後ろの正面だあれ! 公演情報 後ろの正面だあれ!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★

    なかなか良く出来ていた
    小品な感じでしたが・・・

    過去話のはしゃぎっぷりと現在とのギャップが少々な感でしたが、
    オチの付け方が結構良かったでっす。

  • 満足度★★★★★

    俳優が生きていた
    田渕正博初の作・演だが、出演者は全員劇団員ということで、安定感があった。
    ただ、前半は、この狭さの小屋としてはテンション過剰な部分があり、観ていて疲れた。
    全員が力の入った体で動いていたのは、千秋楽ということもあろうか。

    後半で空気が変わってからは、緩急がついて、たぶん演出が狙ったであろう空間が立ちあがってきた。
    わずかの出演時間ながら、すべてをさらっていった外波山座長はさすが。
    そして5人のきょうだいたちがしっかりとキャラクターを作り上げ、自分の仕事をしていた。
    しかし何と言っても、岡村多加江のアメノウズメのキャスティングが大成功といえよう。
    笑顔がとてもいい。だからより哀しい。
    ラストの桜の美しさには息をのんだ。

  • 満足度★★★★★

    うぅっ、たまらん!
    椿組は長らく観たいと思っていたのに未見の劇団であった。何度もこみ上げてきてやばかった。

    ネタバレBOX

    時代は多分私が子供時代を過ごした昭和40年代だろうと思う。(山口百恵だったり加藤茶の「チョットだけよ」、「LUX」は高級舶来石鹸などの件から)そのせいか懐かしくもあり、作品全体を流れる空気がとても優しくて何度も泣きそうになった。まず何といってもアメノウズメ役の岡村多加江さんがいい。彼女の表情に表れる純粋さ、限りない優しさ。気丈な長女が一人、弱音を吐くシーンで後ろから彼女をそっと抱きしめるウズメ、なくなった母の写真を精一杯の愛しさを込めて抱きしめるウズメ、ラストで桜の花びらの舞い散る中、手を広げ満面の笑みを浮かべるウズメ、今でも目に浮かびます。そして座長の外波山文明さん、この二役は見事ですね。単純に別人に見えますもん。さすがですね。木場さんのトボけた感じが好きでした。(私などが失礼かとは存じますが。)初見ですが、なんだかここの役者さんがとても好きになりました。女優さん、皆キレイだし、男優さんも愛すべき野郎たち(また失礼)って感じなんですよ。いままであまり考えたことなかったけど役者と観客の相性ってあるのかな、なんて思ってしまいました。話が脱線してしまいましたが、私の中では今年のベスト5に入る作品になるでしょう。(ベスト1じゃないのか)とにかくこの作品に出会えて本当に幸せでした。

  • 満足度★★★★★

    文句なし
    雰囲気を上手に作っていて、明るくて、メッセージが根底にあって、文句なしです。昭和初期のこどもの健全さ、全力遊び合う感じ、尽きることなくワイワイ騒ぎはしゃぎ捲っているシーンが一番好きです。口ずさむ囃子歌や流行りのセリフ、遊び方、よく細かく覚えているなぁと引き込まれました。

    ネタバレBOX

    舞台が物凄く近いです。最前列は役者とぶつかりそうなほどです。目の前に、畳のステージがあります。
    雨音が左右から囲うように聞こえる臨場感ある音響の中、体の大きい女の子がじっと座っている。雨の中集まる若者たちの会話から、彼らが5人兄弟で、ここがかつて彼らが住んでいた家の廃屋だということが分かります。彼らが畳の部屋へ足を踏み入れると、漸く女の子が顔をあげ、嬉々として会話に口を挟みますがしかし、基本的に、兄弟たちには女の子が見えていないようです。チラシにあるように座敷童子なのでしょうか。

    小気味良く写真を垂れ幕で表敬して撮ったのを契機に、そこから昔のできごとへと移ります。

    小学生がおおはしゃぎでふざけあい、遊び、昭和のギャグも飛ばす。小学校の同じクラスで誰が可愛いか、という話題では、容赦無いアダ名で答える。全力でバカをやっていて、こちらまで楽しくなってしまいました。お弁当で一喜一憂している姿も、懐かしく微笑ましいです。

    女の子は、不思議なことに、見えないようだったり、普通に会話をしたり、お弁当を貰ったりしているので掴めません。また、時おり、お母さん4人組の会話シーンが入ります。一体誰のお母さんなのか、5人兄弟だからお母さんは一人じゃないの??と、私はあまり状況が飲み込めていなかったのですが、終盤で、近所の奥様方だったことに、後れ馳せながら気づきました。

    普通、「昭和初期の家」を扱うなら、父母と子供たちの掛け合いを描くと思うのですが、しかし今回、基本的に親と子供が接するシーンが無かった。あえて子供たち目線で、家庭を表現しきっているところが凄いと思いました。

