満足度★★★★
ダムから原発再稼働まで
保証金を貰って、故郷を離れる人々と残った人々の話と言えば言える。この手の話の現実面を様々な類似ケースで聞いている。一時的に大金が入った結果、ギャンブルや酒色に溺れ、家族離散の憂き目を見た、とか新規に慣れない事業を始めたが失敗したとか、移り住んだ土地の人々との折り合いが悪く、学校で子供達が苛められ、親子共に精神的な苦痛を受けた等々、マイナス要素も多々ある。
その辺りの事情をかなりリアルに再現して居る分、自分にとっては、ちょっと物が言い難い作品でもある。
満足度★★★
ノスタルジックな雰囲気や
同窓会らしさは感じられず、生まれ育った町がダムに沈む悔しさなどほとんど感じていないシチュエーション。 単に旧友が集まっただけで、話に深みを感じられなかった・・・。
満足度★★★
若さがいいけど・・
1つの脚本を3人の演出家がそれぞれの解釈と演出で創り上げるというもの(TypeA,B,C)。
その先陣を切るTypeA公演より そしてダブルキャストの【空】公演の回に行きました。。
登場キャストは皆さん若い方ばかり。。
将来性があるっちゃあるかもしれないけど・・・
お芝居全体のレベル感からすると まだまだ未成熟な演技が目立った と感じてしまいました。
ストーリーはというと とある田舎町の分校。 10数年ぶりの同窓会、懐かしい教室、当時の思い出、 それに反比例しているかのような 今の自分たち。。
とまぁ よーくあるシチュエーションと展開も ストーリーに引き込まれて行くような雰囲気でもなく 2時間以上がちょっと しんどく感じてしまいました・・・
お話的には ありがちなテーマだったので もっと大胆な展開や 予想を裏切るようなサプライズ演出がほしかった!! という気がします。
出演キャストの知り合いには それぞれには 均等にスポットもあてられていて良かったかもしれませんが・・・
純粋に いいお芝居を観たい!! という人のはちょっと物足りなく思えたんじゃないかなぁ・・
事情通に聞く! 『変わらない人と地』
今回の舞台、どうでしたか?
「ダムに沈んでしまう街。そういう設定だけで、泣ける舞台が要求される。演出にとってみれば胃が痛くなる思いだろうね」
中学校の同窓会というシチュエーションだけあって、全員20代の役者でした。
「小劇場の世界って、男優も女優も背の低い人が多い。テレビなどの映像中心の俳優と、最も違う点といってよい。だって、駅前劇場に阿部寛いる?(笑)
キャストの男優の背が高い、それだけでも、特徴的だよ。男優は、普段モデルとかもしてるんだろうけど」
地元に対する意見の対立、(中学生時代の)校舎への立て篭もり、など社会的な面も感じられました。
「今の若いひとは、上に従順だよね。例えば、1960年代の安保闘争のような、目的のために団結して闘うようなことは しないでしょう。東大安田講堂の占拠ばかりが歴史の教科書に記されているけど、国会周辺のデモが より激しかったら、現在の国に形さえ変わっていたかもしれない。でも、安保条約は延長され、岸信介首相が辞任し、安保闘争自体にも熱が失われた。
だから、日本人にとって、上への闘争というのは、負け覚悟のスパイラルから抜け出せないんです。
秩父事件しかり、刀で銃に立ち向かったが、官軍に負けた。もちろん今までの農民一揆とは異なり、それを指揮した人物は白い袴(死をいとわないことを表す)を着用していたので、彼らとしてはアピールではなかった。むしろ戦争を意図していたのですが、官軍と対等に闘う武器は調達しなかったのです」
中学校での籠城も、結局、負け戦になってしまいました。
「日本人にとって上への闘争とは、頭で闘うことではない。2011年にアラブの春が吹き荒れたでしょう。きっかけは、チュニジアです。大統領を反対する政治グループが結集し、チュニジアの市民をも巻き込みました。多くの国家では、上への闘争の際、様々な主義主張を持つグループが連合体を作るものなのです。
ところが日本人の場合、闘争が より分裂化する方向があります。
安保闘争もそうですし、成田空港反対同盟も そうでした。
脱原発もポリティカル性では 今あげた闘争と似たところもありますが、脱原発を標榜する政党が乱立したことは記憶に新しいでしょう」
舞台の話もお聞かせ下さい。中学生たちのダム建設反対も、大人になり、分裂化したといえるのではないでしょうか?
沈没一ヶ月前だというのに畑を耕す男性いれば、ダム工事の建設に携わっている女性もいる…。
「それは一概には言えない。ポリティカルなテーマとは、また違うから。
長野県の田中康夫知事時代は、脱ダム宣言を発表した結果、ダムの工事はストップした。ところが、彼は二期目の選挙で保守系の候補に敗れたね。
ダム建設の凍結だけが理由ではないが、要するに、工事関係者も潤わないし、その場所にいた、あるいは今いる住民も過疎に悩まされるわけ。
工事してくれた方が、ダム湖畔という観光スポットも出来る。たまに地方に行くと、風力発電の風車が観光地になっている。自然を損なう代わりとして、県の観光課や商工課がバックアップしてくれる。
そういう、蜜が味わえるわけだから、やはり一度、工事が進んだらスピードを上げてやってもらった方がいい。八ッ場ダムの反対派も、このインセンティブのため開発を求める方向に替わった。
やはりポリティカルなテーマではなく、地域の経済と環境の問題なんだ。
関西電力は、北陸の黒部ダムを作った。延にして数百万の人が建設にあたっている。過酷な現場で多くの人が亡くなったことは、NHKの人気番組でも放送されたことにより、社会的に認知されていると思う。
都市に電力を融通するため地域へ補助金を流し、現場は過酷労働。どこかの構図と、同じなんだよね」
ああ、原発ですか?ぜひ、舞台の話も聞きたいのですが…
「銀行マンや教師、広告代理店、公務員がいたね。あれは、日本の平均点な状況を考えると、違和感が。
過疎の村は、それほど 機会を得ることはできない。
一方、妹の女の子は、可愛かったね。舞台後方のドアを開けるシーンさ、眩しい光が差したでしょう。このシーンは、女の子を別の次元に上げる象徴的な意味合いだったのかな。
お兄さんも、変わらない笑顔が良かったよ。時々、そういう青年いるよね、僕の周りにはいないけど」