斜い人 (はすいひと) 公演情報 斜い人 (はすいひと)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-17件 / 17件中
  • 満足度★★★

    難しいけど考える
    今までの劇団さんの作風とは結構変わったのでしょうか。観た方でも色々と意見が分かれているように思います。時間経過の演出など面白い描写も多かったですが、観る側としては難しく感じました。この間、民主党政権の前首相たちを誰も知らない若者と会い、国の先について考えた事ととてもリンクしました。以下

    ネタバレBOX

    以前に仕事で子どもと多く接した事もあり、様々な環境に置かれている子達について伝わる事は多岐に渡ります。必要な題材ではないでしょうか。逆説的に必要なこと、今の世の中では多そうです。
    前方で観ていましたが、幕の上手かな、少し開いて見切れている感じでした。転換も相当忙しそうなのは見てわかりますが、些か音が大きいのは要改良と思います。ぐるぐる回る群舞の微妙なズレや、テレビの件では尺を使い過ぎている何とも勿体ない感じは拭えなかったです。巻き戻したり、時間経過の解釈を分かりやすくしてもらえたら、見やすく入りやすくなるのではないでしょうか。雑多に配置されているようなセット、落書きしたり遊び心があって良かったです。語りの藤田慶輔さんは若干噛んだりもあったけど、客席の空気の和ませ方が素敵でした。ありがとうございました。
  • 「捨て子問題」を解体し、社会と交わる舞台の確立
    社会派の、テンポのよい、痛快な“ヒューマンドラマ”であった。

    「前説」を名乗りながら舞台のストーリーテラーとして登場する男(もみあげ!)によれば、妊娠中絶反対の見方にたって描かれたという。


    まず、初めに幕が上がり、目の前に拡がった景色が異様だった。
    ホワイトカラーの髪をした女の子が、低い天井に  吊られる ブランコに乗り、何やら大声で“母親”なるものに語り掛けている。

    「○○ですよね、  お母さん!」


    手塚治虫の代表作である『鉄腕アトム』、トビウオ博士によりアトムが生まれる、まさに その実験室のような雰囲気であった。


    ETV(NHK教育テレビ)から、テレビ朝日の某人気深夜バラエティ番組まで。
    途中、地上波放送局の番組をモチーフとし、夫婦の関係、子育て、あるいは捨て子の関係者を番組に出演する当事者として招く、そんなコーナーがあった。
    『観ている』時には理解できなかったが、その構成において、男女の問題ー捨て子という道筋を辿っている。つまり、このことは妊娠中絶反対の基本の描き方に則り、「捨て子」が 日本に存在してしまう「軽さ」を扱っていたと考えるのが普通だろう。

    「ゆりかごポスト」は響きはよろしいが、道義的にも、社会通念上も 「捨て子」を行った親を責めないわけにはいかない。

    「捨て子」は、
    1経済的な事情
    2義務教育段階での啓発不十分
    3子育ての個人化
    が要因として考えられるが、当事者以前の、行政が抱える課題だ。日本はEUと比べるとソーシャルセーフティが未発達なのは間違いない。
    では、制度を整えれば「捨て子」は起こり得ないか。違う。

    「前説」を名乗った男の伝えた内容を紹介したが、この舞台は客観的、現代的な表現でありながらも、妊娠中絶反対の考えに基づき描かれた作品だ。
    妊娠中絶反対は、人の思想そのものである。アメリカの例が よく知られているとおり、民主党は妊娠中絶容認、共和党は妊娠中絶反対が党の基本スタンスである。
    両党とも安全保障では重なる部分が多いのに、どうして  ここまで 二分されるのか。
    人の思想、要するに、生き方に直接的に結び付く、基盤の思想だからである。

    日本には旧法の流れを汲む「母体保護法」が長らく存立するが、妊娠中絶を国が勧める悪法ではないか、と専門家の間で議論されてきた。
    中絶を容認するか、反対するか、それはアメリカの州選挙の一大テーマになり得る。そうした、極めて大切なテーマである妊娠中絶問題を、戦後いつのまにか制定された旧法に身を任せた日本は 無思考の国だった。

    妊娠中絶問題が生き方に直結する基盤の思想だとすれば、「捨て子」も同様に思想だろう。妊娠中絶は道義的に反対するのであって、「捨て子」も道義的にあってはならない。
    国は、近年、妊娠検診に掛かる費用を自治体と合わせ全額負担するようシステムを変えた。「捨て子」対策の一環である。
    その一方、「ゆりかご」に預けられた「赤ちゃん」の1人目は3歳の男児だった。もはや、国の制度ではなく、親の道義が 「捨て子」のほとんど全てで あることを証明している。

