丹青の水屋の富

深川とっくり座（東京都）

公演に携わっているメンバー：12人

【団体紹介】

　深川とっくり座は、1993年に前身である「丹青応援団」として旗揚げして以来、古典落語を題材にし、オリジナリティー溢れる大胆な脚色、演出が特徴である作品を上演してきた。1997年に「深川とっくり座」と改名し、およそ年２回のペースで劇場公演を開催している。深川の地域を中心に高齢者施設や学校等での上演、数々のイベントへの協力等、落語の普遍的なおもしろさを芝居にし、江戸文化に触れながら、日本の良き伝統文化を伝える役目を担うものとして地域に貢献している。2015年より公演は、江東区コミュニティ財団および深川江戸資料館との共催となった。創立30周年を迎える2023年3月公演は、52回目の劇場公演となる。
これまでの主な作品は、「千両みかん」「三方一両損」「目ぐすり」「千早振る」「皿屋敷」「井戸の茶わん」「お神酒徳利」「花入れ」「水屋の富」「おすわどん」「牡丹灯籠」「幾代餅」「目黒のさんま」「柳田格之進」など。

【応募公演への意気込み】

　昨今、些細な理由で他者を攻撃する事件が増えたように思います。コロナ禍でコミュニケーションのあり方も変化してきました。そんな中で「人は人に育てられ、人の中にあってこそ成長できる。だから人との関わりをもっと大切にしたい。」との思いが強くなりました。その思いをこめて、落語でおなじみの「水屋の富」をとっくり座風に脚色しました。
長屋で喜びも哀しみも分かち合うように暮らしていた住人たち。ある夫婦に富くじ千両が当たり、二人は大喜びする。その喜びも束の間、夫婦は金に取り憑かれたように不安に苛まれ、やがてそれが恐怖に変わり、住人たちとの交流を断ってしまう。そこへ別の住人の赤ん坊が産まれるため、この夫婦もよんどころなく協力することに。お金や物のためではなく、人のために一生懸命に働くことで、人と人との関係がなにより大事なのだと気づき、人の心を取り戻していくお話です。
多くの方に観劇していただき、この思いが届けばと願っています。

【将来のビジョン】

　人間のおかしさや哀しさ、人情の機微といった落語の普遍的なおもしろさを、今後も舞台で表現し、地域の活性化にも寄与していくため、以下の５項目を重点目標としている。
１　演技の技術向上や歌や踊りのスキルアップを図る。
２　観客層に配慮をし、特に若い世代の観客動員に努める。
３　高校や特別支援学校での演劇部指導や講師の経験を持つ座員によるワークショップや
オーディションを積極的に行い、役者やスタッフの育成に力を入れる。
４　外部スタッフ、キャスト等の充実を図り、より完成度の高い演劇を作っていく。
５　深川に限定せずに活動の場を拡大し、義理と人情、江戸情緒といった日本の伝統文化の魅力、さらには深川をはじめとする下町のよさを広めていく。
　これらの目標達成に向けて注力し、将来は、より大きな会場で、より多くのお客様と交流できるような劇団に成長していきたい。