満足度★★
ハロルド・ピンター作。東京乾電池以来の柄本明をちゃんと観ておきたくて出かけてみた。
この難解で訳の分からない作品を、取りあえず退屈させずに最後まで見せてしまうのは、役者が上手かったからなのか、そもそもの作品が面白く出来ていたのか判然としない。
ー果たして会話の内容が真実なのか一種のゲームを演じているのか、虚実のわからなさを楽しむピンターの世界
とチラシにあるように、いかに真剣に子細に台詞を追っても誰に何が起こっていたのかが、さっぱり解らないのである。
しかも、舞台の上方からぴっちょん、ぴっちょんと大きな水滴が降ってくるのだ。やがて水は舞台の後方全面で湖のようになる。転んだ柄本が衣装がずぶ濡れのまま台詞を喋り続ける。なぜ水なのか、意味は全く分からない。
休憩時間に、ロビーに掲示された演出家や出演者のインタビュー記事(写真参照)に観客の人だかりが出来ていた。
みんな訳が解らないんだなあとホッとする。
前日に末広亭の高座で聴いた柳家権太楼のマクラを思い出した。「こうして毎日落語を演じられることは、幸せだとおもうんですよ。お客さんがどう思うかは別としてね。」と。
役者というものも、時にこのような(難解な)芝居を演じてみたくなるのであろう。
画像に含まれている可能性があるもの:1人以上、屋外
満足度★★★
人は外界を自分なりに捉え、それを元に自分の言動を導き出している。結局、人は「主観の世界」を基に生きているのであり、他者の抱く「他者の主観による世界」と自らの「主観の世界」が近いものであれば、共感しやすく、離れていれば共感し難いということですかしらね。会話の中で触れられる、欲にまつわる話題などは、ある意味、主観と外界をつなぐものなのですが、そうしたものですら、互いの思いは必ずしも合致しない。「主観の世界」の中には実在の人はいないのでしょうね。登場人物の設定自体が見終わった後も確信できず、ある意味、そのこと自体が芝居の世界観にシンクロしているのかな。
語られる言葉の意味、関係性の変化が何を示しているのか…明らかな回答は得づらい戯曲です。舞台で起こる出来事を、必死で集中して追いかける緊張感が心地よく、意外性もあって、充実の観劇になりました。男性4人の恋愛がらみのエロティックな空気が流れるのも良かったですね。
ただ、寺十吾さんの演出は音、水、光などの足し算でわかり易い娯楽作を目指したようで、ピンターならではの面白味を切り落としてしまっている気もしました。
柄本明さんの演技が素晴らしかったです。冒頭の「そこに在る」姿こそ私の見たいもの。宇宙で、点で、孤独な生命でした。震えるほど感動!
満足度★★★★
鑑賞日2018/11/25 (日) 13:00
「・・・ですな」石倉三郎のセリフの語尾が余韻深く響く。
パンフレットを読むと、柄本明が「石倉さんにとって。芝居は稼業だから」というようなことを言っていたと書いているが、やはり、この芝居は柄本明と石倉三郎という、背景も価値観も異質な存在がなせる化学反応なのだろう。
ピンターの戯曲を、何が発生するか判らない状況において演じらせる不安定感。
柄本明のひらめきと、石倉三郎の武骨な芝居。観続けていると、頭がくらくらする。
台詞や物語に意味がないのだから、役者としては、流れに身を委ねるしかない。
それにまた身を委ねる観客にとって、得体のしれない浮遊感が気持ち悪くもあり、気持ち良くもあり。そんな芝居だ。
天上から落下し、堆積されていく水。これは、ハーストが飲んだ酒の量か。終幕には、舞台の前面まで、はっきりと見える水面は、混濁した意識の象徴にも思える。
果たして、ハーストやスプーナーの存在自体も不安定に思えてくる会話劇は、唐突なエンディングを迎えるが、誰もいない国って何?
