じべ。が投票した舞台芸術アワード!

2021年度 1-10位と総評
セーラー服を溶かさないで

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セーラー服を溶かさないで

CACHU!NUTS

実演鑑賞

「くまゆか無双」であんなトコやそんなトコを目撃できるという事前情報は得ていたが他の面々のあんなカッコやそんなカッコもなんて聞いてないぞ!(爆) それに明るいスケベだし何と俺得な公演!(爆)
そしてこれだけの内容を60分余に凝縮した中嶋脚本おそるべし!
まるでクリスマス大感謝祭状態で1日早くクリスマスプレゼントをいただいたような感覚になり、自分でも自分にプレゼントとしてポストカードセットも購入。(更爆)
早くも次回公演への期待が鰻登り。(笑)

『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』

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『つやつやのやつ』と『ファンファンファンファーレ!』

ムシラセ

実演鑑賞

お笑い界を背景とした友情譚2編。前編たる「つやつやのやつ(再演)」は売れない芸人コンビ、後編的な「ファンファンファンファーレ!(新作)」はその1年後のファンを描いて、基本的には笑わせつつ「待て待て待て、ええ話やないかい!」にもってゆくのが絶妙。
また、人物設定/造形と配役、表現も絶妙……どころか完璧か?
冒頭とラストシーンの工夫も好きだなぁ。
再演とその続編的な新作の中編連作ではあるが、考えようによっては第一幕とその1年後を描いた第二幕の二幕もので……ってか、対になったオープニングとエンディングのことも思えばむしろ後者では?

マツバラQ

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マツバラQ

グワィニャオン

実演鑑賞

前年の「刹那的な暮らしと(後略)」の続編だが前作より現代パートに重点を置き「創り出す」楽しさ・悦び(と難しさ)を主題にした新たな展開は流石。そして笑いや殺陣はもちろん、ムード歌謡(!)まで盛り込むグワィニャオンの真骨頂、堪能堪能♪

「TABOO」

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「TABOO」

TEAM空想笑年

実演鑑賞

「-BackStage II-」という副題を付けてもイイんじゃね?な典型的バックステージコメディの体で始まり演劇愛を謳ってから任侠系に転じ、さらに別な複数の要素を加えてそれらを融合させる構成の巧みさよ!
エピローグでちゃんと時の経過を表現しているのもイイ。
ラスト直前、舞台を観る客席の瀬崎を見せる場面にジュゼッペ・​トルナトーレ監督「ニュー・シネマ・パラダイス」終盤でキスシーンのみつなぎ合わせたフィルムを観る主人公の姿を想起。

『無表情な日常、感情的な毎秒』6月公演

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『無表情な日常、感情的な毎秒』6月公演

エンニュイ

実演鑑賞

※ 当該公演のみではなく、ほぼ毎月、手を入れながら(配信も含む)上演という企画性も鑑みての評価。

4回目(第3変奏)にして最多人数・一番広い会場ということもあってか「拡張版」な趣き、同じネタでも新たな設定が加わったり語りだけだった部分をweb動画として演じたりな上に新ネタもあり尺も大幅増。今後の更なる発展にも期待♪

フルハウス

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フルハウス

ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン

実演鑑賞

まさに「文字通り」な点(謎)も含めたバックステージもの。現実にはともかく、虚構としていかにもありそうな状況、いかにもいそうな人物設定で笑いも交えながら公演の裏側を描いて巧み。そして随所に演劇愛が溢れてしばしば眼が潤みそうになる。
一般的な芝居の場合は「劇作家は語らず 登場人物をして語らしむ」だが、バックステージものの演劇愛については劇作家のみならず演者のものでもあるのかも、などと思う。「役者は語らず 演ずる人物をして語らしむ」みたいな?

公演前日の場当たり直前に起こったトラブルを乗り切ろうとするスタッフ・キャストを描いているので改めて演出助手や舞台監督の役割を(比較的最近、他の作品でも描かれていたが)改めて確認。
また、場当たり開始前に客席内に設けられた演出卓にいる演出助手から「よろしくお願いします」と挨拶された照明・音響スタッフのオペブースからの「返し(の例?)」に納得。
あと、劇中に演劇に詳しくない(=演劇用語をよく知らない)運営手伝いを配し、彼女に関係者が用語を説明することで自然に観客にも伝えるのはさすが。

意味なしサチコ、三度目の朝

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意味なしサチコ、三度目の朝

かるがも団地

実演鑑賞

東京で派遣社員をしている幸恵があるきっかけから十代を過ごした(そして今も父が住んでいる)秋田県能代市の団地にしばし戻ったことから始まる彼女とかつての友人たちの過去、現在、そして……な物語。
過去の場面などノスタルジックかつあるある的だし、時制の移動もなめらかかつはっきりワカるし巧み。そしてその時制の行き来の中で少しずつあれこれを明かす語り口たるや。
あと。モブキャラの表現。もう、出てきた時から「あ、あれはモブね」とワカるのもイイ。
さらに「ここで終わりかな?」と思わせた後のアレに映画のエンディングクレジットロールの合間や横で見せるテを連想。

野良犬

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野良犬

三匹と三羽

実演鑑賞

人が次第に病み人間関係が壊れてゆくさまをまざまざと見せつける90分余。後味が良いとは決して言えないがそれほど悪くないのはテンポの良い語り口(一見の価値あり)と程よく挟まれる笑いもさることながら、誰しもが持っていそうな「弱さ」を描いているからか?
また、テンポ良い場の積み重ねの中に子供の頃や学生時代の(トラウマとなるような)出来事をフッと入れて言動の遠因を示すのも効果的で巧い。基本的には「所詮フィクションなのだから助けようよ」派のσ(^-^) も納得。

『脱兎を追う』

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『脱兎を追う』

楽園王

実演鑑賞

※ 白組だけというこtではなく、白組・黒組あわせての公演として

【白組】
ダブルキャストの場合、一方がオーソドックス、もう一方が応用編であることが多いと予てより思っているが、本作は白組が応用編か?「あの部分」がまさかの「あんなキャラ」とは何と大胆な!(笑)
もちろんそれ以外にも相違点はあり、どちらもそれぞれの個性が出ていて面白かった。満足満足♪
第一場で「自分の死体があるのを見に行きたい」と言う ありす の言葉に古典落語「粗忽長屋」を連想したら、その後に姉が「粗忽長屋じゃあるまいし」と言うことにニヤリ。そしてあちらが他者に「お前の死体があった」と言われるのに対してこちらは自分から言い出すのがまた何とも。(笑)
しかし楽園王作品でオタ芸を見るとはなぁ……(笑)(笑)(笑)

娘

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ゆうめい

実演鑑賞

作者と妻とその父母・祖父母を描いた夫婦・親子の話。内容(壮絶な部分もあるが今までの作風から推察するにほぼ実話か?)はもちろん、三層の額縁あるいは枡を3つ入れ子にしたような装置と投射される文字の効果が秀逸でネットに書き込みをする場面の描写など(キーボードの表現も含め)舌を巻いた。

総評

2021年は「観てきた!」コメントをサボりまくってアワード参加は見送ろうかと思ったが、ここまで積み上げてきたのだからとある程度下書きをしておいたものをまとめて投稿してどうにか間に合わせる。
とはいえ、書けなかったものはもちろん、公演情報が登録されていないものもあり、あくまで「観てきた!」投稿ができたものの中で「極めて私的な好み」で選んだ10本。
CoRichにあがっていない公演も含めた「ディレクターズカット完全版」的なものは近日Twitterにて。(爆)

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