富士幻談 公演情報 富士幻談」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★

    「見立て」の趣向
    俳優の声と肉体を駆使し、独特の世界観で複層的な物語を構成するのがこの劇団の特徴。

    今回の公演でも「見立て」の趣向でさまざまな情景を描き出していた。

    山本タカの作品は密度の濃さが特徴でもあるが、1時間40分、決して長くはないはずの時間が今回は体感的にとても長く感じられた。

    この劇団の特色でもある俳優の発声の妙を感じ取るべく、目を閉じて聴いてみたりもしたが

    少々退屈し『百年時計』のとき同様、集中力がとぎれてしまう箇所があった。

    今回は一つ一つの点景としては面白いのだが、全体的に『覗絡線』『被告人ハムレット』『黒猫』(再演)のような圧倒的に引きずっていく物語としての魅力が弱かったようにも思える。

    山本タカ氏は若手演出家としては非凡な才能を持っている人だと早くから注目してきたので、次回作に期待したい。

    ネタバレBOX

    富士を扇で表現するというアイディアは面白いと思った。

    扇を持つ形というのは簡単そうでなかなか難しいもので、様になっていないと美しく見えない。

    日本の扇を洋風な手つきで持つと形が崩れて見えてしまう。

    この点、日本の「直線文化」というのは侮れないものがあるのだ。

    扇だけで舞う能の仕舞を何回も見て動きを勉強してほしい。

    最後に扇を閉じた俳優が体の前中心に差し体が突っ張ったのには一番違和感があり、吹き出しそうになった。

    扇は左脇に寄せて帯に差すのがどんな場合も和装の作法になっており、それは一番美しくおさまりもよく、好みの問題ではなく肉体的にも意味のあることなのだ。


    和服を着ての演技が現代の若者には慣れていないこともあり、動きながら台詞を言うと変な「間」があいて、ぎくしゃくしてしまう箇所が気になった。

    この作品も脚本を整理して、伝統芸能を身に着けた俳優が演じれば、一段と良くなるかもしれないと思った。
  • 満足度★★★★

    思った以上に日本的でした。
    狭い会場でも壮大で,遠くの視点を観ていた気がしました!女性キャストが目立った気がしました。

  • 満足度★★★★

    なかなか
    古典を基にした作品はいくつも観てきたけれど、まだ若い彼らがここまでの完成度を作ったことには脱帽します。


    真摯に作っている印象。まだお若いのにね・・・また次回も観てみたいと思います。

    ネタバレBOX

    メリハリが少しなかったのが残念。どのシーンも印象的なのだが、印象的なものばかり観ていると、結局全体的にぼやけてしまうのが・・・

    時間をもう少し短くして欲しかったのと、劇場が小さいなりにも絵変わりが欲しかったです。もっと大きなところで観てみたいです。
  • 満足度★★★★

    太宰治「「富嶽百景」
    を背景に、それこそ糸を紡ぐように練り上げた脚本。しかし芝居というよりも、手の込んだリーディングのような舞台でもあった。あまりにも富士の説明に懲りすぎた感はあったけれど全体的に楽しめた。

  • 満足度★★★★

    この劇団の役者さんは、
    舞台に立つ人間としての発声など、基本がすごくきちんとできてると思う。(他の舞台を観に行くと、台詞は聞こえてもこの基本的な部分があまりちゃんと出来てないように感じられる役者さんが意外と多いと個人的には思います。)

    総合的にはよかったと思います。

  • 満足度★★★

    談と幻
    即ち、エピソードと踊りが交互に織りなされていました。…

    ネタバレBOX

    初っ端から太宰の帯の位置が気になってずーっと引きずってしまいました。腹巻きをギュッと締めているようで、まるでおこちゃまでした。もう少し下で締めなくちゃ。

    扇は、八割方広げて少し左に傾けて富士山らしい雰囲気が出ていましたが、付随する踊りの方は特に井伏がふらふらしていて、幻を表現するならもうちょっと何とかしてほしいと思いました。

    そんな踊りの合間におこちゃまが心中やお見合いをしても何だかなーと思いました。

    全体に単調でした。
  • 満足度★★★★★

    秀逸! らしい演出に満足
    終わって、席を立つときには涙が滲み、感動で手が多少震えていた程です。
    期待通りの壮大なスケールと予想を許さない劇的なストーリー展開は、まさに圧巻というほかはない。

