マボロシ兄妹
悪い芝居
青山円形劇場(東京都)
2014/07/18 (金) ~ 2014/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
オープニング命
こんなにカッコイイ幕開けを観たことがあっただろうかと思いを巡らせています。円形劇場という箱の特色を生かした演出と言えるでしょう。客席後方のすべての扉から、バーンと登場するキャスト。爆音のBGMの中で、アバンギャルドな衣装を纏ったキャストのこの登場シーンに鳥肌が立ちました。Rockの過激性を思い出しました。
す き と お り
miel(ミエル)
スタジオ空洞(東京都)
2014/07/30 (水) ~ 2014/08/05 (火)公演終了
満足度★★★★★
宣言●好きで居続けます
スタジオ空洞というフラットな箱でさまざまな工夫を凝らした素敵な公演だった。まずオープニング。BGMとのタイミングに細心の注意を図った照明にワクワク。音響もスピーカーの配置や、抜けたり籠らせたりさせた音質まで練り上げられていた。衣装も可愛いくて素敵。白いシャツを重ねているのだけれど、切ったり繋いだり、縫ったりつまんだりして、衣装だけでも楽しめる。着たいと思うもの多数。ダンスもキュートでクール。そのダンスが物語を紡ぎ出す。複数のテキストで構成されたオムニバス。テキストのテーマが「すきとおり」な訳だけれど、それは…。透きとおし、透きとおり。好きな通り。好きが通ったり通らなかったり。隙があったり無かったり。今はもう無くても、心にちゃんとあったりする。白い世界に、白い衣装の男女が透きとおった素敵な作品を創りあげていました。登場人物がみんな愛らしくて、観ているうちにどんどん俳優さんがカッコ良くなり、女優さんが可愛く見えてきて、好きになっちゃいます。誰かがではなくて、全員がカッコ良くて可愛い。これって、素晴らしい作品である証拠でしょ。次回公演も必ず観たいと思います。
熱海殺人事件
MS2
劇場MOMO(東京都)
2014/08/05 (火) ~ 2014/08/10 (日)公演終了
満足度★★★★
美しさが鍵
猥雑で、暴力的で、差別的で、政治的な要素が盛り込まれた作品。これをつかこうへい演出では過剰に声を張って、爆音のBGMで、汗を撒き散らして上演していたわけです。ポイントは美しく、スタイルのよい女優。その美しい女優が乱暴な台詞と乱暴な演技に身を投じるのが魅力。今回も芳賀優里亜さんの美しさは際立っていました。顔の小ささにビックリです。オカマ役を中丸シオンさんが好演。女優さんが演じるのを初めて観ました。中丸さん、キレがあって好きです。作品全体としては、もっと迫力があってもよかった気がします。そのバランスを逸した迫力が、この作品、いや、つか作品の特徴であり、魅力ですから。
Look At 山!
天晴
SPACE EDGE(東京都)
2014/08/06 (水) ~ 2014/08/10 (日)公演終了
天晴
開場と同時に、スクリーンに映し出される桐島かれん在籍時のサディスティック・ミカ・バンドのライブ映像。これはたった2回しかやらなかったライブ東京ベイNKホールのライブ。会場にいたわたしはテンションが上がりまくった。やっぱり、そのつもりで劇団名を「天晴」にしたのですね。そのセンス、最高です。公演は、落語を演劇で上演するという企画。「あたま山」は中学生の時に読んだ。名作です。満員の客席。かなり窮屈で大変でした。
許されざる者
シンクロ少女
アトリエヘリコプター(東京都)
2014/07/02 (水) ~ 2014/07/08 (火)公演終了
満足度★★★★★
一度は妄想したこと、あるでしょ?
