あたらしいエクスプロージョン 公演情報 あたらしいエクスプロージョン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-20件 / 26件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    狭い会場ですが、上手くロッカーを使い空間と衣装替えを、スピード落とさず テンポよくて心地よかったです。現代や素を覗かせ、息抜きを小刻みに入れ時代の暗さやかたさを軽くしていて良かったです。衣装はもう少しだけ性格が出るトーンにした方が違和感がないと思います。
    皆さんが多彩に演じていたのが素晴らしかったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    昨年の劇チョコの日澤が演出した第一弾「イノセント・ピープル」の芸劇より狭い舞台を、あやめ十八番の堀越涼が実に巧みに使いながら、同劇団の金子侑加を含む芸達者な6人の役者の一人何役もの鮮やかな変化の演技と、島田大翼ただ一人によるアコーディオンからパーカッションまで多彩な音楽で見事に名作をリメイクして見せた

    昨年も今年も好きで何度も観ている劇団の演出ふたりによるだけに、期待通りの、いやそれ以上の舞台だったが、やはりそれぞれ自分の劇団の舞台を想起させる点が多々あった
    昨年のはやや長すぎると感じたところもあったが、今回はそんなことは微塵もなく、生演奏にこだわる堀越の面目躍如といった面もあったし、舞台の巧みな使い方は座・高円寺などで見慣れたあやめ十八番の舞台より狭いステージを、目まぐるしく変化させることで幾重にも使った感じになったことの賛嘆もあった

    ともかく何変化もするキャストたちの演じ分けが素晴らしく、特に金子の声色も男女で変化させた演技が圧巻だった(段のオカマぶりも良かった)
    セットは基本いくつかのキャスター付き衣装かけ(クローゼット)のみ(あとは鏡など)だが、それがくるくる回転しながら移動し、キャストはそこにある衣裳を使って変身する
    その衣裳はadidasなどであくまで現代風
    この点は時代設定など気にしていない
    いくつものトルソーが使われているが、カメラまでこれにしたのはいかがなものか

    いつの間にか始まっているという感じだったが、スクリーン代わりの白い幕でタイトルロールを見せたのはなかなか
    そして時々その幕を使って影絵でシーンを見せるアイデアも良かった

    基本的にはコメディタッチで、ドタバタ喜劇の要素も多いが、人情劇の面もある
    戦後の混乱、戦争の爪痕も描かれているが、そこにあるのは絶望でなく希望だ
    言わば青春群像だが、パンパンも明るい
    戦後という時代はもちろん暗い面もあったのだけど、皆前向きだったのではないかなと思う
    思い返すと自分の幼少期にはまだ戦後の雰囲気が残っていた
    映画にかける情熱、飢えと言ったものが描かれているが、そこには現代の舞台に通じる演劇人の意地のようなものも現れているのではないか

    ともかく「ザ・演劇」という感じで、ハッキリ言って前日観たオペラよりはるかに満足いくものだった

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    千穐楽を拝見しました。
    6人それぞれが何人もの役を演じて、効果音なども担当されてました。
    役の演じ分けのためか、役の個性が強調されすぎかも?と感じました。

    戦後の復興期の猥雑な感じや希望に満ちた空気感がリアルに伝わってきました。

    生演奏も素晴らしく、昭和感を盛り上げてました。

  • 実演鑑賞

    華麗な衣装チェンジが繰り返されて、人数以上の大迫力でした!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2025/12/02 (火) 13:00

    CoRichによる名作リメイク、昨年の「イノセント・ピープル」が密度の濃い舞台だったので期待していたのだが、忖度なしに言えば、期待外れだった。

    まず思ったのはこの料金設定の細かさ。14種類もに分かれている。シアタートップスのような小劇場でこんな細かな料金設定に何の意味があるのか。

    さて「終戦直後の日本、まだカメラもフィルムもままならない時代。邦画史上初のキスシーンを撮ろうと奮闘する映画人たちがいた」というこの物語だが、当時、GHQが「日本人が恋愛、情愛の面でもこそこそすることなく、堂々と自分の欲望や感情を人の前で表明することが、日本人の思想改造に不可欠」との思惑で映画界に強要して初のキスシーンがある「はたちの青春」(佐々木康監督)が制作された。日本を骨抜きにするための3S政策(スクリーン、セックス、スポーツ)が強硬に推し進められていたのだ。その後「また逢う日まで」(今井正監督)でのガラス窓越しのキスが話題になったりもしたが、まだまだキスシーンは邦画の世界では珍しいものだったのだ。若い映画人たちが新たな表現を追い求めるといったことの前に、GHQの強要があったというのが史実だ。

