月並みなはなし[2010] 公演情報 月並みなはなし[2010]」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-20件 / 34件中
  • 満足度★★★

    えーっと、
    ドラマや関係性が動くためというより、雰囲気を作るための間な感じが、ちょっともったいないと思いました。
    好感がもてた芝居のあと、アフタートークでなんだか残念な気持ちになりました。
    これからに期待。

  • 満足度★★★

    そういえば
    観てたんだ。

    ネタバレBOX

    ウェルメイドな雰囲気は良かった。
  • 満足度★★★★

    ふわ~っと
    した感覚。
    ふつうの演劇なんだけど、普通じゃない。ふつうって何だろうなぁ。

  • 満足度★★★★

    「月並み」ではない結末
    月に行くのは誰になるのか。喧々囂々の議論の結果出された結論。しかし……

    ネタバレBOX

    最後の最後でどんでん返しの結末。こういう結末になる理由か伏線が欲しかった。
  • 満足度★★

    観てきました。
    初観劇です。

  • 満足度★★★★

    ふつうの演劇
    6人の中から1人を選出する状況下でナチュラルに空気を読む相対的な協議は「12人の怒れる男」よりもやはり「12人の優しい日本人」に近いと感じさせる。
    すんなりふつうにいい感じで観れる作品なのだが、漠然と「おしい」という感覚が残った。
    相対主義が強いせいか、キャラクターの個々の想いの絶対性という点においては、未来の人と月までの距離感が現在とは異なるということを留意していても「え、そんなもんか」と感じた。
    言っても「ふつうの人」が月に移住するのは初めてだという文脈や、かなり厳しい選考試験をくぐり抜けてきたらしいという状況があって、
    それとキャラクター個々や持つ敗者復活戦の協議で明かされる月への想いとの間に、自分の中で納得できるバランスが取れる支点が上手く見つけられなかったのがその原因。
    全体の繊細さやパンの人の想いにはきちんと納得させられるものがあったので余計なにか「あと一歩」という気持ちが強い。
    もう一段階下の深度を掬っていたならば、自分にもきっと「ふつうの、すごい演劇」として納得できたと思うのだが。

  • 満足度★★★

    爽やかな修羅場
    比較的物語性のある会話劇を観ながら時おり考えるのは、「せりふ=本音なのかどうか」ということ、また、「嘘は前提とされているのか」ということ。

    限られた月への移住権をめぐって、議論し、対決し、揺れる人々。
    希望者自らが挙手制で他の候補者を一人ずつを落選させていく――という身もふたもない状況には当然、大きな感情の起伏が伴います。
    しかし、そこで不思議だったのは俳優達の佇まいが、どこかさっぱりと明るいようにも見えること。それはごく自然に舞台に立とうとする俳優のあり方で、意図しないことなのかもしれないけれど、彼らが「自然さ」「明るさ」をまとえばまとうほど、その裏には想像もつかないほど生々しい感情が隠されているようにも見える。このズレはとても面白いと思いました。

    舞台美術や衣裳、チラシなど、ビジュアルのセンスにもこだわりが感じられ、気持ちのよい空間づくりがされています。それだけに、個人的にはこの気持ちよさの裏にある「生」の方へ針が触れる瞬間がもう少しはっきり見えてもよかったというか、分かりやすかった気もします。





    ネタバレBOX

    「月の移住」という夢は一見ファンタジックですが、この作品を見る限りでは、人びとは月に行っても、地球に居るときと同じ生活を営むのかもしれません。いや、もしかしたら、この選ぶ/選ばれないという一種の「修羅場」は彼らに傷を残しさえするかもしれません。
    では地球に残された人は不幸だったでしょうか。落選した男が恋人と寄り添って立つラストシーンには、「生活していくこと」の現実と幸福をじっくりと噛み締めたくなるような美しさがありました。
  • 満足度★★

    つきなみ
    全てがつきなみだった。始まりから終わりまで起伏がなく、退屈だった。

  • 満足度★★★

    不思議な感覚でした。
    ストーリーの起伏に同調してしまうことはよくあるけど、この作品ではちょっと違う。物語の中の登場人物に対しては冷静に観ていられたのに、それを演じている人間の感情にふわっとさせられたっていう感じ。

    人間が物語の中で生きているっていう感情ではなく、俳優が物語の中に立ってその場で出てくる気持ちって言うのが伝わってきた気がします。俳優の身体を通して、物語人物の感情を受け取ったって言うような。