初日を観た。作・演出の名嘉友美さんは、ちょっと頭がオカシイと思う。センスが尖っててブッとんでて、最高に面白い。恋愛とは、結婚とは、SEXとは、妊娠と出産とは、子育てとは…。信じることと疑うこと。そして許すこと覚悟すること。続けることと止めること。それらが混沌として、ふわふわと、ゆらゆらと揺らめいて混じり合う。相手のことが少しも解らないという苛立ちと、解っているという錯覚。その顛末は…。オープニングのアデルの歌が結末に導く。二組の夫婦が踏み出す甘美な世界。夫婦交換に堕ちていく謎の世界(過程)が見事に立ち上がり、目から鱗が落ちた。そこに向かっていくまでの可笑しさたるや、他に類を見ない味わいで、声を上げて何度も笑えた。そのナンセンスな展開が自然に感じられる可笑しさが、罠に嵌った地獄を際立たせる。異空間の二組の会話のシンクロが秀逸で痺れる。最初は垢抜けない野暮ったさを感じた人物たち(ゴメンナサイ)が、どんどん魅力を増していく。素敵に見えてくる。思えてくる。感じてくる。それにしても、甘美な世界がもたらす地獄は、みな同じ。でも、選ぶ未来が違う。3つのうちのどれが幸せなのだろうか。どれもみな不幸を背負っているのだと思う。いやぁぁぁぁぁぁぁ、素晴らしい作品。会場も初めて来た場所だったが、小さいけれど、観やすくセッティングされていて、制作さんたちの作品を大切にする思いが伝わってきた。さぁ、この傑作を観ないでどうする。2014年の観劇を振り返った時に後悔しないように、絶対に観るべし!!
【満員御礼!!終演いたしました!!】ロミミ
はちみつシアター
テアトルBONBON(東京都)
2014/06/25 (水) ~ 2014/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
これは
開演時と終演時の気分が全く違う作品でした。演劇としては展開も演出も、もう少し工夫があるといいなぁと思いました。でもラストの展開は意外で、作品がぐっと高まった感じがします。『ロミミ』が何のことなのか分からずにいましたが、「ロ・ミ・ミ」なサプライズだということに納得しました。魔法のランプからジーニーが出てくる「アラジン」の話が、現代のOLさんのところでこのように展開される発想や有名ファミコン・ゲームを登場させるあたりに、最初は幼さを感じましたが、いやいやなかなかの展開でした。ちょっぴり震災の匂いをふりかけて、ラストでホロリとさせられます。途中の、小学生が休み時間に遊ぶようなミッションに真剣に取り組むキャストに拍手。そして何より、ラストのダンスは見応えがありました。得意ではない方も必死についていこうとする感じ、キレのあるダンスでリードする美しいキャストに見惚れました。エンターテイメント・ショーをお楽しみくださいませ。
2番目でもいいの♡
劇団ズッキュン娘
劇場MOMO(東京都)
2014/04/23 (水) ~ 2014/04/28 (月)公演終了
藤吉みわさんの魅力
主宰・藤吉みわさんの魅力。その筆頭は、人を惹きつける吸引力にあると思う。今回だけでなく、毎回多くの女優を集めて公演できることも、その証し。ましてや今回はダブルキャスト。しかも、実力のある魅力的な女優さんばかり。スゴイことです。また、みわさんは、根っからのアイドルなのだと思う。いや、天性のと言った方がいい。ご自身が、アイドル的であることも、またアイドルという概念みたいなものが好きだということも併せて、天性のもののように思う。今作品は不倫をテーマに、その不条理に、そして空虚さにスポットを照らしつつも、しっかりみわさんにスポットを当てた作品である。そのなかで存分に存在感を示すアイドル感にメロメロです。でありながら、しっかりとプロデューサーとしての目も発揮されて、劇中での周囲への配慮も半端ない。いやぁ、スゴイものを観ました。
時間堂スタジオ赤羽(仮称) オープニングイベント
時間堂
時間堂スタジオ赤羽(仮称)(東京都)
2014/06/13 (金) ~ 2014/06/16 (月)公演終了
名所になってほしい
