武蔵小金井四谷怪談 公演情報 武蔵小金井四谷怪談」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-17件 / 17件中
  • 満足度★★★★

    観ました。
    とてもおもしろかった、二本立て。

  • 役者で見せる演劇。
    行って初めて、二本立てと知りました。「武蔵小金井四谷怪談」と「落語 男の旅 大阪編」(「飛田新地」という大阪の風俗街に行った時の体験が基になった話)。満杯のアゴラに、大人の笑いが満ちていました。

    ネタバレBOX

    良い意味で、大人のくだらなさを感じた作品だった。

    「武蔵小金井四谷怪談」は、「?」が段々繋がる、荒唐無稽ながらも楽しい作品。短かったが、口語の現代版演劇が繰り広げられる後ろで古典の原文テロップを流すなど、比較が面白かった。

    「落語 男の旅 大阪編」がものすごく面白かった。腹のよじれる体験だった(笑)役者の力を見た!!という、満足感が高い作品だった。2本立てだったので、総合的には2つあわせて、☆は3.5個。
  • 満足度★★★★

    「落語 男の旅 大阪編」の方が面白かったかな?
    今回2本立ては「武蔵小金井四谷怪談」「落語 男の旅 大阪編」
    どちらも、岩井さん独特の下手さ加減
    (役者の人にはわざと上手じゃなくやってもらっているらしい)
    「落語 男の旅 大阪編」の方が面白かったかな?

    「武蔵小金井四谷怪談」
    四谷怪談を基にした?物語。

    「落語 男の旅 大阪編」
    こちらは、岩井さんが大阪の風俗街「飛田新地」に行った時の
    体験を基にした落語風の演出。

    この日のアフタートークは
    岩井秀人さん × 本広克行監督。
    本広監督、この公演の感想を求められ、ちょっと困ってた。
    監督、映画「踊る大捜査線」関連で忙しいのに
    こんな所にいていいのかな? & アフタートークで「踊る~」の話題はまったく出ず。
    客席には、志賀廣太郎さんもいて、ミニ「曲がれスプーン」だった。

  • 満足度★★★★

    伊右衛門なんて知らない
    仮にも四谷怪談と銘打ちながら、終いには物語の粗筋まで投げる始末。
    味も素っ気ない粗筋テロップが、一度はまあ古典に引き寄せようかなとは思ったけど嫌になるでしょそりゃ、と言わんばかりにつらつら流れる様をみて爆笑。
    このふざけた感じ。
    これを「ふざけやがって」と怒れないのは、古典にそういう姿勢で臨んだっていいじゃんという、ある意味現代性の一つの本音を体現したという一面への共感と、四谷怪談を放棄しながらも一本の芝居として(そして2部に関してはうっすら落語として)成立させる力量を持っていること、またどうにもこうにも「岩井秀人」という人間に魅力を感じてしまうためなのだろう。
    ダメな亭主に惚れる女の気持ちとはこういうんだろうか。
    よしヒッキー観に行こう。

  • 愉快でした
    大人が真面目にふざけるの。ハイバイ岩井作品って網の外から眺めてるような、あんパン買ってこないと仲間に入れてくんないような、とっても仲良くはしてくれない、昨日の友達は昨日だけ。優しく意地悪される感じが面白いです。
    ★はつけるなら3と4の間で。いい休日になりました。

  • 満足度★★★

    うまく表現できない
    月の初めに歌舞伎の『四谷怪談忠臣蔵』を観て、今月2回目の四谷怪談『武蔵小金井四谷怪談』」である。鶴屋南北の四谷怪談をどの程度デフォルメした作品なのかであるが興味あったが、結論から言うと私には合わなかった。どこが気に入らないのかうまくいえないが、共感できなかった。2本目の『落語 男の旅 大阪編』は落語のテイストを芝居にうまく変換されていて、もう少しやりすぎると下品になるが、程よい具合に料理されていた。アフタートークの『舌切り雀』はフランス語での人形劇、これはまいった。評価は1本目が☆2
    2本目が☆4、3本目が☆4で総合で☆3といったところ

  • 満足度★★★★★

    観てきた
    思いっきり笑ったのと同時に、役者ってすごいと改めて思った。

  • 20100424
    。・`ω´・)ノ むふっ

  • 満足度★★★

    あはは
    くだらね~。

    ネタバレBOX

    良くいえば独特な、悪くいえばヘッタクソな語り口を楽しめる観客はライト層にはいない。男岩井の劇作家としてのステップアップは難しいと思う。
    猪股俊明の文化祭の高校生的な乗りは凄い。
    荻野友里は相変わらず美しい。
    二本目の落語はR18なんじゃない。
  • 満足度★★★★

