満足度★★★
難しいけど考える
今までの劇団さんの作風とは結構変わったのでしょうか。観た方でも色々と意見が分かれているように思います。時間経過の演出など面白い描写も多かったですが、観る側としては難しく感じました。この間、民主党政権の前首相たちを誰も知らない若者と会い、国の先について考えた事ととてもリンクしました。以下
「捨て子問題」を解体し、社会と交わる舞台の確立
社会派の、テンポのよい、痛快な“ヒューマンドラマ”であった。
「前説」を名乗りながら舞台のストーリーテラーとして登場する男(もみあげ!)によれば、妊娠中絶反対の見方にたって描かれたという。
まず、初めに幕が上がり、目の前に拡がった景色が異様だった。
ホワイトカラーの髪をした女の子が、低い天井に 吊られる ブランコに乗り、何やら大声で“母親”なるものに語り掛けている。
「○○ですよね、 お母さん!」
手塚治虫の代表作である『鉄腕アトム』、トビウオ博士によりアトムが生まれる、まさに その実験室のような雰囲気であった。
ETV(NHK教育テレビ)から、テレビ朝日の某人気深夜バラエティ番組まで。
途中、地上波放送局の番組をモチーフとし、夫婦の関係、子育て、あるいは捨て子の関係者を番組に出演する当事者として招く、そんなコーナーがあった。
『観ている』時には理解できなかったが、その構成において、男女の問題ー捨て子という道筋を辿っている。つまり、このことは妊娠中絶反対の基本の描き方に則り、「捨て子」が 日本に存在してしまう「軽さ」を扱っていたと考えるのが普通だろう。
「ゆりかごポスト」は響きはよろしいが、道義的にも、社会通念上も 「捨て子」を行った親を責めないわけにはいかない。
「捨て子」は、
1経済的な事情
2義務教育段階での啓発不十分
3子育ての個人化
が要因として考えられるが、当事者以前の、行政が抱える課題だ。日本はEUと比べるとソーシャルセーフティが未発達なのは間違いない。
では、制度を整えれば「捨て子」は起こり得ないか。違う。
「前説」を名乗った男の伝えた内容を紹介したが、この舞台は客観的、現代的な表現でありながらも、妊娠中絶反対の考えに基づき描かれた作品だ。
妊娠中絶反対は、人の思想そのものである。アメリカの例が よく知られているとおり、民主党は妊娠中絶容認、共和党は妊娠中絶反対が党の基本スタンスである。
両党とも安全保障では重なる部分が多いのに、どうして ここまで 二分されるのか。
人の思想、要するに、生き方に直接的に結び付く、基盤の思想だからである。
日本には旧法の流れを汲む「母体保護法」が長らく存立するが、妊娠中絶を国が勧める悪法ではないか、と専門家の間で議論されてきた。
中絶を容認するか、反対するか、それはアメリカの州選挙の一大テーマになり得る。そうした、極めて大切なテーマである妊娠中絶問題を、戦後いつのまにか制定された旧法に身を任せた日本は 無思考の国だった。
妊娠中絶問題が生き方に直結する基盤の思想だとすれば、「捨て子」も同様に思想だろう。妊娠中絶は道義的に反対するのであって、「捨て子」も道義的にあってはならない。
国は、近年、妊娠検診に掛かる費用を自治体と合わせ全額負担するようシステムを変えた。「捨て子」対策の一環である。
その一方、「ゆりかご」に預けられた「赤ちゃん」の1人目は3歳の男児だった。もはや、国の制度ではなく、親の道義が 「捨て子」のほとんど全てで あることを証明している。
舞台の話に戻ろう。
劇場は、狭い。だが、客席の中央を 役者が幾度となく通り過ぎ、あえて幕を使って「造った舞台です。」を強調する姿は、劇場を社会の中に位置づけた姿であった。
「まだ、やってんだ、俺たちのこと」
かつて「捨て子」だった人々が、後ろの方から客席に囁く。舞台を社会の中のイベントとし、それに社会の当事者=「捨て子」が応える、二重の仕組みである。ドキュメンタリータッチだけが、社会派ではない。世の中を解体した上で、それを構成していた材木や瓦を 客席に届けるのも社会派の舞台だ。
満足度★★★★★
なにが大事なのか
赤ちゃんポストを題材に、創設した人、利用する人、預けられた人、批評する人などいくつもの視点から浮き彫りにされる功罪・・・。
テーマは重いがことさらにシリアスなつくりではなく軽妙さもある。
生まれ生きることが苦しみや苦痛ではなく、喜びや幸せであれと強く思う。
満足度★★★
新たな流れ
これまでのナイスコンプレックスの演目すべてを観てきたぞ!
