マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人 公演情報 マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-20件 / 39件中
  • 満足度★★★★★

    濃厚。
    うーんと、おおあたりっ。
    普段小劇場だけしか足を運ばないヒトにはどんなだったか知らないけどねー。

    なんか現実に戻ってくるのタイヘンだったわ。

    残念ながらDULL-COLORED POPという演劇集団は「同じことは2度やらない」っぽいのでコレは伝説の舞台になっちゃうんだろうなー。

    といいつつ、ちょっぴりてゆーかすごーく再演に期待だ。

    ネタバレBOX

    上演時間2時間15分(途中休憩10分)の二幕劇。

    舞台は17世紀フランス、実在した殺人鬼マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人を描いたストレート・プレイ。ということで全てのキャストがきっちりとドレスをまとい、高々と髪を結い、あるいはキュロットで、あるいはサン・キュロットで舞台を歩きます。

    圧倒されるのは紡ぎだされる台詞の数々。

    「おとうさま、おとうさま。ああ、なんていうことかしら。私の心は悲しみとおののきで張り裂けそうですわ」
    「いいや、今は悠長に嘆き悲しんでいる場合じゃない、早く神父様を・・・父上が息を引き取るその前に、最後の告白を聞いていただかなくては」
    「まあ、なんてことをアンリ!パメラ、パメラちょっと来てちょうだい」
    「いやいや、君だってそうとうにお盛んだそうじゃないか。ああん、ゴオダン・ドサントクロワ?」

    とまあ、全編がこんな調子(セリフはイメージです)。

    色とりどりの薔薇のような絹のような、古い葡萄酒のような言葉たち。

    特に主人公のちょっとカンの狂った調子の高音と後半で対立する死んだ主人公の弟の妻(つまり未亡人。仲村みうに似ててちょっとドキドキした)のよく響くエロティックな低音のバランスがすごく心地よい。
    この二人だけが正規のメンバーらしいけど、さもありなんって感じ。

    あと、大塚秀記氏演じる「主人公の良人(侯爵)」と原田紀行氏演じる「侯爵の遊び仲間で主人公の愛人」、「侯爵の愛人」達の場面がイカニモな退廃貴族とそのとりまきを演じていてものすごく秀逸でした!

    ・・・20代の頃、六本木の俳優座で、銀座の日生劇場で味わったあの「新劇」そのものといった濃厚なコトバに圧倒され、目の前がくらくらします。

    一方で、セットはモリエールのギャラリーや楽屋口をフル活用しての簡素な構成。たぶんカミシモの出ハケとギャラリーからの階段以外には、テーブルと数脚の椅子だけという、このシンプルな舞台セットと衣装や芝居とのギャップを敢えて作り出し、しかも不自然に見えないように、さらには二階ギャラリーから一階の舞台までの高低差を存分に生かした演出と照明はまさに小劇場のもの。

    うーんとね、小劇場で「同ジヨウナちゃれんじ」を見た記憶としては98年の惑星ピスタチオ「大切なバカンス」@新宿・紀伊國屋ホールぐらいかな?故(!)平和堂ミラノさんの作品で夏のフランスの田舎を舞台にした万華鏡のようなお話だったな。

    ・・・いや実は、もうひとつこういったバランスで組み立てられている舞台があるのを知っているような気がする。

    東宝ミュージカルだ・・・ただし唄わないけどww

    「エリザベート」や「レ・ミゼラブル」の虚構と惑溺と省略をそのまま新宿の小さな芝居小屋に濃縮してのけたそんな舞台。てゆか、実はところどころで「あ、コレ『マリー・アントワネット』で見たぞ」的な絵には出くわしたんだ。

    でも、アレ(帝国劇場)をココ(シアターモリエール)でやっちまえるってのは並大抵の力量じゃないよー。

    最初はどこから「ふつうの小劇場芝居」に戻るんだろうと思いつつ、20分も経つ頃「ああ、コレずーっとこのまま行くんだ」と気付いた時の衝撃。そして休憩を挟んで二幕という小劇場ではありえない構成に「狂気を帯びた本気さ加減」を感じつつ酔いしれた2時間15分。
    なんか現実に戻ってくるのタイヘンだったわ。
  • 満足度★★★★★

    天才
    天才の仕事。

  • 満足度★★★★★

    記念碑となる作品!
     27歳の演出家が小劇場の役者を集めて、17世紀のブランヴィリエを演るという、一見途方もないミスマッチが、逆に反作用のエネルギーとなって、舞台の質を高めている。小劇場でこんな芝居が出来る劇団が他にあるか!という演出家の声が聞こえてきそうだ。

