幽霊船 公演情報 劇団サーカス劇場「幽霊船」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    並外れた努力によって実現した公演。
     書きたいことが見つからない小説家・ミズホシと、第五福竜丸という船にラブレターを書き続けた女・火見子を中心に、ゴミ溜めに集まる奇妙な人々のそれぞれの妄想のような世界が繰り広げられます。

     登場人物はみな雄弁ですが、対話ではなくずっと独白し続けているようでした。意味や設定が、次から次へと上書きされるように変わってしまうのが非常に残念。役者さんの演技はセリフ同様に一方通行な人が多く、あまり引き込まれず。選曲がつぎはぎな印象でした。しかるべき時にしかるべき音・音楽を鳴らす覚悟が欲しいです。

     夢の島公園にテント劇場を建てて、かつての夢の島を舞台にしたお芝居を上演するという企画は、抜群のインパクトでした。劇団メンバーは主宰・作・演出の清末浩平さんと、プロデューサー・俳優の森澤友一朗さんのお2人のみだそうです。多くの方の協力を得て公演が実現したのでしょう。お2人の人徳と並外れた努力がそれを可能にしたのだと思います。アングラ演劇界の層の厚さも実感しました。

     開演前に第五福竜丸展示館に行けてとても良かったです。貴重な機会をいただきました。また、展示館を見た人と見ていない人では感想が全然違うのではないかと思います。
     開演前に体調が思わしくないことを伝えたところ、とても親切に対応してくださいました。ありがとうございました。

    ネタバレBOX

     9歳の時に第五福竜丸という船を知り、14年間ラブレターを送り続けた火見子。なぜ“船”を愛するのか、その根拠がわかりません。ミズホシに「ズボン下ズボン下」と言って付きまとう黒崎という男が、一体何者だったのかもわかりませんでした。ミズホシはなぜ本を破かないとだめだったのかしら。主要人物の存在の根拠・行動の動機をはっきりさせて欲しいと思いました。

     黒崎が「船の心臓であるエンジンを取られたから、どうしたって福竜丸は動かない」と言うと、火見子は「私の心臓(ペンダント)を捧げる」と返します。でも火見子はペンダントをミズホシにあげてしまうんですよね。そして福竜丸には「自分の身を焼いて捧げる」ことにします。腑に落ちませんでした。納得できなくてもぐんぐんと引っ張って行ってくれれば楽しめるかもしれないですが、そういう力強さは私には感じ取れませんでした。

     ラストは大きく外に開かれた舞台正面奥に船が現れます。甲板には誇らしげに立つ火見子の姿。白く光る照明に照らされたその風景は美しかったです。できれば火の中に身を投じる演出が見たかったですね。

     『あなたの知らない「東京」が、そこにある』というチラシに書かれたキャッチコピーについて、清末さんがパンフレットに長い文章を書かれています。趣旨は「そうとは限らない」ということで、これには色んな意味でがっかりしました。キャッチコピーなのだから、勇気を持って堂々とほらを吹いてもらいたいものです。

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    2008/06/09 12:41

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