じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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LoveLoveLove13

LoveLoveLove13

劇団扉座

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★★

中では「我が町」が特に気に入る
「ロミジュリ」の有名シーンをタテ軸に、様々な「Love」(必ずしも恋愛ではない)を描く短篇を織り込んだシリーズの13回目。
WSSの「Tonight」からロミジュリのティボルト殺害のシーンにつなぐのは毎度のお約束らしく、しかしイイトコ取りと言おうか見事だし、他の短篇もなかなかにイイ出来。
中では「我が町」が特に気に入る。すみだパークスタジオで稽古する研修生たちの日常を描いたもので広義のバックステージものと言おうか一種の青春群像劇と言おうか、いずれにしてもσ(^-^) の好きな題材である上に、実際の建物などをミカン箱くらいのミニチュアサイズで表現した段ボール製の装置(←阿佐南とはまた違った感じ)が見事。「錦糸公園」のネームの入った石の入り口なぞかなりリアルだし、総武線が停車している駅は途中でちゃんと電車が発車するし…(笑)
他に「はだかの王様」っぽい「北川景子」や意外なオチの…(ありゃ、当日パンフにはさまっていたタイトルリストが見つからない)…結婚式場での出来事も好き。

銀幕心中

銀幕心中

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★

「カツドウ屋」の世界・心意気
ベテラン映画監督が急死しての通夜にプロデューサー、脚本家、カメラマン、常連の俳優が集まり、僅かに撮り残した最新作の今後についても検討し…な物語。
こことの出会いであった『ウェルズ』と同じ作家の作品ながら、監督の死因が死因だけにブラックな笑いも少なからずあり、オモムキはかなり異なる。(チラシにも「抱腹絶倒」なんてコトバがあったし)
が、中盤で監督の霊が登場してから終盤にかけての劇中劇(厳密には「劇中映画」?)と劇中現実が微妙にカブるあたりで伝わってくる根底に流れる「ナニカ」に共通するモノがあるようなないような…(爆)
また、「カツドウ屋」の世界・心意気を描きながらも、極めて演劇的な表現方法をとっており、終盤の構図の美しいことといったら。下手に立つ霊とほぼ中央で進行する映画のクライマックスにふりかかる花びらの図は一幅の画の如し。(見返り気味の霊に既視感があるのは何だろう?)

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】

DULL-COLORED POP

タイニイアリス(東京都)

2010/02/02 (火) ~ 2010/02/04 (木)公演終了

満足度★★★★

三題噺どころか十題噺に幸福論(不幸論?)まで
出演者が自分の役どころを指定してそのキャラクターを使ってストーリーを紡ぐという企画、出来上がったのは高尾山で首を吊ろうとしていた女性のもとに宇宙人たちが現れ、彼らの「分倍河原星」(笑)には「不幸」の概念がないので研究に協力して欲しいと「しあわせインプラント」を施した彼女の観察を始めるが…という物語。
三題噺どころか十題噺、いささか強引な部分もありつつちゃんと1本のハナシになっているどころか幸福論あるいは不幸論まで語ってのけるというのが見事。
また、過去に観たダルカラ作品2本はどちらもシリアス系だったので、こんな面もあったのか、な発見もアリ。
過去の2本からは劇中で「ラムのラブソング」を歌って踊るなんて想像もできないもんね(笑)
さらに、一部意外と思われる顔合わせも妙にハマったキャラ(中では宇宙人とアル中のニートが好み)のためもあってかシックリと馴染んでいて、事前に耳にした批判的な声にかすめた不安は杞憂に終わり結果は満足。

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

MU

OFF OFFシアター(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

そして仕上げのBバージョン
まずは「ゴージャス…」。初めて通る時は遠く感じた道が、2度目には近く感じて、3度目は周りの景色を見る余裕もできた…な感じ。
しかも「女優系」かつ「オイしい物は最後に食べる」タイプの身にとって、この順は願ったり叶ったりだし。(爆)
ただ、短期間に3度も集中して観たせいで今後チャイコの「1812年」を聴く時にいくつかの場面が目に浮かんでしまうという “後遺症” が出そう。いや、実はこの2日後に試しに聴いたら案の定「ナルシスト~だ~よ~~~」という歌詞まで脳内で再生されてしまって…(笑)