     連続殺人犯として名高い実在のブランヴィリエ公爵夫人を谷賢一がどう料理するかと想像を巡らせていたが、あくまで正攻法でこの猟奇的物語に挑んでいた。そして正面から堂々とこの物語に対しながら、既に事件自体で劇的なこの物語を、ダルカラの色に染めて美しく見せてくれた。すごい演出力だと思う。

     チラシを観た瞬間からこの劇団が今回の公演にいかに賭けているかということがよくわかったが、期待どおり見事な作品に仕上がった。

     初日で役者が若干噛んだところを除いてはパーフェクトと言っていい。モリエール進出と併せて、DULL-COLORED POPが一段階、駆け上がった記念碑となる作品だ。

  • 満足度★★★★★

    凄かった
    いろんな意味で。初日&千秋楽

  • 満足度★★★★★

    凄い
    17世紀のフランスに実在した連続殺人鬼(シリアルキラー)を主人公とした舞台でした。
    もう完全に舞台に引き込まれて見入ちゃいました。面白いとはいう言葉で片付けてはいけない、凄いお芝居でした。
    各出演者陣の衣装も17世紀を表現するに十分で非常に素晴らしく、でもその衣装だけに任せるでもなく、演技も素晴らしかったです。

    でもその中でのやはり一番は、主人公のマリーを演じた清水那保さんでしょう。
    天使と悪魔の演じ分けはお見事です。まあ、悪魔の顔をそんなに出すわけではなく、表情には出さないが、悪魔の心を感じさせる演技ですが。
    それでも、天使的な表情で悪魔を感じさせるのはお見事です。やはり恐ろしい女優さんです。

    ネタバレBOX

    ラストのフランソワーズ(七味まゆみ)とエレーヌ(百花亜季)のやり取りや表情は、なにかさらに裏があるように感じ取れたのだが。
    もしかして、本当の悪??
  • 満足度★★★★★

    東京
    ラストシーン。

    近年まれに見る美しさだった。

    これほどに言葉が乱反射し、サイケデリックと言ってもいいほどプリズムとヘドロを織り成すスクリプトなのに、最後の最後で黙った。
    言葉を持つ人間が黙ると、こういうことが起こるんだな。

    日蝕を見た気分だよ。

    ネタバレBOX

    企画自体、狂気の沙汰だし。
    バカだなー。と思っていた。
    谷氏はバカではない。キチガイだ。御前試合に全裸で赴く阿呆だ。

    この作品は中世の再現でも現代の隠喩でもない。
    ただの物語だ。

    パリだとかそういうものを無下にして、世界をナタで真っ二つに断ったようなラストシーンは、谷氏の原風景のひとつであろう、東京を映していた。

    こうも鮮やかに原風景を見せ付けられると嫉妬の念にかられる。
    これが物語というものだ。
  • 満足度★★★★★

    毒薬口に苦し。
    史実を下敷きに、毒殺事件の顛末を追う野心作。
    それこそ、鈴木勝秀などがやりそうな仕事に谷賢一が挑んだ。

    誰もが思うことだが、モリエールに似つかわしくない重厚感。
    隙の無い俳優陣は、小劇場オールスターの様相。それでいて油断が無い。
    2時間強の長尺もまったく目が離せぬ。

    そして、物語はとても苦い。中世フランスのことと捨て置かせない説得力。

    それにしても、谷賢一。
    その作風の乱れ具合は、どこか芥川賞作家・平野啓一郎を思わせる。

    ネタバレBOX

    些細なきっかけの毒殺の暴走は、現代社会の事件の有り様を思わせる。
    幼稚な欲望は、貴婦人という仮面に隠れるからこそ戦慄させられる。
    その様を体現できる適役は、清水那保だけだ。
    少なくともその瞬間、そうとしか思わせなかった。

    また、最後の場面での下女(七味まゆ味)と妹(百花亜希)の対峙。
    疑いの目しか向けられぬ結末は、苦々しいが、現実的だ。

    清水那保と堀奈津美のガチガチのぶつかり合いに感服。
    「ダルカラはこの2人がいてこそ」という谷の魅せ方。
    その期待に見事に応えていた。
  • 満足度★★★★

