令和5年の廃刀令 公演情報 令和5年の廃刀令」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-19件 / 19件中
  • 映像鑑賞

    満足度★★★★★

    大好きなパターンの密室劇。
    役者さんらの個性溢れる演技と迫力、配信映像でも十分に感じられて大満足でした。
    「そもそも令和に廃刀令が議論されたら」という設定でもう見たくて仕方がなかったものでした。
    ほんと冨坂さん、すんごい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ウェルメイドなシチュエーションコメディ。

    ネタバレBOX

    もし現代まで帯刀が認められていたら、という世界を舞台にした討論劇。現代に相次ぐ刀剣による殺傷事件を受けて廃刀令の是非を議論するタウンミーティングに観客は参加しているといった構図。
    まず真っ先に意識するのはアメリカの銃規制の問題であろう。銃乱射事件が頻発してもアメリカが銃規制に踏み切れずにいるのに対して、それを日本における刀に置き換えるのはそれぞれのナショナル・アイデンティティを上手く置き換えているように感じた。
    しかしそれ以上に、コメディとして面白い。廃刀令の推進派、反対派に分かれた有識者が壇上で討論している様子は「朝まで生テレビ!」よろしく、議論の深まり以上にある種のエンターテイメント性を内包している。登場人物たちの造詣も豊かで、全日本刀剣協会の支部長や(さながら全米ライフル協会のような)、いかにもメディアに“美人”政治家と揶揄されそうな女性活動家、斜に構えた歴史小説家など、登場人物それぞれに見せ場があり、魅力があった。もう一点、評価すべきは会場を劇場ではなく区民センターなどの公共施設にしたことであろう。タウンミーティングといった設定を生かす上で、演出と制作体制が一体となった会場選定は観客にとっても効果的で成功していたように思う。応募時に団体が書いていた「ポータブルで持続可能な演目づくり」という点も、各地の行政施設で上演可能な作品と考えれば狙い通りであろう。
    概ね面白いエンターテイメント作品として楽しんだが、審査会で別の審査員からは歴史的解釈やリアリズムとしての問題点について指摘があった。「国民皆が帯刀している」という点や、それが何故現代まで許容されているのかといった視点を持つと疑問に感じる観客もいるのだと認識した。シチュエーションコメディの設定にどこまで細部を求めるかは考え方次第の部分もあるかと思うが、指摘には肯く部分もあったので記載しおく。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    テーマ設定、問題提起の手法、劇場(会場)設定および運営、劇作術等において総合的にエンタメとして高く評価できる作品である。

    ネタバレBOX

    討論劇は演劇史上最も古い形式の一つと言え、したがってその内容と展開には目新しさが要求される。本作は「令和の時代に帯刀があったら」というIF設定がユーモラスであり、同時にそれが現代社会を鋭く反映、批評するものであったという点において、発想力と洞察力の高さが伺える。

    制作・運営の手捌きは流石と唸るものがあった。世界観を崩さないよう設定に忠実であったスタッフの存在感、滞りなく投票システムが稼働するように動いていたのも見事だった。この投票システムはやはりエンタメとして面白かったし、演劇作品および政治活動への「参加」の重要性・責任を感じさせるものとなっていたが、それによって変化を付けた結末に大きく差がないのがやや気になった(もちろん劇作上やむを得ないことではあるのでないものねだりに近いとは自覚しているが)。

    また、登壇者とそれを演じる俳優のバリエーションも楽しかった。恐らく実際にこのような場になったら呼ばれるだろうと思われるような人物(例えば元議員・上林美貴や「るろうに先生」と名乗る元刀剣傷害事件の加害者・吉光裕之など)から、恐らく行政はこのような人物を呼ばないのではと思われる人物(鎖鎌を推奨するYouTuber・高橋俊輔など)まで幅広い。彼らの主張は当然予想されるものから、鋭いもの、さらには突拍子もないものまで多様であり、それらが並置されているという意味で昨今のSNSやメディア上での議論を連想させた。俳優たちの演技は、その立場の「代表」という意味でも「再現」という意味でもrepresentationとして優れており、ややステレオタイプ的ではあるものの好感を持てる人物が多かった。

