元気で行こう絶望するな、では失敬。 公演情報 元気で行こう絶望するな、では失敬。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-17件 / 17件中
  • 満足度★★★★★

    闇(森)は背中に広がる
    パラ定の数ある作品の中
    もしかしたら今作が一番好きかもしれん!



    いや・・・、きっとまだまだ *笑*

    ネタバレBOX

    目覚めていてもまだ足下の覚束ない男子
    彼らが大音響に合わせ迫り上がるオープニング
    日常の雑音と有り余る未熟なチカラを振りかざしコチラの五感を圧してくる

    戻らなかったあいつは誰の心にもあるミッシングピース?
    かつて理由もなく強かった自尊心やプライドで練り上げられた
    デリケートで脆弱な自分の半身?

    あいつを忘れて大人になってしまった私(観客)の席は
    未来への恐れと若さゆえの混沌をも呑み込む森を
    背にしていたように思えて、途中から背後が薄ら寒い心地さえした

    そうしてもう戻れないトコロにいるのだと当たり前のコトを
    改めて感情の襞にゴシゴシと擦り込まれていく

    忘れていた薄情な私に
    ありったけの大きな声でエールを送るあいつ
    胸を突かれ不覚にもなにやら熱いモノが込み上げる

    言霊の共鳴とクラッピングの喧噪の中、どこか切なく甘美な後味が残った

    野木さん、やっぱり貴方の作品が大好きです
  • 観ました
    今頃すみません。
    観ました。

  • 満足度★★★★★

    生きる活力と覚悟をもらった。
    うまいとは言えない役者さんもいたけど、それも含めて、野木さんが何に挑戦しているか感じ取れるから、小気味いいのだ。
    観た後に、芝居っていいな!!!って言える作品。

    あの頃のあの子たちと、自分に、「ここまで生き延びてる私は、今こんな様だけど、もっとがんばるよ!」って誓った。
    本当に、「元気で行こう絶望するな」だ。忘れない。

  • 満足度★★★

    大人数
    の、パラドックス定数は初めて。本公演ではなく特別企画として捉えていいのかな?毒のない爽やかな芝居であった。どうしてもパラドックスの役者が喋るのを待ってしまう自分がいる。今時の若者が混じることで今までみた作品とは全く違う印象で新鮮。
    そしてあんなに客席が埋まる星のホールは見たことなく、ここまで席を作れるんだなーと驚いた。
    野木さんの本とパラドックス定数の役者が本当に好きなので次回も必ず行く。客演では今里真さん、酒巻誉洋さんが特に良かったと思う。

  • 満足度★★★★★

    リズミカルで元気出る舞台
     冒頭がかっこよかった。
     懐かしいチャイムの音にあわせて、20人は観客に向きあって一斉着席、太宰治のテキスト音読をBGMに、同時多発的に雑談がはじまる。
     ここの展開には、全然ついていけなかった。
     が、
     芝居が一呼吸つく静寂をきっかけに、すべての椅子を90度回転させて生徒みんながシャッフルするのだ。そうやって、客席に教室の左右側面からの風景を見せる。この演出はよかった。
     ザッ。 ぺちゃくちゃ  ザッ。 わーははっは  ザッ。 
     20人がそろえた音に乗せて、会場まるごとあちら側に持っていかれた感じだった。同じく、夜の森のシーンやラストでも、間とリズムが独特の効果をあげていた。

  • 20100630
    観ました。観た時よりも、帰り道に響いた作品。

  • 満足度★★★★

    元気もらいました
    男子校のイメージでした。
    あの決してせまくはないホールを駆け回って、いいなぁ。楽しそう。

    誰もが通る(と思う)太宰的だった時代を思い出しました。

    大人になるって切ないことです。

    ネタバレBOX

    みなさん本当に36歳なんでしょうか??
    とてもそうは見えませんでした。(一部絶対違うと思うけど)