とは言えず、旗揚げから今に至るまでは
見逃した公演アリで、ちょこちょこと観て来た自分。
漠然と。
どんな雰囲気かな、こんな感じかなと少ない情報から混ぜ込んで
上演前に美味しく観る為の下仕込のような高揚感を味わうのが一連の流れ。
だが今回、揺さぶる。強い風が吹き荒れる。
とにかく飛ばされる。いや何度も離れまいと大木にしがみついたものの
掴む枝ごとひっぺがす。
巨大な竜巻の中で絵本を読んでいるような、
渦の外の緊張感と内側の穏やかな静けさとでもいうのだろうか
頭の中を整理せずに感想を書くと自分でもよくわからない事を書くので
後々にそれを見返すとまた面白い
数点の場面が記憶に残る。
観終わったあとにあーだこーだと語る楽しみもあるのかなと。
満足度★★★★
テーマは重くて難しいけれど
この演出だったら中高生や男性に、もっと観てもらいたいと思いました。コミカルなシーンもあったけど、所どころ心に響く台詞もあって、最初から最後まで考えさせられる作品でした。
満足度★★★★
多角的に情報を伝えようとしてましたね
抽象的に具体的にと表現されていたのですが、
チトわかりにくいところもあった。
まーその分いろいろと考えさせられる芝居でありました。
辛くて直視するのが大変かもしれませんが、
次世代を担う子供を生む女性は特に見た方が良いのでは?と思ったです
(男性も重要ですが、負担が大きいのが女性ですものと感じます。)
明るく笑いも入れるのに、
テーマが真摯なのが凄いなぁと思った2時間でありました。
満足度★★★★
色んな視点
ナイコンの見やすさといったら
やはり色んな視点を描いているところにあります。
今回のテーマは特に社会的にも賛否両論だと思うので
上手く色んな視点から情報が入ってきたように感じました。
私には、不条理世界が難しいところもありましたが、
社会の動きや、自分の行動、ニュースにも、もっともっと関心を持っていきたいと思いました。
ありがとうございました。
次回も期待しています。
満足度★★★★★
見事な啓蒙的エンターテイメント!
赤ちゃんポストとそこから派生する問題を丁寧に汲み取りながらも、見事なエンターテイメントに仕上がっています。社会問題を扱って、ここまで面白くみせるとは、もう脱帽です。観れてよかった。前説おじさん、濃くてちょっとクドかったけど。
満足度★★★★
布石
作品を通して、「赤ちゃんポスト」について改めて考える布石になりました。
その存在は、有りなのか無しなのか、最善のソルーションなのか?別の仕組みを模索するべきなのか?
でも直視すべきは、子供を持つことに苦悩する母親、産まれてきた赤ちゃんであることがとても強く伝わってくる芝居でした。
敢えて厳しい社会に直面する成長した私生児達が浴びる言葉、扱いの実態も演じられる。
思いの詰まった作品でした。
初めて観劇した劇団でしたが、表情豊かな役者陣にとても魅力を感じました。
観劇後に過去DVDを見ていると、丁寧に作品の魅力を説明してくださるスタッフのお陰で、4本のDVDを選別し購入できました。
次回作も期待しています。
言葉が出なかった
セットにループする様な演出に、なかなか面白かったです。
赤ちゃんポスト。正直重いテーマです。
考え方は人それぞれだし、子を持つ親でも感じ方は違うだろうし…
こんなことが無くなればいいと思う反面、どんな生まれ育ちでも、今を幸せだと感じ生きているなら良いのではないかとも思います。
答えなんてわからないし、何が正しいとも無いと思います。
ただ、この作品で考えることがたくさんあって。涙が止まりませんでした。
ぜひ、たくさんの人に観てほしいです。
評価は、あえて付けません。
でも、素敵な作品でした。
ありがとうございました。
満足度★★★★★
無題697(13-122)&698(13-123)
①5/3(金)16:30の回(晴)、②5/6(月)12:00の回(晴)。30分前受付、開場。2回みました。パセリスで紅林さんをみて→スタンウェイがたくさんある「松尾ホールに」行って→こちらの劇団にたどり着きました。これは「シガラミ」ではなく「ツナガリ」です。私は、よく出演者つながりでお芝居をみに行きます。そうすることによってまた「ツナガリ」が拡がり、強くなります。再生し生長します。
1回目は、舞台の展開、クラシック、時間の流れが新鮮に感じられ、終演後、台本を購入...帰宅する電車のなかで読んでみると気が付かなかったところがたくさんあったのでリピートしました。2回目は少し舞台と間をとり3列目に座ってみました。①16:26前説(で既に始まっている、110分)~18:28終演。②11:57前説(120分)、12:01暗転~14:04終演。パイプ椅子4列、クッション付、①では最前列だったので気が付きませんでしたが、前後で椅子の位置をずらし、みやすくなっていました。
先日、「楽園」でみたお芝居は「生まれる」条件を「出生前診断」で科学的に判定することを題材にしていました。本作と重ねてみると深みが増します。
阿部みゆきさん...どこかでみたような気がしたので確認してみますと、2011/7にB.B.Q「RIDE ON LIFE@下北沢」、また早野実紗さんは2012/12文月堂「チェインソング@下北沢」をみていました。
またあとで少し書き足します。
満足度★★★★★
もう一回
もう一度観に行きたいです!
きっと、何度か観ることで、考えが深まったり、
一度目に観たときには気づかなかったことを
気づくことができる公演だと思いました
最終日観に行きたいです
満足度★★★★
外国との比較も具体的に取り入れたら
上演前、客席にはピッ、ピッ、ピッっという電子音が鳴り続けている。
「銀河鉄道の夜」をベースに引用しながら捨て子問題を扱った作品だが、最近の作品なら乳幼児遺棄に関して「コインロッカーベイビーズ」を思い出さない人は居まい。
やや軽い感じかな
テーマが重いわりには、
ライトな感覚で描いていた感じがしました。
特に前説がちょこちょこ入り過ぎな感じを
持ちました。
作品の評価は、この劇と同じような境遇に
あった人がどう感じるかによると思いました。
最後は、みんなで食卓をかこんでいるシーンで終わり、
ハッピーエンド的な感じでしたが、上述の人を対象に
上演した場合どんな感想をもつのだろうかと
感じました。
生みの親より育ての親という言葉もあるように、
不妊で悩んでいて、どうしても子供が欲しい夫婦の存在を
考えると、赤ちゃんポスト的なところで拾われた健康な
将来ある赤ちゃんをそういった夫婦に愛情をもって育てて
もらうのは、命を助ける以外のもう一つの役割かなと
気づかされた次第です。
なにはともあれ、重たいテーマにぶつかっていった点は
よくやったと思います。