    他方で、社会問題を取り上げるものとしてはより掘り下げるべきだった点がいくつかあったのはもったいなかった。例えば、必然的に観客の多くはアメリカにおける銃の所持についての議論を連想すると推測されるが、そこで展開されているような議論(例えば犯罪率の高さや自衛の権利、企業と行政の癒着、自由についての議論など)はあまり出ていない。
    もちろん、社会問題に対する議論への鋭い指摘も散見される。例えば、司会であるはずの宮入智子が自らの立場を捨て、当事者として被害を訴えた際に、小説家・広木由一が「当事者の言葉が非当事者よりも優位にあるわけではない」という指摘は、昨今白熱しがちなメディアでの議論に必要な冷や水であろう。ただ、エンタメ性に全体が従事しているために、もう少し踏み込むべきだった点もあっただろうと思われる。

    総括すると、ユーモアとシリアスが織り込まれた優れたエンタメ作品であり高い満足度を得ることができたと言える。社会派エンタメとしては、より現実社会を反映させるスリリングさが求められるだろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    観劇後に残した自分用のメモには「横綱相撲」の四文字が。それほど磐石な上演だと思います。団体が得意とし、かつ多くの上演経験を有する「会議劇・討論劇」の新作であり、演出家、俳優共々、その経験値を大いに活かしています。安心して観劇できるシチュエーションコメディとして、観客を選ばない一作だと感じました。選んだモチーフも多くの社会問題に置き換えられるため、深掘りをして楽しむことも、エンタメとして割り切って楽しむことも、どちらも可能だと思います。一人ではなく誰かを誘って観に行きたくなる。そう思わせてくれる団体であり、作品と言えるでしょう。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    どれだけ厳しめに見ようとしても、不足や過分を探ろうとしても、本にも演出にも俳優の演技にも余すことのない工夫が凝らされていて、絶妙なバランスが保たれていて、ただただ面白く、素晴らしい演劇として受け止める他なかった。エンタメでありながら社会劇でもあったこの演劇には、そう思わざるを得ない完成度の高さがありました。

    ネタバレBOX

    その最も大きな理由は客席の熱気、つまり群衆=観客を演劇の内側へと巻き込む力ではないかと思います。目の前の劇へのリアクションとして観客の笑いや唸りなどの反応が前のめりに起こること。そして、それを受けて劇がより一層にうねりを上げていくこと。このある種の共犯関係はそう簡単には築けるものではないと痛感しますが、終始その相互接続が崩れることなく、客席と舞台におけるコミュニケーションが類を見ない形で成立していたように感じます。
    「廃刀令」という架空の法令を巡って、あらゆるセクションのパネラーが議論を交わし、それを聞いた観客が実際に「投票」という形で参加する、その投票結果によって結末が変わる、という劇構造もまたユニークであり、それを最も自然な形で行える場所として公共施設を劇場に選んでいたことにも「果たしてこの演劇はどう手渡されるべきか」というパッケージの追求を感じました。上演の間、私は単なるオーディエンスではなく、この劇における区民Aといった一人の役として存在していたような気がします。

    さらに魅力を感じたのは俳優陣の表現力の高さです。9名の俳優からはいかにも「どこかにいそう」なリアリティと議会というかしこまった場でこそ点滅する人間の可笑しみや情けなさが滲んでいました。当日パンフレットには舞台上での役の立ち位置と俳優の名前が併せて明記されており、「いいな」と思った俳優の名前がすぐに分かるようになっていたこともとてもいいと思いました。これは観客にとっては勿論ですが、興行元が出演を担う俳優に対して示す一つの敬意でもあるとも感じます。

    進行を務める司会の他、刀剣教会の支部長、日本史を研究する歴史小説家、インフルエンサーとしても活動する刀職人、刀による傷害事件の加害者、フェミニズム観点から護身としての刀剣所持を専門に研究するジャーナリスト、武器ではなくガジェットとしての機能を刀に見出そうとするものづくり系ベンチャー企業の経営者、古武術系YouTuber、元区議会議員の社会運動系NPOの理事など様々な識者がパネラーとして集い、あらゆる切り口から廃刀令に賛成すべきか、反対すべきかを語る本作。架空の「廃刀令」や、一般市民の帯刀を普通とする設定そのものには現実味を持てずとも、ディベートの様子にはまさに今あらゆる公共が声高に叫んでいる「ダイバーシティ」そのものの手触りがあり、舞台上の景色が自ずと今の世相にスライドすることで、頷いたり、首を傾げたりすることができるまでのリアリティが担保されていたように思います。

    アガリスクエンターテイメントが目指すのは、「ポータブルで持続可能な演目づくり」。究極、机と椅子と俳優さえいれば上演ができる本作の開発は、“いつでも、どこでも上演できる新しいレパートリー作品”として大成功を収めたのではないでしょうか。今後も日本中の公共施設に持ち運び、繰り返し上演されてほしいと思います。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2023/05/01 (月)

