『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』 公演情報 『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-20件 / 34件中
  • 満足度★★★★★

    渾身の舞台!
    【心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~】

     谷賢一の才能の引き出しはどこまであるのかと恐ろしくなった。この毛色の違う二作品を同時期に演出するだけで気が狂う作業なのに、この作品には自分で主演している。始める前に、いくら谷賢一とはいえ役者としては並だろうと想像したことを謝らなければならない。しっかりと谷賢一にしか出来ない演技を確立していた。お見事だ。
     堀奈津美は今回の芝居で一皮むけたのではないかと思う。元々達者な女優だが、自分をさらけ出し、一番醜いところまで見せた上で輝くという最高の演技が出来ていた。
     最初から最後まで想像力をかき立てられた。 


    【プルーフ/証明】

     舞台装置はテーブルがひとつ、休憩時間をはさんで2時間20分ののドラマをたった4人の役者で見せる。片時も目が離せない。ひきつけられる。まずその役者の力量にしびれた。ダルカラの大女優清水那保はもちろんのこと、4人とも素晴らしい。名優同士が舞台上で火花を散らすというような芝居。ストーリー展開の面白さもあるが、役者同士の戦いにまず感動した。そう言えば清水那保、つい1ヶ月ちょっと前にマリー・ド・ブランヴィリエ公爵夫人という稀代の殺人鬼を堂々と演じたばかり、その同じ女優が今回は神経質で折れそうなナイーブな女性を、繊細に演じている。どちらも難しい役なのに全身で演じ、自分のものにしている。なんて女優だ。

     この公演を最後にDULL-COLORED POPはしばらく活動を休止するという。残念でならない。だがその前の集大成としての舞台に恥じない作品だ。脚本と演出と役者だけで見せる本物のストレートプレイ。渾身の舞台という表現がこれほど似合う舞台はない。

  • 満足度★★★★★

    「プルーフ/証明」 いくつものトーンが重なって・・・。
    登場人物間それぞれに
    異なるトーンが作られて、
    良い意味でまじりあうことなく
    ある種の光をもって重なり合っていきます。

    役者たちの演技にぶれがなく
    個々のシーンに瑞々しさと質感があって
    登場人物の想いや感情がまっすぐにやってくる。

    深く豊かな密度を持ちながら
    しっかりとエッジの立った、
    出色のストレートプレイでありました。


    ネタバレBOX

    谷賢一氏が翻訳・演出を手がけたこの作品、
    同じ翻訳でのコロブチカ版(黒澤世莉氏演出)を観ています。
    その時には、一つの貫くような質感で舞台が満たされ、
    個々の個性が同じ空気から深く滲みだしてくるような
    印象がありました。

    一方今回谷氏自身の演出では
    個々の人物間に異なるトーンや質感があって。
    3人が同時に舞台にあれば、3つのトーンがそこにあるのです。
    それらの輝度が物語の進行に伴って、次第に高まっていく感じ。
    ひとつに混じり合うのではなく、
    互いを照らすようにして舞台の密度を高めていきます。

    客入り時からすでに
    主人公キャサリンの空気に取り込まれます。
    机と椅子だけのシンプルな舞台に
    彼女の時間が鮮やかに浮かび上がってくる。
    重なっていく父親への愛憎、
    数学者のハルとの距離感と歩み寄る中での互いの葛藤、
    姉のクレアとの確執。
    それらがいくつものトーンのなかで、
    繊細かつ丁寧なだけではなく、
    時には鮮やかに、あるいは恣意的なベクトルをもって
    沈むように、突き刺さるように、弾けるように、包み込むように
    描かれていきます。

    役者が良いのですよ。
    たとえば、
    キャサリンや父親が持っている才能に対する
    自身の感覚と外側からの見え方の差異なども
    とてもしなやかに観る側へ伝わってきます。
    かつて女性が発見したという
    素数の定理に関する説明をさらっと行なうときの
    キャサリンとのさりげなさに目を奪われて。
    それが伏線となって自らの才能をもてあます彼女の姿や
    才能をもたない者のとまどいが
    よりヴィヴィドに観る側にやってきます。
    役者が顕す刹那の感情の明確さが、
    物語を膨らませる確かな力になっていく。

