舞台芸術まつり!2019春

劇団5454

劇団5454(東京都)

作品タイトル「ト音

平均合計点:23.0
川添史子
河野桃子
鈴木理映子
古澤 健
堀切克洋

川添史子

満足度★★★

台本は緻密に設計されていて、考え抜かれた構成だということが伝わってきました。

ネタバレBOX

間口の広さを感じますし(私がいった日は老若男女の観客で満席)、「固有振動数の共鳴」というユニークなモチーフ、複雑に絡まる人間関係、オリジナル音楽といった様々な要素を巧みにスピーディーにさばいていくうまさも感じます。黒板を使った美術も楽しい。観劇した日はコミカルな場面で客席からあまり笑いが起きず、意図を伝えられていないと感じてしまいました。下手の窓が開く場面は、下手の席からは見えませんでした。

河野桃子

満足度★★★★

楽しく観ました!何度も再演されているだけあり、無駄が少なく、演じている方々も安定していました。演出も、意図が明確で観やすかったです。いろんなタイプの先生が出てきて、ほどよくデフォルメされ「こんな先生いる〜」と思えたのも楽しかった。
ベタな展開ではありますが、安心して泣きました。板橋さん良かったです。

鈴木理映子

満足度★★★★

リ・クリエーション、再演を重ねてきただけのことはあり、安定した、完成度の高い公演でした。オープニング、装置の使い方など、見せ方もさまざまに考えられています。

日本の演劇としては「あるある」な題材ですが、それを、病理の分析や若者の心情吐露に終始するのではない、周囲の大人たちの事情、想いとクロスさせたドラマに仕上げたところに巧さを感じました。主軸を担う男子高校生二人は、繊細なだけでなく、若者ならではの浅はかさも感じさせる造形が印象的。先生たちのキャラクターの中にも、典型的な設定に見えて、その内実は深いのかも、と思わせるところがありました。

ネタバレBOX

オープニング、音(拍)と合わせて、動きながらタイトルを見せる演出、導入のアクセントの一つとして面白く観る一方で、「この感じ、毎回なのかな」「(小〜中劇場界隈で)流行りそう、流行っている?」と気になりました。エモーショナルな音楽と拍に合わせて動く(ものを観る)快感と、本編のドラマトゥルギーは、一見異なるように見えて、通底するものがあるのかもしれません。

古澤 健

満足度★★★★★

観た。

ネタバレBOX

誰かにオススメしたい、と素直に思った。
人物紹介、場面展開、ポップな演出、いずれも観客の生理を心地よく高揚させてくれる。キャラクターたちが「隣人」としてリアルに存在しつつ(彼らの言動に素直に共感・反発できる)、物語の通奏低音としての不穏さに最後まで「どうなるんだろう」という観客の興味を持続させていた。無二の親友であったふたりが、実はイマジナリーフレンドであった、というオチは予想不可能というわけではなかったが、そのオチそのものよりも、それまでのふたりのキャラクターのあり方や、友情の強さ、パートナー感がきちんと描かれているが故に、「別れの辛さ」を主人公に寄り添って感じることができた。「仕掛け」だけがあるのではなく、実質としてのキャラクターの存在感を描けていた。期待としてはもっと残酷なラスト、カタストロフが訪れるのかと思っていたので、そこの物足りなさは感じた。
是非また劇場で再会したい。

堀切克洋

満足度★★★

上演歴があるぶん、演出や舞台装置などがきっちりと定まってはいるが、やはり肝心の物語が「弱い」のではないか? とくに、後半がフェアリーテイルの話になっているところ、あまり感心はしない。

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