
雷ケ丘に雪が降る
ACTOR’S TRASH ASSH
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
まさしく「ネオ・フィクション時代劇」
時代劇でなくてはならない設定でありつつ従来のチャンバラ活劇とは異なり、さらには「いのうえ歌舞伎」とも異なるあたりが「ネオ・フィクション時代劇」たるところか。
「日本刀版レディ・スミス」であると同時に身体能力を活かした殺陣で振り回し易くするためでもある月夜見の短い刀の一石二鳥なアイデアにも感心。
また、それをも含めて TeamAZURA による殺陣の美しさとスピード感に酔う。
さらに、クライマックスで先に逝った仲間達が主人公に力を与える場面は(常套手段とはいえ)シンクロする動作込みで好きだなぁ。

トラウマニア
東京都カリスマイル
ワーサルシアター(東京都)
2012/03/14 (水) ~ 2012/03/18 (日)公演終了
満足度★★★
トラウマっっ!!!
西麻布という古風なオモムキも残る町を舞台にペーソス漂う人間模様を描く狙い並びに各キャラと演者との一致ぶりはよいが、いわゆる雑居系なために焦点が絞り切れなかった憾みあり。
和馬のトラウマ(笑)も結局よくワカらないし…。

異性人/静かに殺したい【ご来場ありがとうございました!】
アガリスクエンターテイメント
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2012/03/08 (木) ~ 2012/03/12 (月)公演終了
満足度★★★★
『異性人』
着想の勝利というべきか、コメディであると同時にドラマ性も持ち合わせて見事。
また、よく考えると無茶な設定を冒頭でさらりと説明して「そういうモノである」と観客に思い込ませる手腕がスゴい。次回公演では気付いたら壷や鍋を買っていたなどということにならないように気を付けねば(爆)。

異性人/静かに殺したい【ご来場ありがとうございました!】
アガリスクエンターテイメント
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2012/03/08 (木) ~ 2012/03/12 (月)公演終了
満足度★★★
『静かに殺したい』
ブラックなスラップスティックで、テンポの良さが身上。
その早口の台詞の応酬に主人公の狼狽ぶりや焦燥感が如実に顕れているのはワカるが、聴力の衰えを感じ始めた世代としてあと僅かゆっくりめであるとありがたい。

ヤクルトレディの憂鬱
セキララ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/03/07 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
予想外の落としどころ
緩やかなコメディとして始まりながらも次第に変容してアメリカン・ニューシネマ的結末(?)に至るとは予想外。
後から考えれば序盤での自転車の使い方なぞまさに「その系統」で、もしかしてアレはラストを暗示する伏線だったのか?(笑)

青春の墓標 ~盗まれた革命~
オフィス再生
APOCシアター(東京都)
2012/03/10 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
モロに再生スタイル
「読書劇」と銘打ちながらも従来の再生スタイルに近く、昭和40年前後の学生運動に身を投じた青年の心情が浮かび上がる。
また、彼(彼ら?)を「操っているもの」は何なのか?と観客に問いかけるような…美術?衣装?装置?もいかにも再生式でニヤリ。
しかし板付きは大変だろうなぁ。(笑)
なお、恒例のプレトークや客入れ時の40年前後の昭和歌謡ポップス名曲集も存分に楽しむ。

あの日、あの雨
KATO企画
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2012/03/10 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
何度同じ過ちを犯すのか?
90年に書かれたチェルノブイリと広島を題材にした戯曲だが、劇中の記者の言葉が今なお実現されていないことから「何度同じ過ちを犯すのか?」と考えさせられる。(当時自分も「日本の技術なら大丈夫だろう」と楽観していたことへの自戒も含めて)
こうして考えると、原子力エネルギーは「第2のプロメテウスの火」というよりもむしろ「バベルの塔」的なものなのではないのかと思ったりも…。(聖書と異なり繰り返す分、タチが悪い)
また、第2部での現地の小中高校生が書いた作文の朗読に「日本の問題ver.311」の冒頭の辞を思い起こし、いずれにしてもこの2公演は対を成すものではないかとも思う。

関口愛美のポロリ伝説
関口愛美
シアターD(東京都)
2012/03/10 (土) ~ 2012/03/10 (土)公演終了
満足度★★★★
総じて満足度大
謳い文句の通り様々な「ポロリ」に纏わる一人芝居6編。
内容的には「そのテもあったか!」だったり落とし方が絶妙(1編目「HIKIKOMORI」、5編目「ピンクのプライド」など)だったりだし、演技的には若き後妻(而してその実体は…)・戦隊ヒロイン・タレントなどの演じ分け(衣装も含む)も良いし、総じて満足度大。

天狗の願いは、
劇団 STEPLESS SPEED
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2012/03/09 (金) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★
惜しい、次回に期待
歴史上の人物や史実を使って大きな嘘をつく構造、戦乱の世で非戦を貫くことの難しさという主題、「天狗」の設定、悲劇と思わせておいての結末などそれぞれ良いのだが、今一つ噛み合っていないもどかしさが無きにしも非ず。

『夜のしじま』
からふる
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/03/06 (火) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★
複数解釈ができる幻想譚
別の時制に移る時にキッカケがなく会話をから時が変わったことを知る部分があるのがもどかしいが、深読みや誤読も含めて複数に解釈できる結末は好み。
また、演技エリアとの仕切り、後方のホリゾント的な布、照明バトンなどに施した装飾がステキ。
次回公演は「銀河鉄道の夜」だそうで、それにも期待。