    古典と思わず見ればいい
    そこここで笑ったけれど、四谷怪談ではないなと思った。
    ほかの現代劇にいくらでも組み込めるエピソード。
    役者の力も大きかったと感じる。

    現代に移し替えた時、古典の持つ色気みたいなものも洗い流されてしまった気がした。

    ただ次回作はどんなことをやってくれるのか、見たい。



  • 満足度★★★★

    コメディとしてサイコー!(^0^)
    青年団リンク・二騎の会での二人芝居 『F』の端田新菜も良かったが今回の端田もひじょうにいい。実に魅力的な女優だ。物語は「四谷怪談」とは程遠い内容だから「四谷怪談」を観たい方には会わない。2部の落語は落語というよりやっぱり演劇で、すんごく楽しくてオモチロ可笑しかった。殺されるかと思うくらい笑った笑った!(^0^)

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    当日パンフには「四谷怪談」のあらすじが載ってるが、これを題材にした物語だったが、序盤に見せた筋を後半は角度を変えて前半のあらすじの種明かしでもするかのようになぞっていく。この伏線を辿るような手法が実に面白い。ああ、そうだったのか!と納得して笑っちゃうのだ。キャストらの表情も角度が違ったことによって見えなかった部分が露呈されて人間の表裏が可笑しいのだ。

    2部の落語「男の旅・大阪編」は3人の男たちが女を買いに行くお話。大阪の有名な売春宿、つまりはソープランド(大人のディズニーランドともいう)でのお話なのだけれど、このキャストら3人が売春婦になったり、お付のオババになったり客になったりしながらのコメディばりばり!これだけ面白いと行って見たくなっちゃうような情景だった。とにかくエロくてバカバカしくて面白いのだ。

    猪股俊明は「ハイバイ」の公演で必ずといっていいほど出演する役者だが、中々アホらしい役もお似合いで、山内にいたっては、そんな演技をしている猪股がとてつもなく可笑しいようで自分の出待ちでニヤニヤしてたほど!どっちも岩井らしい作品に仕上がっていた。もう一回観たいなぁああ。。

  • 満足度★★★

    続けてほしいシリーズ
    ハイバイの岩井秀人による「口語で古典」シリーズの第2弾。
    今回は2本立てで、前半は「四谷怪談」を現代化した4人芝居。後半は落語のいわゆる「廓噺」を、作者が大阪の風俗店(@飛田新地)で体験した話に置き換えての3人芝居。

    ネタバレBOX

    「武蔵小金井四谷怪談」
    四谷怪談のあらすじを奥の壁に映写しながら、それと微妙に対応する現代劇が舞台に展開する。恋人役の古屋隆太と荻野友里。荻野の父親役の猪俣俊明。古屋による父親殺しを目撃して、それをネタに彼を脅迫する端田新菜。古典のストーリーがうまく現代劇に重なっていて、このまま最後までずっとやってくれればいいのにと思ったが、実際には端田に脅されて古屋が第2の殺人を犯すあたりで原作との関わりは消えてしまい、再び最初のやりとりにもどって同じ出来事が別の角度から新たな真相を交えて描き直されるという展開になる。そこはハイバイの名作「て」で使われたのと同じアイデアだなと思う。
    個人的には最後まで原作をなぞる形で現代化された芝居を観たかったので、途中から二重構造になってしまったのがちょっと残念だったが、それでも役者4人の演技が抜群に面白かったので別に文句はない。
    「口語で古典」の1作目「おいでおいでぷす」といい、2作目の今回といい、父親殺しが作品の重要なモチーフになっているが、これは「て」で描かれた作者岩井秀人の複雑な家庭環境の反映と見なすこともできる。

    「落語 男の旅 大阪編」
    こちらは山内健司、石橋亜希子、猪股俊明の3人芝居。大阪の風俗店に男3人で訪れた作者自身の体験談という体裁で話が進行する。一応、山内が作者の岩井役。男3人の話なのに、女優の石橋がそのうちの一人を演じるというのが強引というか、人を喰っている。石橋は結婚後初の舞台らしい(おめでとうございます)。出演者は3人だが、風俗店の女の子や付き添い?のおばさんなど、出演者の数を越える人物が登場する。そしてそれを役者3人ですべて演じてしまう。しかもきちんと役を分担するのではなく、かなり恣意的に役をシャッフルして演じる。店の女の子とおばさん、そして客の男。これを二人で演じたり一人で演じたり。この辺の入れ替わりはかなりめまぐるしい。観ているうちに思ったのは、以前、岩井秀人が役者として出演したことのある多田淳之介の「3人いる!」という芝居。あそこでも役者と役がかなり複雑に入れ替わっていた。
    落語というのがもともと一人でいろんな役を演じ分ける芸なので、役者3人で役を演じ分けたからといって、それで落語を上回ったとはいえない。個人的な感想としては、落語を演劇化するなら、やはり役者も一人芝居で演じてこそ、落語の芸に拮抗したといえるのではないだろうか。
  • 満足度★★★★

