あたらしいエクスプロージョン 公演情報 CoRich舞台芸術!プロデュース「あたらしいエクスプロージョン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    久我美子の『また逢う日まで』ネタだと何故か勝手に思っていた。(実際には日本初のキスシーン映画は『はたちの青春』だそうだ)。
    舞台上はドレッシングルーム。幾つもある可動式クローゼットには沢山の服が掛けられている。役者がやって来てそれぞれメイクや着替えを始める。金子侑加さんは噛んでいたガムを捨て口紅を塗る。浜崎香帆さんがルームウェア風ミニスカートを履こうとして客席に目を遣り、舞台前の白い幕を閉めてスタート。演出家得意の見立てが炸裂するステージ。全てが見立て、物はない。舌をコッコッと皆が鳴らす。それがいつしか雨音となる。

    生演奏の島田大翼(だいすけ)氏は凄腕。CDかと思った歌声が生だった。
    浜崎香帆さんは元女子プロレスラーの愛川ゆず季っぽい。

    撮れない映画を気持ちだけでも撮ろうとする話。撮ることが決して叶わないことは解っているのにその行けるギリギリにまで近付きたい、みたいな。叶わぬ夢が叶わないことを知っていて尚夢見る人間の性。無理を承知で夢想する。その気持ちに意味が生まれる。人間はその物でなく、それを欲しがる人々の感情に突き動かされる生き物。

    ネタバレBOX

    ①杵山康茂の映画作りメンバー
    杵山康茂(鈴木裕樹氏) 映画監督。戦時中は戦意高揚映画を撮っていた。情熱はあるが才能はない。
    今岡昇太(秋本雄基氏) 助監督。戦争から唯一生き残って帰国。
    野田富美子(浜崎香帆さん) パンパンの振りして客を後ろから殴りつけて身ぐるみ剝がす美人局強盗。主演女優をお願いされる。頭で考えることを信じず人の発する臭いで物事を判断する。
    カスミ(金子侑加さん) 富美子のパンパン仲間。左目に眼帯。
    アザミ(段隆作氏) 男娼。
    貞野寛一(段隆作氏) 食べ残しの生ゴミを煮て煮ぼうとう屋をやっている。富美子に惚れている。
    石王時子(金子侑加さん) この御時世に35ミリ?16ミリ?の映画用カメラを所持する。闇屋。

    ②月島右蔵の映画作りメンバー
    月島右蔵(猪俣三四郎氏) 剣戟(けんげき)映画の主演兼監督で人気を集めた。
    近藤金剛地(鈴木裕樹氏) 月島の片腕的存在。プロデューサー?
    柚木灘子(金子侑加さん) 女優。
    坊やの哲(段隆作氏) 月島組の下っ端。

    ③GHQ
    デヴィッド・コンデ(秋本雄基氏) GHQ民間情報教育局に属し映画の製作禁止条項を審査。日本の映画会社に労働組合の結成を奨励。実はアメリカ共産党員であり、後に更迭され国外退去処分に。
    マイク・サカタ(猪俣三四郎氏氏) コンデの通訳。
    裁判長(金子侑加さん)
    弁護士(浜崎香帆さん)

    6人で服を取っ替え引っ替え帽子に眼鏡につけ髭に···とキャラを替えて突き進むドタバタが見もの。着替えが間に合わない場合は服の後ろに立ったり、最悪服だけ動かす。罰ゲームみたいにキャラをやり繰りするが何故か話は伝わる。

    演出が天才的で感心するのだが脚本があんまり好きじゃない。つかこうへい節なのかな。これは自分の好みの問題なのでしょうがない。映画と演劇、どちらに興奮するかなんだと思う。自分と作品との距離感。個人的にずっと考え続けるべき問題。ただ役者は魅力的。演劇偏差値の高い場。段隆作氏が作品の肝。

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    2025/12/02 18:18

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