実演鑑賞
満足度★★★★★
令和5年の廃刀令 終演お疲れさまでした。素晴らしいタウンミーティングを企画して下さったことに感謝します。自分は全5回反対票を投じ続けてきた。もっとも刀の所持にも反対。綺麗事だとは思うけど「イマジン、皆が自主的に手放せばいい」という広木の主張に賛成。勝てばそうだよなと感じ、負けると悔しいと感じてきたけど、昨夜は初めて負けを清々しく感じられた。やっぱり賛成多数のエピローグの方が深いなぁ〜との思いに至った。
廃刀令への賛否を考える際に、拳銃や、抑止力としての核や原発は当然想起させられていたけど、賛成多数のエピローグにおける隅谷の苦悩を改めて見て、これは国旗国歌法制定のメタファーにもなっているんだと今さら気づく。公務員という理由で宮入が刀剣を携帯させられている件が、学校における日の丸問題を暗示してることは明白だったのに。苦悩する隅谷は、日の丸が否定された架空の世界線で、それまで日の丸を胸に闘ってきたオリンピック選手に見える。だとすると株式会社Rivetさんには、スイッチや時間経過で見えるデザインが変わるスマート国旗を提案してもらいたい。広木には日の丸にもお上による新たな国旗の制定にも反対という屁理屈を展開してもらいたい。などなど楽しく妄想。
杉並バージョンで月山のキャラクターに感じたわずかな違和感が墨田バージョン以降では解消された。そのわけを台本で検証。投票の可否を巡る議論で「公平さ担保した上でやり直すべき」という月山の台詞が、中立な瀬戸の台詞に変わっている。わずかな差だけど、月山の「投票を行うべきではない」という態度が強化された。自分はそこに好感を抱いたんだろうな。
八鍬の「バッテリーが切れました!」の台詞。スマ刀のモバイルバッテリーの出番じゃん?と思ってしまうのに、それが提案されるまでの展開にちょっとテンポの悪さを感じていた。豊島区バージョンではそれが見事に解消。台詞の応酬がはさまり、即提案されないのが不自然でなくなった。このバージョンの台本をアップして欲しい。
アガリスク作品をたくさん観てきたけど、今作はナイゲンを超える新たな代表作と言っていいんじゃないかな。それぐらいネタが知れていても何度も楽しめる作品だった。