    舞台の話に戻ろう。
    劇場は、狭い。だが、客席の中央を 役者が幾度となく通り過ぎ、あえて幕を使って「造った舞台です。」を強調する姿は、劇場を社会の中に位置づけた姿であった。


    「まだ、やってんだ、俺たちのこと」


    かつて「捨て子」だった人々が、後ろの方から客席に囁く。舞台を社会の中のイベントとし、それに社会の当事者=「捨て子」が応える、二重の仕組みである。ドキュメンタリータッチだけが、社会派ではない。世の中を解体した上で、それを構成していた材木や瓦を  客席に届けるのも社会派の舞台だ。


    ネタバレBOX

    社会を誰が牛耳ってるか分かる、社会派の舞台でもあった。


    現在、総理大臣を指名する衆議院の選挙方式は、小選挙区比例代表並立制だ。
    1994年に制定され、1996年執行の衆院総選挙から運用されている。

    1988年にリクルート事件を発端とし結成されたユートヒア政治研究会は、1年生議員の年間に掛かる政治費用を算出したことがある。

    以下、同研究会に関わった、衆議院議員•とかい紀三朗氏の公式ホームページから引用したい。


    「金のかからない政治を実現するためには、まず何故政治に金がかかるのかを知らなければならない。それ故に、メンバーの必要経費を分析することになり、理系学部出身であった私と鳩山氏が担当することになった。

    かなり以前のことであり、資料が手元に残ってないので正確ではないが、最低でも6500万、最高は1億9000万円(おそらく鳩山氏)、バラツキはあつたが参加メンバー10人の平均は約1億1000万となった。

    鳩山氏が分析を試みたが、選挙区の広狭と経費の多寡に若干の関連性はあるものの、それぞれの選挙区事情に差もあり、傾向を結論づけることは難しかった」


    中選挙区制時代には、『三バン』という政治用語があった。
    地盤、看板(知名度)、鞄(資金)の三つ である。
    一つの選挙区で、同じ政党の公認を受ける複数の候補が競い合うケースがみられたため、より世襲化、金権腐敗が進行したというのが戦後日本政治史の通説だろう。
    もっとも、常に110〜150程度の議席数を保有していた日本社会党が ほぼ「一選挙区1名」の方針だったわけだから、事実上は自民党の問題を指す。


    この自民党利権誘導メカニズムについて、政治学者の砂原廉平氏は、次のように指摘する。

    「政党を頼ることができない候補者がまず依存するのは、選挙区内のさまざまな組織・団体だ。たとえば定数4人程度の選挙区では、20%程度の得票を固めれば当選が見込めるので、一定の組織・団体からの支持が当選に直結する。

    所属政党を問わない競争のもと、候補者は自分だけを支持してくれる組織・団体を探す。その結果、選挙区内の地域ごと・産業セクターごとに細分化された組織・団体が、政党ではなく候補者個人を支援する。

    当選した議員たちは、支援の見返りとして組織・団体への便宜を図ることを優先し、それが政治腐敗の温床となるのだ。

    次に候補者が依存するのは、自民党で隠然たる力を持っていた「派閥」だ。自民党の派閥は、党の支援に頼れない候補者に、経済的な資源をもたらし、場合によっては選挙区の組織・団体の紹介をも行っていた。

    派閥の長は、自民党総裁選挙に勝利して総理大臣になるべく、構成員にさまざまな資源を付与して求心力を高めようとするのだ。この過程で政治腐敗が生じることになる」(2013.2.2  週刊東洋経済)


    リクルート事件が世論に与えた影響は多大で、直後の参院選での土井社会党躍進を招き、政治改革を巡り自民党経世会の改革派が新生党、新党さきがけ らに分裂した結果、戦後保守レジーム崩壊へと繋がった。

    では、小選挙区比例代表並立制と選挙制度が変わり、中選挙区制の難点は解消されただろうか。

    中選挙区制時代の「地盤」「看板」「鞄」は、世襲政治家がものを言う最たる武器だった。地域の企業、団体とのパイプはあるし、政治団体の資産は息子が代表となれば使える。

    小選挙区比例代表並立制に基づく選挙が執行された1996年以降の、衆議院議員における世襲状況のしばらくの経過を見てみよう。


    1996年総選挙 87名
    2000年総選挙 113名 
    2003年総選挙 134名


    年々、増加傾向にあるではないか。1996年時に内閣総理大臣だった橋本龍太郎以降、既に5人が世襲政治家首相である。


    政治資金に関しては、小選挙区比例代表並立制になり「カネが掛からなくなった」か。たしかに政治家個人の政治団体の支出は減る傾向にあるが、政党としての政治資金は依然として肥大のままだ。

