最新の観てきた!クチコミ一覧

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REspiration-呼吸-

REspiration-呼吸-

Actoring Be

萬劇場(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

60年前にタイムスリップした情景が、よく見えて感情移入できた。
ステージは狭いが、出演者がリズミカルに演ずる事でダイナミックさに変わることがてきた。よい経験になれました。

東京輪舞

東京輪舞

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2024/03/10 (日) ~ 2024/03/28 (木)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

シュニッツラーの「輪舞」を学生時代に読んだのが懐かしくて、見に行った。男と女がベッドインする前後を描くオムニバスになる。前半は、ナンパや口説きの場面が続き、飽きてくる(そういう話であることは分かっていたのに)。休憩時間に帰りたくなったが、そこは我慢した。後半になって、いまのジェンダー問題を取り込み変化してくる。
高木雄也目当てらしい若い女性客で満席だった。

美術、空間づくりはうまかった。白い壁面と床に「東京、とうきょう、トーキョー、TOKYO」をずらーッと並べ、高さ2メートルほどの「RONDE」の文字パネルも同様にもじだらけ。このパネルと、最低限の家具を組み合わせて、次々異なる場面をつくって変化をつける。
休憩15分込み2時間50分

ネタバレBOX

トランスジェンダーや同性愛のケースだが、男性役になる清水くるみが全然男に見えないのが難点。「同性愛をカミングアウトしたら、どうなると思ってるの」というように同性愛差別にも触れるが、既知の範囲を出ない。形だけ。
全10話の構成(「 」は、その場面で、字幕に出る言葉。どの場面でどの言葉だったか、一部は記憶が曖昧)
1配達員と10代援交女性「交尾する」
2配達員とフィリピン女性 「?」
3フィリピン人お手伝いと大学生「射精する、される」
4大学生と女性作家「セックスする」
5女性作家と建築家の夫婦「愛する」
6建築家と女性(トランス男性?)品川プリンスのスイートで。「性交する」
7ユーチューバー・ミュージシャン(男)とファン(女性にしか見えないがトランス男性?)「セックスしない」
8男性同性愛(清水が男性に扮する)「関係を持つ?」
9人気ミュージシャンとその妻・社長。男性同性愛のカミングアウト「一緒に寝る」だけ
10社長の女と最初の女、ゆきずりで(後朝の別れ)
雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)上演中

予約受付中

実演鑑賞

面白かったです。
大きなところでみても、小さなところでみても、コトリ会議はコトリ会議でした。
第形話を拝見しましたが、何から観るかで「兄」の実像の結び方が違って来るのかもと、思っています。
公演以外のものも興味深くて、コトリさん達と一緒に会場で遊んでいる気分になるのが楽しいです。

『人形の家』激論版/疾走版

『人形の家』激論版/疾走版

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/24 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★★

【疾走版】
予てより芝居やドラマで「女性の自立」の代名詞的に引用されていて内容を漠然と知っていたものの観るのは初めての人形の家、いわば複数の知人からウワサに聞いていた人物と初めて対面した、みたいな(笑)。
事前にWikipediaなどで予習していたことに加えて当日パンフレットに「構成劇」とあったこともあり、出演者の人数が激論版よりも多いことや構成劇たる所以も冒頭場面だけで理解し、以降「あー、そう来たのね♪」と頬が弛みっ放しで観る。
いわば「人形の家 re-mix」あるいは「コラージュ人形の家」かもなぁ。(笑)
あと、漠然と思い浮かべていたタイトルの所以もちゃんと台詞で出てきて大いに納得。

ネタバレBOX

ノーラやトルヴァルを複数の役者が演じ、交互どころか時には同時に舞台上にいたり、終盤の会話を冒頭に持ってくるばかりでなく何度か繰り返すなどの手法が楽しいが、予備知識なしに観るとややワカりにくいかも?
ホームシック!?

ホームシック!?

演劇ユニットタイダン

荻窪小劇場(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

舞台奥に生バンド(ギター・キーボード・パーカッション・トランペット・etc)を配置し、ダンスあり、生演奏による劇中曲あり、のミュージカル調上演。個人的には小道具へのこだわり方に興味を持ちました。きっと、観客に見せたい「画」が沢山あるのだろうなぁ。 老舗の温泉旅館を生家にもつ姉弟。訳あって実家を離れた姉は、これまた訳あって15年ぶりに帰郷する。温泉街の観光協会を切り盛りする幼馴染み、姉が去った後に一人で旅館を継いだことを根に持つ弟、年老いた母。15年ぶりに過ごす故郷が迎える結末とは…。

