことがないのが上手い。

セピア色した風の中で・・・
カートエンターテイメント
SPACE107(東京都)
2008/06/06 (金) ~ 2008/06/15 (日)公演終了
満足度★★★
舞台に登場しない龍馬の姿がクッキリ
龍馬の死によって精神的支柱を失った若き海援隊士たちが動揺しつつも立ち直る姿を描いており、昨年12月のMK-Box作品と同じ題材ではありながらかなり印象は異なり、アチラはソフトタッチ、コチラはハードボイルドな感じ? が、龍馬が舞台に登場しないにもかかわらずその姿がクッキリと劇中に浮きあがって来るのは共通。
終盤の殺陣は片や若き海援隊士、片や海賊、とどちらも剣術をキチンと身につけていないということがよくわかる「ケンカ剣法」のようなもので、これもリアリティあり。

帰って来た蛍
カートエンターテイメント
SPACE107(東京都)
2008/06/06 (金) ~ 2008/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
平和な時代のありがたさを痛感
太平洋戦争末期、鹿児島の陸軍航空隊知覧基地近くで富屋食堂を営み“特攻の母”と呼ばれた富濱トメとその家族、および宮川三郎ほか特攻隊員たちを描いた実話ベースの物語。
間もなくその命を散らせに出撃することが決まっている若き特攻隊員たちの姿が切なくてほぼ終始眼が潤みっ放し。また、たとえ女学生であっても米軍の攻撃対象になりやすい基地への勤労動員があるワケで、今さらながらに平和な時代のありがたさを痛感。
忘れてはいけない、伝えていかなくてはならない戦争の悲惨さを訴える作品として、今後も機会あるごとに再演して欲しい。

青春荘の人々2
ペテカン
新宿シアタートップス(東京都)
2008/06/07 (土) ~ 2008/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ミュージカルシーン!
しっとりとした前回公演『彼のことを知る旅に出る』とは真逆のコメディで、貧乏下宿の愛すべきダメ人間たちを描いた前々回公演『青春荘の人々』の続編。
今回は住人カップルの結婚騒動を中心にして、それぞれのダメさ加減などで大いに笑わせてくれるが、特にビックリしたのはミュージカルシーン。ちゃんとミュージカルナンバーっぽい凝ったツクリの曲で全員参加、某人気ミュージカルのパロディまでアリという。
さらに、舞台にピンスポを登場させて通路での演技者にスポットを当てるなんてことまでやってのけるとは!

colorchild compact
colorchild
LIVE HOUSE GRAFFITI(東京都)
2008/06/07 (土) ~ 2008/06/08 (日)公演終了
満足度★★★★
普段とは趣を異にする
タイトル通り出演人数、作品サイズともコンパクトで、アクションやアドベンチャー要素は控えめながら、その分ハートウォーミングおよびロマンティックな要素が割増で、普段とはオモムキをコトにする感じ。
一方、ありとあらゆるものを演じてしまう手法はいつも通りふんだんに使い、アメリカの片田舎に住む老夫婦のちょっとしたケンカから仲直りまでを若い頃のロマンスも交えて語る語る。
また、「愛しているとは何度も言ってきたが、これは言わなかったな。ありがとう。」というラストの台詞にはホロリ。