     昨年の総選挙、自民党は09年衆院選より比例区で220万票、小選挙区で166万票の得票を減少させた。。だが、「多党化」の要因により、国から支給される政党助成金自体は43・3%増(前年比)の145億5000万円である。自民党は他にも多額の企業献金等を受け取った上、大手銀行から借用した負債分が存在する。
    小沢一郎氏はかつて細川内閣の頃、政党助成金の法案成立を目指す際に、「民主主義のため、国民にコーヒー杯分の負担をしてもらう」と述べた。
    しかし、大統領制を採用している国を除けば多額の助成財源だから、小選挙区比例代表並立制とリンクされる形で考えられた政党助成金も、腐敗が抑えられた一方、トータルとしての「政治資金の肥大」なのは間違いない。


    最も小選挙区比例代表並立制において問題視されるのが、死票の多さで生じる有権者間の不公平だろう。


    2012年12月18日付 東京新聞ネット版の記事を参照されたい。


     「戦後最低の投票率となった十六日の衆院選は、自民党が定数(四八〇)の六割を超える二百九十四議席を確保する圧勝で終わった。しかし小選挙区で自民党候補の名を書いたのは全有権者の約四分の一、比例代表に至っては15・99%だった。自民党の勝利は、必ずしも民意を反映したものではない。多党乱立と低投票率が自民党を利した結果であるということが、はっきり分かる。

     衆院選の投票率は小選挙区で59・32%。戦後最低を記録した。

     一方、自民党の得票率は小選挙区が43・01%。比例代表は27・62%。ただし、これは投票した人の中での比率だ。

     全有権者に占める比率は24・67%、比例代表は15・99%となる。選挙区でも比例代表でも自民党候補や党名を書いた有権者は「少数派」だ。

     ところが、自民党が獲得した議席は小選挙区で定数の79%にあたる二百三十七議席、比例代表は、同31・67%の五十七議席だった。

     現在の衆院選挙制度は、小選挙区制と比例代表の並立制を採用している。民意を集約して二大政党制に導く小選挙区制で自民党は、有権者全体に占める得票率の三倍以上の議席を獲得。信じられないような世論との乖離(かいり)が生じた」(2012年12月18日  東京新聞  ネット版)


    日本国憲法に基づき、日本の成人国民は一人一人選挙権を持っている。ところが、4割の国民が投じた政党が7割近くの国会を占拠してしまうような状況は公平といえるか。
    完全小選挙区制を実施している国はイギリス連邦など、多数 見受けられるものの、日本は 「一人別枠法式」という憲法違反がまかりとおり、あまりに地方重視だ。


    完全小選挙区制度を採用している、議会制民主主義の元祖•イギリスは、実は日本と似た問題を抱える。
    保守党•自由民主党によるキャメロン連立政権の発足を決定した2010年総選挙、「第三勢力」として都市部の若い世代を中止に圧倒的な支持を集めた自由民主党は、700万票あまりを獲得した。850万票の労働党と比べ票差は150万票だった(得票率の差は6%)
    では、下院の議席獲得数は どうだったか。
    自由民主党57議席に対し労働党258議席、実に201議席の差が生じる事態となった。

    その背景は、小選挙区制という大量の死票が出ざるをえないシステム構造上の問題に加え、都市部よりも郊外地域に有利な区割りが行われた政治的な不備もある。
    こうした、政治的に既存政党が有利な区割りをすることを、「ゲリマンダー」と呼ぶ。
    1812年に米・マサチューセッツ州知事のエルブリッジ・ゲリー(Elbridge Gerry)が民主党に有利な選挙区割りを策略した。その選挙区の地図上の形が伝説の動物、サラマンダーにそっくりだった。選挙区割りを自党の政党に有利なように引く政治的な策略を、両者の名前をミックスし  「ゲリマンダー」なる用語が造られた。
    日本も かつて、1956年に当時の鳩山一郎首相が自由民主党に有利な選挙区割りの小選挙区制導入を試みたところ、「ハトマンダー」と国会内外で批判され断念してしまったことがある。