ネタバレBOX

タイダンを観るのは2回目で、前回はオムニバス公演のため、本公演は初。小劇場の作品は生演奏が少ないため、バンドを入れてくれる公演はそれだけで嬉しい。劇中曲もダンスも、出演俳優たちも、キャッチーな雰囲気で良い空間形成ができているなぁ、と感じます。構造的な意味で空間がコンパクトなため、文字通り「所狭しと駆け回る」上演。それが良い効果になっていました。

その「所狭し」にも関わらず、シーンに登場させる小道具へのこだわりが強く、色々なモノが飛び出してきたことが印象的でした。段ボール製の書き割りや、自作のオブジェ?など。一度出てきた小道具をひっくり返すと別の小道具に様変わりするなど、各所に工夫が感じられます。おそらく、創作の根底に「見せたいシーン・画」があり、そこから逆算して創っているのかも。その意味で、音楽、ダンス、そしてビジュアルにこだわる作風なのだと想像しました。
イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

副題の「〜原爆を作った男たちの65年〜」が正に的確で、1945年8月に日本へ投下された原子爆弾の開発に携わった米国人たちの半世紀以上に渡る物語。史実を織り交ぜて描かれる群像会話劇は、友人や家族の相関を丁寧に見せる人間ドラマ。かつ、日本人作家だからこそ書けたであろう踏み込んだ台詞も多く、良い緊張感を保ちつつ観劇することができました。

ネタバレBOX

若き青年たちが原子爆弾の開発・製造に携わった1945年と、太平洋戦争後の20世紀後半の時間を行き来しながら物語は進みます。朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争など、常に戦争の存在を感じながら過ごす日常は、観劇者である私たちのそれと、ある意味通じるところがあると言えるでしょう。登場人物たちの人物相関は時間経過と共に変化していき、戦争や原爆が各々の人生に大きな陰を落としていきます。

劇中盤から、登場人物たちによる原爆の肯定や人種差別が、はっきりした口調で語られます。(日本人観劇者には特に強く感じられる)強い言葉の数々は、米国の正統性の主張、そして自身たちの人生肯定を連想させ、かなり踏み込んだ表現になっています。「原爆が太平洋戦争を終結させた」という論調を、日本人劇作家がこの角度から執筆したことは、かなり珍しいし、同時に意義があると言えるでしょう。鋭い台詞の数々に感情的にならず俯瞰的に観劇できるのは、劇作、演出、そして出演者による明確な表現意思が、しっかり客席へ届くから、だと考えます。

原爆開発時を回想するシーンでは、登場人物たちの内面や心の動きが露見します。ある者は開発を強く後悔したり、またある者は殺傷能力の生体実験に従事したり。命懸けで製造作業に参加し、目の前の使命に没頭し、様々な人間ドラマが展開され、モチーフが原爆である以上に、観客が受け取れる感情は多種多様。極悪な殺人兵器でありながら、ひとつの科学技術が発展していく過程に発生してしまう「陰」から目を逸らさない一作と言えます。

観終わってみると、タイトルの『イノセント(無垢)・ピープル』の意味を噛み締めたくなります。内容、副題、そしてタイトル。それらを反芻しながら、作品の感想を頭の中で巡らせる公演でした。
諜報員

諜報員

パラドックス定数

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

風姿花伝での過去作連続上演か、サンモールでの潜水艇の芝居かが最後で、二、三年振りのパラドックス定数観劇になった。
新国立への書き下ろしも未見、芸劇Eの広い空間でこの劇団の芝居を観るのは初めて。
ゾルゲ事件(1941年)を扱った脚本で、ずんと闇の時代へと連れ込む音楽と、何処かの収容施設内(二段ベッドが置かれた空間とそれを取り囲むように敷かれた廊下に当たる通路、上手斜め奥に面した通路とを区切る縦格子の壁)の装置、終始暗めの照明が雰囲気を作り、周囲を闇に溶かしている。
今しがた覆いを被せられ、時間差で連れて来られた四人が、まず事態を確認すべく言葉を交わす。後に分かるが一組だけ互いを知る間柄だったが(連行理由に心当たりはない)他は見知らぬ者同士。やがて警察だと名乗る男が現れ、一人ずつの尋問が始まる。
史実をこういう角度でドラマ化したかと新鮮さを覚えるが、話を追うのに実は必死。どうにか付いて行けたように思うが脚本の完成度としてはもう一つという感想だ。時間があればまた改めて。

