泳ぐ機関車 公演情報 泳ぐ機関車」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-20件 / 23件中
  • 満足度★★★★★

    2012年いちばん泣いた(。・・。)
    大手忍さん演じる少年が愛おしかった…「炭鉱3部作」の「泥花」は観ていない。観ておきたかったなぁ~。叶うことなら「泳ぐ機関車」→「泥花」→「オバケの太陽」を一挙に観たいなぁ~!

  • 満足度★★★★★

    さすが
    相変わらずセットが凄すぎる。
    三部作を観ていないが、男の夢と現実、幼い子供が運命に翻弄される姿が良く描かれていた。
    素晴らしい作品。

  • 満足度★★★★★

    炭鉱
    山が一人ひとりの人生を飲み込んでいく。それに抗うことの出来ない人々。
    ストレートに響いてきて弾き飛ばされるようで、圧巻。
    すばらしかった

  • 満足度★★★★★

    いいな〜
    久しぶりに桟敷童子の舞台を見ました。圧巻!圧巻!の一言。何度見ても生命力を感じる劇団さんでエネルギーを貰いました。素晴らしい。

  • 満足度★★★★★

    お見事!
    『オバケの太陽』から年末最後の作品として桟敷童子の作品を楽しませて頂いております。
    今回の『泳ぐ機関車』も素晴らしく良かったです。
    脚本も仕掛け満載の演出も、素敵な照明も音響もそして、キャストの皆さんが織りなすパフォーマンスにただただ圧倒され、時間の経つのを忘れて作品の世界に引きずり込まれました。
    とにかく満足。
    あっぱれ!!

  • 満足度★★★★★

    劇的なるもの
    私は「桟敷童子」初心者(昨年の「改訂版軍鶏307」から)なのだが、今回も感じたのは、現実と虚構の狭間で揺られながら夢を見ているような気分になる舞台だということ。我々観客は「より劇的なるもの」、「演劇でしか成し得ない何か」を求めて劇場に向かう。「桟敷童子」の舞台はまさにそれを眼前に浮かび上がらせ示してくれる。それがこの劇団の大きな魅力になっているのではないか。(初心者なのに大層なことを言いました。)脚本、演出、美術、音響、照明、その他諸々のスタッフワーク、そしてもちろん役者の演技、すべてが揃ってこの至極の舞台「泳ぐ機関車」を観る事ができたと思わずにいられない。この時代に生きて、この劇団の舞台を観る事ができる幸せをしみじみ感じる次第である。

  • 満足度★★★★★

    堪能。
    「炭鉱三部作」のエピソード0に該当する物語。
    池下重大さんはすばらしいなあ。
    板垣桃子さん演じるばーちゃんは怪演ともいえる出来、このおばーちゃんの死が、石炭から石油への産業構造の変化と重なっているのが感慨深い。
    大手忍さん演ずるハジメ、ラストの力強い姿に感動。

  • 満足度★★★★★

    素晴しかった
    夢があるから頑張れる人生だが、くしくも脆く崩れても、立ち上がれると信じられる作品でした。
    『泳ぐ機関車』に、込められた祈りが、儚くも美しく、逞しく、素敵でした。

    達者な役者さんばかりで、各キャラの歩んできた道(人生)が、浮かんでくる、見事な演技でした。
    素晴らしい美術と舞台装置で、開演前から部分的に当てているスポット照明も、とても雰囲気があり、素敵でした。

    ラストも圧巻!

    ネタバレBOX

    舞台になる倉庫の敷地内に入ると、衣装をまといメイクした役者さん達が、出迎えてくれます。客が来場しただけで、喜んで下さるような、大歓迎ムードの温もりの中で、テキパキ受け付けと、入場案内。
    席確保後、会場出て再入場したら、
    『おかえりなさいませ』と声をかけられ、驚きました。
    まるで、百貨店か一流ホテル並の対応に、感謝するばかりです。

    美術も、素晴らしかったですが、衣装や靴、髪型や小道具も、その時代やその役柄らしさが出ていて、良かったです。
    炭鉱主が炭鉱夫に、酒代を渡す際には、聖徳太子の一万円札だったりと、全ての客に見えなくても、細部迄こだわる姿勢が、全ての場面の空間を、色濃く深くしていると思いました。
    達者な役者さんばかりで、各キャラの歩んできた道(人生)が、浮かんでくる、見事な演技でした。