    二日酔いのクレアから溢れる人間臭さが
    彼女のまっとうな価値観や
    キャサリンの想いの重ならない部分を顕わにしたり、
    ハルが初めてキャサリンと出会うシーンでの緊張感が
    再び出会う彼らの距離を作り出したり・・・。

    さらには観るものを取り込んでいく
    震えがくるほどの創意に溢れた表現手法達に目を瞠ります。
    インナーイヤーのヘッドフォンを外す姿と音のリンク、
    役者達の舞台への入り方やはけ方、
    キスシーンの音楽とライティングの美しさ、
    紅茶を注ぐ音が醸し出す時間、
    最後に言葉を内包した闇が照らし出すその先の広がり・・・、&More。
    シーンの一瞬に込められたものから、骨格のように作り上げられたものまで。
    役者達の芝居の秀逸さが、
    それらの表現に切れ味のあるニュアンスと力を与えていきます。
    個々の役者が積み上げた感情には、
    手練を生かすだけの奥行きがあるのです。

    知っている物語なのに、
    惹き込まれて、目を見開き、浸潤され、
    ボリューム感を持った面白さに満たされて。
    コマの関係でもう一度この作品を観るのが難しいことが凄く残念。

    あと、うまく言えないのですが、
    黒澤演出と谷演出、両方観たことから
    同じ戯曲という土俵の上での優劣を感じるのではなく、
    それぞれの演出の良さがやってきたことで
    とても豊かな気持ちになれて。
    何かが生かされれば何かが隠れる。
    優れた戯曲と演出の関係にはそんな部分があるような気もして。

    同じ素材からやってくる異なるテイストのすばらしさに
    べたな表現ですが、
    演劇っておもしろいとわくわく思ったことでした。

  • 満足度★★★★★

    プルーフ/証明
    震えました。
    今のところ、今年No. 1かもしれない。

  • 満足度★★★★★

    もう一度、観たい!!
    『プルーフ/証明』
    いやぁ~、凄い!!
    なんて言っていいんだろう。
    アングラ/シリアス系で今年一番です。
    掴まれてます。
    眠れないかも知れません(笑)。

    『証明』したいこと、出来ない事。
    自分の心、相手の心、愛情、正常、異常…。

    あ~、凄かった。
    ちょっと整理して、明日書きます。
    もう一度、観たいなぁ。

    活動休止って、勿体無いよ。

    ネタバレBOX

    計:2時間20分,休憩10分。
    1昼夜経ったけど、まだ、支配されてます(笑)。

    キャサリン、凄かった。魅力的。
    心の置き場のない時、可愛い時、天才の時、女の子の時、慈しんでいる時。
    ヒリヒリと伝わってきます。
    敬愛する天才の末路と、自らが同じようになってしまう不安と、天才の片鱗への誇り。
    思えば、開演前から彼女に持っていかれてるんですよね。

    天才の父親。
    研究に対する理知と狂気、娘に対する厳格と甘さ。
    私には、「その人そのもの」にしか見えない。

    現実を生きる姉。
    彼女がいるから、観客はこの舞台の世界を明確に自分の中に取り込めるんですね。

    セットは、テーブルと椅子3脚、それだけ。
    でもいろんな場所に化けて見えるんです。
    凄い役者さんたちだなぁ。

    重い一幕目、ちゃんと軽やかに笑いをとる二幕目頭。
    重い芝居から立ち上がるのは、難しいと思うんですけど、サラッとやってのけている。
    素敵なライティング。
    素敵な本。
    良いカンパニーだ。

    「美しい」。
    数学的な世界では、昔実際よく言われた言葉です。
    私がコンピュータの世界に身をおき始めた頃、まだまだハード資産が貧弱でコーディング(プログラミング)の美しさが、そのまま処理速度に繋がっていました。
    本当に数学的センスのある先輩のコードは美しく、自分の能力との差に驚愕したものです。

    休業、もったいないなぁ。
    やっぱり、もう一回見に行きます!!
  • 満足度★★★★★

    出会うのが遅すぎた
    飴屋法水版への期待がより一層高まったが
    何よりも、谷賢一氏に惜しみない拍手を!