波間

波間

ブルーエゴナク

森下スタジオ(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

久々のブルーエゴナク、青?エゴナク?(今更な疑問)以前観た微かな記憶を手繰れば、、ある仕掛け(ルール)を施した時間の中で俳優が動いている。法則に準ずる事により示唆的な空間が浮かび上がる。最後までしぶとくそのタッチを維持して中々挑戦的ではあるな、と感じたように思う。ワークショップ的な発想と言うか、思考実験の要素が強いが、作品としての統一感はある。。

実は北九州市で10年以上続けられた、市井の人々の人物史を掘り起こす『Re:』なる試みの集成を一昨年芸劇にて目にしたが、戯曲化を北九州在住の若手劇作家たちがやっていて、コンスタントに作品発表している名前の一つが穴迫信一氏。戯曲は北九州芸術劇場のサイトにupされており、時折楽しく読み進めていたので本ユニットの主宰という顔とは別の「書き手」としての印象が自分の中で育っていたのが、「そう言やそうだった」と今回符合した。

森下スタジオは好きな場所であるのでそれが大きく後押しして観劇に至ったが、「試み」のためのスペースにとも思える空間で、文字通り試みそのもののステージであった。未知なる領域に足を踏み入れる静かな感興があり、4人の役者が「出来る」若手(と言っても相見えてより10年経ってればもう中堅の部類か)でもあり場面を面白く味わえる。「夢」の風景を夢から覚める直前まで再現する、との宣言から始まる舞台では、文脈があるようで無く、無いようである夢らしい浮遊するような、逆にじっとりとした手触りの中から次第に、現実に起きたある事の輪郭が、ちょうど夢から醒めようとする時間に現実感が増すあの感じと重なる案配で浮上して来る。着想は面白く、舞台としても面白く観られる部分は観られたが、掴めない部分もあり、惜しいという感じを残した。
アフタートークでは役者4名と演出が登壇したが、役者のコメントに演出が逐一それが責務だというように返そうとしていてそれ要らんかなぁと。まあキャラのようであるが。。
実は私の観劇回ではハプニングがあり、奇妙な体験になった。

ネタバレBOX

開演十分後あたりの事。
いい旅、現実気分。

いい旅、現実気分。

人間嫌い

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

旅にまつわるあるあるとガイドブックに書かれている理想の謳い文句と現実のギャップが描かれていて楽しかった。
女子だけで旅行にいくと、こんな感じになるのあかぁという面白味と、どこか一緒に旅行しているような不思議な舞台。
キャラクターがしっかり立っていて大変面白く見させていただきました。

イノセント・ピープル

イノセント・ピープル

CoRich舞台芸術!プロデュース

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/24 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★

観劇後にタイトルの意味が響く。クライマックスの因果応報に泣けた。アメリカ側の視点、日本側の視点が容赦なく刺さった。いい舞台でした。

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

ホリプロ

東京建物 Brillia HALL(東京都)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

次々人を殺す陰惨な話なのに、楽しく見られるという不思議な作品。ホラー・コメディというところか。市村正親・大竹しのぶのオーラがすごい。オーケストラも生演奏で、音楽が実に雄弁である。

カタブイ、1995

カタブイ、1995

名取事務所

小劇場B1(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

沖縄のサトウキビ農家の一家の物語。反戦地主なので政府の卑劣な嫌がらせがかけられるが、死んだおじいのあとを継いだ和子(新井純)は、契約拒否を貫く。政府の離反策によって、反戦地主の一家は、集落で孤立し、かつてのユイマールは壊れてしまったというセリフもある。そこに、国会議員秘書になった杉浦(高井康行)、防衛施設局沖縄本部の久保直子(稀乃)がきて、沖縄の現実と本土の人間の考えがぶつかる。

この芝居の見どころはこの後にある。9月4日の少女暴行事件が、この一家に身近な問題としておき、見ながら心がワジワジした。和子の「50年間、あきらめていた。せめて契約はしないと思っていた。でも、それだけじゃ足りなかった。アメリカは罪のない少女を踏みつけにして、それで許されると思っている。私はもっと声を挙げなければいけなかった。自分で、自分の言葉で」のセリフが胸に響いた。

さらに10月21日の沖縄県民総決起大会の横断幕、「地位協定の抜本的見直し」の横断幕。今の辺野古の問題も、オール沖縄もここから始まったのだと、30年前が思いだされ、思いがけず涙がこぼれた。前半の杉浦の「いまも日本も沖縄も占領されたまま」という解説ではなかったことだ。

前作「カタブイ、1972」の印象的なセリフもリフレインされる。「本土にいると、沖縄のことは遠くの土砂降りなんです」「でも、あんたは一緒に雨に濡れてくれている。それで十分だ」

