舞台芸術まつり!2019春

うさぎストライプ

うさぎストライプ(東京都)

作品タイトル「ハイライト

平均合計点:20.4
川添史子
河野桃子
鈴木理映子
古澤 健
堀切克洋

川添史子

満足度★★★

基本の役がありつつ、その場その場で要求される役に自在にスライドしていくという仕組みは演劇的で楽しい仕掛け。

ネタバレBOX

義足や人形(人型ロボット安全太郎)が面白かったのですが、義足の喜劇役者で人形劇を上演したサミュエル・フットがイメージソースでしょうか? 興味をそそるモチーフでした。東京(都会)が明治以降なめてこざるをえなかった固有の苦渋と屈折が体に染み込んでいる東京人の自分としては、反論したいような複雑な気持ちで物語を眺めました。自分の中にある意外な東京への郷土愛を知り、まあそれも観劇体験のおかげかもしれません。

河野桃子

満足度★★★★

とても楽しかった。俳優さんたちに力があって、どんどん変わる展開も成り立たせていた。怖さや嫌らしさや不気味さもあるのが面白い。「東京」というものにはいろんな人がいろんな思いを抱えているだろうから、もしかしたら東京出身者と地方出身者では印象が違うのかも。上京したいつかの日のことを思い出しながら観ました。

鈴木理映子

満足度★★★

憧れだった東京を離れる決意をした女と、オリンピック後の東京にとり残された人々との奇妙な交流が、交通誘導ロボット・安全太郎とのはとバスデートといったシュールな設定のもとに描かれます。
人も流出し、荒廃する「東京」を包み込む倦怠感は、今、私たちが感じている未来への漠たる不安、寂しさをそのまま写しとっているようです。淡々とした会話の中に仕込まれた笑いにもドライなセンスを感じました。

シュールな世界観と舞台全体を覆う(東京をめぐる)虚無感を味わうほかは、なかなかとらえどころのない作品だとも感じましたが、それこそが「現在」や「近未来」なのかもしれず……。これを機に東京を離れるといううさぎストライプですが、その創作活動の中で、数年後、この作品がどのように振り返られるのかも、ふと気になりました。

古澤 健

満足度★★★★★

観た。

ネタバレBOX

前説の制作が、劇中にも登場するところなど、小ネタは面白かった。が、人にオススメするかというと難しい。観ているあいだ飽きはしない。ラスト、奇妙な義足をつけていた男がどうやらパラリンピックに向けて再生する、というくだりにはエモーションを感じたので、それなりにキャラクターの積み重ねは自分の中にあったのだろう。しかし基本的には他人事感が否めなかった。

堀切克洋

満足度★★★

交通安全誘導ロボット「安全タロウ」に恋をする女の話。東京は寂しい街、という視点はわからないでもないのだが、もう少し説得力がほしかった。俳優たちのアンサンブルは劇団の力。多少は物語が弱くても、力技で観客を世界に引き込む力あり。

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