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    「時代考証にそぐわないことは謹んでください」という台詞が2度ほどあるが、そもそも冒頭から時代考証などやっていない。
    出演者がほぼ全員、異なるデザインのアディダス(Adidas)のTシャツを着ているが、同社が(靴屋として)ドイツで創業したのは1949年でこの芝居の時代にはまだ衣類なぞ製造していない。皆が着ている三本線で三角形をかたどったロゴマークにしても一般の製品に使用されるようになったのは1997年からである(因みに日本法人ができたのは1998年で、それまで旺文社が使用していたビルに入居した)。
    スカジャンも横須賀に駐留していた米兵が帰国する際にお土産としてオリエンタルな刺繍をオーダーしたのがはじまりで、闇市時代にはなかったものだ。
    あとジャージのズボンも当時としてはダメだし、当時はスニーカーももっと武骨で、しかも靴底(靴の裏)も単調なものだった。

    男の髪型も襟首部は刈り上げだったはずで、その程度のこともできない役者は舞台に対する心構えが足りない。それにこの作品は「邦画史上初のキスシーン」を撮ろうという映画人の物語なのに、肝心のキスシーンはそれらしく見せているだけ。キスシーンもできない女優を起用すべきじゃない。
    とはいえ、役者陣は一人数役をこなす熱演ではあった。

    ただあまりにコメディ色が強く、「ヒロポン中毒の梅毒女」などという現代ではコンプラにひっかかりそうな台詞で闇市の猥雑感を出し、引揚体験等の胸に迫るエピソードもあったが、ラストの映画人たちの希望がどうにも空振りにしか感じ取れない。

    撮影カメラの代わりにトルソーを使用しているが、チラシ写真に使用しているのだからそれをそのまま使用するか、もしくは似たものを作れなかったのだろうか。そういった面も含めてすべてが絵空事のように感じられてしまった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    岸田戯曲賞受賞作との記憶あるのみ、中身は未知数(知らない俳優も多いし)ながら、Corich舞台芸術主催、第二弾という事で観劇す。直前に「映画物」とだけ目に入る。堀越涼演出であった。て事は音楽の比重も高そう。実際そうであった。感想はまた。

    ネタバレBOX

    作品とは全っ然関係ないが...投稿1999件目、マジか?と改めて。
    随分観てしまった。2000件台には当然上がるとして、今後はスローテンポで観劇、引退?までに2500程度まで行けば良いほうかな。
    と取り敢えず予想を書いておく。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです!
    戦後の混乱の中、映画に情熱を注ぎ、強く生きる登場人物達の姿が素晴らしかったです。
    笑いの中に、戦争について考えさせられる、深いストーリーでした。
    役者さん達は何役もこなし、生き生きと演じる姿に感動!
    何とも愛おしい、登場人物達なんだろう!?と思いました。
    生演奏も素晴らしかったです!大満足の舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    久我美子の『また逢う日まで』ネタだと何故か勝手に思っていた。(実際には日本初のキスシーン映画は『はたちの青春』だそうだ)。
    舞台上はドレッシングルーム。幾つもある可動式クローゼットには沢山の服が掛けられている。役者がやって来てそれぞれメイクや着替えを始める。金子侑加さんは噛んでいたガムを捨て口紅を塗る。浜崎香帆さんがルームウェア風ミニスカートを履こうとして客席に目を遣り、舞台前の白い幕を閉めてスタート。演出家得意の見立てが炸裂するステージ。全てが見立て、物はない。舌をコッコッと皆が鳴らす。それがいつしか雨音となる。