    小選挙区制度を採用する国は一般的に都市部より地方の有権者に有利な区割りがされており、イギリス連邦の加盟国であるカナダを含め、王室が社会政治に深く関与する例が少なくない。

    2010年  イギリス下院議員総選挙
    党派別議席数と得票
    政党
    得票数
    得票率
    (%)
    増減
    当選者
    増減
    保守党
    10,706,647
    36.1
    +3.8
    306
    +97
    労働党
    8,604,358
    29.0
    -6.2
    258
    -91
    自由民主党
    6,827,938
    23.0
    +1.0
    57
    -5
    アメリカにおいては、逆に民主党の支持者が集まる都市州に  議席配分(大統領指名選挙人)が偏ってる。2008年米大統領選挙、オバマ候補は 共和党マケイン候補をわずかに抑え、民主党候補者としては歴史的に過半数を少しばかり越えたに過ぎなかった。



    この国には
    1小選挙区制のマイナス面である死票
    2自民党の地方利権誘導型システムに基づく地方重視
    3比例代表との重複立候補可。それに伴う単一選挙の複数候補当選。(一票の格差9倍の可能性)
    4地域ごとの比例代表ブロック制。および拘束式の弊害。(過激政治家の出現)



    以上、4点の選挙制度をめぐる問題を抱えていると、私は考えている。
    ここでは全てを詳しく紹介できず残念だが、中選挙区制の弊害を埋めるための小選挙区比例代表並立制は誤りであり、事実に反しているのだ。公明党及び旧たちあがれ日本などは、中選挙区制の回帰を主張した。だが、世論はより一票の公平さを求め、政党の品位や主義主張を重視する時代だ。しかも候補者査定が要るのであれば、非拘束式比例代表制が現実的なのではないか。






    私が提案する新しい選挙制度とは非拘束式地域別比例代表制だ。

    現行の小選挙区比例代表並立制は、小選挙区300議席、比例区180議席の混合システムである。
    ドイツや韓国でも、似たような小選挙区比例代表併用制が採用されているが、日本のガラパゴスとして挙げられるのは重複立候補制度だ。
    小選挙区でA党の山田候補がB党の田中候補に敗れたとしても、A党の比例得票と惜敗率によっては「復活当選」する場合がある。
    民主党の海江田代表は2012年総選挙で東京1区から出馬し自民党候補に敗れた後、比例東京ブロックから復活当選した。
    国会議員の間では、小選挙区単独当選が「金バッチ」、復活当選が「銀バッチ」、比例単独当選が「銅バッチ」と揶揄されるそうだ。

    かつて、田中眞紀子前文部科学大臣は「復活当選」について、「有権者が  せっかく落とした人が蘇るのはおかしい」と批判した。

    日本が独自に重複立候補制度を設けた理由は、
    1中選挙区制時代の倍率との兼ね合い
    2死票を減らす
    3小選挙区における候補者の得票差を回避

    以上、三点の理由があったと思われる。
    思想としては、運動会のリレーで一緒に手をつなぐことを義務化する小学校と変わらない。


    誰も指摘しないことなので、あえて指摘しよう。
    重複立候補制度の真の問題点とは、日本国憲法で保証された有権者一票の重みを否定することにある。

    例えば、ある選挙区にA党、B党、C党、無所属の候補が  それぞれ立候補したとする。選挙の結果、無所属候補が当選を果たし、A、B、Cの各党も接戦の末、全員が復活当選した。制度上、A、B、C各党の当選者は比例ブロック選出の国会議員ということになる。

    では、例えば千葉県の復活当選議員は神奈川県や山梨県を含めた「南関東」の有権者に向けた政治報告をするか。いや、NOを付けつけられたはずの千葉県の自身の選挙区内有権者に対する政治報告しかしないだろう。
    さすがに海江田代表は東京1区の有権者だけではなく、日本のことを考えた政治を目指すとしても、無役の地方選挙区の1年生議員は そうならない。

    つまり、「制度上は地域ブロックの選出議員であっても、実際は小選挙区選出の議員として振舞う」


    先のケースでは他の選挙区に比べ、一人の有権者が4倍の「一票の重み」を持っていたことになる。
    死票を減らすはずの小選挙区比例代表並立制が、世界的にも ほぼ存在しない重複立候補制度の結果、ますます「一票の格差」が生じてしまっている。