また、「めんどくさい…」の(C)で元教師役だった川添美和が、こちらでも元教師という設定(←(B)のみ)なので、勝手にアタマの中でリンクさせたりもして…。いや、どちらかと言えばパラレルワールドか。(笑)
一方、「めんどくさい…」については(A)が直球、(C)が変化球、(B)はビーンボール?(爆)
あるいは(A)がブレンド、(C)がカフェオレで、(B)はコーヒースカッシュ?(笑)
喩えずに言えば、基本形→応用編→パロディ編ってところか。

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

MU

OFF OFFシアター(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

続いてCバージョン
「ゴージャス…」は男ばかりの(A)では特殊性(笑)を感じたのが、男女混成となりバランスが良くなった感じ。が、マイルドになったと言い換えることもでき、考えようによっては毒が薄くなったかも?(爆)

「めんどくさい…」は、情夫を高校生に設定したのが(A)よりもさらに「病める現代」っぽくて愉快なのだが、芝居に関する部分が「それって演劇部のこと?」になってしまうのがやや苦しい。(笑)

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

ゴージャスな雰囲気/めんどくさい人(千秋楽満員御礼で終了しました・感謝!御感想お待ちしています)

MU

OFF OFFシアター(東京都)

2010/02/03 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了

満足度★★★★

まずは初日のAバージョン
ビルの5階、ひょんなことから4人のナルシスト達(というより自己顕示欲のカタマリのような面々)に軟禁された1人の男…なストーリー、状況設定的にも非常に小劇場的。
また、男が軟禁されることになった理由にしても、ナルシストたちの主張にしてもどこかズレていて、大笑いではないけれど「クックック」とか「ニヤリ」とかの笑いが満載。
それにしてもナルちゃんって目茶苦茶ポジティブ。あんな状況でさえチャンスと思ってしまうとは…(笑)

「めんどくさい…」は大金を手にして情夫を買っている女性のおハナシ。
舞台役者が枕営業をしていたのに次第に主客逆転でデリボーイがメインになったなんて設定が可笑しく、でももしかするとあるかも?などと思ったり…(笑)
また、一般的には「逃げた」とすることの多い「青い鳥」を「死んだ」とするのが象徴的。それも「生きているだけでそのストレスから発狂して死んでしまう」なんてシニカル。

北枕動物園へようこそ

北枕動物園へようこそ

K.B.S.Project

高田馬場ラビネスト(東京都)

2010/01/30 (土) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★

初演と比べ落差がより大きくシリアスさを強調
08年10月の初演と比べて前半は下ネタも含めてさらにノーテンキ(笑)になった感じ? だもんで動物たちを殺さなくてはならなくなる後半との落差がより大きくなり、それだけシリアスさが強調された感じか。
また、動物を殺すために薬物を塗布した餌を人間が飢えから食べてしまうシーンは(結果的に命をとりとめるとはいえ)コワいし哀しい。
さらに、初演時にも思ったが、エピローグの落とし方が他に類を見ないほど予想外で「そう来ましたかぁ」みたいな?

異説 卒塔婆丸綺談

異説 卒塔婆丸綺談

しゅうくりー夢

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2010/01/28 (木) ~ 2010/02/07 (日)公演終了