    観客が物語の鍵を握る討論劇

     2年前に小学校で発生した日本刀による無差別殺傷事件を受け、某区でタウンミーティング(政治家などが一般市民に対して行う対話型の集会)が催される。歴史上初めて出される廃刀令の是非をめぐり、8人の有識者が1時間に渡り激論を交わしていく。

    ネタバレBOX

     司会の宮入智子(前田友里子)からの紹介を待たずして議論の口火を切った社会運動家で元政治家の上林美貴(榎並夕起)は、総人口よりも刀の本数が多い現状を憂い、廃刀令を実現することで安全で安心な世の中を実現するべきと正論を述べる。それに対し全日本刀剣協会で地区支部長を務める隅谷剣慈(矢吹ジャンプ)は、和服に二本差しの姿で「刀は日本人の心」と豪語し、教師全員が帯刀していれば抑止力となり無差別殺傷事件を止めることができたのではと持論を展開し真っ向から対立する。同じく反対派でもジャーナリストの月山亮子(鹿島ゆきこ)は、女性が帯刀することでセクシャルハラスメントの被害を抑止できるという持論を展開。元ヤンキーで傷害事件を起こしたが、今では心を入れ替え刀は抑止力にならないと述べる吉光裕之(斉藤コータ)とは噛み合わない。自分は帯刀しないものの帯刀しないことを中央政府に強要されることは厭うという立場を取る歴史小説家の広木由一(淺越岳人)を除き、刀職人でインスタグラムを通じて美術品としての刀剣の魅力を発信する八鍬舞(江益凛)、刀ではなく鎖鎌の普及を推進するユーチューバーの高橋俊輔(古谷蓮)など、それぞれの立場から好き勝手賛否両論とツッコミを交わし続け、議論は度々横道に逸れる。

     挙げ句ものづくり系ベンチャーの若手社長・瀬戸英典(伊藤圭太)が日本刀に交通系ICカードの機能やモバイルバッテリを搭載した「スマ刀」をプレゼンテーションすると、有識者たちは「スマ刀は日本刀か否か」で議論が割れて収集がつかない。各論者の思惑が交錯し立ち位置が揺れるなか、果たして客席の市民は賛否どちらに票を入れることになるのか――ことの顛末を見守った我々観客はあらかじめ渡された投票用紙の「賛成」「反対」のどちらかを丸で囲み投票箱に入れ、その結果によって二通りの結末が描かれることになる。

     私が面白いと感じたのは実際に杉並区と墨田区、そして私が鑑賞した豊島区の行政施設で上演を実施し、スタッフ全員がフォーマルスーツを装着して現実に行政が実施している行事らしさを演出した点である。結末が観客の投票によって分かれ、会場によっては集計結果を壁に貼り出して掲示したという趣向は感興をそそるし、当事者意識をもって鑑賞した観客も少なくないだろう。こうした独自性を徹底させた制作サイドの手腕は一目に値する。

     さまざまな立場の登場人物による討論劇として一定の説得力を持っていることは先述した通りだが、ところどころに入れ込まれたギャグや小ネタも面白い。傷害事件を起こしたものの更生した吉光が「るろうに先生」としてメディアで有名になったという設定や、公共の場で刀を抜いた写真が拡散したため八鍬がネットで炎上するといった顛末などが特に印象に残っている。俳優たちはやや過剰なまでの力演であったが、それぞれに見せ場があって客席から見てとてもイキイキしていて飽きさせなかった。特に各論者の主張を拾っては自分のそれへと強引に展開させるしたたかな上林を演じた榎並夕起、切れ者でシニカルだが稀に温情を見せる広木を演じた淺越岳人の芝居が印象に残っている。

     私が疑問に感じたのは本作が前提としている日本の歴史変遷と現実に起きている事件との乖離である。月山は、明治維新を経て階級がなくなり、まずは男子から身分を問わず帯刀できるようになり、終戦後に女性の帯刀が許されるようになったと歴史的経緯を説明していた。また隅谷の発言に鑑みると、成人すると親が子どもに刀を贈る習慣があるようだ。実際の歴史では明治期に廃刀令が出たわけだが、徴兵令に伴い武士の帯刀が必要なくなったという背景がある。それでは本作において日本はどの程度の軍事力を有しているのか、帯刀はよしとされるものの抜刀は許されない理由は何故か、海外からはどのような目で見られているのか……以上のような疑問に対する解答が明示されないまま物語が進行していくため、設定そのものに無理があると感じた。例えば日本が現代でも鎖国していて近代化が著しく遅れている全体主義的な国家で、ナショナル・アイデンティティとして帯刀が義務化されているという次第であるならばある程度納得がいくが、舞台上の登場人物はどこにでもいる現代人であり、情報技術へのアクセスも不自由しておらず、思想信条の自由も許されている。コメディとして秀逸なだけに、鑑賞するなかで度々思い浮かんだ設定の齟齬がなおざりのままであることが気になった。