    現在、主要政党の中で 比例代表制への制度変更を主張しているのは、みんなの党、生活の党である。

    みんなの党国会議員•山内康一氏は、次のように比例代表制の利点を羅列する。


    「比例代表制のメリット

    1)一票の格差がなくなる。
    ・違憲判決が出た後だけにこの点は重要だと思いますが、
     一票の格差はなくなります。単純明快です。

    2)投票率が上がる(7~10%)。
    ・各国の選挙制度の比較研究によると、小選挙区制度に比べて、
     比例代表制度は、投票率が平均7~10%高くなります。
    ・死票がなくなることが、最大の理由と思われます。

    3)多様な意見が反映される。
    ・比例代表制だとゆるやかな多党制になりやすく、
     結果的に多様な意見が反映されるようになる。
    ・死票は少ないことも多様な意見の反映に貢献する。

    4)女性議員の比率が増える。
    ・比例代表制のすれば、候補者名簿のバランスが重視される。
     偏った候補者名簿だと幅広い民意を反映できなくなるために、
     女性や少数意見を代表する候補者も名簿に記載される。
    ・結果的に比例代表制の方が、女性議員の比率が高くなる」(山内康一 ココログ ブログ  2013年3月12日)

    完全比例代表制度を採用する国は北欧などに見られる。それを可能とするのは国民の均質性だ。その条件でいえば、むしろ日本の風土に合った選挙制度ではないか。

    既存の政党勢力が比例代表制度を妨害する要因は、左翼政党の躍進を防ぐためである。『90年代の証言 森喜朗』(朝日新聞社刊)で、現行の小選挙区比例代表並立制が地域ブロック制なのは左翼政党に議席を与えないためであったことが、当時 新生党の小沢一郎氏と制度変更の会談を重ねた森元首相のインタビューにより明らかにされている。

    以下、2012年総選挙に関する総務省の公式資料を掲載したい。

    「(5)党派別得票数(比例代表)
    区 分 自由民主党 民主党 日本維新の会 公明党 みんなの党 日本未来の党 日本共産党
    今 回 16,624,457 9,628,653 12,262,228 7,116,474 5,245,586 3,423,915 3,689,159
     0 0 0 0 0 0 0
             (   27.62)         (   16.00)         (   20.38)         (   11.83)         (    8.72)         (    5.69)         (    6.13)
    前 回 18,810,217 29,844,799 0 8,054,007 3,005,199 0 4,943,886
    (平21) 0 0 0 0 0 0 0
             (   26.73)         (   42.41)         (    0.00)         (   11.45)         (    4.27)         (    0.00)         (    7.03)
    差 引 -2,185,760 -20,216,146 12,262,228 -937,533 2,240,387 3,423,915 -1,254,727
     0 0 0 0 0 0 0
    -             11.62 -             67.74         (    0.00) -             11.64         (   74.55)         (    0.00) -             25.38
    区 分 社会民主党 新党大地 国民新党 新党改革 幸福実現党 諸 派 合 計
    今 回 1,420,790 346,848 70,847 134,781 216,150 0 60,179,888
     0 0 0 0 0 0 0
             (    2.36)         (    0.58)         (    0.12)         (    0.22)         (    0.36)         (    0.00)         (  100.00)
    前 回 3,006,160 433,122 1,219,767 58,141 459,387 535,570 70,370,255
    (平21) 0 0 0 0 0 0 0
             (    4.27)         (    0.62)         (    1.73)         (    0.08)         (    0.65)         (    0.76)         (  100.00)
    差 引 -1,585,370 -86,274 -1,148,920 76,640 -243,237 -535,570 -10,190,367
     0 0 0 0 0 0 0
    -             52.74 -             19.92 -             94.19         (  131.82) -             52.95 -            100.00 -             14.48
      (注) ( )内は得票率である。差引欄の( )内は増減率である。 」


    公明党の比例得票率は約11%なので、比例代表制度に変更すれば50議席は堅い。その程度の議席なら中選挙区制の下、関西の選挙区を中心に取っていた数だ。
    公明党はライバルの左翼政党の躍進を防ぐため、自民党などの既存政党と手を組み、比例代表制度を阻止しようとしているのではないか。

    比例代表制度に変更する際、参院選と同様に全国区するか、地域ブロックにするか、という論点が生ずる。全国区だと、先の森喜朗氏のインタビューにみられた新事実のとおり、イデオロギー(左翼)政党の躍進を防ぐ観点から現実的に難しい。(既存政党側が困る)

    だとすると、現行の地域ブロックに非拘束式を加える形が、最も現実的ではないか。それにより、有権者が不適切な候補者を政党側の都合によらず、排除することができる。個人候補者の最低得票数を設定するべきだ。