赤羽という地で演劇を観るのは初めてです。立地としては赤羽駅から遠くなく、歩いて数分の場所なので行きやすいと思います。ただ、建物が目立つわけでもなく、看板もまだ検討中のようで、劇場(スタジオ)を探すのに、ちょっと苦労するかなぁと思いました。イベントは、ドリンクとおつまみまで振る舞われて、歓迎を受ける感じで、何だかくすぐったい気持ちになりました。そんな中で、主宰の黒澤世莉さんから、スタジオを持った経緯や改装作業、そして劇団の今後などが語られ、楽しい時間を過ごしました。そして短い公演『花のゆりかご、星の雨』が上演されました。短い作品で小道具もない(重要な一つ以外は)公演ですが、まるで落語のように想像力を膨らませる演技と演出に感心しました。その揺るぎない演技力の高さに脱帽です。今後、ここで定期公演が行われる企画、実現を切望します。時間堂の今後に注目です。
Mama Lunch Jam
ランタンルージュ
劇場MOMO(東京都)
2014/05/28 (水) ~ 2014/06/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
満席
すし詰めの客席に圧倒されました。お芝居の動員数の現状はかなり厳しい中、この盛況ぶりはスゴイことです。物語はPTA活動で協力するママ友3人。一見仲よくしているけれど、本音はドロドロしていて、僻み、妬み、嫉みが渦巻いている。と思いきや、案外本音を言い合えて団結していたりする。中学教師の身としては、なんだか恐ろしいPTAに思えますが…。ベースに「母を亡くした子どもに、お弁当を交代で作ってあげよう」という優しさがあるので、さまざまな葛藤と衝突がありながらも、温かさを感じる作品でした。憧れの橘ゆかりさんは、変わらず美しくて見惚れました。岡本さんの演技の確かさに感心し、笑かし担当のちかさんの腕前に脱帽です。存分に楽しみました。
心の中、翼ひろげて
夏色プリズム
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/02/27 (木) ~ 2014/03/03 (月)公演終了
興味深く観ました
社会的な暗部にスポットを当てた意欲作で、興味深く観させてもらいました。身体的な障害を抱えた人が入居(あるいはデイサービス?)する施設で繰り広げられる人間模様。ここではすべてのことに対して介助がなされ、性処理についても例外ではなく行われます。その方法は職員の判断に任されています。「口でして…」という台詞や「職員にはコンドームが渡されています…」という台詞もあり、刺激的な作品です。そこに渦巻く『欲望』『羨望』『嫉妬』『恋愛』『結婚』『妊娠』という愛憎。性的な描写や、障害を抱えた役の方の演技が過剰になれば『大人計画』的になり、嫌悪感を抱かれる可能性も出てきますが、演出はカラッとしていて明るく仕上げられていました。設定はセクシャルなものですが、物語の中心は『慈しみ』にあったように思います。婚約者から身を隠すようにしてこの施設に飛び込んだ見習い職員の女性は、子宮筋腫で子どもを授かることができません。その彼女を探しに来た年下の婚約者。この二人の葛藤が浮かび上がる作品後半から、登場人物が生き生きと立ち上がってきます。この女性を演じた赤崎貴子さんの熱演が光りました。彼女の葛藤と涙には、聴衆を惹きつける魅力が充分に備わっていたと思います。また、舞台の奥行きが広く取られていたのが良かったです。これで、この施設を舞台に選んだことが強く打ち出されるような展開や描写があったならもっと面白かったかもしれません。あるいは、この施設そのものに関わるものや性介助を中心につくった物語でも興味深いものになると思います。逆に出産の叶わなくなった女性の物語は、この施設ではないところで展開しても充分に見応えがあると思うのです。きっとまた勇気を持って人間の機微を抉り、素敵な作品を提供してくれる劇団だと感じました。今後の活躍が楽しみです。
- かさない -
COoMOoNO
キッドアイラックアートホール5階(東京都)
2014/01/31 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
感心したのは
美術。
会場は、扉を開けると、女友達のアパートの部屋。
もう部屋そのもので、ソファーに、低いテーブルとクッション。
そのテーブルにつくような気分で地べた(座布団的なクッション有り)に座る。(後方は低い椅子に)
なんだか面白い。
ちょっと日常の世界と劇空間の融合で、何が目の前に提供されるのか楽しみになる。
そしてこの空間を見回して気が付いた。
この部屋、ギャラリー内に作った物だ。
本来はコンクリートの打ちっ放しの箱で、その中に建てつけてある。
その板間の感じが、都会からちょっと外れたアパート感が出ている。
部屋に掛けてある絵は、今回のチラシと、おそらくそれを描いた人の作品たち。