    ネタバレBOX

    作者(谷)本人と、その恋人
    サラと、その担当医

    二役
    曖昧な境界線
    様々な物が散乱していく

    次々と語られる言葉が渦となり
    そのカオスに包まれた拙僧は涙せずにいられなかった
  • 満足度★★★★★

    忘れられません…。
    「プルーフ/証明」。
    2度目、観に行っちゃいました。
    強く、強く、鷲掴まれています。
    この父娘がもの凄く愛おしいです。
    何故でしょう。

    ソフィー・ジェルマン素数。
    この話をしているときのキャサリンの瞳。
    きっと忘れないと思います

    キャサリンの手。
    黒いベルベットのドレス姿で、ハルの背中に回したキャサリンの手。
    寒い自宅の庭で、父を触る時のキャサリンの手。
    きっと忘れないと思います。

    パスタと機械とラジエター。
    「笑い」と「数学者の頭脳」と「狂気と、それに気が付く自分」。
    きっと忘れないと思います。

    楽日の空気のなせる業でしょうか。
    父親役の中田さん。
    この日は前半から、遊びましたね。
    それも素敵でした。

    キャサリン役の清水那保さん。
    父親ロバート役の中田顕史郎さん。
    姉クレア役の木下裕子さん。
    ハル役の小栗剛さん。
    翻訳・演出の谷賢一さん。

    ダルカラ。

    皆さんの仕事、これからも見続けます。
    いつの日にか、必ずこのカンパニーで戻ってきて下さい。
    待っています。


    劇場のレビューなどはコチラをご覧下さい。
    http://ameblo.jp/potes-impressions/

  • 満足度★★★★★

    祝福されたる未来の証明
    ほとんどイスとテーブルぐらいしか何もない舞台で4人芝居。2時間半。音楽の使用も最小限だ(というかあったか?思い出せない)。そんなんじゃ、ふつうはもたない。空間的にも時間的にももたない。もちろん出演者が、寺島しのぶとかなら別だが、小劇場程度の人間がいくら出てもふつうはもたない。が、もたせた。そこがすごい。そして、あの世界がもった理由。それは、ひとえに、清水那保。そこにつきる。

    僕は「小部屋の中のマリー」からしか谷さんの芝居を観ていない・・・あ、柏でやったロミジュリが一番最初か・・・まあダルカラを観たのは「小部屋の中のマリー」からなので、清水さんを観たのもそれからなのだが、僕は不思議な感慨をもっていた。

    ・・・谷さんは劇団の主演女優・清水那保をうまく使えていないんじゃないか・・・という感慨。

    「小部屋の中のマリー」のマリーはハマリ役のように見えるが作りものな感じがどこかある。それはブランヴィリエ侯爵夫人も同じ。清水さんの芝居には常に作りものの感覚があった。谷賢一の要求水準(演技の要求水準ではなく物語にかかわる「存在」としての要求水準)があまりにも高いため、清水那保ががんばって背伸びをしているという感じが常にあった。

    しかし、『プルーフ/証明』のキャサリン役。
    今回はどんぴしゃりと過不足のないハマリ役になったと言っていい。
    数式でいえば「キャサリン=清水那保」だ。

    ネタバレBOX

    (中略)

    わからないが、谷賢一は、劇団活動を休止するギリギリにして、はじめて清水那保を100%使うことのできる演目を見つけることができたのかもしれない。nを無限大に飛ばした。これは偉大なことだ。毎回自分を100%出したり、他人を100%使えたりしているなんて思うバカは死んだほうがいい。自分が自分であることに人は迷い続ける。だが谷賢一はついに清水那保を発見した。あなたがあなたであることを示した。これはすごいことだと思う。最後のギリギリにそんな演目を間に合わせることがシャレている。谷賢一らしい。

