記憶、或いは辺境 公演情報 記憶、或いは辺境」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-19件 / 19件中
  • 満足度★★★★★

    珠玉の一作
    6月27日に加えて7月7日にも観劇。

    一つずつのシーンの丁寧な作りこみと、その重なりに、まっすぐに取り込まれました。

    物語をしっかりと受け取って。
    でも、物語をどんなに紡いでも、きっと描ききれない想いの刹那が舞台にはありました。

    ネタバレBOX

    ひとつならずいくつもの、
    心に残るシーンがあって。
    また、最初に観たものと、千秋楽近くに観たものでは
    ニュアンスが少し変化しているように思えるシーンもあって。

    言霊というものがあるように、
    ほんとうによく作られた演劇には
    芝居霊みたいなものが宿るような気がする。

    二度の舞台、それぞれに芝居霊が宿るような、
    そこまでによく作りこまれた舞台でありました。
  • 満足度★★★★

    観劇
    思っていたほどずっしりと重くは無く、
    でも、心にしんと降りてくるような芝居。
    時代に踊らされる登場人物たちが切なくて愛おしくて涙が出ました。
    そして役者さんの技量が素晴らしい。
    方言は勿論、朝鮮なまりの日本語が芝居にリアリティを持たせていたと思う。

  • 満足度★★★★

    出会いと別れと
    あらすじを見て、もっと政治色が強く 民族間若しくは個人のイデオロギーのぶつかり合いを描いているのか思っていましたが、自分には「ああ、これは結局ラブストーリーだったんだな」と感じました。
    悲劇を語る単純なお涙頂戴的な話に落ち込まず、テレビドラマに有りがちな、感動の押し売り的な“良い話"げ″感も無く、冷めて突き放している感じが、とても良かったです。

    ネタバレBOX

    説明台詞が多かったかのが少し不満なところです。確かに名シーンではある白菜シーンの二人語り。延々心情吐露まで語られると緊張感が持続しないかなと思いました。
    あの場面であれだけ語らせたら、ここをクライマックスとして、その後は、エピローグ的に完全無言劇にしてしまっても良かったのかと。
  • 満足度★★★★★

    素晴らしいの一言
    それに尽きます

  • 満足度★★★★★

    戦争か
    初のシアターKASSAIにて風琴工房。「Archives of Leviathan」以来。

    うーむ。もう勘弁してくれというくらいの良作だった。素晴らしい。素晴らしい。瞬きをするのが勿体ないくらいの2時間。終幕のシーンが最高。

    何なのだろうな、あの空しくてどうしようもないのだけれど、集団になると乗り越えられてしまうという力強い感じ。戦争を精神論で語っても何の意味も成さないのだが、それでも気の持ち様で乗り越えられた困難を見事に描写してくれている。日本と韓国・中国・北朝鮮はまだまだ荒れ荒れな状況だ。ポーランドとドイツとかって実際どの様な関係なのだろうな、現状。やはりこちらまでは情報が届いていない軋轢がやはりあったりするのだろうか。

    どこかで一回OFFにしないと、一生子孫に引き継がれ続けてしまうと思うのだが・・・でも加害者側と被害者側では、当然傷の深さが違うのだろう。ただ、加害者側の子孫(我々)って、本当にどう振る舞って良いのか分からないよなあ。戦争は絶対にしてはいけないと思うし、過去の軍国主義を完全に否定する事もできるのだが、被害者側の*子孫*達に「我々が悪かった」と本心で言えるかどうかは難しい。もちろん歴史の過ちは完全に認める事はできるのだが、我々としては「自分たちが係っていなかった戦争の責任云々」よりも、これからもっと前向きに一緒にアジアを強くしていきましょうと言いたいのに、その度に過去の戦争が云々と言われてしまうと、やはり興ざめしてしまうのだ。難しいねえ。

    劇場に向かう電車の中で読んでいた週刊ポストの「宿命の子」の中で、笹川良一さんが終戦を迎え巣鴨プリズンへ収監される場面がちょうどあって、いろいろシンクロ。

    役者さんが全員素晴らしい!ブルドッキングヘッドロックの津留崎夏子さん、相変わらず美しい。

  • 満足度★★★

    役者がすごい
    特に朝鮮人役の役者はセリフの負担が高かったろうと想像するが、みんな見事に演じていた。物語も秀逸。史実はほとんど知らないけれど力強く伝わってきた。

  • 折に触れて演を重ねて欲しい
    優しく温かく時にはユーモラスでさえある中に「知らなくてはならないこと」「忘れてはならないこと」が包み込まれていて心に深く染み込む感覚。
    その語り口に井上ひさし作品(「闇に咲く花」「煌めく星座」など)を連想。
    折に触れて演を重ねて欲しい珠玉の作品。
    先日の劇団競泳水着にしても風琴工房にしても、「劇空間の居心地の良さ」はピカイチ。