    生演奏の島田大翼(だいすけ)氏は凄腕。CDかと思った歌声が生だった。
    浜崎香帆さんは元女子プロレスラーの愛川ゆず季っぽい。

    撮れない映画を気持ちだけでも撮ろうとする話。撮ることが決して叶わないことは解っているのにその行けるギリギリにまで近付きたい、みたいな。叶わぬ夢が叶わないことを知っていて尚夢見る人間の性。無理を承知で夢想する。その気持ちに意味が生まれる。人間はその物でなく、それを欲しがる人々の感情に突き動かされる生き物。

    ネタバレBOX

    ①杵山康茂の映画作りメンバー
    杵山康茂(鈴木裕樹氏) 映画監督。戦時中は戦意高揚映画を撮っていた。情熱はあるが才能はない。
    今岡昇太(秋本雄基氏) 助監督。戦争から唯一生き残って帰国。
    野田富美子(浜崎香帆さん) パンパンの振りして客を後ろから殴りつけて身ぐるみ剝がす美人局強盗。主演女優をお願いされる。頭で考えることを信じず人の発する臭いで物事を判断する。
    カスミ(金子侑加さん) 富美子のパンパン仲間。左目に眼帯。
    アザミ(段隆作氏) 男娼。
    貞野寛一(段隆作氏) 食べ残しの生ゴミを煮て煮ぼうとう屋をやっている。富美子に惚れている。
    石王時子(金子侑加さん) この御時世に35ミリ?16ミリ?の映画用カメラを所持する。闇屋。

    ②月島右蔵の映画作りメンバー
    月島右蔵(猪俣三四郎氏) 剣戟(けんげき)映画の主演兼監督で人気を集めた。
    近藤金剛地(鈴木裕樹氏) 月島の片腕的存在。プロデューサー?
    柚木灘子(金子侑加さん) 女優。
    坊やの哲(段隆作氏) 月島組の下っ端。

    ③GHQ
    デヴィッド・コンデ(秋本雄基氏) GHQ民間情報教育局に属し映画の製作禁止条項を審査。日本の映画会社に労働組合の結成を奨励。実はアメリカ共産党員であり、後に更迭され国外退去処分に。
    マイク・サカタ(猪俣三四郎氏氏) コンデの通訳。
    裁判長(金子侑加さん)
    弁護士(浜崎香帆さん)

    6人で服を取っ替え引っ替え帽子に眼鏡につけ髭に···とキャラを替えて突き進むドタバタが見もの。着替えが間に合わない場合は服の後ろに立ったり、最悪服だけ動かす。罰ゲームみたいにキャラをやり繰りするが何故か話は伝わる。

    演出が天才的で感心するのだが脚本があんまり好きじゃない。つかこうへい節なのかな。これは自分の好みの問題なのでしょうがない。映画と演劇、どちらに興奮するかなんだと思う。自分と作品との距離感。個人的にずっと考え続けるべき問題。ただ役者は魅力的。演劇偏差値の高い場。段隆作氏が作品の肝。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     バランスよく、飽きさせない。