満足度★★★

140分の長さを感じさせないのはさすが
卒塔婆丸に乗った海賊たちが襲った商船には政略結婚を嫌がり嫁ぎ先に向かう道中で侍女と共に姿をくらませた水戸の藩主の娘(=姫)も隠れており、そのことが海賊たちに予測できない事態をもたらし…というアクション時代劇で、幕末秘話であったりもするという娯楽作。
姫を探す側にもこの騒動を利用して成りあがろうとする者がいたり海賊たちが根城としている島には土佐弁の男が漂着したりで様々な思惑が交錯し、どんでん返しを経て秘話が秘話のままに終わった所以まで語る波乱万丈のストーリー、時に殺陣も交えて140分の長さを感じさせないのはさすが。
ただ、冒頭で主人公側たる海賊たちが商船のクルーを斬っているのがちょっと気にかかる。抜け荷だったような気もするが、斬られて当然という悪人でもあるまいに。『ハムナプトラ』でも似たようなことがあったが、これってどうよ?
一方、姫と侍女のキャラクターが良く、それゆえ「実は…」の前後とも納得できるのが巧い。
また、慶応3年11月15日の「事件」を外側から描いたというか、「京都の近江屋でアイツをヤってきた」なんて台詞をサラリと入れるのにニヤリ。
しかし当日パンフの配役欄に「才谷梅太郎」の名前があるのはある意味ネタバレ。「漂着した男」程度にしておけば、オープニングで紋を見た時あるいは劇中で名乗った時に「お~~~っっ!!!」となるのに…

sirenoye

sirenoye

幻想芸術集団Les Miroirs

アトリエ・カノン(東京都)

2010/01/30 (土) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

独特のムードを醸し出す
団体名の肩書きが「幻想芸術集団」で公演も「耽美童話の会」と銘打っており、詩的な台詞や衣裳・メイクから独特のムードを醸し出して、ちょっと宝塚チック、あるいは少女マンガ的な?(笑)
とか書きながら、実は一番強く感じたのはトーキーになって間もない頃の(…いやむしろ「サイレント時代の」か?)欧羅巴映画のようなオモムキ(あるいは格調とか古風な雰囲気とか)があるということ。
で、実はこれを書きながら気付いたのだけれど、オープニングや劇中で映写された映像が往年の8mmフィルム(それも経時変化により画面にノイズの入った)のようで、それと生の演技が脳内で結びついた結果なのかも?
ところでシレーヌ(セイレーン、ローレライ)の語尾に「noye」を付けるとどんな意味になるんだろう?(仏和辞典がどこかに埋もれてしまって調べられないのだ)

ノート/トーン

ノート/トーン

ミズノオト・シアターカンパニー/Ms. NO TONE Theater Company

テアトロ ド ソーニョ(東京都)

2010/01/29 (金) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

「考えるのではなく感じる」系
冒頭、授業のシーンから始まるので「銀河鉄道の夜」を連想。(「ではみなさんは…」ってね(笑))
以降はストーリーを物語るのではなく音楽と芝居のコラージュ的で、これまた「考えるのではなく感じる」系(笑)の作品、そういったことでは音楽で言えば「現代音楽」、それもミュージック・コンクレート寄りってところ?
…などと思って改めてチラシを読むと「音階に焦点をあて、感覚を可視化する試みです」とあり、さもありなん、的な。

Dragon Question!

Dragon Question!

渡辺晃プロデュース

萬劇場(東京都)

2010/01/28 (木) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

結果的には一長一短
チラシやホムペで体感ゲームの仮想現実内でのストーリーであることが明かされていたので、昨年観た2本のみならずそれ以前にも観たことのあるパターンかと思いきや、ゲーム内で現実とリンクしているのは主人公のみという設定なので内容的にはそれらとはかなり異なる感じ。
で、“裏の自分”が対戦相手で、そのイヤな部分が終盤では入れ替わりかけていて、なんて発想が見事。なんだか身につまされる…(爆)
が、「練習ステージ」の部分がやや長く、主題部分に入る(“裏の自分”が登場する)のは半分近く過ぎてからというのがちょっと全体のバランスとしてよろしくないような。(上演時間も125分だし)
さらに、ゲーム内の戦況と現実での容態(主人公は現実界では事故に遭って生死の境をさまよっているのだ)をもっとリンクさせた方が良かったのではあるまいか。せっかくの設定が今一つ活きていないようなのが惜しい。
いや、書いた量からすると批判的な部分が多いが、自分のイヤな部分を直視するという発想(そう言えば99年11月の劇団第三反抗期『うわっ!増えちゃった』もその系統で好きだった)が良くて、結果的には一長一短ってところ