    清水那保=キャサリンという発見、その僥倖によって、ダルカラの、今後あるかないかわからない未来は輝かしいばかりに照らし出されることになった。だから僕たちは安心して谷賢一を、そして清水那保を待つことができる。今回の作品『プルーフ/証明』の成功こそが、彼らの祝福されたる未来のなによりのproof/証明なのだから。
  • 満足度★★★★★

    瞬間の芝居
    『プルーフ/証明』はわかりやすい。ストーリーがもう評価の確定した本である。とはいうものの誰がやっても面白いわけではなく、あの水準に、持っていった谷賢一は当然評価されるべきだ。だが、それよりも何よりも、『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』にこそ注目すべきである。

    ネタバレBOX

    ちなみに、これを観た後に僕が見た演劇は

    ハイバイ『て』

    砂地『ナノクライシス ポルノグラフィ』

    五反田団『生きているものはいないのか』

    五反田団『生きているものか』

    だが、どれもすばらしかったが

    そのどれよりも、素晴らしかったのは表題の

    DULL-COLORED POP『心が目を覚ます瞬間 ~4.48サイコシスより~』

    だと思う。

    最近で言うと、野田秀樹の『ザ・ダイバー』日本バージョンに匹敵する。

    つまり、世界標準であろうということだ。

    そして谷賢一が、この演目を単体でやったのではなく

    もうひとつの『プルーフ/証明』と抱き合わせ販売したというのがナメている。

    演劇をなめきっている。

    そしてナメキルだけの才能があることを証明した。しやがった。

    このすごさがどれだけの人がわかるだろうか。

    本人も総括を書いてしまったので、

    なんだか後出しじゃんけんみたいなことになるが、

    『プルーフ/証明』は連続時間の芝居

    『心が目を覚ます瞬間 ~4.48サイコシスより~』は瞬間の芝居

    その両方をやれますよーみたいな演劇を舐め切ったことをしたのである谷賢一は。

    そして舐め切れることも証明した。ひどい(笑)

    ちなみに、「連続時間の芝居」と「瞬間の芝居」をわかりやすく言えば、「ストーリーのある芝居」と「ない芝居」、あるいは「映画になる芝居」と「映画にならない芝居」というか「映画になるかもしれないがなったとしても人の入らない芝居」(笑)とでもいおうか。

    それこそ、「連続時間の芝居」は丹念に表現することが求められる。そこに必要なのは忍耐であり、苦痛を我慢することであり、大人の目をもつことだ。一方、「瞬間の芝居」はすべての観念から自由になることが求められ、逃げ続けることが求められる。そこで必要なのは、わがままになることであり、少しの苦痛も我慢しないことであり、子供の目をもつことだ。

    『プルーフ/証明』では、登場人物たちの心の交流変化、ストーリーに感動する。

    『心が目を覚ます瞬間 ~4.48サイコシスより~』では、人間の想像力が自由であることに感激する。

    僕は、谷さんと堀奈津美さんが服を着こんでいるところとか、風船を割るところとか、まきちらすところとか、思い出すだけでも泣けてくる。何に泣けるかというと、自由であること、そっせんして自由であること、自由には無限の可能性があること、だがその自由にさえ終りがあること、終りがあることなんて谷賢一は十分わかってる。わかってるがそれでも自由であろうという精神を体現しようとするところ、ドンキホーテであろうとするところ、泣きながら、そして笑いながら上りつめる、…いとおしい人間と言うちっぽけな魂を抱きしめようとする行為、僕は、あの瞬間に世界が終っても満足したと思う。そんな芝居であった。

    谷賢一はもう演劇の世界に戻ってこなくていいよ。怖いから(笑)

  • 満足度★★★★★

    『プルーフ/証明』
    コロブチカでの舞台を見て、その緻密で繊細な戯曲と演出を知っていたので、谷賢一さんの演出と役者さんの演技に興味がありました。
    コロブチカは素晴らしすぎたけど、ダルカラにはそれに並ぶかそれ以上のものが出きると期待させるだけのものがあるのでした。

    そして、最初の一幕目を見ただけでもそれが戯曲の力やコロブチカ版負けていない事がわかって、2時間半の間時間を忘れて集中して見入ってしまったのでした。

    ネタバレBOX

    最初のキャサリンと父親のシーンからグイグイと引き込まれるのだけど、父親役の中田顕史郎氏の演技から目が離せない。
    その声、表情、仕草。
    全てが観客を引きつける。

