絶対に怒ってはいけない!?

劇団チャリＴ企画（東京都）

公演に携わっているメンバー：14人

【団体紹介】

劇団チャリT企画は、1998年、早稲田大学演劇研究会を母体として結成されました。主として、代表兼座付き作家・演出家である楢原拓（chari-T）による社会派コメディ作品の上演を目的としています。
時事ネタや社会問題などの重苦しくなりがちな題材を、風刺と批評性をもって軽妙に笑い飛ばすユニークな作風は「ふざけた社会派」として定評があります。
死刑か? 更生か? 少年犯罪をめぐって揺れ動く市民社会をシニカルな視点でスリリングに描いた代表作「ネズミ狩り」（2008年初演）では佐藤佐吉賞の最優秀脚本賞、最優秀主演女優賞、優秀主演男優賞を受賞し、また同作の再演（2011年）では「CoRich舞台芸術まつり！」の最終審査団体10組に選出され、審査員の平均合計点では第2位となり健闘しました。
また、2014年の「それは秘密です。」、2016年の「キョーボーですよ！」は、それぞれ国内世論を二分した特定秘密保護法、共謀罪を題材にした作品で、上演の前後で該当法案が成立・施行するなど、非常にタイムリーな上演となり、新聞等のマスメディアなどでも取り上げられ話題となりました。
近年は日本劇作家協会プログラムとして比較的中規模の劇場である座・高円寺１での上演を重ね（2012年以降、計7回）、その活動の幅を広げると共に、小規模の劇場とはまた異なる新たな観客層を獲得し、発展を続けています。

【応募公演への意気込み】

旗揚げして来年で25周年を迎えますが、今回、初めて下北沢・駅前劇場に進出します！
その記念すべき作品の題材として選んだのは「ハラスメント問題」です。
昨今、職場や家庭においてしばしば問題視されることのあるパワハラやセクハラ、あるいはモラハラといったハラスメント行為。最も厄介なのは、その行為者自身に自覚や意図はないにも関わらず、相手が不快に思い傷ついたりした場合、それは「ハラスメント」となってしまうことです。この行為者と相手との認識のズレ、それがもたらす様々な軋轢は、複雑で一筋縄ではいかない人間社会の縮図のように思われます。
今回の作品では、そんなハラスメント問題を出発点にしながら、益々多様性化していく価値観と、それにうまく対応しきれない不器用な人間たちの悲哀を、「ふざけた社会派」らしく批評的な視点で笑い飛ばしていきたいと思います。「人間とは何か」「人間らしさとは何か」といった普遍的なテーマにまで迫っていきたいです！　乞うご期待！

【将来のビジョン】

当劇団は、一貫して、観客が楽しみながらも社会や人間について考え、そして対話し、その結果、劇場が観客と社会とを結ぶ「コミュニケーションの場」として機能するような、そんな作品づくりをめざしています。
将来的にもこの創作の方向性は変わりませんが、さらなる質の向上を目指し、活動の場・エリアを広げ、劇団の社会的価値を高め、信頼を獲得し、劇団とそのメンバーが誇りを持って創作活動に取り組めるよう、その環境の充実と安定化を図っていきたいと考えています。公的な助成を受けつつも、新たな観客層を開拓して観客動員数の拡充を図り経済的に自立することも重要なので、そのための積極的な取組も行っていきたいと考えています。その上で「100年後にも上演されるような作品」を生みだせるカンパニーに成長できればと思います。
また、公演時以外でも、演劇ワークショップや俳優の基礎訓練などを継続的に行い、実演者のスキルアップを図り、またそれらを一般にも公開し、劇団が持つスキルやノウハウを社会に還元していくことにより、日本の芸術文化の振興と発展に寄与できればと思います。