    パンフのあだ名で呼ばれていなかった人いましたね…。
    なんでその名前になったのか気になって仕方なかったです。

    最後に一冊だけ残された教科書が印象的でした。
  • 201007041500
    201007041500@三鷹市芸術文化センター 星のホール

  • 満足度★★★★★

    野木さんの本音の読み解き方次第で…
    たぶん、アンケートに書いたことと相当主旨の異なる感想になりそうです。
    と、言うのは、【あそこまであんなに秀逸だったのだから、ここをもう少し工夫したら、完璧だったのでは】と思わされた点が、実は、野木さんは、百も承知の上で、あえてそういう手法を使われたのかも…と、帰る道すがら、考えたから。
    野木さんて、観客よりも、更に、一枚も二枚も上手なのではないかと感じたのです。

    この芝居、その点が、もし私の深読みなら、星4つ、読みが的中なら、星5つでも足りないと思います。

    さて、どちらなんでしょう?

    とにかく、どちらにしたところで、この作品、脚本、演出、キャスト、スタッフワーク、全てにおいて、ハイクオリティであることは、疑う余地なし。
    本当に、スゴイ芝居を見せて頂いたことだけは、間違いありません。

    20人の生徒が、実に、生き生きと、キャラクターまで、見事に、描き分けられているのですが、如何せん、すぐには、この人があれをした人とピンと来ない年齢になってしまったので、よりこの作品を深く感じるために、もう2~3回は、見直して、すぐに、これは誰と認識できるまでになりたいなあと思わされました。
    良い本は何度も読み返したくなるように、この舞台は、何度も観て理解を深めたくなる魅力に満ちていました。
    そういう意味でも、長く愛され読み続けられる、太宰をモチーフにした芝居の本領発揮を証明しているのかもしれません。

    何となく、野木版「春のめざめ」と言うか「いまを生きる」と言うか、そんな風情の、青春時代の切ない思いが去来する、胸に痛いながら、どこか懐かしい香りのする作品でした。

    ネタバレBOX

    20人の高校生がせり上がりで、勢揃いで登場する幕開けから、教室の並びが、前、横、後ろと瞬時に変化して行く様まで、目に鮮やかな演出で、冒頭から、演劇の醍醐味を思う存分、感じさせられ、ワクワクします。
    その全てが演劇的様式に満ち溢れています。

    20人の高校生の会話は鮮明に聞こえたり、逆に、よく聞こえなかったり、と、これも、現実の教室の風景そのもの。
    20人全員の思いや性格が、少ない会話や行動描写で、的確に露呈されて行く、手法も鮮やかなら、織り込まれるエピソードやストーリーの流れも、観る人の心の襞にジワジワ食い込み、皆、どこかに感情移入して、その場の生徒の誰かに、自分を投影してしまいそう。
    こうして、高校時代は、演劇であることを忘れて、見入っている内、今度は、登場人物は、18年後の36歳になって、それぞれの、それまでの人生を漂わせながら、再登場します。
    このあたりから、だんだん腑に落ちない思いが湧き上がって来たのです。
    同窓会に出席する服装が皆一律なこと。終幕には、作者の押しがやや強すぎないかと、感じ、そのため、野木さんならではの作劇手法が色あせ、何だか、これじゃ普通のありきたりな芝居っぽくないか?と、そんな思いが浮上して来ました。

    それで、アンケートには、もう少し出し惜しみぐらいで、ラストに持って行った方が、より、心に深く刻まれる芝居になった気がするということを書きました。

    だけど、岐路の道すがら、ふと思ったのです。待てよ、あんなに周到で、頭脳明晰な舞台作品を生み出す方が、そんなヘマをするだろうかと…。
    そうしたら、「東京裁判」の、あの当時にあり得ない眼鏡と、靴を思い出しました。あの舞台を観た時も、これだけ、徹頭徹尾、当時の資料を調べ尽くしてこんな高レベルの作品を書く方が、そんな考証ミスをされるだろうかと、腑に落ちなかったのを、思い出したのです。

