満足度★★★
えーっと、
ドラマや関係性が動くためというより、雰囲気を作るための間な感じが、ちょっともったいないと思いました。
好感がもてた芝居のあと、アフタートークでなんだか残念な気持ちになりました。
これからに期待。
満足度★★★★
ふつうの演劇
6人の中から1人を選出する状況下でナチュラルに空気を読む相対的な協議は「12人の怒れる男」よりもやはり「12人の優しい日本人」に近いと感じさせる。
すんなりふつうにいい感じで観れる作品なのだが、漠然と「おしい」という感覚が残った。
相対主義が強いせいか、キャラクターの個々の想いの絶対性という点においては、未来の人と月までの距離感が現在とは異なるということを留意していても「え、そんなもんか」と感じた。
言っても「ふつうの人」が月に移住するのは初めてだという文脈や、かなり厳しい選考試験をくぐり抜けてきたらしいという状況があって、
それとキャラクター個々や持つ敗者復活戦の協議で明かされる月への想いとの間に、自分の中で納得できるバランスが取れる支点が上手く見つけられなかったのがその原因。
全体の繊細さやパンの人の想いにはきちんと納得させられるものがあったので余計なにか「あと一歩」という気持ちが強い。
もう一段階下の深度を掬っていたならば、自分にもきっと「ふつうの、すごい演劇」として納得できたと思うのだが。
満足度★★★
爽やかな修羅場
比較的物語性のある会話劇を観ながら時おり考えるのは、「せりふ=本音なのかどうか」ということ、また、「嘘は前提とされているのか」ということ。
限られた月への移住権をめぐって、議論し、対決し、揺れる人々。
希望者自らが挙手制で他の候補者を一人ずつを落選させていく――という身もふたもない状況には当然、大きな感情の起伏が伴います。
しかし、そこで不思議だったのは俳優達の佇まいが、どこかさっぱりと明るいようにも見えること。それはごく自然に舞台に立とうとする俳優のあり方で、意図しないことなのかもしれないけれど、彼らが「自然さ」「明るさ」をまとえばまとうほど、その裏には想像もつかないほど生々しい感情が隠されているようにも見える。このズレはとても面白いと思いました。
舞台美術や衣裳、チラシなど、ビジュアルのセンスにもこだわりが感じられ、気持ちのよい空間づくりがされています。それだけに、個人的にはこの気持ちよさの裏にある「生」の方へ針が触れる瞬間がもう少しはっきり見えてもよかったというか、分かりやすかった気もします。
満足度★★★
不思議な感覚でした。
ストーリーの起伏に同調してしまうことはよくあるけど、この作品ではちょっと違う。物語の中の登場人物に対しては冷静に観ていられたのに、それを演じている人間の感情にふわっとさせられたっていう感じ。
人間が物語の中で生きているっていう感情ではなく、俳優が物語の中に立ってその場で出てくる気持ちって言うのが伝わってきた気がします。俳優の身体を通して、物語人物の感情を受け取ったって言うような。
満足度★★★★★
大好きです。
今年は、芝居の当たり年らしい。
先日、競泳水着を観に行って、既に今年Noの芝居を観ちゃったかも
と思っていた矢先に、あっさりと、その高いハードルを越える芝居に出会えた。幸せ。
この芝居、まず脚本が最高です。大好きです。
プレビュー公演を観た後、もう一度、観に行きました。
それぞれおの登場人物のキャラクターも個性的。
僕は、断然、ユリコさん派ですが。
是非、再演して欲しいです。
満足度★★★★
しっかりとした会話で物語を紡いでいく
この話は初めて観たが、他の劇団でも演じられるのがよくわかった。
役ごとに見せ場があり、会話劇として面白く、演出方法によっては、もっと緊迫させることも、火花を散らすことも可能だからだ。
役者も演出家も腕の見せ所があるということだ。
今回の舞台は、じっくりと会話を見せてくれた。
ホントにうまいよなぁ
満足度★★★
たしかにこれは「ふつう」です
初めて拝見したのですが、「すごい、ふつうの演劇」という点、納得です。
ただ、「ふつうの、すごい演劇」になるかどうかは、観る人の状況とのシンクロ具合によるような気がしました。
自分自身が観に行ってよかったな・・・と感じられたのは、きっとそういうシンクロ状況があったのではないかと思うんですね。
満足度★★★★
温度差。
WIPは本当に素晴らしかったのです。しかしあの時感じた心の揺れや、繊細な時間の流れの愛おしさが、座・高円寺2という劇場では充分に感じられなかったのが残念。時間堂という劇団の持つ、人の優しい部分や優しくされたい部分にすーっと自然に流れ込んでくるその温かみが、感じられる人には感じられ、そうでない人には「で?何?」という置いてきぼり感のみが残る、そんな温度差が生まれるのではないかと危惧してしまいました。
それはやっぱり、劇場のキャパシティと演出の細やかさの釣り合いが取れていなかったのが原因かなと感じます。黒澤さんがトークショーで仰ってたように、円形で客席に囲まれた形の舞台だったら、観客が耳ちゃんを通してその話し合いに参加しているような錯覚を起こしえたかと思います。時間堂さんの持つ素敵な空気感が好きなので、もっともっと沢山の人にその良さを伝えていただきたいと切に願います。