    ここで、さらに重要であるのは、地域ブロックに合わせ道州制を導入することである。例えば、「北関東州」「東北州」なる行政区分を造り、有権者が その区域への帰属意識を持つ。
    現行の地域行政システム下で、「北関東ブロック」「南関東ブロック」らで有権者を分けることは、その区域に対し経済的、政治的、文化的に帰属意識がない以上、歪な構造だ。
    政府と強いパイプのある経団連が強く賛成し、大多数の現職議員が手を挙げている道州制が一向に進まないのは、政治の怠慢としかいいようがない。昨年の衆院選で明確に反対したのは、左翼政党の他、議席を失った新党日本くらいだった。

    非拘束式地域別比例代表制度、これが私の新しい選挙制度の提案である。








  • 満足度★★★★★

    なにが大事なのか
    赤ちゃんポストを題材に、創設した人、利用する人、預けられた人、批評する人などいくつもの視点から浮き彫りにされる功罪・・・。

    テーマは重いがことさらにシリアスなつくりではなく軽妙さもある。

    生まれ生きることが苦しみや苦痛ではなく、喜びや幸せであれと強く思う。

  • 満足度★★★

    新たな流れ
    これまでのナイスコンプレックスの演目すべてを観てきたぞ!
    とは言えず、旗揚げから今に至るまでは
    見逃した公演アリで、ちょこちょこと観て来た自分。

    漠然と。
    どんな雰囲気かな、こんな感じかなと少ない情報から混ぜ込んで
    上演前に美味しく観る為の下仕込のような高揚感を味わうのが一連の流れ。

    だが今回、揺さぶる。強い風が吹き荒れる。
    とにかく飛ばされる。いや何度も離れまいと大木にしがみついたものの
    掴む枝ごとひっぺがす。

    巨大な竜巻の中で絵本を読んでいるような、
    渦の外の緊張感と内側の穏やかな静けさとでもいうのだろうか

    頭の中を整理せずに感想を書くと自分でもよくわからない事を書くので
    後々にそれを見返すとまた面白い

    数点の場面が記憶に残る。
    観終わったあとにあーだこーだと語る楽しみもあるのかなと。


  • 満足度★★★★

    テーマは重くて難しいけれど
    この演出だったら中高生や男性に、もっと観てもらいたいと思いました。コミカルなシーンもあったけど、所どころ心に響く台詞もあって、最初から最後まで考えさせられる作品でした。

    ネタバレBOX

    妊娠してしまった女性と、妊娠できない女性が言った「何で女だけが責められるのよ」という台詞にとても共感しました。それにしても前説の人、濃かったな~。
  • 満足度★★★★

    多角的に情報を伝えようとしてましたね
    抽象的に具体的にと表現されていたのですが、
    チトわかりにくいところもあった。
    まーその分いろいろと考えさせられる芝居でありました。

    辛くて直視するのが大変かもしれませんが、
    次世代を担う子供を生む女性は特に見た方が良いのでは?と思ったです
    (男性も重要ですが、負担が大きいのが女性ですものと感じます。)

    明るく笑いも入れるのに、
    テーマが真摯なのが凄いなぁと思った2時間でありました。

    ネタバレBOX

    個人的には政府を表現した→
    知事・大臣・首相の肩車構造の会話が受けました(^^)
    (なかなか可愛かったぞ首相)

    赤ちゃんポストの事はニュース記事で知ってる程度で、
    深くは考えたり調べたりはしなかったのだが。
    子供を授かるというテーマが上手に表現されていたなぁ。
    ずいずいずっころばし=性交の表現もソフトでよかった。
    また不妊で子供が欲しいのにできない女性が、
    妊娠を迷惑なものと考えて堕胎する女性の隣で泣き崩れるシーンは、
    結構精神に堪えたなぁ・・・。
    頭で理解してはいたが、実際3Dで表現されるとホント衝撃です。
    (ここで中絶手術方法まで見せたらもっとキツクなったろうなと思う)
    (掻爬(そうは)法とか初めて知った時には人道的にどうかとも思ったし)

    赤ちゃんが意識を持つまでの芝居もあり、ユニークではあったが。
    少々理解しにくい場面も多々あった。
    でも全体として良くできていたなぁと思いました。

    前説さんが上手に進行役やっていて楽しめたし
  • 満足度★★★★

    色んな視点
    ナイコンの見やすさといったら
    やはり色んな視点を描いているところにあります。
    今回のテーマは特に社会的にも賛否両論だと思うので
    上手く色んな視点から情報が入ってきたように感じました。
    私には、不条理世界が難しいところもありましたが、
    社会の動きや、自分の行動、ニュースにも、もっともっと関心を持っていきたいと思いました。
    ありがとうございました。
    次回も期待しています。