    ネタバレBOX


     戦中、敗戦、敗戦後、GHQ占領期迄を含む時代を日本で初のキスシーンを映画人として撮ることになった、未だ製作者に職人の誇りと拘り、兎に角映画に纏わる何かが好きという純な情熱を懐胎していた人々の時代に翻弄されつつも何とか必死に日々を生き、為したいことを追求した姿を描く。バランスの良い舞台。場転が多いから着替えだけでも大変で12月1日マチネで回数が1番多かった役者さんは19回、2番目の方が18回。という凄まじさ。大きなトチリも無くこなしたのは役者陣の力と褒められて良い。
     脚本も練られたものでメリハリも良く、退屈させない。アメリカの上から目線は随所に描かれているが、相変わらず今も続いていることには留意しておくべきであろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    これは凄い。演出家の創造力と役者さんの技量を堪能できる舞台です。また,演奏も素晴らしい。芝居の醍醐味を味わうことができました。アフタートークありの回でしたが,役者さんの工夫と苦労が伝わってきて,それを含めて満足すぎる時間です。こういう舞台に出会えるから,劇場観劇は止められない。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ユニークな構成ですね。いかにも活劇って感じで、大いに楽しめました。多役をこなす6人の役者さんと多楽器を演奏する1人のミュージシャンだけなのに、スケールの大きい見事な舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    説明通り「戦後直後の日本でカメラもフィルムもままならない時代に、邦画史上初のキスシーンを撮ろうと奮闘する映画人たちの姿を描いた物語」であるが、そこには復興にかける多くの人々の夢と希望が内包されている。映画を撮ることは<復興>の象徴、何かに(本作では「映画」)情熱を燃やす者たちの群像劇といえる。それを6人の役者がそれぞれ複数役を担い、1人の演奏者が多くの楽器を奏でることによって多重的に紡いでいく。公演は、分かり易い 質の高いエンターテイメントといった印象だ。

    今年は戦後80年、劇中の台詞にもあるが 焼け野原にポツンと見えるのは東本願寺(建物外部)だけ、その焼失と心の喪失を乗り越えた先に光る絆と癒しの光景を描き出す。公演の魅力は、役者や演奏するキャスト陣の熱演と舞台装置や小道具・小物を巧みに使って観(魅)せる場景描写、その演出がすばらしい。謳い文句にもある「ユーモアとペーソスを織り交ぜた緻密な構成」、そして圧倒的な台詞の味わい深さー言葉が心を紡いでいくような秀作。岸田國士戯曲賞 受賞作。
    (上演時間2時間 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、可動クローゼット(裏板なく通り抜け)3つ、その間に姿見2つ、更に その間に椅子が半円を描くように並んだ だけのシンプルもの。後々 分かるが中央床が開閉し、登場人物が出入りする。上手奥が演奏スペース。場景に応じて クローゼットや姿見を動かし情景や状況を作り出す。物語の最初と最後に玉音放送。

    物語は説明にある通りだが、そこに戦前と戦後の撮影事情が大きく違って 戸惑いを隠せない映画人の姿を描く。価値観や考え方等が180度転換する。12月の邦画といえば「忠臣蔵」が定番、しかしGHQ 軍属のデビッド・コンデは、日本の映画会社に軍国主義的・封建主義的な内容の映画製作を禁じた(検閲で許可されない)。そこで 城内での刃傷沙汰を止め、浅野と吉良が接吻して恋沙汰(虜<トリコ>)にし、さらに2人の立場を入れ替えた。また戦時中に 杵山康茂が戦意高揚を謳った映画を撮り、裁判になったが、大した影響力もなかったことから無罪。ホッとした反面、映画人としてプライドが傷つけられ複雑な思い。GHQの進言を聞きながら、日本映画の復活を目指す若者たち。また闇市や街娼など、当時の世相を挿入し混乱と退廃した状況も描く。戦後直後の混乱期、映画とは無関係 しかも法律や道徳といった建前ではなく 強かに生きる若者をキャスティングする、そこに新しい人材発掘/登用を見せる。

    戦時中の悲惨な出来事も描いている。大陸(満州)に渡り 家庭を築いた女性 石王時子。終戦のドサクサになんとか帰国したが、夫は戦死し 子も亡くす。夫との約束、生きて日本の土を踏ませ 撮ること、それが果たせなかった彼女の慟哭。彼女は オジサン姿(付け髭)で男として生きていた。撮る対象(子)を喪ったが、どうしても撮影をはじめ映画技術の全てを習得したい。子を撮るという限りなく近いところまで という切なる願い。この個人的な思いと映画事情という社会的な世情を巧みに絡ませたドラマ。

