舞台芸術まつり!2019春

壱劇屋

壱劇屋(大阪府)

作品タイトル「猩獣-shoju-

平均合計点:19.8
川添史子
河野桃子
鈴木理映子
古澤 健
堀切克洋

川添史子

満足度★★★

竹村氏の殺陣は各キャラクターにぴったりと合わせたもので、表情豊か。魅力的で感嘆しました。着物をアレンジした衣装も役の個性を表現していて効果的(黒歿の黒い紋付をアレンジした衣装が特に素敵でした)。大所帯の劇団が成立しにくいこのご時世、これだけの人数のメンバーを擁し、身体のキレ、表現力と、高いスキルを持つ人がたくさんいることに驚きました。

河野桃子

満足度★★★

とにかく殺陣がスゴイ!見応えある!!殺陣の違いで役の個性を出しているのも面白い!!
残念だったのは、脚本のここの設定をちょっと変えるだけでものすごく深みが増すのにな、と思えるポイントがいくつかあったこと。でもそれを抜きにしても、ダイナミックな動きとチームワークに圧倒されました。

鈴木理映子

満足度★★★★

獣バージョンの千秋楽を観劇しました。これまでにも増して、集中力を感じる、充実した上演だったと思います。猩バージョンの稽古/本番を同時に抱えながらも、これだけの手(殺陣)を身体化し表現に昇華していくのは並大抵のことではないでしょう。部分的にではありますが、劇画調のキャラクター設定、殺陣の応酬の中にも、人と人との感情のやりとりと見ることができ、掲げた目標(若手育成)に対して、きっちりと応答してきたなと感じました。また、客演の赤星マサノリさんの、華やかな存在感も強く印象に残っています。

この作品に限らず、ワードレスシリーズでは、筋立てや展開を複雑に見せようとすればするほど、受け取られる内容が不安定になってしまう難しさがあり、それが今後のシリーズ展開の中でどう解消されるのか、気になっています。また、悲鳴、嗚咽といった発声は許されているのに、台詞は言わないという一種の寸止め感、違和感も、何かのかたちで解消される方法が発明されるといいのではないかと思います。

古澤 健

満足度★★★★★

観た(※Team 獣)。

ネタバレBOX

ずっとふたりの俳優に目を惹きつけられていた。ひとりは湯浅春枝。もうひとりは高安智美。群舞が場面の大半を占めるが、その中でひときわ存在感を放っていた。このふたりのどちらかが出てくると、視線が惹きつけられ、じっと見入ってしまう。
改めて演劇というのが、生身の本物の肉体によって表現される、ということを感じた。得物を本当に相手に当ててはいけない。当てないための努力、稽古、チームワーク、呼吸、それが求められる。そのことで痛み(死)を表現する、ということの困難。目の前で本当に起きていることなのに、ここで起きている出来事は本当ではない、演じられている、という意識がつきまとう。そこに観客がのれるかどうか、ということが賭けられている。
60分、セリフがなく、アクションのみで物語が語られるので、人物造形は極めてシンプルであるし、テンションの高い音楽が鳴り続けるので、段々刺激に麻痺してきて単調に感じてきた。
観客に愛されているのは非常に伝わってきた。それだけの実績と期待があるのだろう。単調とは言ったが、短さゆえの緊張感もあり、無事に終えた瞬間に観客は演者とともに完走した、という開放感もあるだろう。そこを共有できなかったのは残念(観客として自分が未熟であった)。

堀切克洋

満足度

明確なストーリーがあるわけではなく、マイム的な劇進行がかえって作品を「情緒的」なものにしている。外国人観光客に日本のエンターテイメントとして見せたいというが、やはりこの手の「日本的」という点にはひっかかりを覚える。ただ、音響や、映像表現など、まだまだ殺陣を魅力的に見せる可能性はあるように感じた。

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