    商才もある谷賢一
    これだけの観客動員数を集める商才には秘密がある。それはチケットプレゼントに応募した方にはご存知だと思うが。

    ただ惜しむらくは役者の立ち居地に配慮がなかった為、ほぼ中央に座らないと観えない箇所があったこと。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    マリーが貧民を労わりぶどう酒を飲ませる場面では、マリーの目の動きがひじょうに気になった。優しい微笑の上で時折見せる視線のぶれ。
    その視線の先には空虚な、怪しい光が輝いていた。その視線が気になって、清水那保はどうしてあんなに視線が彷徨うの?なんつって、その演技力に不満だったけれど、終盤になってその視線のゆくえがはっきりしてくると、今度は清水の演技力の緻密さに驚き仰け反った。

    要するに、かりそめの優しさ、慈愛の裏にはわざとらしい笑みや自己演出しか意識していないマリーが居て、世の中の何かをさも信じているような素振りで、そのくせ目に見える世界の全てを疑っている。だから、マリーは世の中というものに何も期待していない代わりに、金に執着する。
    それでも悪人と呼ばれる大抵の人々はある境界で身内をも殺す行為にまで及ぶと精神を破綻するはずだが、彼女はそんなこともなく淡々と日々を過ごしていた。いつものように怜悧な目をして。

    だから、彼女の落ち着き払ったその視線には、およそ何の感情も浮かべていないように見えた。乾いているわけではない。むしろひんやりと濡れている。

    いったいこの物語はどんな風に落ち着くのか?そんな先の読めない後半では背筋にぞくりとするものを感じてとにかく見入った。
    地の底から湧き出てくるような悪魔的な、それでいて静謐な磁力のあるマリーに対比してマリーの家族の、現実に目を閉じて生きている人間の滑稽さが露見する。はっきりと見えている絶望的な現実を敢えて見ないようにしている。見たいものしか見ない。気付かないふりをする。本当はマリーを疑いながらも、そうやって自分を誤魔化し続けて問題を先送りにしてしまう。そうして奈落の底に落ちる。

    やがてマリーの悪行はフランソワーズによってばれてしまうのだが、この少女自身も自分の立ち居地だけは意識しているようで、風見鶏のように大人の隙間を渡り歩いていく。
    こうしてマリーは処刑されるのだが、「全ての人が罪を生きているのに、どうして私だけが命を落とさなくちゃいけないのかしら・・。」と、ずけりと言う。

    素晴らしい本と演技でした。フランソワーズがマリーとゴオダンに弄られるシーンが役者の立ち居地でまったく観えなかったのが今でもストレス!
  • 満足度★★★★

    アプローチ

    作者が対象をどう見つめるかで、こうした物語の雰囲気はずいぶん変わってくると思う。
    「こんな恐ろしい女がいたんですよみなさん。信じられますか?」といったような、捕獲したモンスターを見世物とするようなアプローチではなかったと思う。
    主人公のやっていることは恐ろしいが、それをまったく理解できないかというとそういうわけではない。作者の見つめる目、想像力がフィルターの役割をしていたからかもしれない。

    少なくない登場人物に、不自然さを感じさせずにきっちりと見せ場を与えているバランス感覚はすばらしいと思った。
    役者は芸達者な人々がそろっていて、その火花やアンサンブルだけでも見る楽しみがあったが、のみならず、のびのびした台詞の力も感じた。「びびった」、などの現代的台詞などは好き嫌いが分かれるかもしれないが、気にならなかった。

    不思議と、性欲を刺激される物語だった。

  • 満足度★★★★

    脚本と俳優がすばらしい
    毒殺魔という人間を描ききった脚本と演じきった女優に、盛大な拍手を送りたいです。
    硬質な言葉にも酔わされましたし、その言葉をモノにしている俳優にも魅了されました。

    ネタバレBOX

    演出的にまだまだ見ごたえを出せる脚本だと思いましたが、意識が細かいところまできちんと行き届いていることには好感を持ちました。

    階段の踊り場から妹に向けて呪いの言葉を投げかけるマリーの姿、いとおしくてたまりませんでした。
  • 満足度★★★★

    登場人物と役者が
    見事にハマッていてまったく違和感ないですね。ストーリーも解りやすし楽しく観劇しました。

    ネタバレBOX

    休憩なしで一気に観たかった。
    酒巻さんヘアースタイル「初恋」の時のままですよね(違うか?)