    可動クローゼット内には多くの衣裳(普段着)が吊るされ、人物や場景に応じて早着替えする。また役者以外にトルソー(それも色や大・小といった大きさの違い)を用いて 多くの人を現す。それは主役級だけではなく、大部屋や現場にいる映画人全てを表し称えているよう。音響/音楽も生演奏だけではなく、例えば雨音は役者が床や物を叩く音で表現するなど細かい演出に拘る。客席との間にある白幕をスクリーンに見立て、映写(影絵)も映画をテーマにしているだけに面白い。この奇知ある<舞台演出>を通して<映画技法>を思わせるようで、実に巧い。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/11/30 (日) 18:00

     終戦直後の日本にて、まだカメラもフィルムもままならない時代に、「邦画史上初のキスシーン」を撮ろうと奮闘する映画人たちの姿を描いた、時にドタバタ喜劇な要素あり、人情喜劇な要素も混ざった青春群像劇となっており、それでいて、舞台は敗戦直後なものの、戦争の影響やトラウマが劇中、登場人物たちの台詞を通じて描く描写もあり、それらがバランスよく、1つの劇を構成していて、考えさせられる場面もありつつ、大いに楽しめ、大いに笑えた。
     また、この劇を通して、映画を作ることにかける思いは、勿論、技術や機材の面、また俳優も含めて、今の時代のほうが、闇市もあるような終戦直後の混乱期と比べて苦労しないことは確かかもしれない。
     しかし、良い映画を作ろうという根本はその時代と今とで、そう大きくは変わらないんじゃないかと感じた。
     勿論、これは、日本において、特に当てはまると思う。
     
     終戦直後の混乱期とは言え、闇市の何やら怪しげな食べ物を松竹梅で値段が違うが、実際は、その差は大してないかと思われるものを売っている屋台の肉欲が酷い、何処かギラついていて危ない貞野寛一、パンパン(娼婦)をしているが、客に体は売らず、客を騙して、財布や金目のものを取る悪どい商売をする野田富美子(見た目や格好からは、娼婦と言うよりかは、どう見ても、現在の新宿歌舞伎町にたむろするトー横キッズにしか見えなかったが)の2人を映画俳優として起用するという、映画監督の杵山康茂自身がカメラも何もなく、貧乏で、0から始めなければというところを加味したとしても、中々の前代未聞で、役者の大元をこの日本で遡ると中世の御代に遊女が芸事も始めたところまで遡れると言えば、そうなものの、この近現代において、実際には、終戦直後とは言え、闇市の屋台店主や娼婦を起用することはなかったと思われる。
     しかし、その発想は中々ユニークで面白かった。
     また、パンパン(娼婦)野田富美子を演じる浜崎香帆さんの見た目や格好が、娼婦と言うよりは、トー横キッズにしか見えないのは、寧ろ終戦直後当時と言うより、現代との持続性を感じさせ、妙なリアリティーと過去の人というふうに分けて考えずに、今でも、世間に居場所のない少年少女が騙されて犯罪に加担させられていたり、騙されて性的に搾取されたりといったことがなくなっていない現実をふと考えさせられた。

     この劇に出てくる登場人物はまぁまぁいるが、それを数える程の役者で演じる上、ちゃんとそれぞれの登場人物の置かれた状況や人間関係、登場人物の性格や個性といったものを理解して、演じ分けていて、1つたりとも、同じ人物や似たような性格になっていなくて、それぞれの登場人物たちの話し方や表情にまで、違う雰囲気を出していて、流石はプロの役者だと感心してしまった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    クローゼットを上手く利用した舞台や、雨の音等も役者が出すと今まで見たことがないタイプの舞台でした。どの役者さんも声が出ていて演じ分けが凄く歌声も素敵でした。なかでも島田大翼さんの一人でいくつもの楽器を奏で、歌まで歌う(それも上手い!)には感服しました!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「戦禍を経てなお息づく映画愛」

     福原充則が浅草九劇のこけら落とし公演に書き下ろし第62回岸田國士戯曲賞を受賞した作品を堀越涼が演出した。CoRich舞台芸術!プロデュースによる「名作リメイク」第2弾である。