    だけど、もう一方の清水那保さんの存在感も圧倒的で、ほぼ素舞台に近いこの飾り気の無い空間を役者二人だけで完全に支配していた。

    コロさんの繊細なキャサリンも好きだったけど、清水さんのガラスのような切れのあるキャサリンも好きです。

    この戯曲はたった4人の登場人物の会話だけで2時間半を見せきってしまう。
    実力のある役者の力を最大限に引き出させるのだと思う。
    逆に力のない役者がやると荒が目だってダメなんだろうな。

    オフブロードウェイから始まってトニー賞、ピューリッツァー賞などを受賞するに至った作品ということだけど、日本でもこれだけの戯曲を小劇場だけにとどめておくのは勿体なさすぎる。


    できればこの演出・役者の組合わせで、そのままもっと大きな劇場へ持っていって上演してほしいものです。
    世田谷パブリックシアターとか良いと思うけど。
    ダルカラは活動休止という事だけど、皆さん演劇活動をやめるわけではないようなので、この発展的な活動休止後の活動に期待します。
  • 満足度★★★★★

    「プルーフ/証明」9日昼
    しびれました。伝わる人には伝わります。
    見てください。それだけです。

  • 満足度★★★★★

    証明の意味
    狂気と正常の狭間の瞬間が素敵だった。
    空気感がいい。

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    天才数学者だったキャサリンの父・ロバートは1週間前に亡くなった。気が狂っていた父を一人で看病していたキャサリンは抜け殻のようになってしまった。小さい頃から数学に親しみ数学を究めようとしているキャサリンにとって父は師でもあったからだ。人生を見失いかけたキャサリンの元に父の教え子のハルがやって来る。

    ハルはロバートの残した103冊のノートに新たな業績が書かれているのではないか?と希望をもっていたのだった。
    いつしかキャサリンとハルは愛し合うようになるが、彼女がある1冊のノートをハルに託した時、すべてが一変する。そこには世紀の大発見、数学の「証明」が記されていた。
    キャサリンはそれを証明したのは父ではなく自分だと主張したのだ。しかし、ハルも実の姉・クレアも信じない。信じないどころかクレアはキャサリンも父のように「気が狂ってる」と思っていたのだ。

    姉ばかりか愛するハルにも信じてもらえなかったキャサリンは、もう二度と立ち上がれないほど深く傷ついてしまい、姉の住むニューヨークに旅立とうとする。しかしその直前に、ハルが訪れる。「この証明は先生が書いたものではない。」と証明する。


    本来ならここで数学の証明の謎を解く過程がもっと詳細なら、戯曲「プルーフ」の“誰が証明したのか”という謎解きサスペンスの醍醐味だったのだが、残念なことに謎解きが浅い。時間の制限もあるからここまでなのだろうか・・?


    「プルーフ」は、傷ついたヒロインが悲しみを乗り越え、愛によって再生していくキャサリンの魂の物語だ。

    証明とは生き方の証明であって、その響きは希望に満ちていた。

    4人のキャストの実力には大満足!
    中田の落ち着いた演技にはオーラを感じるほど。中盤、本屋のセリフがあったが、あれはアドリブだろうか?同じテーブル座っていた清水と小栗の表情がそれを臭わせた。笑

    木下が脇をしっかり固めその実力を見せつけ魅入った。

    素晴らしい!この一言でした。







  • 満足度★★★★

    『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』を観た
    正直言ってサラ・ケインにはあまり興味がない。読み進めてしまうとこちらの精神が捕り込まれてしまうからだ。笑

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    しかし、ワタクシの意に反して「4.48サイコシス」を観る機会は多い。(^^;)
    たぶん、この戯曲は、読む者を惹きつけてやまないし、演出家をも惹きつけてやまないからだろう。
    謎めいた数字を冠した精神病(サイコシス)を表題とするこの作品を観ているうちに、ワタクシ自身がいつしか数字に囚われて100から7を引いた数を数えてたりする。(苦笑!)
    原本はわずか数十ページしかない戯曲で配役もなく台詞の振り分けもなく、詩のようなことばが散らばっている。サイコシスな女性と医者と思えるような人物が登場し、そして点線・・・・・・・・・のみ。