  • 満足度★★★★★

    見事な啓蒙的エンターテイメント!
    赤ちゃんポストとそこから派生する問題を丁寧に汲み取りながらも、見事なエンターテイメントに仕上がっています。社会問題を扱って、ここまで面白くみせるとは、もう脱帽です。観れてよかった。前説おじさん、濃くてちょっとクドかったけど。

  • 満足度★★★★

    布石
    作品を通して、「赤ちゃんポスト」について改めて考える布石になりました。
    その存在は、有りなのか無しなのか、最善のソルーションなのか?別の仕組みを模索するべきなのか?
    でも直視すべきは、子供を持つことに苦悩する母親、産まれてきた赤ちゃんであることがとても強く伝わってくる芝居でした。
    敢えて厳しい社会に直面する成長した私生児達が浴びる言葉、扱いの実態も演じられる。
    思いの詰まった作品でした。
    初めて観劇した劇団でしたが、表情豊かな役者陣にとても魅力を感じました。
    観劇後に過去DVDを見ていると、丁寧に作品の魅力を説明してくださるスタッフのお陰で、4本のDVDを選別し購入できました。
    次回作も期待しています。

  • 言葉が出なかった
    セットにループする様な演出に、なかなか面白かったです。


    赤ちゃんポスト。正直重いテーマです。
    考え方は人それぞれだし、子を持つ親でも感じ方は違うだろうし…
    こんなことが無くなればいいと思う反面、どんな生まれ育ちでも、今を幸せだと感じ生きているなら良いのではないかとも思います。

    答えなんてわからないし、何が正しいとも無いと思います。
    ただ、この作品で考えることがたくさんあって。涙が止まりませんでした。
    ぜひ、たくさんの人に観てほしいです。


    評価は、あえて付けません。
    でも、素敵な作品でした。
    ありがとうございました。

  • 満足度★★★★★

    無題697(13-122)&698(13-123)
    ①5/3(金)16:30の回(晴)、②5/6(月)12:00の回(晴)。30分前受付、開場。2回みました。パセリスで紅林さんをみて→スタンウェイがたくさんある「松尾ホールに」行って→こちらの劇団にたどり着きました。これは「シガラミ」ではなく「ツナガリ」です。私は、よく出演者つながりでお芝居をみに行きます。そうすることによってまた「ツナガリ」が拡がり、強くなります。再生し生長します。

    1回目は、舞台の展開、クラシック、時間の流れが新鮮に感じられ、終演後、台本を購入...帰宅する電車のなかで読んでみると気が付かなかったところがたくさんあったのでリピートしました。2回目は少し舞台と間をとり3列目に座ってみました。①16:26前説(で既に始まっている、110分)~18:28終演。②11:57前説(120分)、12:01暗転~14:04終演。パイプ椅子4列、クッション付、①では最前列だったので気が付きませんでしたが、前後で椅子の位置をずらし、みやすくなっていました。

    先日、「楽園」でみたお芝居は「生まれる」条件を「出生前診断」で科学的に判定することを題材にしていました。本作と重ねてみると深みが増します。

    阿部みゆきさん...どこかでみたような気がしたので確認してみますと、2011/7にB.B.Q「RIDE ON LIFE@下北沢」、また早野実紗さんは2012/12文月堂「チェインソング@下北沢」をみていました。

    またあとで少し書き足します。

  • 満足度★★★

    ふわっと。
    こちらの劇団さんは初見でした。
    遊び心がある演出が多く、終始興味を惹かれました。

    ネタバレBOX

    テーマに関しては無知なので、「そうなんだ」と聞き入ってました。

    ただ前半は比較的具体的な表現、台詞なのに、後半が殆ど抽象的で正直頭が詰まってしまいました。
    狙いなのかもしれませんが、後半ももう少し具体的であれば楽しめたのになという思いです。


    DVな男役の方が印象的で、怖いけど好きでした。
    チケットプレゼントありがとうございました。
  • 満足度★★★★★

    もう一回
    もう一度観に行きたいです!
    きっと、何度か観ることで、考えが深まったり、
    一度目に観たときには気づかなかったことを
    気づくことができる公演だと思いました

