満足度★★★★★
本公演初見です。
「視点」での短編に続き、2回目の鵺的でした。短編では心臓の中まで這いずり回られる感触に驚きを覚えたものでしたが。今回も徐々に心臓が蝕まれ、カーテンコールの頃には吐きそうになるほど息苦しい空気感に支配されてしまいました。
描かれるのは、不幸な事件をきっかけに離れ離れになった兄妹達の徐々に紐解かれる感情。人は誰でも多かれ少なかれ家庭に痛みを抱えてる筈で、その痛みを伴わずに観られる人はいないはず。
だったら自分はどうするか、どのように答えを出すだろうかと考えながら、目前の役者さん達の真摯な表情にも目を奪われて。7人の役者さんが個々の役柄をすっかり自分のものとしていて、あの集中力でよく精神的にヤられないなと驚嘆しました。
ちなみに、これから観る人には最前列はやめた方がいいよ、と言います。よほどの覚悟がないと厳しいです。私は耐えられません。このリアルさは直視出来ません。
満足度★★★★
事実を背景にした重さ
家庭環境が複雑な「家族」は多いだろうが、そこでメンバーの各々が抱え込む問題とそれへの対処を問う作品である。与えられた条件は、理不尽であるが、各々は、それにどう対処するかでそれぞれの価値を測られる。待ったは無い。だが、その選択が夫婦・親子の間で絶えず更新されていることを意識せざるを得なくなるとしたら、人はその時、何を根拠に、どのように問題に対処するのか。そんな問いを突きつける作品であったが、事実が背景にあるという。この作品を見た者たちも、己の条件下でそれぞれ考えねばなるまい。救いは、この劇の作者がやったように、問題を内在化して悩み、悩みの底を抜き出て、対象化し把握すること。そして、それが唯一の対抗策であろうことが、少なくとも観劇後には、分かっていることだろう。
満足度★★★★★
会話劇
やはり前列がお勧め。キャストは座ったままでの会話劇なので前の方の座高が著しく高かったりすると観にくい。
この物語が事実なら、脚本家は自身の身を削りながら書いたのだと思う。つくづく作家という家業はプライバシーがないらしい。性格やものの考え方など両親からの血の継承なのだが、どれもが歪んだ果実であった。