    外枠を借りたり、形式にのっかったり
    突飛に思えても
    裏地がちゃんと張られている感じが
    それぞれの作品にあって、
    その世界がぐぐっと広がる。

    役者のお芝居にもしなやかな奥行きがあって、
    たっぷりと楽しんで観てしまいました。

    ネタバレBOX

    ・武蔵小金井四谷怪談

    入口は、確かに四谷怪談の現代版で、
    後ろに投射される物語のダイジェストと
    すり合わされているのですが、
    でも、たちまちそこに剥がれのようなものが生じて、
    なにか風変りなテイストの物語へと
    変化していきます。

    場を示すように照らされる後ろのパネルや
    文字情報として展開する本家の物語のダイジェスト。
    それらが、芝居の「場」の概念を
    観る側に押し込んだりもするのですが、
    舞台自体は四谷怪談から確実に乖離していく。

    しかも、「て」などでも拝見した繰り返しが重ねられて、
    物語が見事にふくらんでいくのです。

    そこから浮かんでくるのが
    父娘の心の通い合う部分だったり
    娘の彼氏へのそれぞれの想いだったり・・・。
    キッチンで料理をしながらの
    父と娘の会話もなかなかにキャッチー。
    菜箸の動き一つで作られる
    その家庭の空気がぞくっとくるほど秀逸だったりする。

    繰り返しの部分で
    最初の不自然な感触が物語の奥行きに変化していくのにも
    わくわくして・・・。
    舞台上の熟成に伴って後方の文字情報が
    次第に小さくなってくのもおかしくて。

    娘の芯の強さや揺らぎ、
    娘の友人のどこか素直で天然な感じ、
    企みに取り込まれてしまう彼氏の純粋さや、
    父親の娘への愛情までが、
    どこか、「とほほ」な茶番劇の皮をかぶりつつ、
    驚くようなリアリティをもって浮かんでくるのです。
    その描写力に囚われて、
    飽きることなく見続けてしまいました。

    役者が4人とも大好演、
    古典を蹴飛ばしてもびくともしないほどの存在感で
    それぞれの世界を作り上げておりました。

    ・落語 男の旅 大阪編

    この作品、確かに落語でした。
    素に近い照明のなかで
    岩井を標榜する役者が語る冒頭などは、
    正真正銘立派な枕。

    そこから噺が導かれて
    地語りで物語に観る側を引き込んでいきます。
    私が観た回では
    途中で役者が物語を見失うハプニングもありましたが(仕込みかも?)
    落語であってもそういうことは稀にあって、
    そのあたりでの演者の立ち往生は
    場を和らげる効果になったりする。
    同様の空気がかもし出されたのも
    この舞台が落語のフォーマットを
    しっかり踏襲していたからかと。

    やがて、噺が本編に入って
    飛田新地のちょんの間を経験する男3人と
    そこの女性、さらにはやり手婆までを
    男ふたり女ひとりが鮮やかに演じ上げていくのですが、
    四谷怪談同様役者の出来が本当によくて。

    佳境に入ってくると
    演劇的な様々な手法がぐんぐん生きて
    良質な落語を彷彿とさせるような
    グルーブ感がやってくる。
    豊かな変化、密度のメリハリがしたたかにそこにあって。
    よしんば、配役がめまぐるしく移っても、
    演劇的な上下がしっかりと切られているから
    観るものが惑わない。
    二人の役者がユニゾンで
    2つのキャラクターを両方演じるくだりなどでは、
    笑いに導かれながら
    同時に滑稽さを凌駕するその場の雰囲気に
    がっつりと取り込まれる。