    作家は4時48分に目覚めてこの遺書のようなものを書いて鬱と自殺願望にとりつかれて自殺した。

    そんな危険で奇妙な魅力を矛盾や混乱で表現していた舞台だったと思う。この物騒な戯曲は演出家の感性で表現するしかないのだと思う。そしてその表現が頂点に達したとき鋭利な刃物のように私たちの心に突き刺さる。

    今回の登場人物はサラ・ケインとサイコシスな女性と医者と思えるような人物の3人を二人が演じる。

    ただ私感だがサイコシスな女性役にはもっと痩せた病的なキャストが欲しかったところ。今回の戯曲はキャストとその空気感で完璧なものになる。
    やっぱ、何かに摂りつかれたか・・笑



  • 満足度★★★★

    プルーフ観劇
    すばらしい!!


    満足です!


    清水さんと小栗さん目当てでしたが、
    とんでもない!


    4人ともすばらしい役者さんでした!

  • 満足度★★★★

    サイコシス。
    追記することもなさそうなのでいいかと思ったけど、記録に残したいので。
    サラと医師とのやり取りにぐっときた。大泣きしそうで怖かったので自分の中からもう一人ピョコンと引っ張ってきて、その子に監視してもらう。そうして悲しみと並びつつ、涼やかに明るく楽しむモードで観ました。演出がこれでもかこれでもかと面白くて遊園地にいる気分。
    好きな場面は風船を火で割るところ、天井の照明でサラを追い詰めるところ、傷を全身につけるところ、悲しみをどんどん着こんで太っていくところは、マイナスを足してゆくことでプラスになり悲しみが飛んでいったようだった。いつかもう一度観たい作品です。

  • 満足度★★★★

    心が目を覚ます瞬間
    どのくらいの上演時間だったかを
    確認するのも忘れるほどに
    がっつりと取り込まれ打ちのめされました。

    では、どのくらい理解できたのかというと
    見当もつきません。
    そう思ったことに確証が持てません。
    でも、舞台上の創意に引きずられ
    質感と具体性と抽象性のはざまからあふれてくる質感に
    背を向けることのできない吸引力があって・・・。

    瞬きをする刹那も疎ましく感じるほどに
    見入ってしまいました。




    ネタバレBOX

    ベットの上で
    お互いに愛の言葉を交わす冒頭シーン。
    出かける男・・・・。
    ラブストーリー???
    でも、そこからは想像もできない展開に
    翻弄されることになります。

    舞台奥に大きく映し出されるパソコンの画像。
    メディアプレーヤーのイメージ。
    打ち入れられる短い文章・・・。

    男が白衣をまとったことから
    次第に心を病む女性と医師の関係が浮かび上がってきます。
    100から7を引いていくことによって
    自らの正気というか判断能力を確かめる女性。
    観る者にそれが彼女の素の時間なのか、
    あるいは彼女の内側に展開する時間なのかが
    示されているようにも思えて・・・。

    何度かけても留守電になる電話。
    閉ざされた対人関係。
    自己嫌悪や被害妄想、

    大量に投与される薬、増減する体重・・・。
    拒食や過食、睡眠や記憶の障害。
    それが、たぶん医師が彼女に施した
    物理的な治療の履歴。
    薬がばらまかれる音、
    冷徹にも思える白衣の医師のレポート。

    一方で
    その時間に覚醒した彼女の心が
    次々と具象化されていきます。
    医師のメンタルケアに起因するとみられる
    患者のさまざまなイメージが
    演劇的な表現を駆使して次々に現れてくる・・・。

    ベットの上に築かれた
    自分の言葉を離す(ボイスレコーダーを頭に見立てた)
    不安定な人形。

    彼女が求めるものと
    医師が保とうとする距離・・・。
    書きこまれた紙を互いに拾って読む時・・・。
    時に彼女が書いたはずのメモは医師の思いにも思えて
    また書類にしたレターサイズの紙には
    彼女の想いとも思える言葉が書きこまれていたり・・・。
    互いの理解と無理解の暗示にも思えて。

