満足度★★★
「見立て」の趣向
俳優の声と肉体を駆使し、独特の世界観で複層的な物語を構成するのがこの劇団の特徴。
今回の公演でも「見立て」の趣向でさまざまな情景を描き出していた。
山本タカの作品は密度の濃さが特徴でもあるが、1時間40分、決して長くはないはずの時間が今回は体感的にとても長く感じられた。
この劇団の特色でもある俳優の発声の妙を感じ取るべく、目を閉じて聴いてみたりもしたが
少々退屈し『百年時計』のとき同様、集中力がとぎれてしまう箇所があった。
今回は一つ一つの点景としては面白いのだが、全体的に『覗絡線』『被告人ハムレット』『黒猫』(再演)のような圧倒的に引きずっていく物語としての魅力が弱かったようにも思える。
山本タカ氏は若手演出家としては非凡な才能を持っている人だと早くから注目してきたので、次回作に期待したい。