    ことが終って外に出た風情にも
    細やかな表現力があって・・・。
    さらには、落ちを極めて落語的にすっと収束させる
    その風合いも実に良くて。

    落語というフォーマットだからこそ伝えうるニュアンスを
    見事に舞台に乗せた作り手と
    それらを舞台上で具現化した役者達の力に目を見張りました。

    軽い質感が残っているにも関わらず
    しっかりとした充足感に満たされて。

    懐かしくてとても新鮮な感じに
    強い魅力を感じた舞台でもありました。

    ☆★★
  • 満足度★★★★★

    絶品!
    俳優は必見。
    そして、打ちのめされればいい。

  • 満足度★★★★★

    大笑いなんだけど・・・やっぱ怪談
    大笑いさせてもらいました!
    でも、前半の「四谷怪談」の方は、やっぱり最後は“怪談”に思えてしまうあたり、岩井秀人さんの作品力なんでしょう。
    個人的には、荻野友里さんの第一印象と全く異なる感じになっちゃっている二重人格的キャラの演技が素晴らしかった・・・というか、この人本当にそうなんじゃないの?的雰囲気がよかったですねぇ。

    ネタバレBOX

    ただ、これ、デートに使うとか、家族で観るとかにはちょっとテーマ的に適していないです。
    特に、後半の「落語」。
    作品としては、素晴らしい仕上がり。山内さんの立ち往生もご愛嬌。
    ・・・なんですけど、うーん、正直ちょっとテーマが引いちゃうなぁ・・っていう気がしました。
  • 満足度★★★★★

    面白い!
    「武蔵小金井四谷怪談」「落語 男の旅 大阪編」の2本立て。
    何も考えずにアハアハと笑った。

    演劇的な、演劇でしかあり得ないような演出の面白さもある。
    それをうまく盛り込んでも、観客に意識させないセンスの良さのようなものも感じた。

    上演時間も手頃。

    ネタバレBOX

    「武蔵小金井四谷怪談」は、四谷怪談をどのように口語劇にするのか、という興味で観に行ったわけだが、そのストーリーというより、その内容を伝言ゲームのように伝えていった先に残った程度のあらすじを骨組みとして残して、あとは現代的とも、古典とも思えないような奇妙なストーリーに仕立てていた。

    つまり、「四谷怪談」をやったわけではなく、あくまでも「武蔵小金井四谷怪談」なのである。
    古典の「四谷怪談」という(文字の)アイコンのようなもを観客の脳裏にいったん置いての、巧妙な書き換えではないかと思う。
    まあ、「四谷怪談にインスパイアされました」的な、というか、そんな感じ。
    武蔵小金井というタイトルも東八道路という地名がちょっとだけ出てくるだけであまり関係ない。
    これも単なるイメージのひとつであり、観客の頭へ放り込んでみただけのものであろう。

    だから、舞台の後ろには、四谷怪談のあらすじが投影されるのだが、その文章を読みながらの答え合わせのような進行になると思っていたら、どんどんはぐらかされていく変な感覚の面白さがあった。
    この人が伊右衛門で・・・なんて読み解いていくことが意味をなさなくなる。

    また、おかしな動きや台詞があるのだが、それが実はということで、後半部分での見事な伏線となっており、丁寧に拾われていく様は愉快である

    それがわかってくると、観客は、前半の台詞が繰り返されるのがわかっているだけに、そのオチとも言える台詞が待ち遠しくなってしまうのだ。じらし上手というか、待ちきれずに先に笑ってしまったりする観客もいたりする。


    続く「落語 男の旅 大阪編」は、まず、「作・演出の岩井です」と名乗って山内健司さんが登場する。それが台詞であり、台詞の中の岩井さんと本人の山内さんが、山内さんの身体を借りて現れるというちょっとした面白さがある。

    本作の成り立ちについての解説で、このまま漫談のように進行するのかと思えば、するりと芝居の中に入り込んでいく。
    その様は、落語のマクラから本題に入るような巧みさがある。

    登場人物が徐々に増えたりしながら、役者も増えていく。ところが、その役者の役が一定ではなく、あえて1人で何人かを演じ分けたり、あるいは逆に1人を2人で同時に演じたりするのだ。
    男女の役者が出てくるのだが、男女の役をそれぞれが演じるわけでもなく、どちらもがどちらもを演じる。
    また、年齢についても役者の年齢と登場人物の年齢は一致しない。
    それがぐるぐる目まぐるしく入れ替わったりする。
    そこに面白さが生まれる。

    落語的でもあり、演劇的でもある。

    それには特に意味はなさそうだが、役者がうまいので、面白さだけが醸し出されてくる。
    テンポもいい。

    ストーリーは、岩井さんの実話をもとに、大阪にある飛田新地という風俗街にでかけるという話なのだが、語り口の軽妙さだけで見せてしまう。
    落語にありがちな、すぱっとしたオチがあるわけではないのだが、なんとも言えぬ、切なさが残る終わり方がなかなか面白い。
    落語の良さをふんわりと漂わせながらの舞台であった。
    「落語」という言葉を冠した意味はあった。

