荒野1/7【全日程終了・ご来場いただきました皆様ありがとうございました!】 公演情報 荒野1/7【全日程終了・ご来場いただきました皆様ありがとうございました!】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★★

    本公演初見です。
    「視点」での短編に続き、2回目の鵺的でした。短編では心臓の中まで這いずり回られる感触に驚きを覚えたものでしたが。今回も徐々に心臓が蝕まれ、カーテンコールの頃には吐きそうになるほど息苦しい空気感に支配されてしまいました。

    描かれるのは、不幸な事件をきっかけに離れ離れになった兄妹達の徐々に紐解かれる感情。人は誰でも多かれ少なかれ家庭に痛みを抱えてる筈で、その痛みを伴わずに観られる人はいないはず。

    だったら自分はどうするか、どのように答えを出すだろうかと考えながら、目前の役者さん達の真摯な表情にも目を奪われて。7人の役者さんが個々の役柄をすっかり自分のものとしていて、あの集中力でよく精神的にヤられないなと驚嘆しました。

    ちなみに、これから観る人には最前列はやめた方がいいよ、と言います。よほどの覚悟がないと厳しいです。私は耐えられません。このリアルさは直視出来ません。

    ネタバレBOX

    演技派揃いの役者さん達の確りした芝居を踏まえて、その全てを凌駕してゆくハマカワさん。登場した頃から彷徨う視線の意味を捉えたくてその儚い姿に釘付けになってしまいましたが、トラウマと絶望を語りだす様に戦慄。静かながら凄まじかったです。

    個人的にはハマカワさん復活祭のような気分でもあったけれど。1年ぶりの彼女は、ブランクを感じるどころか、何かを乗り越えた強さを奥底の方に感じて益々凄みを帯びていました。何かを覚悟して舞台を降りた人間が、それを超える何かを覚悟して戻ってくるにはそれなりの資格が必要なんだと実感。

    その資格とは。ズバリ、才能なんじゃないかな、と。
    ハマカワさんは間違いなくこの世界に必要な女優さん。心底憧れます。お帰りなさい(^o^)/
  • 満足度★★★★

    事実を背景にした重さ
     家庭環境が複雑な「家族」は多いだろうが、そこでメンバーの各々が抱え込む問題とそれへの対処を問う作品である。与えられた条件は、理不尽であるが、各々は、それにどう対処するかでそれぞれの価値を測られる。待ったは無い。だが、その選択が夫婦・親子の間で絶えず更新されていることを意識せざるを得なくなるとしたら、人はその時、何を根拠に、どのように問題に対処するのか。そんな問いを突きつける作品であったが、事実が背景にあるという。この作品を見た者たちも、己の条件下でそれぞれ考えねばなるまい。救いは、この劇の作者がやったように、問題を内在化して悩み、悩みの底を抜き出て、対象化し把握すること。そして、それが唯一の対抗策であろうことが、少なくとも観劇後には、分かっていることだろう。

  • 満足度★★★★★

    1/7
    灰色で鮮烈な家族もの。痛い。

    ネタバレBOX

    酒乱の父が母を撲殺し、7人の兄弟は別々の家庭へ養子に出される。それから20数年後、長男・真司(成川知也)が話したいことがあると、6人を呼び集める。刑務所に入った後も父と会っていたという真司は、刑期を終えた父が病気で意識もない状態になったことを告げ、延命するかどうかを皆で決めたいという…。

    父が母を撲殺するというショッキングな冒頭から一転、母が虐待を行っていたこと、次男・康輔(平山寛人)らがその記憶から目を背けようとしていることを真司は指摘し、舞台が揺れだす。
    年長者(一番記憶が定かであるはず)で父とも一番接している真司の言葉に動揺するも受け入れることに抵抗のある(目を背ける)、康輔や理佐(古市海見子)や三男・和紀(山ノ井史)。幼くて記憶があまりない末妹・みずき(森南波)も、自分は野島の人間だと言い切る。次女・永遠子(ハマカワフミエ)は、母の子でないことを知り、養父母からは人殺しの子と蔑まれている。

    結局、真司と永遠子以外は、延命に反対して、疲れきった様子で部屋を出て行く(四男・孝弘(小西耕一)はあっけらかんとしてたけど)。一人父を支えるとする真司は、「家族」を否定する。その真司に妊娠していることを告げる永遠子は、「望まない妊娠」(養父の性的虐待?)への憎悪を抱えつつ「家族」を肯定しようとする狭間で悩み続ける。

    「家族」によって深い傷を負わされた人間(子供)が、それでも「家族」を否定できずに、結果逃げるしかできない弱さを、客席と対面で吐露する会話劇。闇の中をあてなく歩きさ迷う子供たちが、とても痛い。
    ラストの永遠子の告白シーンは、足元が熱くなった。血の気がひいたのかもしれないけど。
  • 満足度★★★★★

    会話劇
    やはり前列がお勧め。キャストは座ったままでの会話劇なので前の方の座高が著しく高かったりすると観にくい。

    この物語が事実なら、脚本家は自身の身を削りながら書いたのだと思う。つくづく作家という家業はプライバシーがないらしい。性格やものの考え方など両親からの血の継承なのだが、どれもが歪んだ果実であった。

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