日本の心を巧みに挑発する快作だ
『座頭市』は、世界的映画監督・黒澤明の代表作として多くの人が知っている。昨年10月、シネーマート六本木にて『座頭市血笑旅』を鑑賞したが、時代劇という映画作品ながら、コマ割の削れるところを削っていく大衆性を感じざるをえなかった。
この東京国際映画祭2013関連企画上映会『時代劇へようこそ~先ず、粋にいきましょう』は、国立近代フィルムセンター等が中心となり現在進められている「フィルムプリント復元事業」の成果を社会一般へアピールする企画として、文化庁が昨年から主催するイベントだ。
『椿組』は、国際社会のバッシングの対象となっている「ハラキリ文化」「恋色沙汰心中」「輪廻転生」(インド・バラモン教へ通じ、カースト制を生む原因)の三点を、驚くべき編成、人物描写により劇場空間を席巻してしまった。
四方のステージ。通路を老人が歩き出し、「盲で ございまーす。盲でございまーす」(差別語であることは承知しておりますが、江戸時代を描く史実関係も大切だと思い、台詞をそのまま掲載させて頂いています)を お知らせする。
黒澤明も撮影した その『座頭市』を現在進行形の形に添えた上、終戦後50年代〜60年代の「色沙汰心中」で交差させる、スリリングな構成であった。
開場中、ずっと音響スピーカが流していたBGMこそ「50年代ニュース映画」である。1951年4月16日7時25分マッカーサーの離日実況中継は、当時の「民主化の父」へ対する崇拝の世論を映し出すようで興味深い。
戦後復興期を迎え、「金」が絶対権利を持つ資本主義社会と、個人の悲壮感「挑み、そして散る者」に哲学価値を定義する舞台は多い。漫画家・手塚治虫も1980年代以降、こうしたテーマを強く意識した作品制作を行っている。
だが、『椿組』が全く異なったアプローチであるのは、「色沙汰心中」を、かなり思い切って肯定してみせたことだろう。
「都会にはレモンがいる」等の台詞が、シェイクスピア調の格式高い香り。あまりの難解なセリフは笑いすら起こった。
満足度★★★★★
無題969(14-008)
19:00の回(晴)。18:20会場着、受付(指定席)、18:29開場。前2列(桟敷)が自由席、3列目(A)から椅子席(クッションあり)、ひな壇。(たぶん)正方形の一段高くなった舞台、赤い模様がちょっと不気味、下手に木らしきもの、壁を伝って天井まで。こちらは2作目(「後ろの正面だあれ!(2013/2)」)、今井さん、長嶺さん、鳥越さんは、先月「THE BELL(@セッションハウス)」を観ました。
お客さん詰まっています。列の前後、間隔「0」。開場時からラジオの「ニュース」番組でしょうか、極東国際軍事裁判、浅沼事件、東京オリンピック…19:01前説、19:02ブザー、暗転〜20:55終演。
壁に暗幕、舞台上、初めは何もないのですが、場面によって小道具が設置され、下手にギター奏者(アコースティックのダブルネック、ボディは小さ目…K.yairiでしょうか?)。
女と男…、旅の一行は時を超えて何処へ行く。エピソードのつながりがよくわからないものの見応えありました。ギター(スライドあり)の音色も綺麗、とてもクリーンなので々、BGMのほうのギターと聴き間違える。会場が少し寒く感じました。
満足度★★★★★
始まってすぐ、
「あ、これはヤバい・・・・」と。まさに「ザ・お芝居」という感じだったなぁ。舞台美術、衣装、演技などすべて素晴らしかったですが、何といっても他の劇団にはないお芝居の毒みたいなものがたっぷりで、こんなものを見てしまっては他の劇団が物足りなくなってしまうのではないか、と本気で心配しています。大衆演劇などのけれん味とは全く違う、お芝居のエッセンスが滴るような舞台でした。ストーリー云々よりも、何というか、持っていかれてしまいました。危ないです。
満足度★★★★
男と女のおとしまえ
エンターテインメントとしても楽しめる舞台である。然し、実に様々な要素が織り込まれているので、観る者の関心によって様々な観方が可能な作品である。
満足度★★★★★
ユニークな作りが楽しめました
オムニバスのようで繋がっている話を上手に見せておりました♪
自分好みの細かい小道具選別など、
使い方・見せ方がカッコ良かったなぁと思った1時間50分。
ラスト30秒の心意気、しかと受け取りました。
終演後挨拶での、「ラスト30秒に命賭けてますから!」
はい、その通りです。
舞台装置は本当に素晴らしいです。
三方を囲む黒、日本の“日”とも読めそうな月、赤い舞台。
そして白の世界。
すっかり心奪われてしまいました。
時代はめぐる。「ゆう」と共に。
椿組は昨年夏の花園神社野外劇以来、二回目の観劇。
理解力の乏しい私には、「何でこうなったの?」「どうしてこうなるの?」って所が多々あるのは今回も同じ。
一つ例を挙げると、終盤の座頭三人が斬り合う理由とか。
しかし、全体のストーリーとしては楽しめた。
色々な時代の、様々な男女模様の、心中。
その時代でなかったら、そこに生まれていなければ、知らなければ、幸せになれたはずの男と女。
泣きたかったなぁ。何故泣けなかったのか…
表面的になってしまったからなぁ…?
各パートとも、相手を殺すほどの狂気はなかったのは確か。
江戸から始まり、時代をめぐり、また江戸に戻る。
時代劇の中に、「(当初の時代からの)未来の回想」という劇中劇が入る、何とも複雑な構成。
劇中劇の中に、今がいつといった正確な説明はないものの、大体の時代やその背景は理解できる。
そしてそんな複雑な構成でも、こちらは混乱せずに観られる。
ギターの生演奏が舞台を盛り上げてくれた。
時代劇にギター?と思って観始めたが、これが合う!