    ネタバレBOX

    おそらく、ある言葉に対して当然あると予想されるリアクションがここにはあるわけじゃないっていうのが、そんな感覚が生まれた元じゃないかと。言葉尻を捕らえたらこういう言葉にはこういう反応を示すであろう、っていう思い込みをどこまでも排除したやり方をしているから、ほんとにその場でそういう言葉を言われた俳優の感覚が如実に現れているってことなんでしょうね。

    月に行ける、行けないが本当に判明した瞬間の反応にそれが現れてた。

    だからある意味自分の感覚とはずれを感じたりもするから冷静に観ていられる。そこでその俳優の反応に吸い込まれるかってところ。

    今回、クライマックスでコウドウが月に行けない理由を明確にしなかったってことで、そういう感じが強まったような気がします。理由が示されるとそれに対してみている客側も反応が生まれる。そういう観客の反応を生み出さないようにして俳優の感覚が伝えようとしていたようにも思います。

    他では感じられない不思議な感覚だったのでおもしろかったです。

  • 満足度★★★★★

    大好きです。
    今年は、芝居の当たり年らしい。
    先日、競泳水着を観に行って、既に今年Noの芝居を観ちゃったかも
    と思っていた矢先に、あっさりと、その高いハードルを越える芝居に出会えた。幸せ。
    この芝居、まず脚本が最高です。大好きです。
    プレビュー公演を観た後、もう一度、観に行きました。

    それぞれおの登場人物のキャラクターも個性的。
    僕は、断然、ユリコさん派ですが。
    是非、再演して欲しいです。

    ネタバレBOX

    コウドウさんについて
    最終的に、彼が落選となったわけだが、
    僕の中では、彼は選ばれたのだと思う。逆に。

    残りのメンバーは、移民となって月に行く。
    コウドウさんは、選りすぐられたメンバーとして、
    他グループの選抜者とともに活躍するに違いない。きっと。
  • 満足度★★★★

    空間を満たす力
    役者たちから滲み出す想いの密度にたっぷりと浸潤されました。

    ネタバレBOX

    ワークインプログレスの時には弊害にすら感じられた舞台の広さを
    本番ではしっかりと味方つけて、
    それぞれの想いが詰め込まれることなく個々に羽根を広げ、
    重なっていく。

    決して狭くはないであろう劇場の舞台がしっかりと満ちていました。
    均質ではなく、時に強くあるいは繊細に揺らぎながら、
    空気の粒子がさらに微細化し様々な色を帯び、
    研ぎ澄まされて観る側に入り込んできます。

    ポストパフォーマンストークで、
    ゲストの吉田小夏さんもおっしゃっていましたが、
    ほんとうによいカーテンコールがやってきました。

    観終わってたっぷりの充足感がありながら、
    それが重さにならず心に残る・・・。
    個々の想いの深さが塊として残らずに、
    心の内側にすっとしみ込んだような感触。
    でも揮発していくわけではなく、
    満たされ感としてそこにある。

    帰りの電車でドア越しの景色を見ながら、
    さらにいろんなものが心を去来して、
    観てきたものの秀逸さを実感したことでした。

  • 満足度★★★★

    しっかりとした会話で物語を紡いでいく
    この話は初めて観たが、他の劇団でも演じられるのがよくわかった。
    役ごとに見せ場があり、会話劇として面白く、演出方法によっては、もっと緊迫させることも、火花を散らすことも可能だからだ。
    役者も演出家も腕の見せ所があるということだ。

    今回の舞台は、じっくりと会話を見せてくれた。

    ホントにうまいよなぁ

    ネタバレBOX

    物語の本題に入るまでの導入部分が、やや長いと感じたが、本題に入ってからの会話は面白い。

    今までこのメンバーがグループとなって、長い間戦ってきたという背景がある上での会話なので、余計な説明を加えることもないところがいい。
    例えば、自己アピールも、散々今までにしてきたであろうから、ここでは論じるというよりは、感情とストレートに直結して語るというところも素晴らしい。

    余計な説明台詞は最小限なところがうまいし、会話として成立している。
    耳ちゃんの設定は、ないと観客が困るのだから、これはしょうがない。

    キャラクターもはっきりしていてわかりやすいし、どの登場人物も自分の気持ちにストレートなので、さらにわかりやすくなっている。
    ただ、部外者の1人「耳」の、あまりにも空気読めない的なところは少々疑問だ。あんな空気の中、いくら何でも爆笑はできないだろうに、と思ったりも。