     また現実世界で頻発している銃による無差別殺傷事件にも注意を払う必要があったのではないだろうか。例えばアメリカでは、合衆国憲法修正第二条に基づき武装することが国民の権利であり、建国の精神に繋がるという考え方が根強い。また全米ライフル協会と共和党が強く結びついている事実もある。銃規制が進まず現在でも銃乱射事件が頻発する背景から、本作で語られた以上に根深い断絶を見る思いがする。ノルウェーのウトヤ島で起きた銃乱射事件の犯人が移民に敵意を抱いていたことや、セルビアの銃所持率の高さがユーゴスラビア紛争に起因するなど、市民の武装には根深い背景があることは疑い得ない。コミカルなやりとりが続いたあとの終盤、司会の宮入が立場を無視して迫真の訴えかけをして会場は水を打ったように静まりかえるのだが、この主張が私には深く響いてはこなかったのは残念である。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     面白かったので5回も観に行きました(笑)。
     廃刀令の是非をめぐる討論劇です。帯刀が許されているという架空の現代の話なのでSF要素もあり。笑えたけど、考えさせられました。
     3月下旬の杉並会場から始まり、5月上旬のとしま会場に至るまでの公演の間にも、アメリカでの銃乱射事件の報道をたびたび目にしたし、銃規制デモや、銃規制をめぐって議員の更迭など議会の混乱のニュースも目にしました。そのたびに当劇が思い出された。
     実際に議論が終了した後に観客が投票を行い賛否を決める。自分が観劇した回で2回も1票差という結果に出くわしたので、1票の重みにも気づかされました。
     それぞれ守りたいものは違うんだよなあ。どの意見にもうなずけるから難しい。討論内容は永遠のテーマです。まじめで笑える劇を見たければ、再演時に、ぜひ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    すばらしかった。帯刀が日常化した架空の世界での法改正にまつわる物語。アガリスクが得意とする論理戦が秀逸。9人のキャストによる息をもつかせぬ攻防に、2時間があっという間だった。観客の投票(反対/賛成)でラストの展開が変わるのも斬新。個人的には、奈良から見に来て本当に良かった。 以降、ネタバレboxに続く。

    ネタバレBOX

    当方が観た公演では「賛成」という結果だった。単に水掛け論になるのではなく、キャストどうし、それぞれの価値観や意見を真摯に受け止め、尊重しあって話が展開していくのがすてきだった。帯刀が一般的に確立した世界の側からしてみれば、判断を下す我々観客は異世界の住人であり、刀に関する価値観も秩序も皆無に等しく、賛成派が多数を占めることは容易に予想できる。それを覆すことができるとしたら、、、より深く、作品世界に入り込めたことの現れだと思う。別のラストも配信、メディアで是非観てみたい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    曲者たちの屁理屈の応酬からシリアスなテーマが時に鋭く浮き彫りになる。
    アガリスクの魅力が光る社会派会議コメディ。
    タウンミーティングという設定で観客の投票の結果により二通りのエピローグに別れる参加型の臨場感。
    三会場で観劇。
    特に地元の墨田区は現実の選挙当日と重なり稀有な体験でした。
    細部(各キャストの細かい演技!)を噛み締めながら観返し、何度も面白い。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    理屈と感情がせめぎあう濃密なタウンミーティングでした。アガリスクさんらしく、登場人物がいかにもいそうでキャラ立ちしており、観客も参加しているような臨場感があります。私が観劇した回は、賛成バージョンでしたが、反対バージョンも観てみたいですね。

    ネタバレBOX

    個人的には、エピローグがとても良かったです。投票結果後の各キャラの違った一面も垣間見れ、特に上林さんと隅谷さんが印象的でした。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    賛成バージョン観劇、傑作でした。
    会議室や体育館でできるのもいいですね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/05/02 (火) 17:00

    恐らく、普段は本当に区民の会議に利用されてると思しき部屋での上演。会議ものが得意なだけあって、安定の面白さ。座・高円寺より少し長めで、新たに加わったパートあり。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    タウンミーティング設定で、区民ホールでの上演。実際に観客も物語上の投票に参加し、舞台の結末の決定に参加できる。臨場感たっぷりでライブ参加できる。お芝居としてこんなに楽しいことは無いのではないか?
    アガリスクらしいメタファーが散りばめられていて最高に楽しめました。