    ハジメ(大手忍さん)の少年らしい優しさ脆さ、ラストの逞しさ、素晴らしかったです。

    遊廓、ダンスホール、飲食店の経営と、ヤリ手の祖母である野毛綾華(板垣桃子さん)も、素晴らしかったです。
    戦争の哀しみも乗り越え、復興と金儲けを両立させるかのような、シビアさがありながらも、孫や親族には甘い、情の見せ加減が、とても良かったです。

    会社の資材横流しするなど、子悪党振りが冴えていた親族夫婦(原口健太郎、もりちえさん)が、味のある演技で、とても良かったです。
  • 満足度★★★★★

    ホロリとさせられて
    とても良い2時間を過ごしました。お芝居を観終わって心がほっこりとしました。舞台装置も素晴らしく、あれだけの舞台装置をどうやって作り、うまく使い切っていると驚きまた。役者さんたちも熱演でした。

  • 満足度★★★★★

    感涙を誘う、ラスト5分( ̄ー ̄)
    いや~泣いちゃったなァ、涙がとまらなかった。

    excellent!!

  • 満足度★★★★★

    無題574(12-317)
    13:00の回(やや曇、それほど寒くはない)。ここは初めて、少し早く来て裏の公園など歩いてみる、スカイツリーが大きい。12:00受付(予約時点で番号が付されるようです…遅かったので100番台)、12:30開場。細やかな気配りに心底驚く。こちら、何人もの方が「とてもよい劇団です」とお話しくださった…にもかかわらず(避けていたわけではなく)何となく機会を逃していました。今日は初めての場所がいいなと思い遅まきながら予約を入れました。錦糸町は1度「トリフォニーホール」に来ただけ(演目…クラシック…は忘れました)、大きな公園があり人も多い。舞台、鬱蒼とした中でよくみると池、板片で作った道、草木に囲まれた暗がり。外の受付でもそうでしたが、役者さん含め全員でお出迎え、ここまでもてなし感溢れる対応は滅多に経験できない、場内の誘導もきちんと連携、お客さんへの声かけも丁寧…と書いて…ディズニーランドの「キャスト」を思う。2列目からと中央よりが指定席、最前列、後方、左右が自由席、傾斜があり、みやすそう。12:59前説、当日券キャンセル待ちのお客さん対応、13:04受付終了とのこと~15:02終演。舞台の作りこみに負けない役者さんたちの演技、3姉妹と父、炭鉱で働く人々...みなさん素晴らしい。両腕をまっすぐ伸ばし、行進する様子はVOGA(12/1月)の公演でも経験、本公演もみていて背すじがまっすぐになります。

    ネタバレBOX

    女優さんが少年の役を演じる、という型が個人的に好きなのか(何十年も前に芝居をみていたときもそうだったことを思い出す)、大山さんの演技に惹きつけられました。大がかりな仕掛けはこけおどしなどではなく、物語のうねりを現しているようで、降り注ぐ雨、迫りくる「HAJIME100号」機関車の勢いに圧倒されました。初めてでしたので役者さんに声をかけることもできず会場を後にしましたが、とてもとてもよかったです。
  • 満足度★★★★★

    深い
    人間の強さと弱さ、子供が創り出す想像力、圧倒されました!ラスト、はじめ少年が歩きだし、機関車も動き出す。。。
    人間が愛おしくなる、そんな作品でした。

  • 満足度★★★★★

    生きろ! 生きろ! 生きろ!
    機関車のように力強く、向日葵のように明るく。
    ユーモレスクに導かれながら。


    『泥花』『オバケの太陽』に続く炭鉱三部作の最終章。

    ネタバレBOX

    桟敷童子の良さがたっぷり詰まった作品。
    一番好きな作品かもしれない。

    ハジメは、母の死と引き替えにこの世に生を受けた。
    ハジメたち3姉弟は、「神様」と呼ばれ炭鉱夫たちにも慕われている炭鉱主を父(辰介)に持っている。
    父の義母は、町の有力者であり、炭鉱夫たちと仲良くしている辰介のやり方を気に入らない。

    ハジメは自分の殻に閉じこもりがちな少年で、家にある祠が恐いと感じていた。
    あるときその祠に願掛けをしていると、手作りの段ボール機関車に乗った少年が現れる。ハジメはこの孤児の少年を「神様」だと思い込む。