    一番の根幹にある、彼らが、月に行くことに何を見いだしているのか、その本音をもう少し理解したかった。
    つまり、どの登場人物も「今の状況から逃げ出したい」という気持ちが根底に強くあり、それを「月に行ってこうしたい、ああしたい」という、まるで前向きなコトバに変換しているのではないのだろうか。だからこそ、彼らは、強迫観念のように「月に行きたい」となっているように思えた。
    その切羽詰まった気持ちが、台詞や行動に表れていたように思えるのだ。

    その感じ、あるいはホンネがもう一歩表現されていたら、さらに彼らの状況が伝わってきたのではないかと思った。

    強い自己主張で語り合う様子は、我々日本人的ではないのだが、60分というタイムリミットと月に行きたいという強い気持ちがそうさせているので、まったく違和感がなかったし、実は、言いたいことを言えてない人もいるという設定が、さらに素晴らしいと思った。

    討論はスポーツを感じた。ちょっと爽やかすぎかな。

    ただ、少々厳しいことを言えば、途中に伏線らしき伏線もないので、ラストはどのような展開にもできてしまう。その中で選択されたラスト(舞台のラストではなく、移住者選定についての結果)は、誰もが最初に考えつくものであったというのがちょっと残念だった(選ばれた者のみが行けないという設定)。
    しかし、この決定にぐだぐだと説明を加えることなく、すっぱりと切ったところは、おっうまい! と思った。

    さらに、舞台のラスト、2人が佇むシーンは、その時間の間合いがうまいと唸った。
    普通だったら彼女に何か言ったりして台無しになるところが、そうじゃなかったところに好感を持つ。
    女が妊娠していることも、観客には告げているのだが、それを討論の場でもラストでも言わないところも素敵だ。

    このあたりのうまさが、この劇団の良さだろう。


    どうでもいいことだが、「耳」ちゃんのお兄さん「ハナ」ちゃんは「鼻」ちゃんかなと思ったり(笑)。そう言えば、「ハナちゃん」と「ちゃん」付けで呼ばせていて、彼らとの関係を見せているのもうまいよなぁ。
  • 満足度★★★

    たしかにこれは「ふつう」です
    初めて拝見したのですが、「すごい、ふつうの演劇」という点、納得です。
    ただ、「ふつうの、すごい演劇」になるかどうかは、観る人の状況とのシンクロ具合によるような気がしました。
    自分自身が観に行ってよかったな・・・と感じられたのは、きっとそういうシンクロ状況があったのではないかと思うんですね。

    ネタバレBOX

    選択すること、選択されること。
    あるいは、選択をあえてしないこと、あえて選択されようとすること。
    そこにある理不尽な感じを描いている作品。
    ストーリーだけをとってみたら、かなり予定調和的。
    でも、舞台を流れる時間に、なぜか自分の気持ちがシンクロしてしまうのは、この選択するとか選択されるとかという状況がリアルだからでしょうねぇ。
    ま、別に現実の生活では、「月に行く」わけじゃぁないんですけど。
  • 満足度★★★★

    温度差。
    WIPは本当に素晴らしかったのです。しかしあの時感じた心の揺れや、繊細な時間の流れの愛おしさが、座・高円寺2という劇場では充分に感じられなかったのが残念。時間堂という劇団の持つ、人の優しい部分や優しくされたい部分にすーっと自然に流れ込んでくるその温かみが、感じられる人には感じられ、そうでない人には「で?何?」という置いてきぼり感のみが残る、そんな温度差が生まれるのではないかと危惧してしまいました。
    それはやっぱり、劇場のキャパシティと演出の細やかさの釣り合いが取れていなかったのが原因かなと感じます。黒澤さんがトークショーで仰ってたように、円形で客席に囲まれた形の舞台だったら、観客が耳ちゃんを通してその話し合いに参加しているような錯覚を起こしえたかと思います。時間堂さんの持つ素敵な空気感が好きなので、もっともっと沢山の人にその良さを伝えていただきたいと切に願います。
    厳しい意見を書かせていただきましたが、それでも後半は女性陣に共感させられて泣きっぱなしでした。そしてBuy1Get1という素敵なシステムのおかげで、久しぶりに会う大切な友人と素敵な時間を過ごさせていただきました、ありがとうございました。

  • 満足度★★★★

    繰り返し上演することで深化する
    時間堂での再演に続き、今回もプレビューで観劇しました。
    プレビューでも十分なクオリティを提示できる程に作品と向かい合った演出家、俳優との姿勢と、チラシ、舞台美術、上演とトータルカラーを細部にわたりこだわる、繊細さはとても素敵だと思いました。
    決して派手な物語ではないのですが、登場人物たちのそれぞれの思いが、複雑に交差しながらも、その交点を鮮やかに描き出した演出は秀逸です。