    最前列中央で観ました。「観てきた!」の皆さんの意見を参考にして良かった。たしかに2列目以降は観ずらいでしょうね。
  • 満足度★★★★

    全くダレない
    150分。

  • 満足度★★★★

    谷さんの行き先
    隣の席で観られていたお客さんが終演後に
    「本当っぽかったねー」と言っていました。
    それ位、力のある戯曲だったと思います。
    非常に面白かった。

    役者さんも、翻訳調台詞に惑わされることなく
    ちゃんと存在していて満足度も高かったです。

    ただ、モリエールなので。
    後方の端で観てしまったため
    大分観られないシーンが多く、かなりストレスでした。
    もっと早く行けばよかった…。

  • 満足度★★★★

    物語としての面白さ
    今回DULL-COLORED POP初観劇でした。
    あらすじを見て、演出と脚本が気になり足を運んだ。

    小劇場で古典的な作風に出会うことが少ない。
    16世紀の作家達を思い浮かばせるようなセリフはとても巧みに作られていて関心した。

    舞台はシンプルな素舞台で、作品に集中させてくれた。


    うまく言葉が操れてない役者もちらほら…。
    普段しゃべらない綺麗なリズムで紡がれた言葉は、感情だけではしゃべれない。この場合は作家の勝ちになるのかな。

    世界観は統一されていたので違和感なく見ることができた。

    とても完成度が高く、楽しめたんだが、何か物足りない。
    額縁舞台の中で、観客に芝居をやってますって感じで終わってしまった気がする。
    なんかよくわからないが、人間のパワーみたいなものが舞台上から客席まで迫ってこない。
    臨場感がない。


    マリーの存在が希薄に感じられ、あまりファムファタールに見えない。
    周りの人物の恐怖からマリーの魅力や怖さを際立てようとしていたのだが、なんかうまくいっていないきがする。

    マリーの人物像を深く描かないのであれば、もう少し全体のリズムを崩して気持の悪い演出や構成にしてもよかったのかなと。

    綺麗で端整すぎるがゆえにマリーに対する周りの人物の恐怖が一辺倒になってしまったのでは。

    いろいろ書いたが、演出さんの読物としての戯曲をそのまま舞台にしたという意図があったなら、これは成功である。

    いろいろ書いたが
    作品的にもとても好感がもてる作家さんです。違った作風でも、また古典的なものでも、いろいろ見てみたいと思わせてくれました。

    ネタバレBOX

    マリーが本性を見せる演技の切り替えが気になった。
    せっかくうまく表面的に演じていたのに、本性が軽く見えてしまった。

    少女のいたずらだったのだろう。


    最後の、歩いているの見ているとこのセリフはとても綺麗で、それでいて尖っていてよかった。
  • 満足度★★★★

    身近なマリー
    あいだに休憩を入れるほどの長いお芝居でしたが、全く飽きることなくどんどん引き込まれていく迫力と魅力ある舞台でした。

    個人的にはもっとドロリとした何かを予想しておりましたが、意外とあっさりとマリーを受け入れてしまった自分が悲しい。

    自分の中にもマリーがいるから。

  • 満足度★★★★

    140分
    なのにあきさせない、ストレートなのに、翻訳劇風なのに、すげ

  • 満足度★★★★

    うーむ、すごいな
    なにがすごいって、まだ20歳後半の谷さんがこの戯曲を書いたということ。
    台詞も古典的かと思えば、突然本音が現代口調で発せられる、
    そのたびに、人格の裏側を見てしまったようにはっとさせられる。

    近世とか海外とかが舞台になってる作品は、ちょっと観るとき
    臆病になるのですが、とまどうことなく完全に引き込まれました。

    清水さんはすごかったなあ。なんて悪女っぷり。
    難しい長い台詞も多かったのに、言わされてる感を感じなかった。

  • 満足度★★★

    観劇
    感受性の低い私ですが、きちんと作品に引き込まれることが出来ました。

    一瞬、作者の狙う台詞に飲まれているように感じる場面もありました。

    この作品の色味が団体の持つカラーであり、そうなるように仕向けた演出なのかなと感じました。初めてですが観れて良かったです。

  • 満足度★★★

    やはり
    おもしろかったです!

  • 満足度★★★

    キレイな画の大作ですね。
    陰鬱でジメジメした世界に、張りつめたそれぞれの思いとか色々表現されてて顛末から終焉まで、不思議な余韻も感じさせるお話しでした。壁などの常設セットがないのに見えるフランス。人が登らないと気が付かない階段が効果的で照明も常に抑えて、時折自画像を隠したレンブラントの夜警のようなシーンに綺麗さを感じました。物語としては3ですが皆様の熱演とモリエールでこれだけ大作感のある作品が見れたので評価3.5位です。詳細はTBした方に書いてあります(ネタバレ注意)舞台を始めて見る方には名前や関係を追うのに慣れてないと大変だと思います。演技の迫力は伝わりますけど

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