満足度★★
テント公演の収穫は…?
夢の島を舞台にした作品をいざ夢の島で上演する!というのは当人たちにとっては本当にうれしいことだと思う。第五福竜丸が本当にそこにあるとは知らなかったし、「ゴミの島」「死の灰」とくれば作家の想像力を掻き立てるものがあるだろうと思う。ただ、初演ならまだしも再演なのだとしたら、もう少し“場”について検証してほしかった。今、夢の島は綺麗に埋め立てられていることを皆知っていながら、観劇に行く道すがらでは何となく「ゴミ処理場」のようなカラスが飛び交う「ゴミ溜め」を想像している。だから、せめてテントの周辺だけでもその“期待”に応えてゴミやガラクタに埋もれるような感覚を与えてほしかった。再演で勝ち取った夢の島での上演、という高揚感は、その紆余曲折を知らないただの観客には伝わらなかったのかもしれない。
満足度★★
むしろ観たいのは、そこです。
ソワレの回に合わせて、第五福竜丸展示館が特別開館。情報としてでなく、実際に見られるというのは重要なポイントだと思います。これだけでも夢の島まで足を運んだ価値はありますが、上演時間が2時間半というのは事前に公開するべきだった気がします。チラシのコピーを否定する文章と合わせて記載されていたこともあり、開演前になんだか残念な気分に。そうした気分も影響してか、どうしても描かれる世界のフィクションを信じることができませんでした。
理屈で強度を固めるのではなく、勢いと熱量で飛んでくれればと。展示されている「第五福竜丸」という事実を超えるものは、観られませんでした。
満足度★★★
唐十郎イズムのその先は?
ひさしぶりのテント公演。しかも初見の劇団なので不安と期待が入り混じる中の開演待ち。のっけからBGMと、青白い顔の黒服の男女が現れて、一気に「非日常の物語」へ誘われました。まさに唐十郎さんの遺伝子を受け継いだ、怒涛のイメージの連鎖が、個性的な役者たちの口から矢継ぎ早に吐き出される。迫力はまさにテント芝居。
だけど…なんです。作家の男の「書けない」という葛藤は分かるにしても、幽霊船に恋文を書き続けた女の激情の在り処が分からないんです。理解を超えた言動に隠されたものが、まったく見えない。多分、そこをどう考えるかが一番挑まなきゃならんところではないか? 例えば、凡庸だけど出自とか家族の過去とか。単に第五福竜丸の事件や夢の島という土地をにおわせても、幽霊船に恋をするという「理解を超えた行動」の根拠には、そう簡単にはなりません。一番観たいところが、観れなかったのが残念。
それと、BGMを多用しすぎだと思います。役者ががんばっていたのに、せりふが聞き取れない箇所があって、もったいないと思いました。曲で雰囲気を作るより、役者に任せるべきところは任せてほしかった。
満足度★★
並外れた努力によって実現した公演。
書きたいことが見つからない小説家・ミズホシと、第五福竜丸という船にラブレターを書き続けた女・火見子を中心に、ゴミ溜めに集まる奇妙な人々のそれぞれの妄想のような世界が繰り広げられます。
登場人物はみな雄弁ですが、対話ではなくずっと独白し続けているようでした。意味や設定が、次から次へと上書きされるように変わってしまうのが非常に残念。役者さんの演技はセリフ同様に一方通行な人が多く、あまり引き込まれず。選曲がつぎはぎな印象でした。しかるべき時にしかるべき音・音楽を鳴らす覚悟が欲しいです。
夢の島公園にテント劇場を建てて、かつての夢の島を舞台にしたお芝居を上演するという企画は、抜群のインパクトでした。劇団メンバーは主宰・作・演出の清末浩平さんと、プロデューサー・俳優の森澤友一朗さんのお2人のみだそうです。多くの方の協力を得て公演が実現したのでしょう。お2人の人徳と並外れた努力がそれを可能にしたのだと思います。アングラ演劇界の層の厚さも実感しました。
開演前に第五福竜丸展示館に行けてとても良かったです。貴重な機会をいただきました。また、展示館を見た人と見ていない人では感想が全然違うのではないかと思います。
開演前に体調が思わしくないことを伝えたところ、とても親切に対応してくださいました。ありがとうございました。
満足度★★
熱演でした。
役者さんの演技はしっかりしていたと思います。歴史の流れ、風刺的な要素は面白かったのですが、基本ストーリーが非常に分かりにくく、場面の切り替わりが沢山あり、ついていけなかったのが残念でした。
満足度★★★
もうひとつパワーがあるといいな
世界観は好きだし、耽美指向も好き。あとは(唐組のような)その世界に観客を引きずり込んでしまう圧倒的なパワーがあればなあと思います。
オリンピアと、姉妹が印象的でした。
満足度★
ご当地公演
夢の島公演にテントを立て夢の島の話をやる
その企画時点で全ての労力を使い果たしてしまったのか
長時間、空調も効かないテントに押し込められた観客に
注視してもらえるだけの求心力が全くない
満足度★★★★
あえて★4つ。もう少し外枠をみてみる方がよいのではないですか?
─若い。それがまず観劇後の印象として残ったのは確かだが、それでもこの世代の演劇人としてこれからを温かく見守る事は重要だと思っています。
現代口語演劇が幅を利かせてき始めている昨今の小劇場演劇界でこの方向は貴重です。荒削り万歳だと思います。今後2、3年以降が楽しみです。
前作の下高井戸の時の公演のクオリティには残念ながら及ばなかったのは事実だとしても、今回の公演が爪痕を残さなかったとは思いません。
そしてこの世代の演劇人の中で、観る人にこれだけ雑多で王道とも言える作風を嫌な気持ちにさせないように見させるポテンシャルとテンションを買います。舞台に立っている出演者も、舞台の上に乗っている脚本も演出も照明も素直に見すえている舵は取れているので応援するべきではないでしょうか。
劇団としては初のテント公演(劇団名にしては意外にも)ですが普通の劇場とは相当相違があるわけでところどころに工夫が仕掛けられていました。
ネタバレには楽屋裏的なことを。
満足度★★★
美しかった
想像していたものとはちょっと違って、美しい幻想的な舞台でした。
テント芝居っていうと唐組を想像してしまう。
確かにこれはいわゆるテントではない気がしたけど、野外との連携がとれていてよかったんじゃないかと。
お話は若干わかりづらい部分もあったけど、舞台装置は素敵だったと思う。
音楽も雰囲気が出ていてよかった。
ただ演技エリアが相当前過ぎてずっと首を持ち上げているのはつらかった。
視界のさまたげになる。
客席と芝居をする距離が近すぎて30センチ~1メートルがほとんどのような・・・。
あんなに舞台スペースが空いているのにあれはちょっといただけない。
これで相当損してるなと思ってしまった。
近すぎて、バタバタする足音さえ思わずびくっと反応してしまいます。
特に花道?を通るときはその脇のお客たちがびっくり、ヒキで芝居を見ているってこともわかって欲しい。
これから行かれる方はポジションは中央後ろの方がいいかと思います。
満足度★
予測との差が。
夢の島、ここまで足を運ばせるからには、と何が待ち構えているかって思いますよねぇ…。特設テントも横を通っても気づかなさそうな地味さ。作品世界にさらっと入れればそれでいいのかもしれないんですが。