    6人の役者がそれぞれの個性を発揮して、この超現実的な脚本をあくまでもリアルに演じている。

    「富嶽百景」をネタにこんなスペクタクルに展開・表現できるのはこの劇団以外にないかもしれない。

    ネタバレBOX

    導入部分でのふすまの影絵は非常に効果的で、富士の冠雪をイメージした白布の効果も非常にシンプルでイメージ効果が大きい。
    富士の噴火からのクライマックスから終焉までの演出は本当に素晴らしいものがあった。

    ただ、中盤のエピソードが重く、長く、やや複雑なため疲れる部分もあり、中盤でのエピソード展開にもう少し笑って楽しめる軽い内容、たとえば現代人の富士山への意識の変化など共感できる内容も入れて移調効果も入れてくれたらさらに良かった。

    草野氏の短髪は個人的には大変いいと思う。もともと、以前から草野氏の完成形はスキンヘッドだろうと思っていたのでニンマリしてしまった。

    読み手の出し方も「らしい」演出であったが石綿氏の存在感がありすぎて、シーンごとのコントラスト効果が薄まってしまった印象があるので、被り物をするなど工夫がほしい。

    また、細かいことだが着物(特に女性)の着付け方が着慣れないせいか、襟元が立ちすぎるなど素人目に不自然に見えた。

    次回以降も期待したい。
  • 満足度★★★

    ぼんやりと、富士山が見えたような気がした
    確かに戯曲は意欲的で、なるほどと思ったし、役者も熱演。
    うまい人もいる。
    いいシーンもあった。
    しかし、舞台の上が熱くなればなるほど冷めるというか…。
    単に、舞台のリズムが合わなかっただけなのかもしれないが。

    ネタバレBOX

    富士山の角度の考察なんて面白い。
    だけど、それが当パンでは説明されているのだが、舞台の上ではすっきりとしてこない。リズムに乗せて、なのだが、「チーン」が可笑しくて。足踏みか台詞のリズム感のみで見せるべきだったのではないか。

    舞台では「富士山」はそれぞれの登場人物たちにとって、「どのような意味があったのか」「心の中の位置づけはどうだったのか」が描かれていたようだ。

    しかし、ムリして3つのストーリーにしなくてもよかったように思う。
    神話の時代(岡本かのこ「富士」)、太宰(「富岳百景」)、現代、それぞれの交錯の仕方がもっと、鮮やかであればよかったのだが、そうでもない。

    つまり、演劇としてもタイプの異なる3つのストーリーが、ぶつかり合い、のたうち回りながら渾然となっていくのであれば、面白かったと思うのだが、ラストは無理矢理まとめた感が否めなかったのが残念。

    例えば、富士山の写真を巡る父子の「父」が、神話の時代の父娘の「父」と、そして、神話の時代の「娘」が、太宰のお見合い相手の「娘」と、イメージ的にリンクしていくような印象なのだが、実はそうでもない。
    役者を同じにすればよい、ということではなく、それがダイナミックにリンクしていけば、こう、なんか、観ていてもどかしい気持ちが一掃されたに違いない。

    当パンに書いてあることから言うと「最も美しい富士は、想像の中にある」のならば、形にして見せるべきではないように思えた。たとえ、扇子であったとしても。
    あるいは、それぞれの手に持つ、それぞれの富士(扇子)を見せて、それぞれの富士山を感じさせてほしかった。

    富士山のイメージを重ねていくというのは、お見合いのシーンなどとても効果的だとは思ったのだが、特にラストは、何もないところに、それぞれの、登場人物の数だけの富士山が見える(あるいは見せない)ほうがよかったのではないかと思うのだ。

    あと、気になったのは、台本らしきものを手に熱演する男。大柄で翁と同じようにオーバーな振りなので、翁に被ってしまい、翁が消えてしまうように感じる場面が多かった。あのサイズの舞台なのだから、一歩引いて舞台後方にいてもよかったのでは。

    また、冒頭のダンス的なもの、靴音がボコボコとして、カッコ悪い。音が重要なシーンも後に出てくるのだから、そこはきちんと音が出るようにコントロールすべき。冒頭のシーンであれば、裸足でもよかったのでないか。

    さらに靴を履いて座敷(部屋の設定の場所)に入るのは、とても気持ちが悪い。正座までするのに。ましてや、先生と呼ぶ相手の部屋に靴のまま上がるのはないんじゃないだろうか。靴を脱ぐタイミングぐらい観客は待つし。

    とは言え、月見草のシーンは好きだ。翁が娘に会うシーンもいいと思った。
    全体的に「お芝居」がうまい、という印象が多い役者の中で、茶屋の娘が印象に残る。とてもよかった。

    岡本かのこの「富士」を読むと、ラストの台詞が鮮やかなのだが、それが感じられなかったのも残念だな。

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