  • 満足度★★★★★

    今年これ以上の作品に出会えるのだろうか?
    と思うくらい感動した。
    素晴らしすぎて何もないです。
    だけど、隣の席のおじさんは眠っていた・・・。
    演劇って不思議。

  • 満足度★★★★★

    声高におススメ出来ます。
    「平日はじめて割」を適応させて頂き、1650円で拝見いたしました。…こんな安い値段で見せて頂いて申し訳ない!「ありがとう」を通り越してそんな風にまで思ってしまいました。何より、俳優さんが好演。それだけで声高におススメ出来ます。

  • 満足度★★★★

    泣いた
    戦争で引き裂かれた人々の心情が痛いくらい伝わって来て、泣いてしまいました。女優陣が好演でした。パクさんも、びっこの床屋さんも良かったです。白菜のシーンですが、大事な台詞を言っているのに白菜に意識が行って気が散ってしまい、戸惑いました。

  • 満足度★★★★

    そっか~
    悪くないですよ、むしろいいですよ。
    でもね、私の心に踏み込んではこなかった気がしまする。

    あの白菜はどうなるの~

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!
    感動もしましたが、わずかな史実から芝居を作り上げるとはこういうことなのかと思い知らされました。

    ネタバレBOX

    樺太落合の理髪店を舞台に選んだことが全てでした。

    ラスト前で美都子から朴への求愛があり、そしてラスト。大泊に行く沈夫婦を見送る朴、そこに美都子は登場しません。

    帰国のことを全く考えていない朴のそぶりから美都子は落合に残ったのではないか、あるいは津田理髪店の看板に愛着を抱いていることからやはりあのとき美都子はきょうだいと一緒に帰国したのか、どちらにも解釈できるように作られていたのが絶妙でした。

    無鉄砲な美都子のことです、美都子は落合に残ったと思いました。

    半島、チョッパリの関係は、もしかしたら今頃日本人がキャロラインなどと名乗っていたかもしれないと思わせる関係だったのですね、春子のちょっとした言葉から気付かされました。

    乱視気味のせいもありますが、帰りにペーパー頂きましたが、字幕は見づらかったです。

    ペーパーに大泊からキムチを送るという台詞がありました。美都子はキムチの作り方を教えてもらっているから、いれば自分で作ります。やはり美都子はあのとき帰国していたんですね。
  • 満足度★★★★★

    人間ってほんとバカ
    立場が変わらなければ、一生気づかずにいることがたくさんあるのである。この理髪店の兄と2人の妹たちは、この時代にこの場所で、周囲に惑わされず、偏見を持たず生きているのはすごいな。普通の人だけど、とても尊敬できる。優しいだけでは、出来ることではない。と、いうわけで、場面は理髪店だけだが、その外の緊迫した空気や温度まで伝わってくるような芝居だった。私は大満足。細かいことを少しネタバレにて。

    ネタバレBOX

    字幕はちょっと薄くて見にくかったが、プリントを配ったのはよかった。私の位置からは見えなかったが、ドアの外に赤青白の理髪店の看板はあったのだろうか?あれがちょっと見えるだけでもずいぶん理髪店らしいと思う。蝉の生息域にはやはり北限があるようだ。ミンミン蝉は北海道あたりらしい。
  • 満足度★★★★★

    自分的には,アワードにしたい...
    今まで何度も観るチャンスがあった風琴工房なんですが,初めて行ってみて...ハマってしまった気がします。演出が素晴らしい,というかどういう風にしたらこんな演出になるの?キャストの意見とかを吟味しながら作って行くのでしょうか?そもそも方言やら他国語やらが入り混じっても全く問題なくスッと入ってくるのはどうして? 長く食わず嫌いでいてホントに残念です。この作品を今,改めてみると現在の時事,すなわち,色々工夫はすれどもうだつが上がらない閉塞感と微妙にマッチして...月並みですが秀作です。まだ1週間観られるようですが,行かれる方,ハンカチの準備もお忘れなく。宜しければ,津田理容室を是非ご覧になって下さい...