The Stone Age ブライアント『胸に突き刺さった5時43分21秒』

The Stone Age ブライアント『胸に突き刺さった5時43分21秒』

The Stone Age ブライアント

サンモールスタジオ(東京都)

2010/01/27 (水) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

後味の悪さが斬新!(笑)
タイムマシン学校の生徒3人が校長の命を受け、卒業試験に落ち続けている者の合否を確認するために1ヶ月後の世界に送られるが…なSF風学園系物語。
その落ちこぼれが近所にある教会の落ちこぼれシスターとともに逃げ出すのではないか?な心配もさせて結局は無事合格という基本に忠実な結末…と思わせておき、実際の1ヵ月後を見せるエピローグでそれを覆すというオチに驚愕。ありがちなパターンと真逆な後味の悪さが斬新!(笑)
が、終演後に知人からかつて近鉄が優勝できなかった時のことがベースになっていると聞き、大いに納得。(言われてみれば登場人物の名前も当時の選手だし)
また、全身タイツのような迷彩ウエア(履いていた上履きの塗装は出演者がやったそうな)での光学迷彩の表現や、舞台となる公園にある龍をかたどった遊具のデザインなどが◎。

幕末異聞 夢想敗軍記

幕末異聞 夢想敗軍記

劇団パラノイア・エイジ

SPACE107(東京都)

2010/01/27 (水) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

全くのフィクションに説得力を与えて…
元新撰組十番隊組長で彰義隊に加入して上野戦争での負傷がもとで死亡したハズの原田左之助が山形の庄内藩に現れ、永倉新八も彼を追って…という「生き延びてモンゴルに渡りジンギスカンになった義経」的な物語。
そんなわけで全くのフィクションではありながら、史実や伝聞・新聞記事(永倉の得意技であった龍飛剣を若者に教える左之助とか龍馬暗殺加担説、大陸に渡って馬賊になり日清戦争にも参加したという説など)を加えることで説得力を与えるのが見事。
また、表面的には積極的に英語を使う藩士がいたりカートリッジ式の銃弾を使うライフルが登場したりすること、内容的には侍としての生き方が難しくなりつつあると示すことなどで、侍も残っていながらその時代が終わりを告げる頃(設定上は明治元年の晩秋とか)の出来事だというのが読み取れるのも巧い。
さらに「死に様ではなくいかに生きたかである」とする主張も「生きろ!」派として◎。
と、基本的にはシリアスでありつつ、登場人物の大半が話す「庄内ことば」の語感からどことなくユーモラスな雰囲気も漂い、そんなあたりはちょっと『椿三十郎』チックか?
そういえばオープニングで「あんな曲」を流す上に黒装束なこともあって左之助が時々ミフネに見えたりも…(笑)
あと、ひげがないどころか日本髪に和装の成田みわ子を目にすることができたのは貴重。(笑)

悪ノ娘

悪ノ娘

X-QUEST

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/01/27 (水) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★

ズシリとした重量感アリ
原作ものとはいえ、その原作が小説やマンガではなくストーリー性のある歌(複数)ということもあって「トクナガ色」も色濃く出された(何度か上演された『色彩組曲』と近い系統だし)架空のピカレスク系大河歴史もの(やはり中世ヨーロッパ系?)で、ズシリとした重量感アリ。
しかも出演者数35人という大所帯にいつも以上に気合いの入った(笑)衣裳もあり、通常より若干高めとはいえ小劇場系の料金でこれだけのものが観られるのはおトクでは?(これを機に今後の公演がこのレベルの料金にならないことを切に祈る)
出演者と言えば、ATTやASSHも観ていた身にとって往年の「忠臣蔵映画」的な顔合わせ、みたいな?(笑)
また、旗を使ったアクションも◎。(受けるATTメンバーあってのものか?)
で、ラストはどうせならあのまま生き延びた方が「悪(と言ってイイのか?というのは置いといて)は滅びず」な皮肉が利いたのではないか?などと思ったりも…。
ただ、得意の(?)言葉遊びがあまりなかったのはちょっと残念か。

