富士幻談 公演情報 声を出すと気持ちいいの会「富士幻談」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「見立て」の趣向
    俳優の声と肉体を駆使し、独特の世界観で複層的な物語を構成するのがこの劇団の特徴。

    今回の公演でも「見立て」の趣向でさまざまな情景を描き出していた。

    山本タカの作品は密度の濃さが特徴でもあるが、1時間40分、決して長くはないはずの時間が今回は体感的にとても長く感じられた。

    この劇団の特色でもある俳優の発声の妙を感じ取るべく、目を閉じて聴いてみたりもしたが

    少々退屈し『百年時計』のとき同様、集中力がとぎれてしまう箇所があった。

    今回は一つ一つの点景としては面白いのだが、全体的に『覗絡線』『被告人ハムレット』『黒猫』(再演)のような圧倒的に引きずっていく物語としての魅力が弱かったようにも思える。

    山本タカ氏は若手演出家としては非凡な才能を持っている人だと早くから注目してきたので、次回作に期待したい。

    ネタバレBOX

    富士を扇で表現するというアイディアは面白いと思った。

    扇を持つ形というのは簡単そうでなかなか難しいもので、様になっていないと美しく見えない。

    日本の扇を洋風な手つきで持つと形が崩れて見えてしまう。

    この点、日本の「直線文化」というのは侮れないものがあるのだ。

    扇だけで舞う能の仕舞を何回も見て動きを勉強してほしい。

    最後に扇を閉じた俳優が体の前中心に差し体が突っ張ったのには一番違和感があり、吹き出しそうになった。

    扇は左脇に寄せて帯に差すのがどんな場合も和装の作法になっており、それは一番美しくおさまりもよく、好みの問題ではなく肉体的にも意味のあることなのだ。


    和服を着ての演技が現代の若者には慣れていないこともあり、動きながら台詞を言うと変な「間」があいて、ぎくしゃくしてしまう箇所が気になった。

    この作品も脚本を整理して、伝統芸能を身に着けた俳優が演じれば、一段と良くなるかもしれないと思った。

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    2012/06/27 19:58

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