  • 満足度★★★★★

    日常と非日常
    ある日が来るまで当然と思っていたことが、境にして当然でなくなり、非日常、非常識にうずもれていく。その中で感情移入しようのない事実と、個々人の想いがぶつかり合い、生き様が映える。なかなかな作品ですね。

  • 満足度★★★★★

    おもさげながんす
    嗚咽を漏らしておもさげながんす。
    先に小説読んでたのに、まんまと泣いちゃったよ。
    まさか小栗康平を生で見る日がくるとは…。

    ネタバレBOX

    津留崎&石村の白菜シーンは台詞しゃべらせ過ぎじゃないかと。
    ラストは意地悪だなぁと思うよ。
  • 満足度★★★★★

    当たり前を疑う
    座席は、そびえ立つ座高の人の後ろで見るのが大変だった。開演前の劇場の演出、凄く良かったです。まさに辺境。題材への興味の高さからか、お客さんの年齢も比較的上の方が多かった気がします。
    時間はトータルだともう少し短くまとめられた方が、より凝縮されて密な作品になると思います。
    日本語は世界から見ても難しい言語で、日本人は外国語の日常会話を話せる人は多くない。鎖国や島国なのもあるかもしれないですけど、それでも日本語でどうにかなるでしょという価値観に疑問を持たねばと感じました。
    正直在日とか本当に歪んだ人もいますが、立派で素敵な方も沢山います。歴史の偏見に流されないようにすること。簡単ではないけど、可能性や願いも感じれて良かったです。

    ネタバレBOX

    字幕をサイドに入れ、時系列も出すのはいいですね。訳は若干遅くて残念ですが、言葉まったく分からないので助かります。原爆が特に絡まず速やかに進む月日、呆気なく死ぬ友達の描写、中盤まで絡んでた役の人が彼方に消えて行く。こういう見せ方も面白いなぁと思いました。
    妹さんはお上手ですが、テンション高過ぎて少し見ていて辛いところもありました。代役で出られた金成均さん、役は悟りすぎな所も見られましたが、彼の持つ静かな空気は好きです。席と長さがあったけど、感慨深く見れました。
  • 満足度★★★★

    真っ直ぐな気持ちや生き方
    太平洋戦争末期から戦後の樺太(サハリン)で暮らしている親の代から続いている理髪店を舞台にした、約8年間に渡る真摯で愛情ある舞台。

    この時代の市井の人々の日常生活を描いているだけなのに、戦争が重くのしかかり、過ぎていく。
    その当時の思想、民族、本土、樺太、日本人、男と女。
    感情に流されず、だけど冷徹になる訳でなく、真っ直ぐな気持ちや生き方がだた素直に胸を打つ。

    ネタバレBOX

    理髪店の兄妹が小樽?に引き上げる事になり、理髪店は朴が引き継ぐ。
    朴は戦争前に結婚しているが、その生活も半年位で愛情も芽生える前に日本に来た。生まれてきた国のシステム上、妹と結婚する事は出来ない。言葉では表してないが、互いに惹かれ合っているのは周囲の目からも薄々わかっていた妹と朴。
    店を出た妹が「10分だけ」と戻ってきて髪を切ってほしい、と言う。
    妹はサハリンに残る決心をし、朝鮮人の女友達から教わった朝鮮語で、鏡ごしに「サランヘヨ/愛しています」と告白するが、彼の決意は変わらず引き継いだ「津田理髪店」の看板と共に一人で生きる事に。
    朴の愛しい人の事を思いながら漂う静かな幕切れが印象的。
    ラブストーリーと言ってしまえば簡単だが、この手の作品は見る方の人生観も反映しているような気がする。

  • 満足度★★★

    戦争と人
    役の交代は残念でした。

    ネタバレBOX

    終戦前後の樺太(サハリン)にある津田理髪店が舞台。樺太で生まれ育った兄弟、理髪師の徳雄(伊原農)、お節介焼きの長女・美都子(津留崎夏子)、交換の仕事が決まった活発な次女・春子(浅野千鶴)の店。学校の先生で化学が専門の島崎(ワダタワー)や朝鮮人へ厳しく当たる警官・平原(岡本篤)が出入りしている。朴(金成均)や売春婦に身をやつす仙女(石村みか)、仙女を探しに来た沈(金丸慎太郎)、春子の友人・一香(香西佳那)ら朝鮮人たちとの間で生まれる人間模様。

    時代や価値観、状況を理解しきれなくて、正直戸惑った。ちょっと想像つかないというか。
    舞台も、あくまで理髪店の中を描き、外の状況は伝聞に限って(それも噂だったり)いて、「戦争」という物事より「人」に重点を置いてるような気がした。いかにもな、直接的で悲惨な状況をみせると「それ」だけになってしまう可能性があるし。それはそれで良かった。
    ただ、感情移入とか、共感とかそんな芝居じゃない気がする。

    美都子と朴の愛情や沈と仙女の愛情、日本人と朝鮮人との憎しみ。戦争という器の中で静かに、たまに激しく放たれる気持ちが見所か。沈の「憎しみの連鎖を絶つ」ってセリフがグっときた。

    津留崎のひたむきというか、純朴というか、そんな眼差しは好き。金成均の落ち着いた存在感は良かった。浅野千鶴はハマってた。石村みかの韓国語の発音が良い。

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