なかなか素敵。
さて、お芝居は…。
きっとそういう意図で、そういう演出だと思われる語り口調。
わたしの好みの演劇は、言葉を相手に届け、言葉を相手から受け止めることで、感情を伝え合う人間同士の作品。
そういう意味では、感情を乗せないようにして抑揚を最小限に抑えた台詞には違和感を感じる部分もある。
きっと俳優ではない方が入っているのではないだろうか。
主役の女性が、パジャマに着替え寝て、起きて着替えて、コートとマフラーを着用して出かけ、帰宅してコートとマフラーを掛けて、部屋で過ごし、パジャマに着替え寝る。
そのループを何度も繰り返す。
その何回かは、部屋で過ごす時間も一瞬で何も起こらないこともある。
ここに繰り返される日常を表現しているのだろう。
暴風雪のこの日。
台詞には「寒いわね」「雪が凄いわ」などのアドリブが入り、更に日常と融合させている。
夕飯はお鍋が食べたくなった。
いちばん感心したのはラストシーン。
この場所だからできたこと。
そしてこの大雪の日だから感じたこととも言える。
音響、照明を一人で担当していて、ちょっと大変そうでした。
受付をしていたこの女性が演出家さん?
主演の小角まやさんの健闘を感じた。
かさない…。
傘がないと浴びてしまう。
それは…雨?
それは…雪?
それは…雪玉?
それは…砲弾?
HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】
青春事情
ザ・ポケット(東京都)
2014/02/05 (水) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
やわらかい空気
ゆるーい感じの作りをされているように感じました。昭和のホームドラマを彷彿とさせる設定や展開です。だから、物語に新鮮味はありません。故に、心温まる展開です。人間の根幹にある愛情の存在を実感できる作品です。メインとなるのは親子の、兄弟姉妹の家族愛です。それを取り囲む友人達の思いやり。この先どうなるかは予想できるのですが、わかっちゃいるけどホロリとさせられる、王道のホームドラマです。前半で、ちょっと演技や台詞の距離感に違和感を感じる部分もありますが、後半は落ち着いて観られました。池田嘩百哩さんの美しさに射貫かれました。
かなわない夢ガール
タイマン
スタジオ空洞(東京都)
2014/01/22 (水) ~ 2014/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
芝居は進化するものを実感
1/25(日)夜公演 スタジオ空洞 ★千秋楽
最前列 中央
暖かい日だったという報道とは裏腹に、
風が冷たくて凍えそうな夜でしたが、
スタジオ空洞の中は、千秋楽公演の熱気で包まれました。
『かなわない夢ガール』は「叶わない夢がある」と掛けていると思い込んでいましたが、
その意味よりも、違う意味の方がメインだったことを理解しました。
かなわない(なぁ)=まいった(なぁ)≒(そこまでやるなんて)すごい≒ありえない
そんな
「夢(を追いかけた)ガール」=「夢(を叶えちゃった)ガール」
でした。
その夢とは…
「遊園地になりたい!!」
遊園地を作りたいではなくて、「なりたい」です。
いつも忙しい、医師である両親が連れて行ってくれたドリームランド。
その楽しさに魅せられて、
その感激が突き抜けて、嫉妬に変化して、
『わたしの方が、もっとみんなを楽しませられるもん』と発奮します。
「楽しかったねって言ってくれるのがいい!」
恋愛の話しでよく聞く「愛したい」と「愛されたい」の比較のように
「喜びたい」と「喜ばせたい」や
「楽しみたい」と「楽しませたい」がありますよね。
わたしも「喜ばせたい」「楽しませたい」派です。
だから、タマエちゃんの気持ちに共感できます。
2回目の観劇は、やはり気づくものが多くて…
これだからリピート観劇がやめられません。
小学生のタマエちゃんが眠い目をこすって九九を勉強するとき
飲んでいたのは、やはりコーヒーでした。
そうは思ったものの、小学生だからということで、
勝手に紅茶かミルクということに脳内変換してしまったようです。
タマエちゃんが「プリティ・アキ」に夢中になって成績急降下した後、
衣装をガタガタ縫って着るのですが、
「プリティ・アキ」の衣装が「プリティな柿」という面白さ。
使われている歌がまた粋で可笑しいのがたまりません。
オープニングはスピッツ?