    実物の刀使いに関する宮本武蔵の『五輪書』などに言及する場面があると、もう一歩踏み込んで日本人のアイデンティティについて問いかけられたりするのかなーなどとも思いつつ、
    軽さと重さの交錯する自由で深い流石の脚本と演者の皆様のキャラ立ち具合にあっぱれ!でございました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    令和5年の廃刀令 終演お疲れさまでした。素晴らしいタウンミーティングを企画して下さったことに感謝します。自分は全5回反対票を投じ続けてきた。もっとも刀の所持にも反対。綺麗事だとは思うけど「イマジン、皆が自主的に手放せばいい」という広木の主張に賛成。勝てばそうだよなと感じ、負けると悔しいと感じてきたけど、昨夜は初めて負けを清々しく感じられた。やっぱり賛成多数のエピローグの方が深いなぁ〜との思いに至った。

    廃刀令への賛否を考える際に、拳銃や、抑止力としての核や原発は当然想起させられていたけど、賛成多数のエピローグにおける隅谷の苦悩を改めて見て、これは国旗国歌法制定のメタファーにもなっているんだと今さら気づく。公務員という理由で宮入が刀剣を携帯させられている件が、学校における日の丸問題を暗示してることは明白だったのに。苦悩する隅谷は、日の丸が否定された架空の世界線で、それまで日の丸を胸に闘ってきたオリンピック選手に見える。だとすると株式会社Rivetさんには、スイッチや時間経過で見えるデザインが変わるスマート国旗を提案してもらいたい。広木には日の丸にもお上による新たな国旗の制定にも反対という屁理屈を展開してもらいたい。などなど楽しく妄想。

    杉並バージョンで月山のキャラクターに感じたわずかな違和感が墨田バージョン以降では解消された。そのわけを台本で検証。投票の可否を巡る議論で「公平さ担保した上でやり直すべき」という月山の台詞が、中立な瀬戸の台詞に変わっている。わずかな差だけど、月山の「投票を行うべきではない」という態度が強化された。自分はそこに好感を抱いたんだろうな。

    八鍬の「バッテリーが切れました!」の台詞。スマ刀のモバイルバッテリーの出番じゃん?と思ってしまうのに、それが提案されるまでの展開にちょっとテンポの悪さを感じていた。豊島区バージョンではそれが見事に解消。台詞の応酬がはさまり、即提案されないのが不自然でなくなった。このバージョンの台本をアップして欲しい。

    アガリスク作品をたくさん観てきたけど、今作はナイゲンを超える新たな代表作と言っていいんじゃないかな。それぐらいネタが知れていても何度も楽しめる作品だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/05/02 (火) 13:00

    杉並に続いての豊島タウンミーティングでした
    完全版の賛成多数エピローグでも全然登場人物の印象が変わったりするのでやはりもう少し上演期間が長ければなぁ、と
    とは言え自分でコントロール出来る訳でも無いんですが
    アーカイブ配信で賛成バージョンと反対バージョンどちらも観られるようですがやはり現地の空気感って大事ですからね

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    アガリスクらしさが満喫できる一作。文句があるとすればもう少し長くて変化があればなあということくらい。まあでも建前はタウンミーティングなのだからこんなものか。

    私が参加した回の投票は廃刀令賛成が6割、反対が4割くらいだった。アメリカの銃社会の置き換えなので日本人が真面目に考えればほとんどが賛成だろう。しかし、それでは投票後の舞台がつまらなくなるので敢えて反対をした人(あるいはただのひねくれ者)が4割いたということだと思う。私ももちろん条例案には賛成だが投票は反対に入れた。

    やさぐれた江益凛ちゃんが最高だった。

    ネタバレBOX

    作家って便利だなと思ったのは登場人物に毒を吐かせることができることだ。「(被害者の)関係者の意見を重視するのは間違いだ」とか「規制のために特定の産業が無くなっても仕方がない」とか言わせる。私なんかは聞いただけでドキドキするのだが、ナチスもお笑いにしてしまうこの作者にとっては塩を一振り二振りする程度のことなのだろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    会場を立体的に使った卒業式や、お客さんで周りを囲んだ会議など、常に臨場感満載の舞台を見せてくれるアガリスクエンターテイメントさんの新作。今回は観客に投票させるお客さん参加型のタウンミーティング。実際に参加している(てい)なので、当然時間の流れも客席と同じ、ワンシチュエーションコメディであることすら意識しない空気感のなか、アガリスク独特の屁理屈が飛び回る。恐らくあてがきで書かれたあろう各役者さんの個性をそのまま固めたようなキャラは曲者だらけ。生き様を感じさせるセリフがボソっと出ると、人間の厚みが見えて全体に深みが増す。
    刀の携帯を規制する条例を話し合うという、ifの設定だが、最後の投票で本気で悩んでしまうほど違和感のない内容になっていた。なんならエピローグのその先の世界まで覗きたくなる、そんな作品でした。