    父の炭鉱で落盤事故があり、さらにエネルギー政策が石炭から石油へと転換していくことにより、炭鉱主の父は追い詰められ、家を出てしまう。

    そんなハジメとその家族の物語。

    前の2つの作品(『泥花』『オバケの太陽』)に対して、一番最初のエピソードになる、ハジメたち親子が温かい環境の下ですごしていた時代のストーリー。

    ハジメの父は、「人は悲しみの上で生きている」、そして「炭鉱からわいてくる地下水が冷たいのは、炭鉱夫たちの涙だからだ」と言う。
    父はハジメに、だから、その地下にある冷たい海を温かくするような男になれと言う。

    ハジメは出会った神様(孤児の少年)と一緒に、泳ぐ機関車で海を温かくしようと思うのだ。
    「悲しみをぽかぽかにする」(温かい悲しみ)と。

    この設定自体が泣ける。

    悲しみ自体は受け入れても、そこに「温かさ」を少し足してあげることで、人は楽になるということなのだ。
    悲しみを直接癒すことはできないかもしれないが、温めてあげて、「そばにいる」「私がいる」ということを伝える。それは悲しみを背負った人に対してとても優しい態度であり、悲しみを和らげることができるだろう。

    「悲しみをぽかぽかにする」は、『オバケの太陽』で大人になったハジメが、同じような境遇の少年と出会い、自分のことを思い出してくるところのシーンと静かに共鳴してくる美しい台詞だ。

    しかし、ハジメには父との辛い別れがあり、唯一の友だちだった「神様」とも別れなくてはならなくなる。

    でも「生きろ!」と、ハジメの背中を強く押す声が非常にポジティブでいい。
    ストレートだけど、これがいい。
    ハジメには確実に届いている。
    そして、その声はハジメを通して『オバケの太陽』で出会った少年にも届くのだ。

    炭鉱・石炭と機関車、そしてハジメの母が好きだった向日葵、向日葵のように明るく笑う。

    ラストのシーンは、すでに想像の中にあるとおりだったが、それでも感動的であり、気持ちのいい余韻を強く残す。

    今回は、作・演の東さんも出演していた。単なるカメオ出演ではなく非常に意味のある位置づけだったと思う。
    彼は、3姉弟を引き取ることになる遠縁を演じている。

    彼が舞台に現れたときから醸し出された雰囲気から「いい人のところに行くんだ」という印象を受ける。ただし、それでも上っ面だけの可能性もまだある。しかし、倒産した鉱山の社員たちが社長宅(ハジメたちの自宅)に押しかけたときに、「いいか、人の浅ましさを見ておけ」と言う台詞から、この人(遠縁の男)は、そっち側の人ではないのだ、と確認でき、安心したのだ。
    この遠縁が現れ、いい人のようだと思ったときから、泣けてきてしまったのは、それぐらい感情移入していたからだろう。

    そういう意味で、この役は大切であり、それまで舞台の上ではどちらかと言えば、痩せてギスギスしていた人ばかりの中で、少し太った(笑)遠縁の男の登場は場の雰囲気も和らげてくれたように思う。

    役者は、三部作の他の作品では姉を演じていた板垣桃子さんが、ハジメのお祖母さんを演じていたが、台詞に気迫がこもり、カリスマ性のある女性を見事に演じきっていた。

    ハジメの父・辰介を演じた池下重大さんは、実はうっかりすればポキッと折れそうな弱さを秘めながら、ハジメに対しての父の威厳や人の良さ真面目さを好演していた。
    親族のダメ男を演じた原口健太郎さんは、そんな人に見えてきて、その妻でぐいぐいと押してくる、もりちえさんとのいつもの悪い(笑)黄金コンビを見せてくれた。