    あっ、これって、もしや、野木さんは、「これはフィクションですよ、演劇ですよ、現実ではないんですよ」、と、あえて観客に提示しているのではと思いました。
    そのヒントとして、この舞台は、劇作家と役者をやっている2人の登場人物の創作なのだと匂わせる台詞があり、「学ランだと、黒ずくめで、舞台向きでない」という、演劇の衣装だからという見解を、台詞に織り込んだのかな?と。

    そうだとしたら、この芝居に登場する男子高校生は全員が太宰だというのも、これが芝居だからなんだと納得します。
    だって、普通の男性って、そんなに皆太宰のようではないもの。太宰のような人は、作家になったり、役者になったりするけれど、大方の一般男性は、高校時代の友人との交流を、いつまでも覚えていたりしないし、苛めたことすら忘れてしまう、もしくは、最初からそんな自覚さえない人がほとんどではないかと思うのです。男性って、とかく、加害者意識は希薄で、被害者意識が強い人、多くありません?
    この20人の登場人物は、一見リアルな男性に見えますが、よくよく考えると、野木さんによって、生み出された精巧な舞台上のキャラクターなんだと、合点が行った気がするのです。

    「真夏の夜の夢」のように、芝居が終わる時、「これは夢です」と提示されて終幕となるように、野木さんは、あえて、【この舞台は現実ではなく、芝居です。だから、現実社会は、なかなかこの芝居のように、スッキリは終われないけれど、私達は、こうして、演劇という、仮想世界で、お客さんに少しでも、元気を分けて差し上げますよ。辛い時は、芝居を観て、現実の憂さを忘れて、また明日から元気に過ごして下さいね】という、メッセージだったのではと、思いました。

    もし、この私の読みが思い過ごしでないとしたら、あの如何にも蛇足じみて感じられた、死んだ高校生の長い叫びも、野木さんのメッセージの代弁と思えて、一挙に腑に落ちるように感じたのでした。
    だから、たぶん、この芝居、星5つでも足りない方だと思っています。

    だって、あの20人の息の合ったパフォーマンスは、心底気持ち良くて、明日への勇気と元気が湧き上がり、その瞬間だけでも、間違いなく、痛烈に心を刺激してくれましたから。これは、演劇作品として、大成功!!たとえ、超現実的では、なかったとしても…。
  • 満足度★★★★

    意欲作
    今回の舞台は、野木萌葱さんかなり冒険したなと思う。
    出演者は、いつものメンバーの約4倍? 総勢20人。
    オープニングからしてかなり今までのイメージと真逆だし
    全体として、いつもとは違う「元気!」な印象を受けた。

    太宰治をモチーフにした舞台で
    男子高校が舞台。でも、太宰治の学生時代を描くわけではなく、全員が太宰らしい。
    なんか、太宰治について知っていればもっと面白かったのかも。
    あと、それぞれしっかりキャラクター書き分けてあるが
    20人もいると、いまひとつそれぞれの性格や人間関係がつかみづらい。

    うーん、次回公演がこれを受けてどうなるか
    楽しみでもあり、ちょっと心配。

  • 満足度★★★★

    うん
    うん。男ばかりで小気味よい。本公演はまだ未見だが、気になる。

  • 満足度★★★★★

    応援歌を奏でるプロ集団!
    オープニングにヤラレル。ナラクからせりあがってくる20人の高校生。この登場の仕方がまるで暗闇から少しずつ浮き出でる勇者のようだ。目に入った完璧なるその画はきっとこの先記憶に残ると思う。そして椅子を巧みに使っての角度90度ずつ移動する彼らの情景の見せ方。素晴らしい演出だと思う。野木萌葱という女性、天才じゃないかと感心してしまう。当日のパンフレットには「太宰治を読んで『こいつぁ、相当、優しい、男だぞ』と思った。」とある。で、「ああ、そうか、男はみんな、どこかしら太宰治なのだな、」とも感じるのだ。そう感じる野木も相当優しい女だな。とワタクシは思うのだ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX



    森に囲まれた木造校舎の中の男子高校生20人。そこにはイジメもありそれぞれのポジションもあり、誰かと繋がっていたいという切なる想いもあり、自分を見てほしいという自意識もある。思春期という、大人と子供の狭間でモガク18歳の旬を描いた物語。