重い主題をストレートにぶつけつつ、笑いも多い舞台だった。孫娘役の宮城はるのの歌三線もよかった。沖縄民謡の若いスターらしい。安室奈美恵に熱を上げているという設定もほほえましい。芝居見物のだいご味を満喫した。当日パンフ、資料配布もよかった。とくに、沖縄民謡の歌詞カードのおかげで、劇の内容と歌詞が合致していることが分かり、理解が深まった。総決起集会の晩の、カチャーシーで歌う「唐船ドーイ」の「今日の嬉しさは何に例えられる」の歌詞は、何よりぴったりだった。
1時間50分

全3部作の第二部。第一部「カタブイ、1972」の概要は、以下のサイトで読める。戯曲は『悲劇喜劇』1923年5月号に掲載。第3部「カタブイ、2025」は来年11月、紀伊国屋ホール。楽しみだ。
https://performingarts.jpf.go.jp/J/play/2302/1.html

ながい坂

ながい坂

平石耕一事務所

シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

山本周五郎の最後の長編小説「ながい坂」を劇化。江戸時代の某藩(信州か飛騨あたりのイメージ)の平侍の少年(将来の三浦主水正=武藤広岳)が、16歳にして、その才覚を藩主‣昌治(=志村東吾)に見込まれ、若くして藩政の立て直しと治水工事の責任者に抜擢される。と同時に、藩の世継ぎをめぐるお家騒動が先々代から続いており、三浦は23、24歳で、なぜか治水工事は中止を命じられ、反藩主派に命を狙われる窮地に立たされる。

8歳で入門を願い出た恩師谷宗岳(武田光太郎)との絆、同じ門下の三羽烏の衝突と友情、城代家老の娘つるの嫁入り、幼馴染の娘ななえとの思いやりなど、20年近い人間模様の軌跡を3時間を超える舞台に仕上げた。場所も時間も異なる場面が次々展開し、テレビドラマか時代劇映画のような起伏ある物語である。時代劇では欠かせない力強い殺陣シーンもいくつもあり、主人公たちの刀さばきが見ごたえあった。

菅原道真が民の貧窮を詠んだ「寒草十首」の「何人に寒気早き」をひいて、貧しい民を大事にする政治の理想を語る。これは山本周五郎の原作にはなく、劇作家平石耕一の工夫だが、話の内容に大変マッチし、主題を深めていてよかった。主人公が、城代家老の息子(木村徹)に、「すべてをあたえられて育ったあんたと、みずから獲得した俺では、見えているものが違う」というくだりは、弱い者、貧しいものの目線から書き続けた山本周五郎らしいせりふだった。

チェロとオカリナの音楽(寺田テツオ担当)が、喜怒哀楽に寄り添って芝居を盛り上げて大変よかった。音楽が、その場その場の芝居の基調、色合いを決定するというほど重要な役割を果たしていた。

Voice!

Voice!

なかはらミュージカル

川崎市立中原市民館・ホール(神奈川県)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

地域発のミュージカルは数々あれど、、これは中々のクオリティでは? キャストは小中学高校生中心でもなく十代~五十代あたりまで満遍なく丁度いい塩梅のミックス具合であるのと、歌が引き出すカリカチュアな演技と、素に近い喋り、熱の入った演技と場面に応じて良い塩梅に、噛み心地良い料理が出されるよう。
テキストはこの団体が持ち分としているらしい川崎市中原区ゆかりの「水」に関わる史実、二ヶ領用水、多摩川水害、編笠事件を取り上げ、特に県庁への直訴を敢行する編笠事件の場面は圧巻で、民衆蜂起に等しい挙行へと高まる民衆の鬱屈も、子供らの友情、大人の偏見、そして和解といった群像ドラマの各場面と共にしっかりと描かれている。
ドラムベースキーボードギターの生バンド演奏と歌、現代風の挿入がなんちゃって感を醸しつつも、押える所を押えて、観客を完全に味方にしているのが判る場内。私の前に座った夫婦とその隣には夫の父だろう人。恐らく孫の姿を愛でに来たのだろうが、ドラマが進むにつれて身体が揺れ、ざわついてる様子、舞台上の人物の声に思わず「そうだ」と答えて隣の息子夫婦に笑われ、涙を拭きながら恥じ入っていた。素直の感情を喚起する舞台に、少年少女が持つエネルギーは不可欠と思わせた。