    また、登場シーンは少ないが、ハジメの母を演じた椎名りおさんには、妄想野球シーンで、ハジメに対する母性を感じるようだった。

    辰介の右腕・能嶋を演じた中野英樹さんは、辰介の自宅を漁りに来たあとのラストの表情の見せ方がとても良かった。

    かつてハジメを演じていた外山博美さんは、久々の子役復帰で、神様を演じていた。穢れを知らない真っ直ぐな子だけど、哀しさを背負っているように見え、とてもよかった。

    ハジメの姉たちも、中井理恵さん演じる長女は、美しくきりっとした長女で、徳留香織さんの次女は苦労を知らない次女という感じでそれぞれがいい味を出していたと思う。

    そして、ハジメを演じた大手忍さんは、これだけ大勢の濃いキャラの中で、ハジメを見事中心に立てていた。

    本当に良かった。

    今回も、劇団員が作るセットが素晴らしい。セットの展開、ラストのスペクタクルな感じも。
    草花が「墨」風になっているこだわりとか。

    また、毎回のことだが、客入れから客出しまで劇団員が総出で行うところも、好感度が高いのだ。

    次回は来年5月ということだが、今から楽しみだ。
  • 満足度★★★★★

    炭坑の神様
    面白い。

    ネタバレBOX

    炭坑で小さいながらも王国を作り上げ、「神様」と慕われる辰介(池下重大)だったが、落盤事故を契機に、カネや名声、地位を一気に失い失踪する。辰介の妻・玉恵(椎名りお)が命と引き換えに生んだ末弟・ハジメ(大手忍)は、ちょっと変わったとこはあれども、愛され育つ。そしてダンボールの汽車で遊ぶ孤児(外山博美)と友達になり、失踪した辰介を、スラム街的な地域で見つけるが、変わり果てた父の姿に動揺する。結局、炭鉱は閉鎖となり会社も倒産となり、2人の姉とともに親類の家に転居することになる…。

    ラストの父や母やおばあちゃんらの「生きろ」コールから、覚醒したような表情をみせるハジメが眩しい。炭鉱の街の地下の冷たい水に、汽車を浮かべるという、孤児との約束は守れなかったが、ゆっくり動き出したハジメの人生を表現するような汽車の登場(とバックのひまわり)も相まって、印象的なシーンとなっていた。

    板垣桃子演じる、辰介の義母・野毛綾華がワンポイントになってた。
    ちょいアウトローで強引で「ドン」って感じだけど、孫らには優しい。辰介に対して、家族をもっと大切にしろと忠告もしたり、辰介の性質が炭坑主には向いてないことを見抜くなど鋭い女性。それでいて、事故後の家族への血の通った対応ができる芯の太めな女傑。
    綾華との対比というわけでないだろうけども、辰介の「家族」への想いはどれほどだったのだろうか。玉惠の死後、墓参りもあまり行かず、お手伝い(川原洋子)と通じ(綾華は見抜いてた)、事故後は突如失踪。綾華曰く「宝物」のはずの子供らのことをどれほど想っていたのか。
    炭鉱に取り憑かれた男の悲劇の話と、その息子の心に生まれた志の話、だった。

    ちなみに、父(炭鉱の神様)と孤児(ハジメからみた神様)とハジメが言葉を交わすシーンが美しかった。
    また、エネルギーは誰かの苦労の上に成り立つというメッセージが、コトの重大さとそれが難題であるということを思い起こさせる。
  • 満足度★★★★★

    FT的な?演劇も好きだけど・・
    桟敷童子も自分はとても好きで、
    2006年のスズナリの泥花以降はほとんど観ているはず・・(2つくらい観れなかったのがあるのかな・・?

    ようは物語があろうがなかろうが中途半端な舞台は観る気がしないということで・・。

    じゃあ、桟敷童子の舞台のいちばんの良さは物語か、
    と言われると、そうとは言えないと思います。

    今回は、最近のなかでいちばん間近で役者さんたちの演技を観られたせいか、
    そのことが良く分かったように思います・・
    (別にほとんどのお客さんも既に気づいていることだとは思いますが(汗

    ネタバレBOX

    物語が昭和で九州の炭鉱と言うこともあってか、
    若い観客(自分も含んで良いですかね・・
    には馴染みが無い設定かもしれないですが、
    ちょっと冷静に考えれば、今時、あんな表情をして喋る役者さんたちのいる劇団は無い事が分かります。
    (どういう表情か、と言われると観てもらうしか分からないと思いますけれど・・ちなみに木村伊兵衛の写真なんかを見れば分かると思うんですが、昔の人たちは今の人たちよりずっと人間臭い表情をしているように思います。桟敷童子の役者さんたちはそうした表情に近ずけていると思います