満足度★★★★
観てきたのですが、このピンと来ないのがピンターなのかな。
かみ合ってるようで、話が進まない戯曲術は不条理劇らしく
加速度的に破綻していく。
水と照明は美しかった。
全ては壊れていく様を包んでくれた。
満足度★★★
鑑賞日2018/11/22 (木) 18:30
ピンターの不条理劇だが、あれだけのセリフを重ねても何も解決しないのは、ピンターらしいとしか言いようがない。会話が成立しているようで、全く筋が通らない、というのがピンターっぽい、と私は思っているのだが、1幕65分の最初と後半でハースト(柄本明)のキャラクターが一変し、15分の休憩を挟んだ2幕55分でも変化する。何が本当なのか、全く分からず終わるが、不思議な感触を残すのは、個々の役者の力量と言えるだろうか。水を効果的に使った美術と照明は見事で、公共劇場らしい存在感を見せる。
満足度★★★
観ているうちに、昔モダンジャズの良さが全く分からなかった時のことを思い出した。
モダンジャズの肝は「各人が交代でアドリブ演奏をする」ことにある。昔、ジャズ好きの友人に「そんなにアドリブ・フレーズが魅力的ならそこだけ抜き出せばヒット曲を連発できるじゃないか」と言って困らせたことがある。今では、一般の曲とは違った独特のフレーズの魅力にどっぷりと浸かっているが昔の自分を説得できる言葉は残念ながら持っていない。
この戯曲の場合、4人の登場人物が長短の違いはあれ、ソロをとる。一つのソロはある程度のまとまりを持っているが通常の劇としては美しくもなく明確な意味があるわけでもない。さらには前後のソロとの共通性などない。そんな劇なのである。そう考えるとソロが変わるたびに明後日の方向へ進んで行くのも理解できる。したがって、戯曲の各部分を統一するような意味を探しても無駄なのである。なすがままに翻弄されてみよう。おっと、各ソロに共通性はないと書いたがもちろん登場人物は同じだし、舞台セットも同じである。それはジャズではリズムやコード進行が同じであることに対応する。
ではこのような戯曲を楽しむにはどうしたら良いのだろうか。ジャズと同じならば繰り返し聞く(観る)しかないということになる。身もふたもない結論で申し訳ない。
ジャズとは違ってアドリブ・フレーズを作るのは原作者であり、時空を超えて楽器である役者を操っていると考えられる。マイルスやコルトレーンの決定的な演奏がいくつものバリエーションで聴けるようなものであり、舞台の大きな魅力である。
…などと無理筋の考察をしてみた。私自身はまだ全然楽しめていないが楽しめるようになるのではないかという光は見えた気がする。
おまけ:以上の解釈からは題名の「誰もいない国」というのは最後のソロのアドリブフレーズの中の印象的な1小節を取り出しただけで、意味はないということになる。
満足度★★★
仰々しくオーバーな表現と論旨展開の応酬が、舞台を見つめている者に「何が
本当に確かなことなのか」、「ここで起きていることで真実は何なのか」を
分からなくさせる。そんな作品です。
ひたすら言葉、言葉、言葉であらすじはほぼ無きに等しいので中盤退屈してしまう
人もいるかも知れません…。隣席の人は始まってすぐにまどろんでました。
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「誰もいない国」登場人物全員の持ち味が一幕と二幕でまったくひっくり返る。最初の抜け殻後半饒舌な柄本明、最初饒舌後半受け身の石倉三郎。不条理と言えば以前この2人でこの劇場でベケットの「ゴドーを待ちながら」を見たような。終演後はいつも… https://t.co/9KNXWGrAyU
6年弱前
【備忘録】11月10日昼「誰もいない国」作・ハロルド・ピンター 演出・寺十吾 出演・柄本明 石倉三郎 有薗芳紀 平埜生成 @初台 新国立劇場小劇場 ノーベル賞作家の不条理劇。天井から落ちる滴の音が坐骨神経痛の痛みのように観る側を蝕… https://t.co/RtaBzi9Wvz
6年弱前
あと自分はNTLデビューをダブルサー目当てに「誰もいない国」で飾ってしまったので「話が!わかる!」から入れた感がある。すみません。
6年弱前
誰もいない国なかったので着席
6年弱前
@haru_halll マジあのエンゲルス君どうかしてたほんとにびっくりしたあれ ……なんだったんあれ……。誰もいない国はな、1週間しか上映してなかった舞台の、しかもあんまりそんなにキャーキャーするタイプじゃない役者さんの本とかニッチすぎるから
6年弱前
誰もいない国、珠玉のやおいやから……マジで……
6年弱前
誰もいない国がみたい……池袋ぉ
6年弱前
冬コミで東京にいくので!!!年末に!!誰もいない国(みられてない)か三文オペラ(みたい)が入ってたらいいなーー三文オペラは無理かなーー
6年弱前
はろるどぴんたって誰もいない国の人か。イアパト目当てで見たらわりと面白かったけどそれでも若干寝たね……今回のも話は絶対私向きではないことがわかっているのだが……昼顔みたいなやつやんな?
6年弱前
因幡屋ぶろぐ更新。気になったふたつのこと、「水」と「台詞」について記しました。「誰もいない国」とは、「どこにもない国」なのかもしれないな。終幕の台詞の、何と詩的で美しいこと!https://t.co/3px0729cLf
6年弱前
@otomgmg 私はサーイアンとサーパトリックの「誰もいない国」を映画館でみて「まじでわからん」となったんですけど、会話の空気感?テンポとか空気感?刹那的な会話の臨場感を楽しめばいいのか?と開き直って舞台で観られるのを楽しみにしてます😂 マーティン役がどうなるか楽しみですね!
