、恋をする

肉汁サイドストーリー（東京都）

公演に携わっているメンバー：12人

【団体紹介】

東京都内の非劇場空間を中心に、「伊達や酔狂、遊ぶ金欲しさ」「選ばれなかったすべての人へ」を掲げて演劇作品を発表しています。
作品は聖書から何らかの着想を得たものが多めですが、あまりそれを前面に出すことはしていません。会話劇が主で、同時発話を多用します。空間の特性を活かした演出が好きで、過去にはカフェのキッチン設備や、廃工場の屋上を舞台に風や街の音を利用して公演を行ったことがあります。
「伊達や酔狂、遊ぶ金欲しさ」については「将来のビジョン」にて後述しますが、「選ばれなかったすべての人へ」はすべての作品の根底にあるテーマだと思っています。
ただ、「選ばれなかった人」にすり寄るようなことや、逆に突き放すようなことはしたくないと考えています。「選ばれなかった」という事実をそのまま見つめるような作品作りをしたいと常に思っています。
団体名やSNSでの態度からコメディ作品を作ると思われがちですが、どちらかというと暗い雰囲気の作品が多いと思います。

【応募公演への意気込み】

審査対象作品は『　、恋をする』です。
肉汁サイドストーリー単体としては初の劇場公演、また初のラブストーリーです。
自分の話で恐縮ですが、作・演出の私、るんげは所謂アロマンティックなる特性を持つ者と自認しています。どうしても受け入れられない恋愛というもの、それについて言葉にできない様々なことを、演劇でなら何か形にできる、あるいは演劇を通して自分で飲み込むことができるかもしれないと思い、今作の製作に至りました。
今作は「選ばれなかったすべての人へ」に加え、「すべての恋を祝福する」ことも根幹のテーマとしています。私が実感することのない恋という強い感情を、わからないところから、わからないまま描き、わからないなりにも祝福することは可能なのではないかと考えています。
恋は恋であるだけでどこかしらドラマなのだろうと思います。だからこそ、今作は劇場で上演するのが相応しいと感じています。
私や関係者も含め、誰かにとっての憑き物落としのような作品になれたらいいなと思います。

【将来のビジョン】

「伊達や酔狂、遊ぶ金欲しさ」は言葉こそ露悪的ですが、本気で考えていることです。演劇に限らず、全ての芸術は伊達や酔狂で取り組んでよいものだし、それによって所謂遊ぶ金を得ることは素晴らしいことだと思います。兼業で演劇をやっている奴はだめだ、金目的で演劇をやるなんて浅ましい、などといった言説には反対します。食うに困らない生活はしつつ、好きなことを好きなようにやり、それが少しお金になるのであれば素晴らしいことだと思います。
2022年以降は、月に一日だけの定例小規模公演を行うなど、なるべく日常生活の何も犠牲にせず、且つ手元に少しお金が残せるような活動も計画しています。我々がそのような取り組みを行うことで、ひいては演劇を身近に感じ、興味を持つ人が増えることにつながれば、それより嬉しいことはありません。
大きな商業的成功に強い関心はない団体ですが、無理せず、好きなように「選ばれなかったすべての人へ」何かを送り続けたいと思っています。