    物語は、と言えば、
    題名が「泳ぐ機関車」で赤堀の炭鉱の話で、前作の前日譚となれば、
    既に筋は見えている・・ハズ。

    なのに、既に見えている筋の中で、
    登場人物たちはとても人間臭く描かれていて、一人ひとりから目が離せません。

    理想に燃える父親は、朝鮮特需を自分の力と勘違いして用心を忘れ、強いように見えて打たれるとあっという間に朽ち果てていきます。

    死んだ母親は、主人公の思い出の中で、
    夢の中でバッターボックスに立つ主人公を、
    まるで寺田ヒロオの「スポーツマン金太郎」みたいに
    朗らかに盛り上げてくれます。

    その母親の弟は、
    どこまでもカッコ良く、最後に良いところで腕っ節の強さを見せつけてくれます。
    (源義経みたいだな(笑

    おばぁちゃんは親族以外誰も信用せず、
    強かさを備えながら時代の波に完全には乗れず、
    父親の弱さを最初から見通しながら、
    孫の主人公に期待を寄せつつ死んでいきます。

    その親族のおじさんは
    ねずみ男のようにずる賢く甘い汁を吸いながら、
    それでもかわいく簡単にボロを出す憎めなさを持っています。

    父親の右腕の平治は、
    どこで拾われてきたのか、
    恐ろしく抜け目なく、汚い仕事も平気でこなしながら、
    最後には貪欲にはなり切れないところに、
    どこか育ちの良いお坊ちゃんの落ちぶれた様子を思い描いてしまいます。

    主人公の担任の教師は、
    どこかひょっとこみたいな可愛らしい(色っぽいという意味ではなく
    表情を浮かべながら、
    必死で主人公を庇ったり、苦しんだりします。

    挙げはじめるとキリが無いですが、
    どの登場人物も、どんな職業の人たちも、
    必死で死に物狂いで生きて、
    その中には貴賤の区別などまるでないのです。

    それはどの人も主人公の心を通してみた風景だから、
    全ての人が甘くほろ苦く、
    それまではずっと寄り目だった主人公が、
    ラストで泳ぐ機関車をバックに前に進む時、
    その真っ直ぐに見据える目の中に
    鮮やかに集束されていくかのようです。

    他の舞台だと、スポットライトの当たるところからの距離によって、
    作者の彫り上げた人物描写の深みが
    当然のように変化しますが、
    桟敷童子の特に今回の舞台にはそれが無いように思います。

    完全な悪役と言うのは全く存在しない。

    端役の一人ひとりに至るまでそれぞれの生活を刻み込み、
    怒るにしても納得できる理由を背負っているような。

    この舞台は、物語というよりかは、
    苦しくとも人間らしい人びとのいた、
    1950年代という眩い時代を描くためにあったのかな、とも思います。

    別に昔を美化するつもりもないのですが、
    ちょっとカメラを持ってみれば分かる通り、
    いくら写真を撮ってみても、
    かつての先人たちのネガの中に映っていたのには遠く及ばない残像が映るだけで、
    桟敷童子はそうした機械では再現不能なものを、
    人間の声と体を使って、
    人びとのまえで豊かに物語るから、素晴らしいのかな、とも思うのです。

    そしてそうした芸当も、劇団員が長年積み重ねてきたチームワークでのみ可能だと思います。

    そうした意味では桟敷童子と地点は似ているように思います。

    自分は、作品の構造によって観る舞台を選んだことは一度もないです。
    (実際、地点も桟敷童子も2006年以降は観れる限り観に行っているので・・

    中途半端が一番よくない。

    本気になって何かを表現しようとするならば、すべては役者の顔に現れるように思います。
  • 満足度★★★★

    今となっては希少
    5年ぶりくらいに見ました。
    舞台装置のダイナミズムとか、劇団員総掛かりといった感じは、今の時代この劇団くらいしか思い浮かばない。
    それだけで★2つ分くらいのアドバンテージがある。
    30年前の赤テントとか、そういうのと比べた方が客観的に評価できると思う。
    だから、満足度イコール作品の出来というわけじゃないところが、
    案外弱点かも。

  • 満足度★★★★

    桃子さん!!!
    炭鉱三部作の最終章。なるほど。「西鉄ライオンズ」もでてきたし…。でも私としては父親のことをもっと観たかった、知りたかった。「神様」の役割の描き方が好きです。カーテンコールの役者紹介であの板垣桃子さんが!!!とびっくり。すごい女優さんですよね。