    リストカットのイメージ。
    死への誘いの説得力。

    想いをふくらまされた風船が
    ライターの火で破裂したり
    ボールのやり取りが
    いつしか彼女によって拒絶されたり・・・。

    モラルや目標のようなことひとつずつを
    我慢大会のように着こんでいく姿・・・。
    それらのモラルによって線引きされた
    他人が入れない空間・・・。
    それが治療の一つの完成形なのかも。

    そしてまた、その時間はやってきて。
    覚醒の中で求める物は
    治療では満たされることのない
    なにかのようにも思えて。
    抱きしめられるような愛なのか、
    消え行ってしまうことなのか、
    あるいはその両方なのか・・・。

    最後のカーテンコールは女性だけ。
    それは誰の物語かの
    作り手からの提示にも思えて。

    観終わって、
    心のなかに残っていたのは
    少なくとも絶望ではなかったです。
    もっと捉えようがなく
    醒めた、持ち重みのするなにか。
    で、片づけ場所がわからない感じ・・・。
    4.48からの72分にやってくる
    仮の服を着せられたままのような自分の感覚が
    舞台からずっと居座っていて・・・。

    演劇的な創意や表現が
    恐ろしいほど研がれているからこそ
    伝わってきた何かだとは思うのですが・・・。
    帰り道もその感覚がずっと抜けませんでした。

    作り手側の意図と
    全然見当違いの解釈をしているような気もするのですが、
    なぜか抜けていかないのです。





  • 満足度★★★★

    プルーフ/証明
    コロブチカ「proof」を観ていたのでストーリーは解っていながらも、グイグイ引きこまれました。

    ネタバレBOX

    キャサリンとロバート、冬のシーンが好きですね。清水那保さんの涙にグッとくる。 清水さんの時折見せる狂気の瞳が怖い。
  • 満足度★★★★

    誤訳しかし正解
    演出さんの言葉を借りるとしたら、自分の感想もそうなのかもしれません。

    ネタバレBOX

    二人の言葉の掛け合い。これはサラへの問い掛けであり、挑戦であったのかなと。

    一つ一つの抽象的なメッセージからも伝わってくるものがありました。
    個人的に風船が好きでした。

    楽しかったです!
    そして同い年なのが悔しいです(笑)!
  • 満足度★★★

    『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』
    なかなか解釈の難しい作品でした。正直解らないところも多かった。

    時には多重人格の「ひとり」に見えたり、閉ざされた世界の中で過去に
    確かに接点を持った人との回想のようでもあったり、被害妄想であったり
    楽観的であったり、悲観的であったり、時系列が曖昧に見えたり。

    順序はあるようなないような。作者の尺度で思ったことを思いつくままに
    突発的に書き殴られたような感じ。原作がそういうものなのかな?

    兎にも角にも印象的なシーンが多かったです。

    以下ネタバレ。

    ネタバレBOX

    なにもない床に、黒いBB弾がばらまかれ、白い薬がまきちらされ、
    ゴミや書類や衣類が投げ出され、次第に足の踏み場がなくなる、
    人の心が癒えない痛みや傷を負って、くすんでいくような感じで
    ぞっとしました。

    結局彼女は、彼の言葉をひとつも聞き入れようとはしない。
    彼は第三者なのか、自分の分身なのか、複数の人物なのか。

    なんとも絶望感の強い作品でしたが、印象には残りました。
  • 満足度★★★

    早着替えがすごい
    大人数でやる舞台しか見たことがなかったので、出演者が4人だけの舞台は新鮮でした。

    ネタバレBOX

    劇が始まる前から、既にステージに俳優さんがいて演技をしてるのですが、お客さんがステージに上がって色々やっているのかと思って怖かったです

  • 満足度★★★

    心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~
    目を覚ます瞬間だけ、なのか???構図がみえたとはいいがたいが、なにかをかんじさせる。堀さんがきれい

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