    ネタバレBOX

    実は主演だった前田さんの演技がとにかく素晴らしかった。観た方なら分かると思うが、最初、榎並さんが過去の事件に触れた発言をしたあたりからの視線の泳ぎ、途中何度も思い出して苦しんでいる表現が生々しく、ラスト、昂って標準語から徐々に関西弁になっていくところは、観ているこちらも涙が止まらなくなるほど感情を揺さぶられた。
    演者さんは大変だと思いますが、投票結果によって内容が変わるエピローグも斬新でしたね。
    結局賛成バージョンしか観れなかったんですが、あの、ちょっと物悲しい、お祭りの後のように切ないエピローグのやり取りにアガリスクを感じました。
    観れなかった反対バージョンは配信があるようなので、そちらで拝見します。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/05/01 (月) 19:00

    90分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    3月の杉並区、4月の墨田区に続く、豊島区でのタウンミーティングという設定。終盤には観客による賛成/反対の投票が行われ、その結果次第でエンディングも異なるそう。とても面白かったのだが、もう一つの結果も観たいというか、両方体験することで、また見えてくるものもあるような。

この公演に関するtwitter

初日1週間前から「団体名」と「公演タイトル」を含むツイートを自動表示します。
(ツイート取得対象にするテキストは公演情報編集ページで設定できます。)

  1. の翌週は ✨ 誰が出演するとはまだ言いませんが、MELTの名作コント【シェルター】やります。 <日時> 5月27日(土) 13:00/18:00 5月28日(日) 13:00/18… https://t.co/SUdFQ9a9P3 #トマソン晩春 #新宿コントレックスFINAL

    1年以上前

  2. 5月1日としま区民センター小ホール「令和5年の廃刀令 豊島会場」 - 香港フリーク・引退内部監査人の日々 https://t.co/vY37XJYZhV

    1年以上前

  3. まとめての紹介で恐縮ですが、どれも玉稿でした。 脚本提供: 高村颯志(家のカギ) @insideheadman 冨坂友(アガリスクエンターテイメント) @yu_tomisaka 中嶋康太(Mrs.fictions)… https://t.co/ULArMNZcjF

    1年以上前

  4. 【観劇三昧下北沢店・物販出張所】 ”アガリスクエンターテイメント”グッズ取り扱い中!@Agarisk_Info https://t.co/6w42YcEVSK 屁理屈ワンシチュエーションコメディ!過去作品のDVD・台本・Tシャツ取… https://t.co/oAhxPpdSvM

    1年以上前

  5. @moiimo おいもさん、正解!年女ということです! 跳ねる年にしたいですね!😳 5/25〜「令和5年の廃刀令」のアーカイブ配信があるので、是非観て感想を呟いて下さい!w(ガッツリ宣伝)

    1年以上前

  6. 榎並さんに限らず、今回に限らず、アガリスク劇団員の働き者っぷりはちょっとすごいので、たまに「この人達、会社でこのくらい働いたらどのくらい給料もらえるんだろう…」とか思ってしまうことがある。

    1年以上前

  7. GW2023 01 明日から仕事なので今年のGW振り返り 2日は半休を取って久しぶりの観劇 開場まで時間があったので池袋を撮り歩きました 令和5年の廃刀令、ホントにとても面白い作品でした 配信あるようなので会議劇好きな方はぜひ… https://t.co/AIigwDhfo8

    1年以上前

  8. 迷宮の名物!アガリスクのスープ等々! https://t.co/pW7PwgQ2Dc

    1年以上前

  9. 数日前ですが、アガリスクエンターテイメントさんの公演、見に行きました。 最後にある投票のおかげで、ただ観るだけの演劇から、当事者意識が生まれて、リアリティがヤバかったです。それはもちろん脚本も、演技も良かって、笑いもあって、とにか… https://t.co/cqiCbzlnfg

    1年以上前

  10. @ope_taki たきちゃんありがとーう!☺️ もしよかったら5/25〜令和5年の廃刀令のアーカイブ配信があるので是非観てちょ〜😳

    1年以上前

  11. @s06089yuriyuri すいません、予測変換で打ってしまいました… アガリスクさんですね!辞書登録しておきます! 話の流れとしては本編で話せていなかったトピックとして今回の舞台の話になりました! うろ覚えですが…タイトルの話とかをされていました!