6年弱前
キャストもいいけどなにより誰もいない国ってタイトルが好きすぎて行きたい()
6年弱前
はたらく細胞、誰もいない国、千穐楽おめでとうございます🎉🎉🎉
6年弱前
あー誰もいない国いけなかった たてこんだ あー‥‥‥‥あー‥‥‥
6年弱前
誰もいない国は、今井さんの頭越しの平埜生成だったことが判明 あの頭はやっぱりであった
6年弱前
@KuwayamaGen ナショナルシアターライブの誰もいない国を観た後に観たので、 セットがどう違うかとか、あれアドリブかなとか、楽しみながら観られました😂✨
6年弱前
@kinarichan きなり君 に🥂 誰もいない国 は 本当に宝物に なる 作品でした あれほど パンフレットを熟読し、講義を受けさせて頂くとは❣️クセになりました …ピンター作品 いや 役者そしてスタッフの皆様 凄いを超えて‼️こわい こわい 最高 乾杯🍻
6年弱前
「誰もいない国」千穐楽お疲れ様でした! 今回は特に難しくて、理解するのに時間がかかったけど、とても楽しい日々でした!嬉しいこともたくさんあって、ほんと楽しかった!みなみなさまありがとうございました!そんでもって、きなしゃん大好き😭❤️👏です!
6年弱前
昨日は碗の西村悠さん作演出の「あの日の記憶から」 今日は「群盗」でご一緒した今井さんにお誘いいただき新国立劇場で「誰もいない国」お誘いなかったら観なかった芝居。 どちらも観れて良かった。 自分が一番観てほしい劇団公演を観てくださった方の気持ちは大事にしたい。
6年弱前
誰もいない国千穐楽! この場所にいれてよかったです!!!! ありがとうございました!!!!! 晩御飯はふゆちゃんと(≧∇≦) 美味しかったーー(≧∇≦) さて!今から大阪帰ります!!!! https://t.co/ulanLPHesg
6年弱前
誰もいない国、あの空気感とか会話のちぐはぐさとか何なんだろうと思ったけど、朝9時くらいのホモバーのカオスっぷりがちょうどマッチしてる感じがした。不条理と倫理、夢と現の狭間。あとゲロ吐けそうで吐けない気持ち悪さみたいなムカムカとか。
6年弱前
誰もいない国、はたらく細胞、くにおくん みんな千穐楽お疲れ様でした。今週忙しかったな~~わたしの5日連続観劇もお疲れ様でした!それでも時間もお金も足りない!
6年弱前
『誰もいない国』おつかれさまでした。『わからない』が面白いというのは不思議な感覚、【会話の無連続性】も気持ち悪くて面白かった。関係性の欠落、最終的にはめちゃくちゃ怖かった。最後の「2度と話題を変えない」で背筋に寒気が走った。不条理…不条理という意味では筋道通ってて条理なんだよな。
6年弱前
『誰もいない国』お疲れでした。 わからなかったよ、全然。 1幕と2幕で呼び方が違って、別人なのか?と思ったらまた呼び方が元に戻って、結局あの4人は誰だったのか、どういう関係だったのか、答えが出せなくてずっとモヤモヤを抱えたままになりそうです。
6年弱前
@kinarichan 「誰もいない国」千穐楽おめでとうございます。 無事に終了出来たこと、自分の事のように嬉しく思います。 素敵な大先輩達に囲まれて素敵な数ヶ月だったことでしょう。色々と吸収出来ましたか? 生成くんの今後の俳優人… https://t.co/XJiRiYXs7G
6年弱前
ギリギリ千秋楽で「誰もいない国」観に行けた。何気に柄本さんの芝居を生で見る機会がなかったので、行けてよかった!やっぱりすごいよなぁ、あのなんでもなさを普通にやるのが一番凄いんだよなぁ。
6年弱前
『誰もいない国』1回目の観劇は小雨のぱらつく空模様だったけれど2回目の今日は晴天。千秋楽という事もありタダジュンさん筆のハーストとスプーナーもどこか清々しそう。休憩時間に慌てて煽ったスコッチも200倍くらいに美味しく感じた。余裕を… https://t.co/tKnQCXbWhs
6年弱前
『誰もいない国』を観に新国立劇場へ。この演目を観るのは今日で二回目。“何がどうしてどうなった”という事はもはやどうでもよく、“感じる”演劇。抽象画を鑑賞しているような気分で隅々まで素晴らしい。まさに会話のコラージュ作品といった感じ… https://t.co/J0gSt0iqHv
6年弱前
@kinarichan 「誰もいない国」お疲れ様でした☺️ 今まで見た中で一番難しい作品でした。何が嘘なのか、本当なのか。また新たなジャンルを知ることが出来ました。うーん、!深めます!深めたい! あの空間で演じている生成君。… https://t.co/JCqzrvyYve
6年弱前
はっ!しまった!! 気づいたら誰もいない国が終わってる…!