1番のお気に入りはタマエちゃんが男に目覚めてイケイケ・ギャルになった時の
「あの娘ノコノコ…」というラップ。
あれ誰の曲なんだろう?
もう頭に残って、グルグル回っています。
そして、タマエちゃんの告白を受けて、お母さんが歌う安室奈美恵の 『Chase the Chance』。
もう爆笑です。
あ、「夢」の作文の時には相川七瀬の『夢見る少女じゃいられない』もありましたね。
内容と選曲のセンスに脱帽です。
作・演出の齋藤陽介さんの芸の細かさに感心します。
幼なじみのサトシのやんちゃさを表現するのに、
上履きのかかとを踏んでいたり、
学生服の乱れた服装であったり。
タマエちゃんと、ライバルのキリコの凸凹も可笑しいですね。
座っているキリコ(陣内ユウコさん)と、立ってるタマエちゃん(笠井里美さん)の
視線の高さがほぼ同じって。
陣内さんは美人なのに突き抜けちゃっていて素敵です。
ガールズ・バーの先輩アズキさんでは、
小劇場の女優がアルバイトしているという役柄で、
男性依存で生活している告白を、鏡前で鼻毛を抜きながらするという豪快さ。
その演出にフルスロットルで応えてみせます。
その長身とキリッとしたマスクで男役もはまっていました。
これだけジェットコースターのような面白急転人生を送ったタマエちゃんの物語が、
お母さんへの告白シーンで、可笑しいのにキュンとなります。
こんなぶっ飛んだ展開でありながら、笠井里美さんの感情の放出たるや…。
母からのマジのビンタの呆然もですが、
父が病床でテストの成績を見て満足そうな顔をしていたことを語る、
裏切りのような切なさの漂う演技や、頬をつたう涙にシビレます。
なかなか思い通りには生きられない人生。
自暴自棄になったり、
思いもよらぬ方向へと流されていったり、
本当は進みたい道をうすうす感じているのに、わざと見ないようにしていたりする人生。
でも…
それもみんな意味のある人生で、
そんなに捨てたもんじゃない……………でしょ。
そして、それでも心の奥底に燻っている思いがあるのなら、
思い切って一歩を踏み出して、
突き進んで
叶えてしまえばいい。
そんな、
慰めてくれる、
背中を押してくれる、
メッセージを受け止めました。
年の初めに、素敵な公演に出逢えて幸せでした。
金井玉恵ちゃん。
カナイ タマエ ちゃん。
夢よ…
叶い たまえ ちゃん。
参りました。
かなわない夢ガール
タイマン
スタジオ空洞(東京都)
2014/01/22 (水) ~ 2014/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
千秋楽にも観ますが
大好きな女優、アマヤドリの笠井里美さんが立ち上げた演劇ユニット。
その第三回公演。
ユニット名の『タイマン』は、
きっと由来はあるでしょうが、
俳優さん同士が火花を散らし、
俳優さんが脚本の世界と格闘し、
作品が観客に「これでもか!」と表現する、
そんな意味なのだと、作品を観て勝手に解釈しています。 ■
『かなわない夢ガール』は「叶わない夢がある」と掛けているのだと、
容易に想像はできますが、
果たしてその『夢』とは何で、
それに向かって少女がどのように立ち向かい、破れ、消化するのか…
期待が膨らみました。
そして、まさかそんな『夢』とは…。
見事に予想を裏切り、
想像の遥か上を越えていく展開に圧倒されました。
ファンタジーで、
コメディで、
ノスタルジックです。 ■開演すると、いきなり目の前でのシェイクヒップ。
里美さんのキレの良さに大爆笑です。
みつばち?