厳しい意見を書かせていただきましたが、それでも後半は女性陣に共感させられて泣きっぱなしでした。そしてBuy1Get1という素敵なシステムのおかげで、久しぶりに会う大切な友人と素敵な時間を過ごさせていただきました、ありがとうございました。
満足度★★★★
繰り返し上演することで深化する
時間堂での再演に続き、今回もプレビューで観劇しました。
プレビューでも十分なクオリティを提示できる程に作品と向かい合った演出家、俳優との姿勢と、チラシ、舞台美術、上演とトータルカラーを細部にわたりこだわる、繊細さはとても素敵だと思いました。
決して派手な物語ではないのですが、登場人物たちのそれぞれの思いが、複雑に交差しながらも、その交点を鮮やかに描き出した演出は秀逸です。
やぁ、また会ったね。
標榜される「普通」から生まれる遣り取り。あくまで日常。劇的すぎない「普通」。
始まってからしばらくは何も始まっていない様な感覚でした。やがて思い出した様に少しずつ行く末に向けてゆっくり流れ出す。結果、何処で道を間違えたのか決定的なポイントが見付からない辿り方をする。だから最後はモヤモヤ感が残ります。このモヤモヤとどう接するかが、この作品との向き合い方。この作品が持つ温もりは人のそれに近い。余韻に思いを馳せるのは人を思い遣るのと似ています。誰かと遣り取りをしていて『は?こいつ何言っての?分かり合うの無理だわ』と切り捨ててしまう人には多分この作品はつまらないでしょう。くれぐれも勘違いに御注意頂きたいのですが、この作品が面白く感じなかった人への人間性否定ではないです。要素の話。
思い遣りが絆と足枷になるから、誰かにとっての幸せが他の全ての人々にとっても同じく幸せであるとは限らない。追うべきはその部分。月に行く事をそのまま受け入れて共感しようとしたらそりゃあ無理があっても当然。未来の話です。「都会に出る」とか「外国に行く」くらいに捉えたほうが吉。
タイトルに全てがある
アフタートークゲストでもあったので、ここではあまり発言しません。
でも、『月並みなはなし』というのは秀逸なタイトルだと思う。
色んな要素が含められていて、これが全てを表している。
そして、とてもセリさんらしい作品だった。
あと、Tシャツかわいすぎて買ってしまった。
鈴木浩司さんは、今まで私の拝見したセリ作品の中で、今回の役が一番好きだった。
満足度★★★
脚本改訂により人気演目がさらに深化
『月並みなはなし』は時間堂のオリジナル作品。劇団で再演が重ねられるだけでなく、俳優養成所の発表会や他劇団でも上演されている人気戯曲です。私もこれまでに3プロダクション拝見しています。
近未来の東京。月移民を目指してきた6人の仲間の中から、たった1人だけ月に行ける人を選ぶことに。つらい試練をともに乗り越えてきた友や恋人たちは、自分の望みを叶えるために相手を蹴落とさなければならなくなる。
舞台はほんのり木の香りが漂ってきそうな、おしゃれなレストラン。カラフルでロマンティックな衣裳を着た若い男女が、優しさで柔らかくつながったコミュニケーションを生んでいきます。
拝見したのが初日前日のプレビューだったせいもあると思いますが(むしろそれが主な理由かもしれません)、演技の面で時間堂クオリティーを達成できているようには思えず、期待が大きかっただけに少々残念な鑑賞となりました。
脚本のラストが大幅に変更されたことにより、これまでとは全く違う後味を残す作品に変貌していました。ハッピーとアンハッピーが混在し、揺れ動くのがとても良かったです。
満足度★★
月並みな芝居?
これも、静かな演劇の範疇でしょうか?
観劇が人生の喜びの重要素になっている私には、演劇というのは、どんな形にせよ、感情を揺さぶってくれるインパクトが必須条件なので、その意味で、この芝居は、私の気持ちをほとんど揺さぶるところがなくて、期待度が高かった分、ちょっと残念でした。
役者さん達、皆さん、好演されているし、脚本や演出も、決して、レベルが低いとは思いません。でも、始まりから終わりまで、ずっと同じテンポで、ストーリーに起伏もなく、進んで行くので、時折睡魔に襲われました。
丁寧に作られたお芝居で、この作品が大好きと思う方がたくさんいらっしゃるのも、納得できますが、ただ、私としては、この芝居に、3300円は高過ぎました。、3300円を投資してこの芝居を観る人間に、脚本と演出と演技者の力で、この登場人物達が本当に月に是が非でも行きたいのだという思いを信じさせてほしかったというのが、一番感じたことでした。解説や、粗筋でではなく、目の前の舞台上で、そのことを信じさせてもらえていたら、もっとこの芝居に好感が持てた気がするのです。月に行くという設定に難があるのではなく、客に掛けるマジック力が足りない気がしました。 役者さんでは、キリン役の高島玲さん、ススム役の園田裕樹さんが、特に印象に残りました。このお二人のご出演舞台には、また行ってみたい気がします。