鹿鳴館異聞 公演情報 鹿鳴館異聞」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-10件 / 10件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初見の劇団さんでしたが、素晴らしかったです。
    何が真実で、どこまでがフェイクなのか。。。
    ネタバレになるので、詳細は控えるが、その謎解きに引き込まれる。
    舞台美術もリアルで、脚本の素晴らしさに、熱演の俳優陣。
    名取事務所さん、次も観に行きます!!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    今や追っかけに等しい名取事務所であるが、今作は直前まで未定(観ないだろうと思ってた)。が結局足を運んだ。
    初の堤春恵作品。当初は確か新作との触れ込みだったのが、サイトを見れば作者の体調により新作執筆を断念し、処女作品の上演となった由。
    名取事務所でしか名を見なかった堤春恵(「奈落のシャイロック」「東京ブギウギと鈴木大拙」)は実は脚本執筆を80年代末頃より始め、経歴は長かった。歴史物、翻案物が多いようで上記シャイロック(ベニスの商人)や海外上演も広くされた「仮名手本ハムレット」、オセロ、川上音二郎等の名が過去作のタイトルに見出せる。本来は日本の古典芸能の研究者であり、夫に随伴して渡米した後、戯曲執筆を始めた。もっと調べると実父は著名人。酒造会社のサントリー社長、会長で同社を躍進させた人物であると共に、文化芸術分野にも広く手を伸ばした人(当時はメセナなるコトバもあったな)。作者はその資質が受け継がれたものと勝手に想像。・・等々は観劇後の後付け知識であるが、舞台は硬質なトーンとエンタメ要素が共存した優れた書き手との印象で(私の中ではほぼ無名作家の範疇であったため)少々驚いたのであった。作家のデビュー作の持つ創意と熱度、大胆さがあった。
    俳優陣では平体まひろ、松本紀保、名取事務所の西山聖了(きよあき)が目に留まる。ここを見逃したくなく観劇に至ったというのもある。奇しくも劇中ではこの三者の関係が胸を掴まれる部分でもある。
    歴史上の人物森有礼(ありのり)が劇中で半ば悪役を担うが、主人公となるのがその元妻・常(つね)。彼女が「最後に産んだ」娘が、物語の鍵となる。
    舞台は夫人が隠棲生活を送る当時外国人居留地区であった築地にある屋敷の客間。夫人が欧州からの単身帰路の船上で出会い、帰国後お付きの看護婦となった千代が、凛とした姿で物静かに主人をサポートする。二人暮らしのその屋敷を、明治憲法発布の前夜、文部相である元夫の森が、その後とある男爵夫妻が、訪れる。夫人・常に松本、看護婦・千代に平体、男爵夫妻の妻、その実女形の役者に、西山が扮する。
    これも後付けの知識だが森有礼は明治の人で維新前夜の1865年渡英し、帝政ロシアと米国にも渡り、維新政府では特に教育制度の整備に携わった人との事で、知識のある人なら物語の舞台が明治憲法発布式典の前夜である事から、翌日1889年2月11日式典に向かう森が国粋主義者に暗殺される結末が読めていただろう。
    ただし物語は欧化に邁進する日本、その急進的な一人であった森を通して日本の今に続く歴史の俯瞰へと導く要素は仄かにあるものの(作者も森の人物像と時代とを踏まえて作劇を行っただろう)、物語は夫人・常の三人目の子供(初の女児)安にまつわる謎を巡って進んでいく。
    冒頭夫人が客間の一隅にあるゆりかごから取り上げて抱きあやす「安」は実は人形であり、それを指摘された夫人が「安はどこへ!」と狂乱するあたりから謎解きが始まる。森との結婚生活が解消されて何年かが経ち、二人の男児は再婚相手との家庭に引き取られている。森は「安など居なかったのだ」と常に宣告する。平静を取り戻すべく千代が夫人に寄り添い、ケアをする。
    そこへ男爵夫妻が訪れ、妻=実は女形役者が、世間体の縛りのない感性で、「安」に興味を持ち、彼女の問わず語りの証言を引き出す。常は安を孕んで一人欧州から日本への帰路で、三等船室の千代と偶然出会い、頼るべき日本人との船旅を送る。彼女は自らの手妻師としての欧州での興行の日々を語り、ある挫折から帰国する途上であった。舞台上では千代がちょっとした手妻の術を披露して周囲に信憑性を持たせ、帰国した折に千代が彼女を絶望させないため人形に細工をした事を証言する。森も安が実在することをこの時点では認めざるを得なくなっている。このあたりの前後関係はやや無理筋、不明な所だが、やがて明らかになる安の誕生の秘密がそれらを飲み込む。安は緑色の目をしていた赤子であった。
    一夜が明けた翌朝、物語はかの地での「恋」を常に語らせることで謎解きを終える事になる。その直前、式典へと出発する森は常に正対し、大団円の予兆のように、今この時だけ以前のような二人の関係を、夫を送り出す妻を、演じてほしいと頼む。常は謹んでこれを受け、深々と礼で森を送り出す。
    特に出かける用もない女形は常の様子を見ている、と千代が彼に「認知に不省あり、正常な時もあるが不安定なことが多い」と告げる。それに展開が導かれるように、常が彼をある人物と錯視している事が明らかになる。最初戸惑う女形だが、やがて常に話を合わせ、信じ切った常が欧州での「彼」との出会いと、逢瀬の日を再現していく。ときめき高鳴る心。最後に抱擁、接吻に至った時、すなわち「安」の誕生が祝福されるべき理由が皆の知るところとなった時、玄関のリンが鳴り、長年世話をしてくれた老境の執事が訪れ、懐かしい再会を喜ぶ間もなく森の死を告げ、崩れ落ちる。
    ラスト、コールは荘厳な音楽で満たされるが、それが不自然でない仕上がりとなっていた。
    自分的には過去いまいちな評価であった松本女史の役者的長所を此度ようやく認識するに至った。頼りになる平体が劇中でもその役割を十全に見せていたのも満足。アウトローなればこそ洞察眼で「見る者」として夫人の人生に光を当てた女形役の西山氏は、過去作の中でも今回は大きな役割であった。
    感動と共に発見をさせてくれる幸福。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    物語の内容自体は、一夜の夢か幻かといったふわふわした手触りで私には興味を抱くものでなかった。ただ、新劇の流れを汲むような伝統的な演劇表現は見事の一語に尽きる。その事を再確認するいい機会になった。