    ネタバレBOX

    客入れから流れる「ユーモレスク」にはいささかげんなり。いくらアレンジをかえても「もういいよ…」って気がしちゃいました。ダンボールの機関車がとても素敵でした。ラストは想像通り機関車出たっ!!
  • 満足度★★★★

    頑張れハジメ!
    昭和史の一部がグイグイと迫って来る感覚で、戦後の復興の陰にはこういう人達も少なからずいたのだろうななどと思う。
    また、大好きな『泥花』の前日譚…どころか「直前日譚」で、あちらの冒頭シーンが浮かんで来るくらい。
    いつか三部作の連続上演などあるといいなぁ。
    そして、頑張れハジメ!

    ネタバレBOX

    終盤、失意の底に沈みながらも立ち上がり歩き始めるハジメがとてもイイ。
    そして、遭遇した知人の「ラストのハジメはしっかり正面を見据えていた」との指摘に眼からウロコがボロボロと。
  • 満足度★★★★

    ややネタばれかも?
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    劇団・座敷童子の【泳ぐ機関車】を観劇。

    今年の紀伊国屋演劇賞を受賞。

    炭鉱三部作の最終話。
    炭鉱主である父とその家族、そして従業員達の物語。
    それを息子の視点を通して描いていく。

    一代で炭鉱主として成功した父親は、世間では炭鉱の神様と言われている。
    それは金持ちになっても、決して奢らず、従業員を家族の様に扱っているからだ。
    そんな神様と崇められている父親も、落盤事故による社員の多数の事故死、新しいエネルギー開発による波に追い詰められていく。
    そして手の平を返すように従業員達が豹変して、父親は苦悩の末、自殺してしまう。
    そして炭鉱も閉山に追い込まれ、残された家族はバラバラになっていき、そのボタ山を去っていく。

    所謂、良くある炭鉱の話で目新しくないのだが、何故この事を題材に取り上げるのか?
    3.11の震災による東電の企業責任、対応、それ以外も含めて企業のあり方が一番問われている今だからこそ
    描く価値があったのだろう。題材はあくまでも昔の炭鉱の出来事ではあるが、描かれているテーマこそが、
    失われつつある温かい人間社会をテーマしている処だ。特に物語上の父親が、社員を失った時の対応こそが、
    本来一番大切な社会倫理であるべきだ!という事を明確に訴えている。物語上では父親は自殺をしてしまうのだが、
    父親は事故を真摯に受け止め、行動している辺りが確実にものがっている。
    一応、息子の視点を通して描いているだが、それが殆んど意味を成さないぐらい作家のメッセージ性が溢れた意欲作だ。

    劇場の場所が錦糸町の倉庫、そして今ではなかなかお目にかかれない派手なセット。
    誰が観ても感動するストレートな物語と、演劇の異空間を体感するには持って来いの芝居だ。


  • 満足度★★★★

    引き込まれました
    淡々と進む物語。戦後の復興と炭坑街。
    キャラが立っていて「こういう人いるよなー」と脳内で身近な人にあたはめながら見ていて途中と最後で泣かされました。うるっときたな。
    熱いのと青いのが私のツボにはまります。よかった。

    ネタバレBOX

    なんとなく「このキャラはこうなるのかな」というとおりに進んでいたのですが、それが逆にスポッと気持ちにはまりました。欲しいところに球がくるみたいな快感が見ていてあるので、私は、こちらの劇団さんの青さ熱さ泥くささが好きなんだろうなと思います。
    途中で「いい加減、誰かハジメのバッティングのフォームの訂正してやれよ」「いや、むしろこれは訂正しないことでなにかを表しているの? ハジメが周囲からはおぼっちゃまとしてなんでもかんでもチヤホヤされていて、父はハジメのことはないがしろにしていることの表現?」などと思ったんですが、どうなんでしょうかね。
    ハジメのバット、途中で年月とともに薄汚れたものになってました? それは気のせい??
    ハジメが最初は斜視気味だったのがラストでまっすぐになってました?


    ラストで機関車くるのかなーと思ってたら「来た」ので、見たとき笑っちゃいました。ひまわりと機関車。あの大がかりさは、変な笑いが出てきました。

    やっぱり好きです。
    淡々と積み上げていくものがラストで気持ちよく崩壊する。でも崩壊しすぎないみたいなこの感じ。

    また次も見にいきます。

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