公演情報
「ひび割れの鼓動-hidden world code-」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★
「表現」の源泉を求めた、古代ギリシャへの旅。
白い布をかけ、色をなくしたシンプルな舞台は儀礼の場のよう。
その周囲を「俳優」が歩き、時間の旅を始める冒頭から、深い時間の奥行きを感じました。「俳優」と「コロス(ダンサー)」が対置されながら進行する展開のなか、印象に残ったのは、ディデュランボスの祭礼の場面です。その踊りの輪には、盆踊りにも通じる、死者や過ぎ去った時間への思いが表れていました。
舞台構成、ダンサーたちのキレのある身体……頭脳と視覚を刺激する作品です。断片的で抽象的ながら、不思議なニュアンスを感じさせるイキウメの前川知大さんが執筆したテキストとのコラボレーションも含め、「ダンス」でもない「演劇」でもない、「パフォーミングアーツ」を開発する意欲、意思がそこにはありましたし、その地盤はすでに十分に固められつつあるとも感じます。この魅力的な場が、時には逸脱や混沌も含みつつさらにオーラ、熱量を放つ展開をみたいと思います。
実演鑑賞
満足度★★★
ギリシア悲劇の「コロス」という存在に着目し、かつて祭りのコロスから俳優が生まれ、時代とともに演劇、俳優、コロスが変容していく──その壮大な人類史と舞台芸術史を見たようでした。
舞台芸術がまだ今の形ではまったく無かった頃、人間たちの営みの背後に広がる大地、古代ギリシアの野外劇場の周囲に広がる町々、ステージという舞台にあがる人びと……そのような光景が見えるようでした。緻密で静謐。美しくも、なにか覗き込んだら食われるような深淵がある。タイトルは『ひび割れの鼓動』。そこに書かれた英字の『HIDDEN WORLD CODE』をまさに探すような、壮大な時空の旅でした。
実演鑑賞
真っ黒な空間に、大きな白い布に覆われた大きなステージがあります。よじ登るのに少し苦労するぐらいの高さがあり、パフォーマンスは主にその上で行われます。ステージの周囲にはまばらに、細長い白い棒が数本、刺さっています。棒高跳びの棒のような長さで、白樺の木々のよう。卒塔婆に見えなくもないです。
白いコートを羽織る俳優2人(薬丸翔と佐藤真弓)は言葉を使います。その他のダンサーたちの衣装は体にややフィットするデザインで、色合いは淡い灰色のグラデーションです。彼らは無言でした。言葉を操る人と体を操る人という2つのグループに分かれているように見えました。
当日パンフレットに、振付・構成・演出・出演の平原慎太郎さん、テキスト・ドラマターグの前川知大さん(イキウメ)の文章が掲載されており、今作のテーマである「コロス」の解説もありました。顔写真入り、プロフィールありの出演者紹介ページもありがたかったです。
※劇場ロビーで制作さんが私の足に気づいて(びっこを引いていた)、移動しやすい席に変更してくださいました。もう…涙出そうだった…。ご親切に感謝いたします。本当にありがとうございました!シアタートラムがもっと好きになりました。
実演鑑賞
満足度★★★★★
「新たな舞踊を呼び起こす感覚を得た。」と、プログラム巻頭に記されているが、いつも予想もつかない世界観を提示され興奮し続ける
平原ワールド。
今回はまた俳優の台詞演劇とダンスの
一体化が余りに馴染み絡み合い、しかし領域は分け合っての匠みなシーンに釘付け。課題のコロスの存在が明瞭な蠢きに展開している。
3.12月KAAT初公演から予定の各地公演が出来ず、ようやく再演された待望の舞台。
いつも進化する平原ワールド。
再考され、研ぎ、削ぎ、洗練…益々の進化に興奮冷めやらぬ公演だった。
意味深いテーマ毎の一呼吸で、より鮮明に組立てがなされたような体感。
上下二段となる板の舞台空間に先ずびっくりする。始まる前からの空気感と登場の仕方、また俳優の掛け合いがダンサーの絡みと相まって深みにはまっていく。
台詞の掛け合う演技と集団コロスのダンスの匠に蠢く動作からの二元性。ダンサーのリアルな立体感のある蠢きと発散からの鎮まり。俳優とダンサーのコンタクト噛み合い方の匠な妙に、まさかの自分も同化したかのような錯覚に引き込まれてしまう。
俳優とダンサーの出演者が古典演劇誕生の型を予感する衣装や音、照明の組み合わせ、二枚の板空間の舞台に乗じて、
実に平原ワールドでないと誕生しない出会いの壮大な文化の結合と進化を目の当たりにする。
ダンサーのあまりにリアリズムの削ぎ落とした洗練された動きに圧倒されながら、俳優の台詞に重なる時の調和はコロスの原点か…平原ワールドの止まらない探求心がたくましい。コロスを軸にしながら、表現者個々への尊厳たる希望の一石を投じている。
しかもこの世界観には、演技・舞踊の原点、
神祭りに起因する神聖な空気感をもいざなっていて印象深い。
台詞の言葉はダンス表現の輪郭を得ることができる。感じたワード…
よちよち歩きの時のこと覚えてる?