パニ・パニ・パニック

パニ・パニ・パニック

CAP企画

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

深み・奥行きがさらに増した感じ
阪神大震災で避難所となった朝鮮人学校を中心に描いたもので、前作『人 ~サラン~』(08年2月)で描いた在日をめぐる感情・心情に震災被災者の「いたみ」や親子ネタも絡ませて、物語の深み・奥行きといったものがグッと増した感じ。ちなみに前作の7年前の出来事になるそうで、11月の第3回公演は“「人」三部作 最終章”とのことでそれにも期待。
主な登場人物の紹介となるスケッチ集的ないくつかのシーンの後に地震が起こる導入部、つぶれた家の下から助け出される人や救い出されたものの息絶えていた人などの描写が胸に迫る。
その後は中心部分である避難所での人間模様となり、どちらか一方だけを批判するのでなく、日朝それぞれに偏見があり、簡単に溝を埋めることはできなくても、少しずつでも理解していこうとすればいつかうまく行くのではないか、とするのがイイ。(それだけ問題が大きいというのもあるが)
で、終盤での悠介と父との関係に日朝および南北の関係を重ね合わせた台詞は秀逸。ここは中でも特に素晴らしい。
しかしその後の悠介の姉が語る「つぶれたケーキ」のエピソードでホロリとさせ、そこを何とかのりきったと安心させておいて、父の友人による「悠介が生まれた時の話」で追い討ちをかけるのは卑怯!(笑)
また、性同一性障害のエピソードまで盛り込んだのは欲張りすぎという気持ちと、根底に流れる「生きてゆくこと」というテーマの補強としてあった方が良いという気持ちがせめぎあってフクザツな心境になったのだけれど、しばらく後にその原因が「ここでこのような形で使ってしまうのはもったいない」「このテーマともう1つくらい何かを絡めたら1本の作品ができるのではないか」ということだったと気付いて自ら納得。
あと、クライマックスの蛍光塗料による寄せ書きと共に舞台後方に現われるイルミネーションが「人」になっているというのも◎。

シンクロナイズド・ガロア

シンクロナイズド・ガロア

ユニークポイント

「劇」小劇場(東京都)

2010/01/26 (火) ~ 2010/01/31 (日)公演終了

満足度★★★

そう来ましたかぁ
紹介文とタイトルから「ガロアの生涯を学生の1人になぞらえて描くのか?」と思っていたらさにあらず、「そう来ましたかぁ」というか、「まんまじゃん!」というか、なスタイルだったのにはニヤリ。
で、例によってガロアの生涯を(往路の電車内から開演直前までの付け焼刃(爆)とはいえ)wikipedia で予習したことが役に立ち、また、安田講堂への放水の図、は目に焼き付いているものの詳しくは知らなかったその発端や経緯を改めて知ることができて「手術台の上のミシンと蝙蝠傘の出会い」的な内容を楽しむ。
それにしてもガロアの生涯を劇中劇で描くとは、ヤられた…(笑)
また、「シンクロナイズ」というところまでいっているかどうかは別としてガロア謀殺と東大紛争終結の黒幕をカブらせるような描き方が上手い。
あと、ダークグレーの装置に式や言葉(当時安田講堂に書かれていたものだとか)をチョークで書きこむ(数式だけなら湯川准教授なんだが…(笑))演出も面白い。

急襲キルフィールド

急襲キルフィールド

芝居流通センターデス電所

駅前劇場(東京都)

2010/01/24 (日) ~ 2010/01/26 (火)公演終了

満足度★★★

若干肩透かし気味
七つの露天風呂がある温泉郷の二軒の対立する旅館と宿泊中のアヤしい客を描いた「音楽劇」(と言っていいのか?「時々歌とダンスが入る芝居」にとどめた方がいいのか?(笑))、相変わらず内容は不道徳(爆)ながら、今回はヤケにマイルドな印象。
最終局面をS.E.だけでスキップして一旦結末を見せた後でエンドクレジトバック(J.チェン映画のNGテイクとか)のようなカタチで殺し合いを描写したからか?
これはこれで悪くないのだが、思いっきり不道徳とか血まみれとかを期待していた(爆)分、肩すかし…みたいな?(笑)
一方、電子ピアノ&鍵盤ハーモニカ(←これが一般名称)の生演奏も伴う音楽(歌モノ+インスト)はいつもながら愉快っちゅうか楽しいっちゅうか、満足度高し。