    挙措動作の美しさや流麗でリズム感のある台詞回しは観ていて心地良い。衣装や舞台装置も凝っていて視覚的にも楽しめる。観客を異世界へ、物語の中へ引きこむ力がある。その点では今日の演劇に多く見られる、日常の延長線上にあり、観客が他人の生活を覗き見るような感覚を覚える作品とは大きく趣を異にする。

    現代的な演劇表現に慣れ親しんできた身としては、今作との出会いは新鮮で刺激的だった。「日本演劇の原点に立ち戻る意味からも上演する意義がある」とする企画意図は十分に達成されたのではないかと思われる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    明治22年(1889年)2月10日、築地外国人居留地にある一軒の屋敷。広瀬常34歳(松本紀保〈きお〉さん)と看護婦の千代(平体まひろさん)がひっそりと暮らす。突如夜更けに来訪した男は森有礼(ありのり)41歳(千賀功嗣氏)。初代文部大臣であり、日本の近代教育制度の礎を築いた男。開国したばかりの日本を欧米諸国から対等に認められる近代国家へと早急に導く為、世界基準の教育と啓蒙を推進した。明日は念願の大日本帝国憲法発布式典の日。日本が国際的に信頼のおける法律で整備された立憲国家であることを対外的に宣言する必要があった。彼の唯一の懸念は離婚した妻、広瀬常のこと。

    初演は1990年、木山事務所が俳優座劇場にて公演。
    (手の会→木山事務所→Pカンパニーの系譜だそうだ)。

    森有礼が帰り、次に押し掛けるように無理矢理訪ねて来るのは広瀬常の旧知の男爵夫妻(藤田一真氏と西山聖了〈きよあき〉氏)。その二人の様子をどうも不審に思う千代。彼等は何を企んでいるのか?降り続く雨は次第に雪へと変わる。

    平体まひろさんが綺麗。壇ふみさんに似てるのか。上品な戦後日本女優の風格。
    西山聖了氏は芸達者。いろんな武器を隠し持っている。

    作家は山田風太郎のファンでは?『ラスプーチンが来た』を読んでいた時の興奮を思い出した。自分も山田風太郎の大ファンの一人だが今作にとって肝心要の『エドの舞踏会』を多分読んでいない。読んでいればもっと楽しめた筈、残念。

    いや面白い脚本だ。『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』なんて映画を思い出す。アナ・デ・アルマスが演ったキャラに平体まひろさんが被る。

    ネタバレBOX

    西山聖了氏の正体は伊勢谷友介みたいな美形の女形、沢村源之助(四代目澤村源之助)だった。目茶苦茶魅力的ないなせな口上、今作の面白さの核になる。正体を見破られた彼が逆に見破るのは千代の正体。江戸で評判を呼んだ手妻遣の一座に一人の娘がいた。