    1年以上前

  12. @chan88893 @Sam_rider_ 番長さま、初めまして…! アガリスクエンターテイメント劇団員の前田と申します。 昨晩の佐久間さんのアフタートークの内容が気になっていたらMar Chan様からご紹介を受けました!w

    1年以上前

  13. @s06089yuriyuri おめでとうございます🎉 あ、昨日佐久間さんがANN0のアフタートークでオススメのエンタメとしてアガリスクのお話されてましたよ! 令和5年の廃刀令を観に行った話をされていて、賛成の回だったので反対の回も見たいと話されてました☺️✨

    1年以上前

  14. アガリスクの公演の熱も冷めやらぬまま、上野でミュージカルの制作に入っております。 ストアハウスで本格ミュージカル、最高です。冷めぬ心の熱がさらにヒートアップしてきました。 本日初日、当日券アリ! 飛び込み歓迎!ご来場お待ちしてお… https://t.co/svjaiOnSze

    1年以上前

  15. 月山さんのQRコード、アガリスクのWebサイトの鹿島さんのページになってる🤣 素敵かよ! https://t.co/jX6IaEjmwm

    1年以上前

  16. 36年前の5/4の0:18分に誕生しました、前田家待望の第一子の友里子です🫡 アラフォー友里子も宜しくお願いします🙇‍♀️✨ 令和5年の廃刀令のアーカイブ配信、新宿コントレックスファイナル、SHINE SHOW!の出演以外は今のと… https://t.co/R7fNBOTdTa

    1年以上前

  17. 🟢チーム緑🟢 小太刀賢(@kantoku87) 細田こはる(@koharu19n) アンディ本山(@fuuraisandy) 石井舞(@mai_141) 榎並夕起(アガリスクエンターテイメント)(@yuki_enami1216) 水野以津美(@mizunoitsumi)

    1年以上前

  18. 🟢チーム緑🟢 小太刀賢(@kantoku87) 細田こはる(@koharu19n) アンディ本山(@fuuraisandy) 石井舞(@mai_141) 榎並夕起(アガリスクエンターテイメント)(@yuki_enami1216) 水野以津美(@mizunoitsumi)

    1年以上前

  19. 16.インプレッション「ART」 17. 「エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-」 配信: 18.鵺的「デラシネ」※ 19.アガリスクエンターテイメント「令和5年の廃刀令」 20. 『LILI… https://t.co/fc39fraEbA

    1年以上前

  20. 公演が終わった舞台でも配信で観れるものを紹介してくれるのはありがたい。 賛成と反対とどっちのバージョンを見ようかな。 アガリスクエンターテイメント 「令和5年の廃刀令」 https://t.co/Jfcur9Y04M #佐久間宣行ANN0

    1年以上前

  21. ANN0のアフタートークでもアガリスクの話してた佐久間さん

    1年以上前

  22. 「令和5年の廃刀令」面白そう配信見よう。 #佐久間宣行ANN0

    1年以上前

  23. 「令和5年の廃刀令」メモしとこ #佐久間宣行ANN0

    1年以上前

  24.  アフタートーク アダリスク ちっちゃい劇団の 令和5年の廃刀令 刀もってるのOKな時代の世界線 タウンミーティングで廃刀令について話す設定 豊島区の集会所でやり客が投票するので面白い (参加型の劇は 42票… https://t.co/QupOZNyNrn #佐久間宣行ann0

    1年以上前

  25. @null アガリスク名前は聞いたことあるやつ  #佐久間宣行ANN0

    1年以上前

  26. アガリスクか 幅広いなぁ佐久間さん #佐久間宣行ann0

    1年以上前

  27. アガリスクエンターテイメント の話 #佐久間宣行ANN0

    1年以上前

  28. 本日5月4日は 前田友里子さん(アガリスクエンターテイメント) @s06089yuriyuri 伊藤ゆかりさん(:Aqua mode planning:) @itou_yukari_ 窪田道聡… https://t.co/IKJe8cWy4z #小劇場役者さんの誕生日情報