    ソイツを苛めることで優しく出来るという他者との繋がりを求める酒巻、気を遣われながら苛められてると察している十枝。仲間から下に見られてると更に下を見つけねえとやってけねー。というポジションを気にする輩。時には死にたいと思ったり、家族が今里の家に借金をする光景を同級生の今里に見られて毒舌を吐く高井。だけれど20人は夏の川に泳ぐ河童のように無邪気に無心に悪戯に戯れる。悪戯に興じる彼らはただただ、我侭で強情で傲慢な子供に過ぎなかった。

    しかし、一つの事件、高井が同級生の財布を盗んだことをきっかけに、ゆうやが森に入ってしまう。つまり自殺だ。ゆうやは高井をかばっての言動と、誰からも見られていないという鬱の心から森に入ったが、最後に今里と話した後に森に入ったことから、今里の心にゆうやを助けられなかったことへの後悔と闇が蔓延ることになる。19人は個々の手に懐中電灯を光らせ、闇が続く森に入りゆうやを捜索するも、ゆうやは見付からなかった。

    このことが19人のそれぞれの心に巣食い、時々尖ったナイフでちょんちょんと突かれるように思い起こされ癒されることはなかった。やがて・・・、36歳になったそれぞれは弁護士やら、医者やら、刑事やら、数学者やら、役者やら・・・とそれぞれのポジションで活躍するも、大人の世界はそんなに甘くないことをも表現し、そのことがこちらの心にもズシン!!と重くのしかかり、「そうそう、現実ってのは綱渡りのようなもんだ・・。」なんて共感しつつ、彼らは未だにゆうやの闇を拭い去ることは出来なかった。

    だからこそ、彼らは同級生を思いやり相当に優しく接する。そうしなければ、いつ、自分も彼らも上流の方にある心というダムが決壊して濁流と化すかが解らない、自信がない状況なのだ。彼らの血はそういった闇の想いと共に、三本締めで自分自身にも皆にも「ガンバロー」と励ます。このシーンと死んだはずのゆうやが登場する場面や、18年前の彼らと現在の彼らを交差させながらの演出は錆びた鉄の匂いが感じられるような懐かしい演出だった。

    最後にゆうやが今里に向かって話す場面「俺はもう祈ることしか出来ない。堂々と幸福を求めて欲しい。この先この国には俺たちの黄金時代など、ないかもしれない。だけどきっと勝てる、確信してる。俺たちが駄目になる理由なんて何もない。それまで悠然と力を磨いておけばいい。だからさよなら。命あらばまた他日。元気でいこう。元気で行こう。絶望するな。では失敬。」

    こうして今里は苦しみの淵から解放される。
    ここでの20人は全員が太宰だった。死んだものも生き残ったものにも、そしてこれを観たものへの応援歌だった舞台。
    明日に希望を持ち、もうちょっと頑張ってみるか、と思える舞台だった。素晴らしい!

    三本締めの最初に、何で「よーお!」って言うか知ってる?
    あれ「祝おう」っていう言葉から来てるんだってさ。
    そうして植村の音頭でクラス全員による三本締めで幕が閉じる。

    元気で行こう。絶望するな。では失敬。
  • 満足度★★★

    イライラする!
    優しさって、他人を思いやることだけじゃないでしょ。というか、きっと私個人が抱えている何かがもやもやで冷めた目で観たくなってしまう劇団なのかもしれない。

    ネタバレBOX

    前回は「東京裁判」再演を観ましたが、ここの衣装がなんか…げんなり。38歳になるとみんなメガネをかけてスーツなのね。きっと、学生の頃とわかりやすくするために制服化をしたのだと思うけど。まぁ、いいや。きっと万人受けする劇団なのでしょうね。面白くなかったとはいえませんから。
  • 満足度★★★★★

    どこかの暗闇に忘れてきてしまったコトたちが、(個人的にも)鼻の奥がつーんとなりながら蘇る
    かつて、そういう年齢を過ごした者としての共感と、大切な記憶と、探られたくない記憶が交錯する。