    最終日観に行きたいです

  • 満足度★★★★

    外国との比較も具体的に取り入れたら
     上演前、客席にはピッ、ピッ、ピッっという電子音が鳴り続けている。
     「銀河鉄道の夜」をベースに引用しながら捨て子問題を扱った作品だが、最近の作品なら乳幼児遺棄に関して「コインロッカーベイビーズ」を思い出さない人は居まい。

    ネタバレBOX

     堕胎されるかも知れぬ危機感を孕み乍ら、原始海洋の成分に似た組成の羊水に漂う胎児の母との絆を、海鳴りにも波音にも似た心音を表す心電図の電子音に仮託して表現した。深読みすれば「ドグラマグラ」からの借用も感じる。
     長い間、作家があたためてきたテーマだとか。取材もしっかりしているのだろう。誰にも言えない悩みを抱えている女性からの相談に応える為に設置されたSOS救援電話を24時間体制で支えるスタッフの覚悟を語る言葉にはほろりとさせるものがあるし、相談の場面での科白は事実だけが持つ重みとリアリティーを獲得している。
     だが、この「国」の腐りきった政治、司法、報道、官僚、御用インテリ等々の人権無視、人命軽視の在り様を、いくら似て非なる状態や遅々たる歩みで示しても、批判の矛先と劇的効果は弱い物に留まろう。それは、この方法ではメタレベルの訴求力が弱いからである。寧ろ、折角、ドイツから、この制度を学んでいるのだから、ヨーロッパ諸国の遥かに進んだ人権意識や人命尊重とフランクなメンタリティーの具体的事例を、登場したジャーナリストに語らせても良かったのではないか、と考える。この方が、ジャーナリストが初代・公式捨て子であったにしても、記者のキャラクターにより深い陰影が加わるだろうし、ドラマツルギーの強度も上がるのではないだろうか? その上で、今回上演されたように、この「国」の不甲斐ない遣り口を延々と続けたら、アイロニーとして面白いのではあるまいか? 
     また、山田など特別切符を持つ役をもっと掘り下げる必要も感じる。作家は、真に宮澤 賢治を超える努力をして貰いたい。
     他方、理屈で諸状況に対応しない・できないタイプの人々が描かれていたことにも興味を覚えた。態度表明ができない人は、実際に居る。そのようなタイプを表す伏線として、「笑点」のお題の場面で、件の女性役を演じた女優は、一切、応えずに通した点も面白い。但し、この世で貧乏くじを引くのはこのような人々ではないか、という気がするのも事実である。色々な意味で考えさせられた。
  • 満足度★★★

    テーマは深い。
    色々と考えさせられました。

  • 満足度★★★★

    観てどう思うか
    前回のゲズントハイトはひたすら優しさに溢れた作品でしたが、今回は「これを観てどう思う?」と問われるような作品でした。

    ネタバレBOX

    本人の努力ではどうにもならずにゲームオーバーになってしまう子がいる、というのは考えた事がある。
    ゲームオーバーだけにはならないように。。
    ただそれだけを願うだけでこんなに大変なんだよなあと。

    観念的な部分が多かったので答え合わせが欲しくなってくる。

    今回、前説だけなのかと思ってたら前説という役なのですね、なるほど。

    題材的にちょっと面白い部分も笑うに笑えない雰囲気はあった。
    オープニングの辺りの完成度はなかなか。

    客席の通路をすごい使う芝居だった。
    場面の切り替えが多かったと言うことかもしれない。

    少年が一人参加していたが、ラストには彼だけ出てこなかったのは意味があったんだろうか。

    多分、こちらが意図を全て把握できていなさそうなもどかしさがある。
  • やや軽い感じかな
    テーマが重いわりには、
    ライトな感覚で描いていた感じがしました。
    特に前説がちょこちょこ入り過ぎな感じを
    持ちました。
    作品の評価は、この劇と同じような境遇に
    あった人がどう感じるかによると思いました。
    最後は、みんなで食卓をかこんでいるシーンで終わり、
    ハッピーエンド的な感じでしたが、上述の人を対象に
    上演した場合どんな感想をもつのだろうかと
    感じました。
    生みの親より育ての親という言葉もあるように、
    不妊で悩んでいて、どうしても子供が欲しい夫婦の存在を
    考えると、赤ちゃんポスト的なところで拾われた健康な
    将来ある赤ちゃんをそういった夫婦に愛情をもって育てて
    もらうのは、命を助ける以外のもう一つの役割かなと
    気づかされた次第です。
    なにはともあれ、重たいテーマにぶつかっていった点は
    よくやったと思います。



このページのQRコードです。

拡大