    1年以上前

  29. 昨日、アガリスクエンターテイメント「令和5年の廃刀令」を観てきました。 面白かったぁ~! 賛成多数でしたが、投票結果によって結末も変わるので、逆バージョンも観てみたかったです。 ⇒ https://t.co/6PDgfltmwJhttps://t.co/Lfpuf5dFpL

    1年以上前

  30. 『令和5年の廃刀令』終演。 登録して3年近く経ってしまったnoteに記事を投稿しました。 ご来場ありがとうございました。 https://t.co/HItWdMRh9J #令和5年の廃刀令

    1年以上前

  31. @superhardgamer うふふ☺️勢揃いではないですが、アガリスク周りですかね!気心知れた大人たちをお呼びしました☺️

    1年以上前

  32. 富坂さん!! ありがとうございました🙇🏼‍♀️ 特に豊島会場では、富坂さんのとなりで本番を拝見することができて とても良い経験でした🙇🏼‍♀️🙇🏼‍♀️ またご一緒させていただけるよう頑張ります!! 本当に素晴らしい公演期間で… https://t.co/XSvkflQDRY

    1年以上前

  33. @jakin_hempfield @kentygross 初めてコメントさせて頂きます。 アガリスクご存知ですか?人のがん予防にも効果があると言われているサプリメントです。 様々なドッグフードにも成分が入っているものがありますよ!… https://t.co/fxWpEecNqH

    1年以上前

  34. すばらしかった。帯刀が日常化した架空の世界での法改正にまつわる物語。アガリスクが得意とする論理戦が秀逸。9人のキャストによる息をもつかせぬ攻防に、… https://t.co/JarkEbbEub Entertainment #Aga #令和5年の廃刀令 #舞台 #演劇

    1年以上前

  35. 今日のハイライトは、浅越役だった星秀美さの後ろに浅越さんが見えすぎた。アガリスクあるあるだよ

    1年以上前

  36. アガリクスエンターテイメントさんの「令和5年の廃刀令」を拝見。 観客参加型のとても面白い企画。会場の雰囲気も相まって。それでいてしっかり笑わせて頂きました。 お客さんに愛されている団体さんだなぁとしみじみ思いました。色んな形があっ… https://t.co/kOpJXvdtss

    1年以上前

  37. 演出部で参加させていただいた アガリスクエンターテイメント第30回公演 『 大千秋楽おめでとうございます! 今回は私にとって新鮮なことが多かった。関わることができて本当によかった。 ありがとうございました… https://t.co/n0d2zHY1Gh #令和5年の廃刀令

    1年以上前

  38. @yu_tomisaka ご返信ありがとうございます! 『令和5年の廃刀令』何度観ても変わらず楽しめました。 モニターしていて音声がとっても聞き取りやすかったので、上手くマイクを設置できたんじゃないかなと思います…!

    1年以上前

  39. アガリスクエンターテイメントさんすごい、佐久間さんにベタ褒めされてんじゃん

    1年以上前

  40. 昨日見た舞台『令和5年の廃刀令』が素晴らしくよかった!自分はどうしても脚本重視で観るんですが、本当に視野が広くバランスの取れた素晴らしいお話でした! https://t.co/dGzAWCcJ5j #令和5年の廃刀令

    1年以上前

  41. こちらもNVSとして。 タウンミーティングに参加しました。 アガリスクエンターテイメント 『令和5年の廃刀令』 @としま区民センター 杉並区会場で観てから楽しみだった賛成・反対両バージョンを生で観られたのは役得ですね。 社会… https://t.co/AwsVO8c4yC

    1年以上前

  42. 頂いた感想のまとめを更新しました!「『令和5年の廃刀令』感想まとめ」 https://t.co/wCxOBPN6bs #令和5年の廃刀令

    1年以上前

  43. 改めまして、 アガリスクエンターテイメント 全11ステージ 無事終了しました! ありがとうございました!! 楽しかった!! 作品も役も好きになりました。 NPO法人チームまなび 代表 吉光裕之… https://t.co/A3aVQk7qZY #令和5年の廃刀令

    1年以上前

  44. @s06089yuriyuri よろしくお願いします!🙇‍♂️ じつはすでにめちゃめちゃ緊張していますが、アガリスクの皆さんに見劣りしないようがんばります!!

    1年以上前

  45. @tuwawawawa なるほど、あれはキャスト紹介ではなく、あの世界で暮らす人たちの風景を切り取ったスナップだったんですね!! 津和野さんの説明でより作品の深みが増しました! 大好きなアガリスクさんの作品に出演できたこと嬉しい。出演記念の投票済証大切にします☺️

    1年以上前

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