    ホントに、とてもいい舞台だった。

    ネタバレBOX

    何ごとが始まるのか? というオープニングから、引き込まれた。
    よく考えれば、実際の高校生とダブルスコア近く年齢が離れている役者が、高校生を演じているのだが、どう見ても高校生にしか見えず、とてもいい(あの年代でしか出せないような)エネルギーを発していた。

    そのエネルギーは、自己意識過剰のなせるワザで、例えば、「相手をいじめないと、優しい言葉がかけられず、人とつながることができなかった」りしてしまうのだ。
    そのエネルギー(負のエネルギー含む)は、もてあまして、顔にニキビとかできてしまったりする。そんなエネルギーを舞台から感じたと言っても言い過ぎではないだろう。

    それぞれは、知らず知らずのうち、「闇」のようなものを抱えている。
    「闇」と言うほど大層なものではないとしても、「不安」という言葉では言い表すことのできない「モノ」が、鬱々と心にあり、それを「友だち」に知られたくないという、自意識と、無意識がとても困った状態を生み出してしまう。

    これって、よくわかる。
    たしかに、あの頃はそんな感じだった。

    「太宰治は永遠の高校生」なんて言う、フライヤーにある言葉は、「なるほど」と思い当たったりする。
    でも、太宰にはなれないのだ、みんな普通の高校生だもの(あるいは「だったもの」)。

    そうした「闇」のようなものを内包した男子高校生たちの前には、「森」がある。「誰かに見てもらっていないと、森に飲み込まれてしまう」という都市伝説的な設定には、泣けてくる。

    そんな伝説は、これぐらいの年代の妄想から生まれたものなのだろう。
    「内なるモノ」を「外」に求めるというのは、最もわかりやすい反応だ。

    「森」という共同幻想により、彼らの自意識は保たれているのかもしれない。
    この設定は、ホントにうまい!
    これが現実と、フィクションの狭間にあって、見事に物語を成立させているのだ。

    記憶の隙間に落ちていた、いろいろなコトが、ふと浮かび上がったり、忘れてしまっていた記憶が、蘇ったりする。
    私も誰もが、みんな「森」の中に置いてきてしまったモノが、たくさんあることに気がつく、
    この舞台では、忘れられてしまったクラスメイトのように。
    そう、まさに忘れてしまったクラスメイトは、「森」の中に忘れてきてしまったのだ。そんな記憶は、誰にでもあるのだろう。
    そういう、ちょっと柔らかい部分を刺激してくる舞台でもある。

    登場人物は、男子高校生20名。
    だけど、20名という単位ではなく、そこにいるのは、1名1名1名・・・・の20名だ。どの役者も、鮮やかな印象を、きちんと残している。

    これは、役者だけでなく、脚本も演出も素晴らしいとしか言いようがない。
    私は、『東京裁判』しか観ていないのだが、あちらは、凝縮された空間で、火花を散らしていたが、今回は、大きな空間を見事に使い切って、エネルギーを発散し、集中をもさせていた。
    シンプルなイスだけのセットも効果的だし、廊下のようなつながりのセットもうまいと思った。

    また、実年齢に近い36歳への転換(なぜか全員メガネ・笑)もよかったし、演劇をやっている2人という設定も、ちょっと泣けてくる。
    高校生までの18年間、そしてそれからの18年間その時間軸の持たせ方がナイスなのだ。
    「おめでとう」「ありがとう」のラストの台詞が憎い。
    「黄金の時代はこないかもしれない」なんていう台詞もあったけど、いつだって黄金の時代だったし、これからもきっとあるんだろうと、個人的には思うのだ。

    何も考えずに、手放しの、輝く未来を期待するのではなく、過去のしがらみと、記憶が重なって、ラストに「未来へ」と、少しだけ橋渡しをしていくところが、またとてもいいのだ(タイトルがその意味ではストレート!)。