  • やぁ、また会ったね。
    標榜される「普通」から生まれる遣り取り。あくまで日常。劇的すぎない「普通」。
    始まってからしばらくは何も始まっていない様な感覚でした。やがて思い出した様に少しずつ行く末に向けてゆっくり流れ出す。結果、何処で道を間違えたのか決定的なポイントが見付からない辿り方をする。だから最後はモヤモヤ感が残ります。このモヤモヤとどう接するかが、この作品との向き合い方。この作品が持つ温もりは人のそれに近い。余韻に思いを馳せるのは人を思い遣るのと似ています。誰かと遣り取りをしていて『は?こいつ何言っての?分かり合うの無理だわ』と切り捨ててしまう人には多分この作品はつまらないでしょう。くれぐれも勘違いに御注意頂きたいのですが、この作品が面白く感じなかった人への人間性否定ではないです。要素の話。
    思い遣りが絆と足枷になるから、誰かにとっての幸せが他の全ての人々にとっても同じく幸せであるとは限らない。追うべきはその部分。月に行く事をそのまま受け入れて共感しようとしたらそりゃあ無理があっても当然。未来の話です。「都会に出る」とか「外国に行く」くらいに捉えたほうが吉。

    ネタバレBOX

    自分が観た5パターン目の「月並みなはなし」でした。黒澤演出としては時間堂07年版と朋友版に続いての3パターン目。それぞれに違う在り方。その違いは更なる成長があったからではないと思うのです。同じ親でも子供の育ち方には違いが出るもの。どの子供の出来が良いかなんて比べても仕方がない。
    けれど。今回ならではに思えたのは「ほんのり」感。月移民グループになぁなぁ感がありました。舞台から降りた時の役者同士の関係も友人として良好なのでしょうが、それが演技をなぁなぁにさせていたとかではなく。登場人物に明らかな上下関係があればその擦れ違いで物語の生まれどころは分かり易くなります。しかし今回はそうせずそれぞれにお互いを同じくらい思い合うなぁなぁな人々だったからこそ、ゆくゆくの『なんでこうなっちゃたんだろう』感が色濃く。業を背負って当然なんて人はあの中にいなかったはずなのに。願いが叶ったのに幸せになれなかった人々と、願いが叶わなかったけど新たに別の幸せの可能性を得たコウドウ。これまでは能力を持ちながら選ばれなかった彼の遣る瀬なさを感じていたラストが、今回はかなり明るい未来を示唆していたかと。ただし彼以外は微妙。誰かの幸せは誰かの犠牲の上に。幸せになる事への責任。感謝よりも深く。しっかり「いただきます」と言って動植物を口にするのにも似ているかも。
    個人的には音響と照明が豪華すぎました。07年版はシネマプライスシリーズで、朋友はアトリエ公演だったからそれらが簡素だったのかな?初演はどうだったのか。目の前に役者がいる事、人の遣り取りから生まれるものこそのみを体感していたかった。
  • タイトルに全てがある
    アフタートークゲストでもあったので、ここではあまり発言しません。
    でも、『月並みなはなし』というのは秀逸なタイトルだと思う。
    色んな要素が含められていて、これが全てを表している。
    そして、とてもセリさんらしい作品だった。
    あと、Tシャツかわいすぎて買ってしまった。
    鈴木浩司さんは、今まで私の拝見したセリ作品の中で、今回の役が一番好きだった。

  • 満足度★★★

    観てきた!
    決して嫌いじゃないけど、ハマらなかった。

  • 満足度★★★

    脚本改訂により人気演目がさらに深化
     『月並みなはなし』は時間堂のオリジナル作品。劇団で再演が重ねられるだけでなく、俳優養成所の発表会や他劇団でも上演されている人気戯曲です。私もこれまでに3プロダクション拝見しています。

     近未来の東京。月移民を目指してきた6人の仲間の中から、たった1人だけ月に行ける人を選ぶことに。つらい試練をともに乗り越えてきた友や恋人たちは、自分の望みを叶えるために相手を蹴落とさなければならなくなる。

     舞台はほんのり木の香りが漂ってきそうな、おしゃれなレストラン。カラフルでロマンティックな衣裳を着た若い男女が、優しさで柔らかくつながったコミュニケーションを生んでいきます。

     拝見したのが初日前日のプレビューだったせいもあると思いますが(むしろそれが主な理由かもしれません)、演技の面で時間堂クオリティーを達成できているようには思えず、期待が大きかっただけに少々残念な鑑賞となりました。

