後ろの正面だあれ! 公演情報 椿組「後ろの正面だあれ!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    文句なし
    雰囲気を上手に作っていて、明るくて、メッセージが根底にあって、文句なしです。昭和初期のこどもの健全さ、全力遊び合う感じ、尽きることなくワイワイ騒ぎはしゃぎ捲っているシーンが一番好きです。口ずさむ囃子歌や流行りのセリフ、遊び方、よく細かく覚えているなぁと引き込まれました。

    ネタバレBOX

    舞台が物凄く近いです。最前列は役者とぶつかりそうなほどです。目の前に、畳のステージがあります。
    雨音が左右から囲うように聞こえる臨場感ある音響の中、体の大きい女の子がじっと座っている。雨の中集まる若者たちの会話から、彼らが5人兄弟で、ここがかつて彼らが住んでいた家の廃屋だということが分かります。彼らが畳の部屋へ足を踏み入れると、漸く女の子が顔をあげ、嬉々として会話に口を挟みますがしかし、基本的に、兄弟たちには女の子が見えていないようです。チラシにあるように座敷童子なのでしょうか。

    小気味良く写真を垂れ幕で表敬して撮ったのを契機に、そこから昔のできごとへと移ります。

    小学生がおおはしゃぎでふざけあい、遊び、昭和のギャグも飛ばす。小学校の同じクラスで誰が可愛いか、という話題では、容赦無いアダ名で答える。全力でバカをやっていて、こちらまで楽しくなってしまいました。お弁当で一喜一憂している姿も、懐かしく微笑ましいです。

    女の子は、不思議なことに、見えないようだったり、普通に会話をしたり、お弁当を貰ったりしているので掴めません。また、時おり、お母さん4人組の会話シーンが入ります。一体誰のお母さんなのか、5人兄弟だからお母さんは一人じゃないの??と、私はあまり状況が飲み込めていなかったのですが、終盤で、近所の奥様方だったことに、後れ馳せながら気づきました。

    普通、「昭和初期の家」を扱うなら、父母と子供たちの掛け合いを描くと思うのですが、しかし今回、基本的に親と子供が接するシーンが無かった。あえて子供たち目線で、家庭を表現しきっているところが凄いと思いました。

    さりげなくキーワードを散りばめながら、20歳くらいの大人へと時間が戻り、末っ子の、苛められたりひねくれたりする様子や、自分より兄弟を優先してしまう長女の苦労の様子が描かれます。母が病死し、昔、皆で暮らしていたこの家も道路拡張のために取り壊しが決まっていて。懐かしい我が家にサヨナラを告げるために、母と家に感謝を告げるために、彼らは集まったのでした。

    桜と女の子との別れを目の前にして、兄弟のノスタルジックな気持ちにシンクロして、懐かしい無邪気な時代への憧憬で、涙が出そうになりました。昭和の懐かしさも相まって戻りたくなります。

    女の子(アメノウズメと名乗る)の正体は、最後にちゃんと明かされるので、ストーリーに一本線が通ります。ただし、途中、ウズメと母の会話で、日本書紀の神様だからとか記憶をとどめられない云々の下りが、何の関係があるのか私には意味分からなかったので、何か見落としているのかもしれません。

    野外劇する劇団だけあって、声量が大きく、滑舌良く、絡みが上手な、パワフルな役者陣で、大満足でした。

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    2013/02/28 14:04

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