    これは、ひょっとして個人的な感覚かもしれないのだが、男子の友だち関係って、こんな濃度だったのだろうか、と思った。もっと、表面上はあっさりしていたような気がする。多少のドロドロ感もあったとしても、意外とさらりとしていたような気がする。相手のことなんか考える余裕もなかったということもあろうが(そして無関心でもあった)。

    そういう意味で、この舞台は、「女子校版」もあり得るのではないかと思った。

    パラドックス定数、これからも目が離せなくなった。
  • 満足度★★★★

    本当に野郎しか出てこなかった・・・
    まぁ男子校の青春群像劇だし、しょうがない。
    で華は無くとも、熱くて心に響くノスタルジーが良かった。
    何も無い舞台に、懐かしい木製の味も素っ気も無い椅子を持ちより、
    ナラクから、せり上がってくる始まりのツカミはGOODでした。
    男子高校生を演じるに恥じない動きっぷりで、
    役者さん達の熱演が見られ楽しめました。

    ネタバレBOX

    森が呼ぶという、夏向けミステリーな話があり。
    いざわなれた人間は、人々の記憶からも消えてしまうという設定も凄かった。

    いろいろな確執や人間関係を見せ、クラスメイトの森での消失。
    残ったクラス全員での捜索で括られる前半と。
    18年経って田舎を離れ東京で行われるクラス会を中心とした、
    後半の2部構成からなり。
    前半で語られたシーンに、後半での大人になって(スーツにメガネで表現)
    思い出しながらのシーンの解説は、
    人物関係がくっきり浮かび上がり、心情描写は見事でした。

    そしてタイトルになる台詞を語り、拍手で閉めるラストの演出は、
    感動できましたが。拍手の音が大き過ぎて、
    セリフがうまく聞き取れなかったのが惜しかった。

    また1部でのライター投げは、音させなくとも良かったけど。
    2部での指輪投げは、観客席後方で、実際に指輪落として音聞かせた方が
    よかったかなー、なんて思いました。

    科白に重みがあり、シーンとした観客席は。
    真剣に芝居にのめり込んだ観客の、入れ込み方が理解出来たと思った。

    2部で幽霊(?)として加わった、森に消えたクラスメイトの
    「みっともなくても生きていたかった」というセリフは、心に響きました。

    大人になった彼等の、生活背景の描写の仕方。
    開示される情報のサジ加減は、絶妙で気に入りました。

    「高校生の制服、ガクランだと舞台暗くなって駄目でしょ。」
    など微妙に現実に絡んだ、クスリと笑えるセリフがあり。
    なかなか飽きさせない会話・展開は上手でした。






  • タイトルどおり!元気で行こう!
    またいいもの観させていただきました。感謝です。
    「なんで高校生20人で、太宰?」というナゾも解けました。やっぱり深い。
    生きるっていうのは、本当にしちめんどくさい。でもそれでも生きていこうよ、がむしゃらに。ああ涙。

    そしてこれ以上は何を書こうとしてもネタバレになってしまう。。。

    ネタバレBOX

    なるほど20人全員が太宰だったんですね。

    友情に悩み、女に悩み、友のために走り、死はいつも隣にあり意識し、でもそれを恐れ、大人になったってかっこいいことは何もなく、自分の無様さに葛藤し、伝えたいことも伝えられず、それでも生きていくしかないんだ。

    タイトル長いなーと思っていましたが、「元気で行こう、絶望するな。」
    その通りですね。大きな勇気をもらいました。しっかり受け止めました。

    あと当パンに野木さんが「太宰は相当優しい男だ」と書いていましたが、
    そうだ、私は優しすぎる男が好みじゃないのだ。
    前作ブロウクン・コンソートの「悪い男たち」みたいなのが好きなのだ。よって、個人的性癖により4.8点(笑)

    オープニングは「パラドックス定数、どーした??」と驚いて笑ってしまいました。

    初見の方には「パラドックス定数オタクにしかわからないネタ・仕掛け(?)」みたいなのがあったので、どちらともいえないかなあ。今回は。
  • 6月26日(土)S
    青春群像劇。勇気をもらった。感涙。

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