     脚本のラストが大幅に変更されたことにより、これまでとは全く違う後味を残す作品に変貌していました。ハッピーとアンハッピーが混在し、揺れ動くのがとても良かったです。

    ネタバレBOX

     月面初のエレベーターガールをめざすキリン(髙島玲)の父親のエピソードが加えられたことにより、彼女が月移民を目指す動機の確かな裏付けができて、切実さが増しました。

     月移民を選抜する側のハナちゃん(木内コギト)は会議で選ばれたコウドウ(鈴木浩司)を失格とし、残りの5人を月移民にすると宣言します。これまでは「私たちが欲しいのは選ばれる人間ではなく、選べる(選ぶことができる)人間なのです」と述べていたのですが、そのセリフはカットされ、代わりに「法律により理由は公表できない」というお役所らしい返答となっていました。

     その理不尽さに耐えかねたパン屋のアマネ(金子久美)は仲間にも絶望し、「もう二度と顔も見たくない」と言い捨てて部屋を出て行ってしまいます。つまり模範解答を導き出して試験に合格したものの、彼らの心はバラバラになってしまう悲しい結末でした。

     地球に残ることになったコウドウとまだ彼に妊娠を告げられずにいる恋人(原田優理子)との、無言のシーンで終幕。このラストシーンは今まで観た中で一番の出来だったように思います。
  • 満足度★★

    月並みな芝居?
    これも、静かな演劇の範疇でしょうか?
    観劇が人生の喜びの重要素になっている私には、演劇というのは、どんな形にせよ、感情を揺さぶってくれるインパクトが必須条件なので、その意味で、この芝居は、私の気持ちをほとんど揺さぶるところがなくて、期待度が高かった分、ちょっと残念でした。
    役者さん達、皆さん、好演されているし、脚本や演出も、決して、レベルが低いとは思いません。でも、始まりから終わりまで、ずっと同じテンポで、ストーリーに起伏もなく、進んで行くので、時折睡魔に襲われました。
    丁寧に作られたお芝居で、この作品が大好きと思う方がたくさんいらっしゃるのも、納得できますが、ただ、私としては、この芝居に、3300円は高過ぎました。、3300円を投資してこの芝居を観る人間に、脚本と演出と演技者の力で、この登場人物達が本当に月に是が非でも行きたいのだという思いを信じさせてほしかったというのが、一番感じたことでした。解説や、粗筋でではなく、目の前の舞台上で、そのことを信じさせてもらえていたら、もっとこの芝居に好感が持てた気がするのです。月に行くという設定に難があるのではなく、客に掛けるマジック力が足りない気がしました。                 役者さんでは、キリン役の高島玲さん、ススム役の園田裕樹さんが、特に印象に残りました。このお二人のご出演舞台には、また行ってみたい気がします。

    ネタバレBOX

    私は観ていませんが、以前テレビで放送していたという「サバイバルゲーム」的内容で、また「コーラス・ライン」も思い出しましたが、「コーラス・ライン」程の、ドラマチックな人生が各人にあるわけではなく、月に行きたいという各人の思いが希薄な感じで、たたでさえ、月に行くなどと、感情移入しにくいストーリーに、より、別に、誰が選ばれようが、私には無関係感が増幅され、何だか、舞台の中の世界感に全く浸れませんでした。設定が近未来だという解説ですが、少なくても、舞台から受けた印象では、とても近未来感は感じられず、今の郊外レストランとしか観受けられませんでした。

    だいたい、あんなにしょっちゅうタバコを吸わずにいられない人間は、もっと早くに皆に落とされるのではないでしょうか?
    それに、ラストのコウドウとモリの無言シーンの長いこと!アフタートークでの、黒澤さんのお話によれば、あのシーンは殊更演出を付けず、お二人に演技を任せたのだとか。だったら、あんなに長い必要性を感じませんでした。無言でも、二人の思いがきちんと表出されているなら構いませんが、あれでは、一体いつ終わってくれるの?とさえ思う程で、ちょっと冗長過ぎて、せっかくの終幕シーンが、逆効果だった気がします。最後に地球に残ることになる二人は、私の観る限り、一番役を生きてない感じのするお二人でした。まず二人が恋人同士には全然見えません。かなりの名優でも、無言劇で、思いを客席に届けられる力量のある役者はそうはいないと思います。それなのに、この大切なシーンを役者任せにできるなんて、この演出家の腹のうちが私には理解できませんでした。
    このお芝居、確かに、佳品と言える味わいはあると思うのです。次にこの芝居を観るなら、黒澤さんご自身の演出ではない、他の演出家による上演で、観てみたいと思いました。

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