もう下り坂
荷物捨てて…
死人に口なし
いや生きてる人間に耳がない
寄り道
疲れて歩けない
地下を照らす灯り
終演後夕陽眩しくも興奮覚めず、
ワードでフラッシュバックしながら歩いていたら下北沢の混沌街に辿り着き、
現実に還った…
いつも新鮮な驚きを与えてくれるダンスの世界観をまた一新。
研ぎ澄まされたこのワールドにまた身を投じたいと、心が湧くばかりだ。
実演鑑賞
満足度★★★★★
役者が語る言葉は、自分の内側へと落とし込まれて、自分の経験に戻ってきて、気持ちが忙しくて嬉しくもなる。
ダンサー、コロスはその他大勢でなく個で、個性で、可愛らしい
全ては理解できないけど
没入する時間はしあわせで
かっこいい。
また見たい。
実演鑑賞
満足度★★★★★
ひび割れの鼓動
この作品を鑑賞した直後に、この作品でしか表現し得ない時間感覚に襲われました。この感覚が何だったかを考えながら感想を書きたいと思います。
まずは、今作品の座組みの概要を振り返りながら考えてみようと思います。
今作品はOrganWorksに加えてテキストとドラマターグを「太陽」や「獣の柱」を手がけた劇団イキウメの前川知大。音楽を現行シーンで活躍するラッパーのCampanella、C.O.S.A.やシンガーソングライターの折坂悠太などのビートを手がけるRamzaが担当しています。
つまりは、最先端のダンスミュージック、現代演劇とコンテポラリーダンスという、最先端のアートたちから、2500年前の時代の舞台を、言い換えると、原初の文化を体感させられたような感覚です。まだ、掴みきれていない感じがします。
このような感覚を想起したのは何故なのか。次は舞台のディティールから考えてみようと思います。
アンビエントを抑えたループミュージックの要素が強いビート、演者が舞台を回りながら繰り返されるセリフ、ハンドクラップも交えながらトライバルな激しいダンスの3要素が分離せず絡まります。
しかも、それらが繰り返されていきます。繰り返されることによって、それは振動になり、私たちの意識という地面を揺らしてきます。その地面がひび割れて無意識の感覚が露わになる。それこそがタイトルの「ひび割れの鼓動」が指すことなんじゃないでしょうか。
つまり、「ひび割れの鼓動」とは、私が鑑賞した直後に体感したこの作品でしか表現し得ない時間感覚の正体であり、やはりこの作品しか持っていない「揺れ(vibes)」なんだと思います。そして、この「揺れ」は原初の文化、この舞台のテーマでもある「コロス」があった時代から存在した感覚なんだと思います。
長々と書いてしまいましたが、この作品は演劇、音楽とダンスで積み重ねた瞬間が「揺れ」となり、現在から過去と未来を露わにする。
まさに、時間の引き金の様な作品でした。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/25 (金) 19:00
昨年秋のKAATで初演された作品の再演。
作品が熟し、レイヤーとして低音的に鳴っている呪術性が強く出たような印象。箱が変わったことによる照明やサイズ感の違いによる「場」の見え方の違いもあった。勝手に感じ取ったキーワード:九つの命、無限ループ、鬼の召還、異界と冥界との境目、境界域。