    ※三代目澤村田之助、脱疽で右脚を膝下まで切断するが義足にて舞台に立つ。だが脱疽は悪化し、左脚、右の手首、左手の小指以外の指全部を切断。義足を着けてから5年で引退。四代目澤村源之助は彼の当たり役を演じることが多かった。

    手妻遣=手を稲妻のように使う奇術師。手品だけでなく催眠術に近い芸当も見せた。今作では赤ん坊の泣き声やら藤田一真氏の手元が突然発火するなど超能力者のような腕前。この演出はまだ更なる仕掛けが作品に隠されていると観客を興奮させた。

    森有礼と常の離婚は世間の歓心を買った。外人と不倫し産まれた娘が青い瞳だった為、離縁されたとまことしやかな噂。それを裏付けるように娘の安はすぐ里子に出され、翌年森有礼は岩倉具視の娘と再婚した。広瀬常のその後は不明で未だに謎。夏目漱石の『三四郎』でも触れられている。

    鷲巣照織氏は最後の最後に登場、驚いた。

    山田風太郎は巨大な巻紙のような年表を作成し、同時代に誰が何をしていたのかを書き込んだ。思わぬ人間が同じ時代を過ごしたことを知ると何とか二人を出会わせられないか検討した。それによるあっと驚くアイディアが作品内に散りばめられている。

    ※今作では誰も彼もが嘘をついている。森有礼は英国で精神を病んだ常が女の子を出産した妄想に取り憑かれているだけだと言う。実際に常は言動がころころと変わり信頼の置ける語り手ではない。大事そうに抱いているのは赤ん坊のお人形。だが実際は英国の俳優と情事があり、妊娠した時、子供の容姿に怯えた。日本に帰る船の上で心を許した千代に誰にも頼めないお願いをする。産まれた赤子の目が青かったら首を絞めて始末して欲しいと。だが千代は殺さなかった。築地の屋敷で二人で育てた。ある時、森有礼が娘を引き取りに来て勝手に里子に出した。森有礼の死んだ今、もう彼女の行方は掴めない。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    二転三転する展開にぐっと引き込まれました。史実をベースにした“歴史のIF”の面白さも魅力。
    難しいセリフをしっかりと届けるキャスト陣の演技にも見応えがあり、舞台ならではの緊張感も楽しめました。

  • 実演鑑賞

    まず、入場して作りこまれた洋館の美術に目を奪われる。
    場内には静かに雨音が客入れから響く。
    暗転。開幕すると雨のシーン。いつしか雪模様に。

    始まってしばらくは、時代がかった大げさなセリフに、やや怯む感じもあったんだけど。
    理想と俗物さ。どちらも人間だ。一つの醜聞は二転三転。
    演劇の仮装性みたいなものも重ねられて。真相が明かされるときには、
    時代も新しい幕開けを迎える。

    観終わって、鹿鳴館が舞台じゃないんだよなって、気づく。
    実は、激動の時代にあった悲喜こもごもで、なかなかにエンタメ。
    序盤がややたるく感じもしたけど、キャラも強く、ミステリーとしても上質で面白かったです。
    背景説明されてる用紙が当日パンフにはさまれてるので、開演前に目を通しておくとより理解しやすいかも。

    ※チケットプレゼントで見させてもらったので星評価はつけません。ありがとうございました。

    ネタバレBOX

    紙吹雪が使われるのですが、”蝶”の形に切り抜かれてるんですよ。
    前方席だったので気付ましたが、この拘りは素敵だ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     驚嘆! 流石名取事務所、タイゼツ、ベシミル!! 華5つ☆。3月15日が楽日。尺は約115分。開演前に往時の説明が入るから早目に行くと良い。手話通訳も入る。