    ネタバレBOX

     アジア・太平洋戦争敗戦後の東京で戦時中国策映画を撮っていた杵山康茂(鈴木裕樹)は、戦禍を生き抜いた助監督の今岡昇太(秋本雄基)とともにGHQの許諾を得ないで新しい映画を撮影しようと目論む。闇市で男娼のアザミ(段隆作)に絡まれているときに見つけた、パンパンのふりをしたカツアゲ犯の野田富美子(浜崎香帆)を主役に抜擢し、使い方がわからないにもかかわらずカメラを所持していた石王(金子侑加)とともに、当局の目をかいくぐりながら撮影を続けていく。同時期に新作に取り組んでいたベテラン剣劇俳優の月島右蔵(猪俣三四郎)は、新しい時代に合った新作劇に取り組んでいた。撮影が進むなかで、杵山をはじめとした面々は皆が負った戦争の傷跡の深さがあらわになっていく。

     出演者が数役を兼ねさまざまな場面が進行していく込み入った作劇を、6名の出演者がじつに自在に、心から楽しそうに演じていた。特に戦争の酷い経験に屈せず力強く生きる石王をはじめ、撮影所のベテラン女優から杵山の戦争協力を裁く裁判長まで自在に演じ分けた金子侑加が圧巻であった。

     いっぱい飾りのちいさな空間にもかかわらず、鏡やキャスター付衣装棚で仕切ることで、じつに広々と感じられた点も収穫である。終盤で石王と杵山の対話のBGMがやや泣かせにかかっているという感もなくはなかったが、照明を含め細部にまで手の込んだスタッフワークも見応えがあった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    この話を最初聞いたときは、あの映画のことを題材にするのかと思ったが、そうではなく、戦後間もない頃の時代背景を元にした、映画人たちの奮闘を描く胸アツの舞台。限られたスペースを縦横無尽に使った展開も見応えあり。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    戦後間もなく機材も乏しい時期に映画を撮ろうとする情熱。笑いをふんだんに盛り込んだ楽しい舞台でした。一人数役を忙しく演じる演者さんはさぞ大変だったでしょう。金子侑加さん演じる石王の名シーンも素晴らしかった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    脚本は福原充則さん。今作は浅草九劇のこけら落とし公演だったとか。その時の上演団体はベッド&メイキングス。僕は初演を未見のため、この物語に触れることも今回が初めて。演出は堀越涼さん。

    個人的に惹かれたのは、福原さんらしい「美しさ」を放つ台詞の数々。人間の業を直視し、受け止め、業と共に生きることを肯定するような人間賛歌であり、絵空事ではない、汗と埃にまみれた美しい言葉たちが、観る者の心を打つ。勿論その台詞たちを発する俳優たちの奮闘も印象的でした。

    ネタバレBOX

    観劇前は「戦後の混乱期に文化や表現に携わろうとする若者たちが奮闘する物語」と想像していましたが、戦争の残酷さや理不尽さをあらわす爪痕もしっかり描かれており、想像以上に「反戦劇」になっていると感じました。福原さんらしい笑いも注入されており、パワフルなドタバタ劇にも見えますが、僕個人は真面目な演劇として受け止めました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    あの限られた空間を、
    堀越涼さんはまるで新たな景色へと
    変えてしまうように、巧みに生かしていた。
    次々と繰り出される私好みの演出に心が揺さぶられ、
    気がつけば舞台の呼吸に寄り添っていた。
    演者さんたちは一人で幾つもの影をまとい、
    場の空気を自在に編み替えてゆく。
    なかでも金子侑加さんは、
    声色さえ軽やかに変化させ、
    そのたびに物語の表情がふっと変わるのが
    面白くてならなかった。

    ネタバレBOX

    狭い劇場なので仕方ないが
    結構、見切れやかぶりが多かった気がする。
    終盤の舞台の下から登場するシーンで
    その人より前にいた演者さんの後ろ姿で見えなかった。
    上手側、階段付近。

    チケットの売り方が細かすぎて
    座席指定型のSS、S、A席くらいで
    土日は+500または1000円にしたほうが
    買いやすいような気がした。
    こういう挑戦はいいと思う。


  • 実演鑑賞

    良かったです。

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