爾汝の社 再来

爾汝の社 再来

THE REDFACE

d-倉庫(東京都)

2010/01/20 (水) ~ 2010/01/26 (火)公演終了

満足度★★★★

脚本・演者・キャスティング・演出の相乗効果で観応えアリ
吉原の遊廓「くるり籠」を舞台に12人の遊女と女将が織りなす物語、当日パンフによれば、新宿2丁目のゲイバーの物語を書こうとしていたら江戸時代の吉原が脳内を占拠して結局男性だけで遊女を演じる作品が出来上がり、しかし初演の稽古場を訪れた女優さんたちが演ってみたい!と言ったので今回の男組・女組(&シャッフル版)での再演になったそうで。(フトコロ具合の関係で女組のみ観劇)
各遊女が個性的な上にそのそれぞれにドラマを持たせた脚本とそれを演ずるキャスト陣、さらにはキャスティングとその演者の個性に合わせた(←推測)演出が相俟って観応え十分。それぞれのチカラが存分に発揮されている、な感じ。
女将に怨みを抱く霊によって悲劇が起こるも残った者たちが力強く歩き始める締め方も良く、ちょっと桟敷童子に似た感覚もアリ。
また、途中で命を落とす遊女の霊が終盤の大ピンチの時にみんなを導くなんてあたりも上手いと言うかσ(^-^) 好みと言うかイイ感じ。
さらに、装置の背景には古色蒼然たる屏風が2枚使われていて、美術さんの作品ではなく本当に古いものなんだそうな。これがまたシブくて、芝居をより説得力のあるものにしていたかも。
ただ、音楽を使いすぎるのはいかがなものか? かなりの場において音楽が煩わしく感じてしまう。σ(^-^) の世代にとってはスタンダードな映画音楽で思い入れさえある『ある愛の詩』なんかを使われてしまうと気が散るというのもあるし。
それどころか台詞があるシーンに日本語の歌詞の付いた歌を流すのは台詞の妨げ以外のナニモノでもなく、なんでそんな選曲をしたのか理解に苦しむ。
静寂がコワいのかもしれないが、もっと役者の演技を信頼しても良いのでは?

ロング・ミニッツ-The loop of 7 minutes-

ロング・ミニッツ-The loop of 7 minutes-

FOSSETTE×feblabo×エビス駅前バー

エビス駅前バー(東京都)

2010/01/22 (金) ~ 2010/01/28 (木)公演終了

満足度★★★

初演と比べて一長一短
カウンター席だけで展開されたDART’Sによる初演とは異なり、中心となる3人を『ゆらぎり』で使った奥のエリアに配置したことで観やすくなった一方、初演の「覗き見」的な感覚が好きだった身にとっては臨場感が減と言おうか「普通の芝居」に近くなってしまったと言おうかなのがちょっとだけ残念。ま、一長一短といったところか。

ゆらぎり【脚本:成島秀和(こゆび侍)×演出:古川貴義(箱庭円舞曲)】

ゆらぎり【脚本:成島秀和(こゆび侍)×演出:古川貴義(箱庭円舞曲)】

FOSSETTE×feblabo×エビス駅前バー

エビス駅前バー(東京都)

2010/01/22 (金) ~ 2010/01/28 (木)公演終了

満足度★★★★

共感したりおののいたり(爆)
バーでの(基本的には)二人ずつの会話を重ねてゆくスタイル、あるシーンの会話がそのまま次のシーンで相手に伝えている内容であったり回想であったりとほぼシームレスにつながっており、それをスムーズにつなぐための立ち位置もまた絶妙。会場奥のエリアをスタンドバー的に使ったことの勝利、的な。

ネタバレBOX

内容も浮気疑惑に仕事上のやっかみも絡ませて身近というかリアルというか「あるあるあるある」みたいな…。
コトの意外な真相も含めて共感したりおののいたり(爆)しながら楽しく観る。

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