ペテカンのコント『諸々そこんところ』
ペテカン
OFF OFFシアター(東京都)
2012/03/08 (木) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
サービス精神に脱帽
時間的にはごく短いものからやや長めのものまで、タイプもオーソドックスなものから「奇策」まで取り揃え、しり取り的な連作や全体を貫き経時変化を見せるものなどで構成にも変化をつけ、あの手この手のアイデアで楽しませようとするサービス精神に脱帽。

満天のパティシエ
演劇集団Z団
ウッディシアター中目黒(東京都)
2012/03/07 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
演出のマジック?
既製台本(『トライフル』:初演・再演とも未見)を使いながらもアテ書きのように演者がキャラにハマっているのが演出のマジック?
また、一部の人物の髪型がレディースコミックから抜け出て来たようで、作品のコミカルな持ち味をより際立たせていたように思う。
アフターイベントでの「もしもZ団が普段使うような音楽を本作で使ったら」という実験(?)も「ボーナストラック」あるいは「DVD特典映像」のようで愉快、かつ、その発想に感服。

うれしい悲鳴
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
5日目マチネ+総括
法制度、仕事論、天皇制などを皮肉ったり疑問を投げかけたりして観客に考えさせる内容にしても、随時入る乱舞(?)にしても、ひょっとこ乱舞そのもので、カーテンコールでは贅沢な食事を終えた時のような満足感に包まれる。

スケベの話
ブルドッキングヘッドロック
サンモールスタジオ(東京都)
2012/02/29 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
セイなる夜編
「洋風艶笑噺」的な内容もさることながら、冒頭の猛吹雪シーンや主人公の心の声を影ナレでなく別の役者が舞台上で演ずるなどの表現が独特にして見事。
また、主人公の視点が次第に時を自在に往き来する神のもののようになってゆきながら実は…な落とし方や「バットとボール編」とのリンクなども◎。

スケベの話
ブルドッキングヘッドロック
サンモールスタジオ(東京都)
2012/02/29 (水) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
バットとボール編
一言で表現すれば「爽やかなスケベ」、オトコとして非常によくワカるっちゅうか共感するっちゅうか。
また、それなりの年齢の男優陣が頭を丸めることもあってほぼ高校生に見えるほか、演者に合わせた設定も上手い。

まあまあだったね。
あひるなんちゃら
OFF OFFシアター(東京都)
2012/03/02 (金) ~ 2012/03/06 (火)公演終了
満足度★★★★
もはや哲学?(笑)
町工場(?)の元・喫煙室で交わされる(お馴染みの)やや間の抜けた会話だけなのに妙に奥が深いと言うかスケールが大きいと言うか、もはや哲学?(笑)
また、「同じ毎日を過ごすのが嫌と言っているが、自分でそれを選んでいるのでは?」という台詞にドキリ。

ドグラ・マグラ
劇団霞座
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2012/03/01 (木) ~ 2012/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★
原作の本筋を抽出
本筋をあれやこれやで覆い隠した原作から隠蔽物を取り除きシンプルにして90分に収めたのは見事。
喩えて言えば、木の葉や小枝まで入っているどろみずを濾過に濾過を重ねて飲める水にしてお出ししました、というか、誘拐犯からの電話のバックの音からノイズを取り除いて場所特定に繋がる音を抽出したというか、みたいな。
そのために明治・大正期の古風な趣まで漉し取ってしまった気がしないでもないが、全体の出来から考えれば「誤差範囲内」的なものか?
同様に、以前原作を読んだ時のイメージと異なり主人公が冒頭から取り乱し気味だったりするのも「誤差範囲内」。
一方、選曲も良かったのであるが 「どーよ、これ」的に大き目の音量で主張し過ぎたのは残念。
音楽はあくまで引立て役であって、その引立て役があんなに自己主張するのはいかがなものか?
とはいえ、シンプルながら美しく機能的な装置や群読の使い方なども含めて満足度高し。
なお、ある部分から落語「粗忽長屋」を連想してニンマリ。
あと、事前に頂いた道案内メールのおかげで迷うことなくストレートに会場に着くことができた。
「不親切」などと書いた御仁はメールをご覧にならなかったのかしら?

うれしい悲鳴
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
3日目ソワレ
プラスチックモデルで喩えれば、初日ソワレはまだバリやランナーとの繋がり部分が残っていたのにこの日は水ペーパーで仕上げたように滑らかで、しかしランタイムは5分ほど増の130分。(ダブルコール含む)
楽はやはりシアターガイド通り150分か?(笑)

うれしい悲鳴
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2012/03/03 (土) ~ 2012/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
まずは初日ソワレ
一言で表現すれば「ビーンボール」。顔スレスレに際どい球を投げ込まれたみたいな。そして何でこんな所に投げてくるのか(←ちょっと違うか)考えさせられる、的な。さらに前作のど真ん中の直球ぶりとの対比の意味も含めて。
「好き」なのは前作『ロクな死に方』だが、「演劇的に面白い」のは本作か?
かねがねひょっとこ乱舞の作品には直球と変化球の2タイプがあると思っていたが、ラスト2作がそれぞれの最高峰(←褒め過ぎ)だったのではあるまいか?

シェルター
ポムカンパニー
遊空間がざびぃ(東京都)
2012/02/29 (水) ~ 2012/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★
極めて「日本人的」な「その時」の迎え方
極めて「日本人的な」終末の迎え方? 劇中のある設定(←いささか無理もあるが)のためもあろうが、「その時」を静かに待つ人々の姿にもしもそんな事態に陥ったら自分もかくありたい、などと思う。
一方、心を閉ざしてしまった人物のパートが微妙に溶け込んでいない感もアリ。