    この「落語」という言葉をあえて入れたことで、「武蔵小金井四谷怪談」の「四谷怪談」と同様に、観客のイメージを方向付けたのだ。

    そういう意味では、全体にかかっている「口語で古典」の「古典」というイメージも、多くの観客がそれを望んでやってくることを逆手にとっていて、そのギャップを演出して楽しませてくれたのだろう。
    そのあたりはたぶん確信犯的であり、そこからが演劇の始まりということなのだろう。

    ズレの面白さだ。「武蔵小金井・・」では古典の物語とのズレ、「落語・・」では、役者と登場人物とのズレ、そういう一見実験的でありながら、確実に「笑い」をとっていく見せ方にうまくはまってしまったわけだ。

    普通に観れば、誰が誰なのかわからなくなったりするはずの、違和感だらけの内容なのだが、それを感じさせず、まるで単なる面白い話として見せてしまう演出の巧みさと、役者のうまさが結実した作品であったと思う。
  • 満足度★★★

    羊頭狗肉の面白さ
    こじつければ共通点も見出せないこともないけれど、はっきり言って鶴屋南北の「東海道四谷怪談」とはほとんど関係ない内容です(笑)。
    ハナから南北の世界を現代口語で見せようと思って作った芝居とは思えなかったけど、笑えたので、まぁ、いいかという感じです。面白いけど、正直、タイトルについての肩透かし感はいかんともしがたく、「古典を現代口語演劇で」という仕掛けをうたう必要があったのか、疑問です。「四谷怪談」とするのには違和感があります。ただ、トリビア的には面白い共通点をみつけたので、古典に興味のあるかたはネタバレをお読みください。

    ネタバレBOX

    「武蔵小金井四谷怪談」は、父親役の猪股さんの怪演ぶりが面白かったです。自分は「北斗の拳」というマンガをよく知らないので、いまひとつ作者の意図の面白さがつかめなかったですが。もう少し原典に沿った話かと思って観に行ったので。
    原作の「お岩の怨念」にまつわる話とは無関係。会話の中に「東八(とうはち)道路」というのが出てきて、これが実在する道路名ということを知らなかったのですが、この芝居に登場する直美は原作では直助権兵衛という役に当たるんですね。で、直助権兵衛は「藤八五文奇妙!」という江戸の薬売りの売り声で登場する場面がありまして、「とうはち」という音が共通するんです。でも、はたして岩井さんがそれを意識して引っ掛けたのかどうかはわかりません。
    また、この公演は2本立てで、もうひとつ落語のまねごとみたいな「男の旅 大阪編」という芝居がくっついてるんですが、これは四谷怪談とは関係ない芝居。岩井さんは「廓の女郎買い」を現代的に見せています。大阪の某所にあるいわゆる「チョンの間」の話なんですが、南北の「東海道四谷怪談」には現代の「チョンの間」と同じ江戸時代の私娼窟(淫売宿)が描かれてるんですね。お岩の妹のお袖がそこで夫の佐藤与茂七と再会してしまうのですが(ちなみに、今度の公演のあらすじの解説に「直助が与茂七を殺す」と書いてありますが、直助が殺したのは実は与茂七ではなく、入れ替わった別の赤穂浪士なのです)。
    ですから、この2本目の落語の芝居のほうも、まんざら四谷怪談と関係ない話とは言えないわけです。「男の旅」は「東海道」に引っ掛けてあるような気もしますが、これも岩井さんが意図的にそうしたかどうかはわからないですが。
    「東海道四谷怪談」の三角屋敷の場は「袈裟と盛遠」という源平時代の三角関係の逸話と共通してるので、初めてその場面を観た時、南北が当然それを意識して書いたと思い、歌舞伎役者の人に質問したのですが、「いや、南北に関してそういう話は伝わっていませんねぇ」と当惑されてしまいました。また、「三角屋敷」というのも地名であり、三角関係とは関係ないわけです。「東八道路」と「藤八五文奇妙」、「チョンの間」と四谷怪談の「淫売宿」の話、岩井さんも巧まずして芝居に織り込んでいたとしたら、鶴屋南北に似た感覚の戯作者なのかもしれません。
    落語のほうも役者さんたちが面白かったですが、芝居というよりWSを観てるような感覚でしたね。
    このお芝居を観たかたには、ぜひ本家の「東海道四谷怪談」も観て頂きたいと思います。

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