天は蒼く燃えているか

世界劇団（愛媛県）

公演に携わっているメンバー：8人

【団体紹介】

　愛媛大学医学部演劇部を母体とし医師と医学生の劇団として結成。代表の本坊由華子は現役精神科医であり、現在は作品ごとに俳優を集めるプロデュース集団として活動。毎年ツアー公演やコンペティションへの参加を行い、県内外で高い評価を受けている。幻想的で熱を持った劇文体を特徴とし言葉遊びや歌を得意としている。医学用語を詩的に用いた独自の語り口「サイエンスポエム」も特徴としている。また、躍動感溢れる身体表現を積極的に取り入れたフィジカルシアターの手法も作風の一つである。
　受賞歴は以下の通り。2015年に三代目四国劇王・中国劇王を獲得。利賀演出家コンクール2018にて観客賞2位を受賞。第10回せんがわ劇場演劇コンクールにてオーディエンス賞を受賞。2020年に東京芸術祭2020アジア舞台芸術人材育成部門APAF young farmers campに参加。ツアー公演やコンペティションへの参加のみならず、精神科医として働きながら医療現場での演劇WSや講演会も精力的に行っている。

【応募公演への意気込み】

　本公演「天は蒼く燃えているか」は、2020年に初回・振替公演とも中止となり、まだ松山のみでしか上演されていない作品である。必ず再演することを天に誓い、三度目のツアーを試みる。本作品は芥川龍之介の「アグニの神」が原案だ。アグニの神は炎の神だ。炎をモチーフに現代社会を炙り出し人類の破壊と再生を描く。
　現代日本は様々な炎で燃えている。その炎はコロナ禍により加速した。亡くなっていく生命の灯、誹謗中傷の炎上、五輪の聖火…。今の日本はどこに向かっているのかも分からずに不安定に燃え盛る炎へ進んでいってしまってはいないだろうか。焼け焦げると分かっていながら破壊の一途をたどっている。それは人類の性なのかもしれない。私は、そんな人類が情けなく、そして愛しく思う。破壊しつくした先に再生の希望を見たい。燃えつくした先に救済があると信じたい。本作品を上演することは天への誓いであり、崩壊し再生を繰り返す人類への祈りである。

【将来のビジョン】

将来のビジョンとして、短期的、中期的、長期的展望の三つを掲げる。
短期的には、コロナ禍での継続的な創作活動を重要課題として捉え、創作と発表を継続する事である。医療従事者が積極的に芸術活動を発信することにより、コロナ禍での芸術の必要性を訴え、停滞した舞台芸術界を活性化する。活動を制限された舞台芸術界の息苦しさを打開する。
中期的には地域の文化芸術の環境整備を行う。最近では地域の芸術文化を整備する事業にも関わるようになった。地域社会に芸術を通した貢献をし、文化芸術の環境整備を行える団体となる。四国から全国に発信できる地に足のついた活動を継続する。
長期的には、世界に通じる作品を創作する。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、作品を全人類に観てほしいと願うようになった。過去作品の韓国語訳や英訳付き配信を行ったが、今後は海外進出を具体的に視野に入れた活動を行う。世界に向けての作品を発信していく。