    さりげなくキーワードを散りばめながら、20歳くらいの大人へと時間が戻り、末っ子の、苛められたりひねくれたりする様子や、自分より兄弟を優先してしまう長女の苦労の様子が描かれます。母が病死し、昔、皆で暮らしていたこの家も道路拡張のために取り壊しが決まっていて。懐かしい我が家にサヨナラを告げるために、母と家に感謝を告げるために、彼らは集まったのでした。

    桜と女の子との別れを目の前にして、兄弟のノスタルジックな気持ちにシンクロして、懐かしい無邪気な時代への憧憬で、涙が出そうになりました。昭和の懐かしさも相まって戻りたくなります。

    女の子(アメノウズメと名乗る)の正体は、最後にちゃんと明かされるので、ストーリーに一本線が通ります。ただし、途中、ウズメと母の会話で、日本書紀の神様だからとか記憶をとどめられない云々の下りが、何の関係があるのか私には意味分からなかったので、何か見落としているのかもしれません。

    野外劇する劇団だけあって、声量が大きく、滑舌良く、絡みが上手な、パワフルな役者陣で、大満足でした。
  • 満足度★★★★★


     この公演にも亜空間、亜時間が成立している。開演早々、雨音を背景に座敷童子と見まごうアマノウズメが、坐って黙ったまま小さく四角い物を長い間覗き込んでいる。

    ネタバレBOX

     観客はこの時点で、長い間(ま)に込められた手管に掛かる。嫌でも応でも、想像力の総てを注ぎこまざるを得ないからである。結果、現実と異界の間に引きずり込まれる。それは、誰もが持つ幼少期の、神話的・御伽的時空の追体験だ。
     ここは、明日取り壊される家で、兄弟5人全員が集まることになっている。ところで、集まって来た兄弟が其処で発見したのは、古い写真だ。ウズメがずっと見ていた物である。観客にはウズメがずっと見え続けており、彼女の妖精的な世界は観客と共にある。亜時間・亜空間を追体験しているのであるから、当然だろう。
     一方、役者陣には、ウズメは見えない設定だ。無論、アメノウズメは日本書紀に登場する女神であるが、天の岩戸を開かせたことで、芸能の神としても祭られているのはご存じだろう。役者や演劇関係者は総て芸事に関わる者だから、ウズメは、芸能の神としても、初脚本、初演出の出し物を寿いでいると考えてよい。但し、この劇の中では、座敷童子の役も担っていると考えられる。
     何れにせよ、観客は特化された時空体験をしており、とても不思議なテイストなのだが、心地よい。友達と悪戯をし、遊び、喧嘩をしたりしつつも何時も一緒に楽しく過ごしたこのユートピアのような世界は、ウズメの過ごす時間としては非常に短いにも関わらず、子供達は大きくなり大人になってちりじりばらばらになってしまう。ウズメの寂しさはいかばかりであろうか? 何より、この充実し楽しく夢のような世界は、1964年のオリンピックを境に急激に変化して行く。日本列島改造計画が実行され、それまでの自然な河川敷や海岸は悉く失われ、しもた屋はみるみる消滅、代わりに高層ビルが林立するようになる。道路・ハイウェイの整備の名のもと、子供達の遊んだ道路が、空き地がどんどん無くなっていった。声高に叫ばれる文明批評など何一つ語られないこの作品の、鋭く激しく、根底的な批評が素晴らしい。
     また、いつも無駄を省いて本質を掴んだ舞台美術を作る加藤 ちかさん、センスの良さが光る振付のスズキ 拓郎くん、ラストの素晴らしい効果を盛り上げた諸子、自然な演技で臨んだ役者陣、シナリオ・演出も巧みである。座長の独特のリズムも、勘を得て良い。

  • 満足度★★★

    初日観劇
    育った家が道路工事の為、実家取り壊しの知らせを受け、成人した姉弟がそこへ帰省してくる場面から話が始まるが展開を理解するのに時間が掛かった。
    冒頭全員が歌う童謡が何気に良い。
    50代以降の方には子供時代の流行遊びや唄は懐かしく回想され易いのでは。
    昭和ノスタルジアな優しい舞台だな、と思っていたらラストのあのシーンに椿組を見たって気がしたw。約95分。

    ネタバレBOX

    外波山さん演じる木場/新木場の自己紹介シーンに笑わせてもらったが、美根子のサインが原因で、ああなっちゃったのかな?あれが立ち退きのサインだったって訳ではない、と思うけど‥。もしそうだとしたら、立退料が2万円?ファンタジー作だからあんまり深く考えないようにする。
    兄弟の末っ子双子のウズメちゃん、童子の佇まいが無垢。
    ウズメちゃん、S39に亡くなったと台詞で聞いたような気がするが、それから姉達が成長しているとなると、昭和末期から平成初期の話だったのかな。成人(設定上20〜30代と思ったが)している割に、兄弟の会話のやり取り「天国ってどこにあるの?(だったかな)」等が、やや幼いような気がした。

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