ヒヨコ?
アヒル?
参りました。
また、園児服のような小学生のタマエちゃん(笠井里美さん)。
その可愛らしさがキラキラしています。
ミニマムな笠井里美さんに対して、マキシマムな陣内ユウコさん。
その対照性のアンバランスさから生まれるバランス。
この二人が友人だったり母娘(ちっちゃい母とでっかい娘)だったりするのが
妙にはまります。
男前の陣内さんも素敵です。
脚本と演出をするのが、ホチキスの齋藤陽介さん。(旗揚げメンバーで出演もします)
心をくすぐられる素敵な本を書きます。
そして、心憎い演出で、細部に渡って丁寧に創られていて、発見の喜びに出逢えます。
森田祐吏さんは、ちょっと棘のあるような声が最高です。
さてさて、この夢の世界を最終日にもう一度観てきます。
TDLはまだあるかな?
コンダーさんの恋
明治座
明治座(東京都)
2014/01/02 (木) ~ 2014/01/27 (月)公演終了
満足度★★★
麗しい
特筆すべきは、大地真央さんの麗しき男装を観られたこと。
これが、この公演の最大の価値ではないかと思います。
まぁ、カッコイイです。
客席に、オバサマ達の溜息交じりの歓声が上がります。
その気持ち…解りました。
また、最後のドレスで見せた透き通るような白い肌は、目が眩むほどでした。
語り部と勝海舟を演じられた江守徹さんは、重病から復活されたこともあり、
多少滑舌に難はありますが、その存在価値は大きいです。
秀逸だったのはベンガルさん。
薩摩弁を駆使して、大活躍でした。
またG2作品の常連でもある三上市朗さんと久ヶ沢徹さんの安定感は揺るぎないです。
ただ、作品全体を見ると
まるでテレビの歴史ドキュメント特番のようなテイストで
やや説明が多すぎる感じでした。
特に前半は間が悪かった気がします。
コメディ色が強かったですね。
もっとシリアスな作品なのかと思い込んでいたため、
自分の思い込みとのギャップを埋めきれませんでした。
TRIBES トライブス
世田谷パブリックシアター
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★
音の闇へ
田中圭さんと中島朋子さんの熱演は一見の価値有り。「聞こえないことがこんなにうるさいなんて。」先天性聴覚障害と後天性の違い、そして閉ざされていくことの恐怖。激しい手話での攻防に息を呑む。
人魚の夜
青☆組
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/01/10 (金) ~ 2014/01/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
五感をくすぐられる作品でした。
こんな作品を、若い女性が書いていることに衝撃を受けました。
言葉、声になった台詞、動き、表情、すべてがそこに在るべくして存在しています。
とにかく素晴らしく、一目惚れです。
まだ2014年が始まったばかりですが、
今年これ以上の作品に出会えないのではないか…そんな気がしています。
曲がるカーブ
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/01/09 (木) ~ 2014/01/23 (木)公演終了
曲がるとは
1/10(金)夜公演 赤坂RED/THEATER
最前列 ど真ん中
まぁ、盛りだくさんの要素で、整理して書くのは不可能です。
物語の設定を書くことだって困難だと思われるけれど…。
暴力の連鎖、さまざまな狂気と凶器が入り乱れたスペクタクル。
これをクロムモリブデン流のユーモアでスペクタクルな展開を見せます。
いやぁ、笑いました。
いつめ社会に潜む『負』の要素を上手く盛り込み、