    ネタバレBOX

     名取事務所がこのような収容人数の劇場で上演するのを拝見したのは初であったが、驚嘆した。見事である。これ迄拝見して来た舞台も総て極めてグレードの高い作品群であったが、今回は脚本の素晴らしさのみならず演出、役者陣の演技と舞台美術、衣装、音響や照明、様々な仕掛けの効果、総てが実に見事に作品の深みや高みに収斂してゆく。
     無論、その前提として実在した森 有礼と、その最初の妻・常及び千代(看護婦兼侍女)が女二人だけで何故今作の舞台となる築地にあった外国人居留地内の館に住んでいるのか? 鋭敏な観客にはこのような自問があったであろう。
     鹿鳴館が建てられたのは1883年、その寿命は短く1894年には華族会館として払い下げられたと当パンに記されている。して、今作で描かれるのは1889年2月10日の夜、即ち明治憲法発布の前日という設定だ。この夜、岩倉具視の娘・寛子と1887年に再婚していた有礼が居留地の館を訪れるという設定になっている。そして、常との離婚に関する噂が広まり明日ある大変大切な行事に差し障りがあってはいけないから、執事の勝又以外の人間は決して通してはならぬ、と言い置き、自身はその行事に出席する為帰宅してしまった。   
     だが有礼退出後、しつこくドアを叩く音がした。入って来たのは以前親しくしていた男爵夫妻…。ところが・・・なのだ! ここから先クライマックスは観て確かめるベシ。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    サスペンスチックな次から次へ繰り出される会話劇には、釘付けでした。日本人の有り様を考えるには秀逸なお芝居でした。その時代の衣装や舞台装置は素敵でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    杮落とし観劇です
    初代文部大臣森 有礼(もり ありのり)の
    前妻 常と看護婦の千代が隠れ住む
    築地の外国人居留地にある館の居間が舞台
    明日には日本国憲法の発令となる
    雪の舞い散る夜から発令の日までの一夜の物語
    サスペンスな感じの会話劇でしょうか
    その時代に合わせた舞台セットや衣装など
    豪華な感じで凄く良かったデス
    1時間50分 全席指定
    アンケート用紙にミニペン付き

    ネタバレBOX

    館の主である前妻さんがハイテンションで
    キテるなぁと思ってたら
    精神系の患いがあるらしく
    それで離縁されて看護婦ごと屋敷に幽閉されてる
    という状況らしいと徐々に明かされていき
    人間模様が紐解かれてゆく話になってました

    舞台上の館で夫人と
    その主人である森が口論をしている
    ハイテンションの夫人に対し
    イラついた感じの主人
    後を女中に任せて行ったん出て行く主人
    その後激しく扉を叩く者が来て強引に
    館に入り込んでしまう
    どうやら 貴族の末端を名乗り顔見知りだと
    押し通し遂に夫人と対面する
    そして男爵と名乗る夫婦と話してるうちに
    だんだんとその人間関係がわかってくる
    男爵と名乗った人間は実は
    新聞記者で 連れの夫人は役者であり
    女方をしていた男だった
    ただ 容姿が似ているということで
    女方でありながら 婦人として 共に
    この館に来たらしい
    そうこうしているうちに
    その新聞記者はどうやら 婦人が
    青い目の子供を産んだらしく
    それで 幽閉され離縁されたのではないか
    その真偽を確かめに来たというのである
    そこへこの館の主である 有馬が戻ってきて
    各人を問い詰め 仕方がないということで
    どうして夫人を閉じ込めたかを説明する
    外国からの帰国の時夫人が体調を崩し
    そのままいるはずもない子供を産んだ
    という妄想に取り憑かれ 館に閉じ込め
    離縁することにしたと 外分が悪いので
    外に出さないように女中として
    看護婦をつけていたという事を述べるのだが
    その看護婦が実は元手妻師で
    色々と記者のメモを燃やしたり
    女形の役者の 見抜いたり
    居るはずのない赤子の声を聞かせたりしていた
    自分自身も外国に行って辛い経験をしてきて
    その帰りの船で夫人と知り合い
    同行するようになったという話をする
    実は本当に夫人は妊娠をしていて
    赤子を取り上げたのも その実は
    今 付き添っている看護婦であった
    有馬はそのことを知っていて
    ある程度の年齢になるまで
    子供を館で隠していたのだが
    ついに 里子に出し手元から連れ去ってしまい
    夫人の精神状態が悪化するようになったのである
    全てを分かった上で公表ができないと
    記者らは去るのであるが
    明け方になって 憲法発布の時に
    館の主人である森が襲われたと
    執事が血の付いたの服で入ってくる
    意識不明となり子供の行方は執事も知らず
    館に残された二人の女性が
    子供を探そうと閉じ込められていた
    家を出て物語は静かに幕を閉じる
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    前半は、古風で小難しい華族的な台詞回しが結構な早口で発せられるのであまり聞き取れず、いったいどういう設定の話なのかわからず、また「奥様」の言動が不思議なので少々混乱させられたが、話が飲み込めてくるとその詩的で格調のある、三島戯曲みたいな台詞回しが面白くなってきた。終盤でストーリーが大きく展開するのも驚きの印象。しかし、俳優たちはあんな、現代の日常では決して話さないような、難しくて舌がもつれそうな台詞回しをよくスラスラと早口で発音できるものだと感心する。さすがプロ。ただ、聞き取っても頭の中を右から左に素通りしていく台詞がたくさんあり(速いんで)、心の動きも含め2度観ないと完全な理解は難しいか。ところで火が付くのはどうやるんだろう。

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