6年弱前
『誰もいない国』2度目の観劇でしたが、やっぱり掴みきれませんでした!!!!!! でもあの空間と、膨大な台詞に飲み込まれる感覚が心地よくて、良い時間でした。 生成ちゃんがこの芝居に出ていることがすごくて、それを見に行けることが幸せで… https://t.co/FB6fJVD10Y
6年弱前
誰もいない国お疲れ様でした!途中までこの解釈であってるかな〜と思いながら観てたけど放棄したwwwやっぱりよくわからないしわからなくていい!わからないのがおもしろいしこのよくわからないすごい世界の中にいるきなりちゃんを堪能させてもら… https://t.co/zmdYHhTz8J
6年弱前
誰もいない国 ピンター作寺十吾演出。NTLiveと比べてしまうんだが。俳優達の口跡がよくない。長い台詞を一生懸命こなしている感じがする。イギリス版の階層の違いのような表現もなく悪い意味で翻訳劇っぽい固さもありスマートじゃない。本水… https://t.co/VWEVU7774l
6年弱前
行ってきました。『誰もいない国』とにかく難しい笑。ただ、4人がまるで1人の人の中の思考の道筋のようにかけあうのはおもしろかったー。川じゃなくて湖っていうのも滞って‘‘変化を拒絶する’’感じで好き。あとは演出上半分浸水した舞台の処理… https://t.co/bOwmqb6Uv3
6年弱前
誰もいない国、噂通り難解だったけど見てよかったです。きなりちゃんとても良かった!
6年弱前
誰もいない国 @新国立劇場 千秋楽滑り込み!! 濃密な空間でございました。 台詞に吸い込まれて、ラストシーンは、なんだか自分が消えてなくなるんじゃないか?という気持ちになった。観てから色々考えてしまう。 贅沢な時間でございました。 きなりは艶やかでしたな! お疲れ様!!
6年弱前
連休に観に行ったもの 11月23日 芝居「誰もいない国」(新国立劇場小劇場) 11月24日 ライブ「ROVO LIVE at UNIT 2018」(代官山UNIT) 11月25日 芝居「贋作 桜の森の満開の下」(東京芸術劇場プレイハウス)
6年弱前
新国立劇場でハロルド・ピンターの『誰もいない国』。柄本明と石倉三郎が酒飲みながら話してる場面が、普通に柄本明と石倉三郎が酒飲みながら話してる現場にしか見えんかった。とにかく全編にわたり酒を飲んで、話は噛み合わず、結局なにが起こっているのかはわからない。それでいいらしい。
6年弱前
@kinarichan 「誰もいない国」千穐楽、そして全公演とも無事に終えられて、本当に良かったですね。 キナリくん、お疲れさまでした。 ありがとうございました。 大先輩方!よろしくお願いしまーす!!! よい時間を☺︎
6年弱前
@kinarichan 生成さん〜!『誰もいない国』千穐楽お疲れ様でした!観劇させていただきました〜。不思議な気持ちがもやもやとしますが、見ることができて良かったです!!そして生成さんの演技を実際に見れて良かったです。幸せです!!… https://t.co/lf418IN54o
6年弱前
舞台「誰もいない国」 千穐楽、無事、終了しました。 本当に、ありがとうございました。 お世話に、なりました。 大先輩方と、打ち上がります。 よい、お年を。 https://t.co/PTCpj5od24 #誰もいない国
6年弱前
『誰もいない国』 千穐楽観てきました〜〜 水、水、無限ループのような不思議な世界観で、あっという間に終わった ただ難しかったけど観れて良かったー!すごい良かった観れて良かった
6年弱前
誰もいない国、千穐楽おめでとうございました!そしてお疲れ様でした。 とても難しかったけど、水の演出のような流れる無限ループのような不思議な淡々とした奇怪な空間、心地よかったです。 生成くんのセリフ回し、また一段と聞きやすく含みとか… https://t.co/fxQrLsWa5R
6年弱前
舞台「誰もいない国」千穐楽観劇。頭の中を良い感じにマッサージされたみたいな感覚(*´-`)
6年弱前