嫌味のない作品に仕上げるクロムモリブデン。
今回は、やや笑いを強めた作りになっているように思います。
群舞というのか、統一された動きは、今回も魅力的でした。
むちゃくちゃなまとめっぷりに意表をつかれました。
『甲子園』というキーワードですべてが許され、
『甲子園』というキーワードですべてが縛られ、壊れていきます。
高野連というお上が正義を盾に大鉈を振るうというシステムにも、
世の風潮にも一石投じようとする様子が、
ちょっぴり切なかったりします。
過激な映画を観て、
過激な本を読んで、
過激な音楽を聴いて、
その影響を受けて、大罪を犯すという論理に立ち向かう作品で、面白いです。
『曲がるカーブ』とは、
『曲がって(歪んで)しまった甲子園』なのかもしれませんね。
それにしても、母親役の奥田ワレタさんのハーモニカの上手さに驚きました。
売春捜査官〜ギャランドゥ〜/熱海殺人事件〜友よ今君は風に吹かれて〜
JJプロモーション
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了
声を張る
故つかこうへいさんの遺志を継ぐ、★☆北区AKT STAGEをはじめ、
多くの劇団が取り上げるつか作品。
大きい劇場で『飛龍伝21』が桐谷美怜さん主演で行われたりしているが、
小さい劇場でも観たくて、
★☆北区AKT STAGE代表でもある逸見輝羊さん演出の公演を選んだ。
これは『熱海殺人事件』を元に、さまざまに発展(枝分かれ?)したひとつ。
さて、メインの部長刑事・木村伝兵衛は女性となる本作品。
そう言う矛盾も超越して成立してしまうのがつか作品。
その伝兵衛を演じたのは桜田聖子さん。
なんだかサンミュージックのスーパー・アイドルの名を合わせたような名だが、
ルックスも美しい。
ただ、声質は、他の作品で観たい感じがした。
作品中、ネタになっていたけれど、
やはり『つか作品』は、声を張る必要があると思う。
そこで伝わるモノが生まれるような気がする。
つか作品には、差別、戦争、政治、SEXなどに対する
痛烈でストレートな表現がある。
だから、人気絶頂の広末涼子さんの胸だって鷲掴みで揉ませてビックリさせられる。
そういう意味で、常にリアルだった。
そう考えると、演者と至近距離の小さな劇場で、
今回はややリアル感に欠け、少々興ざめした。
また机に仕込んでおくべき小道具(おそらくハリセン?)が仕込まれていないという
ハプニング(失態?)も残念。
まぁ、それを笑いに転嫁した機転はかうけれど。
すでに完成された作品で、これまでに何度も上演され、
内容が解っている作品でユーモアを再生させるのはなかなか難しい。
予定調和になりがちなその展開やユーモア。
それを克服するには、やはり演者の気迫でしかないような気がする。
後半に気持ちの高まりを感じることができたので、
今後に期待したい。
『うれしい悲鳴』/『太陽とサヨナラ』(終演しました! ご来場ありがとうございました!)
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2013/10/23 (水) ~ 2013/11/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
震えが
止まらず、終演後も席を立てませんでした。
『うれしい悲鳴』は再演ということで、より洗練されたのでしょう。
特殊な病の少女の孤独、そして母と娘の葛藤と愛情に打ち震えました。
『太陽とサヨナラ』は未確認生物と少女の交流、そして養母と少女の確執、
そんな中に、生命を慈しむ心、地球を愛する心、
未来を信じる心を感じ、強く行きようと思いました。
今年最高の作品です。