ミュージカルという形式が持つ要素の大部分を具備していたと思うが、瞬間の快楽の後に観客の中に残るものは何か、という点で私の中では「皆のために」「体を張って」「筋を通す」勇気が押し出されたい所である。物語中の時代考証は結構な度合いで端折られており、最後は二人の男女の結婚という事実が包容する「無礼講」なエンディングとなった。それが悪いというのではないが何かもう一歩「事実の重み」を留めるフックが欲しい感じは残った。
楽曲のレベルは中々高い。

純白観想文

純白観想文

劇団演奏舞台

演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/16 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

泣いてしまいました。心理描写、脚本、安定した演技力・・・。「手毬歌」とは全く違う臨場感が素晴らしいです。新作も期待どおりでした。

「そろそろダンス。」

「そろそろダンス。」

キルハトッテ

王子小劇場(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/03/17 (日) 17:00

初見のユニット。アイドルの話かと思ったが、不条理系に驚く。91分。
 「あやや」こと松浦亜弥に憧れてアイドルを目指した「あたたかハルヒ」は卒業を迎えるが、…の話かと思ったら、途中から不条理系な夢っぽい話になったりして驚いた。ありうる様々な場合を提起しているとも思えるが、そうではない感じもあって、理解は進まない。それでも嫌な感じがしないのは、役者陣の演技に真摯さを感じるからか。それにしてアイドル系の歌には疎い私が、全曲知っていたというのは松浦亜弥のアイドルとしてのアイコン・存在感は凄い。

純白観想文

純白観想文

劇団演奏舞台

演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)

2024/03/16 (土) ~ 2024/03/16 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 流石、演奏舞台の公演、華5つ☆。ベシミル!! (内容詳細、及び解釈詳細は新生館スタジオ公演終了後に追記する)

ネタバレBOX

 観想という言葉に少し戸惑うかも知れない。無論作家がこの言葉を用いるには訳がある。元々は仏教の用語であるから哲学的な意味を持ち、その第一義は、特定の事物に心を注ぎ迷いを除こうとする修行を指す。第二は一定の対象を観察、その対象に一心に思いを凝らすこと。第三に実際の利益などを離れ純粋に知的で経験を越えた存在と真理を捉えようとする考察を意味する。まあ、単語の解説は辞書によって様々な違いがあるからこの程度でよかろう。納得のいかない方々は、30種類以上の国語辞書は参照することができようからご自分でお調べ頂きたい。
 さて、拝見したのは演奏舞台の常打ち空間GEKIBAである。今作久しぶりの新作であるが3月20日から23日迄中板橋新生館スタジオでも上演される。GEKIBAでご覧になれなかった方々は新生館スタジオでご覧頂きたい。
 今回のGEKIBA公演で特に普段の公演と変わっていた点は、演奏者たちの生演奏の位置である。通常下手に位置を占める彼らが今回は正面奥、ホリゾントの手前に陣取って生演奏を聴かせてくれた。いつも通り作品内容によくマッチした良い曲目を確かな腕前で聴かせてくれたが、矢張り正面から聴くのは音のバランス等の点からも側面からの音を聴くより数段音曲の良さを楽しめてグーであった。
 無論、作品内容も極めて優れたもので表現する者の持つ一種のカルマが、日常の生計を立て周囲の人々との諸関係の只中で暮らし、日々これら家族を含む人々と己が密接に関わり合いつつ葛藤や悩みを抱え、同時に己の真の悩みは最も近い肉親であっても伝わり難く時に取り返しようのない悲劇を生むということ。
 その考え得る原因と処方箋についての詳細は、全公演が終了後追記することとする。一種宙ぶらりんの状態に読者を置くことになるが、ご勘弁頂きたい。解答が早く欲しい方々は、是非ご自分で作品をご覧になり先ずはご自分の解釈をして頂き、その後追記をお読み頂ければ幸いである。GEKIBAでご覧になった方々でもう一度新生館スタジオで観る方々は、劇空間が違うことで様々に変わってくる演出や効果等の違いも楽しめよう。自分は予定が詰まっていて新生館スタジオへは伺えないが。二度観できる方々が羨ましい作品であることを告白し現段階では此処迄とする。
まじめにきまじめ

まじめにきまじめ

猿博打

北とぴあ ペガサスホール(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

芝居を観たという感覚でもなくコントを観たという感覚でもなく。
3人とも個別の舞台で観て注目しているので自分のハードルを上げすぎていたのかも。ラストも感情移入難しく。
3者3様の被らない個性は凄く好き。
猿博打で所謂どストレートなプレイを観てみたい。

「そろそろダンス。」

「そろそろダンス。」

キルハトッテ

王子小劇場(東京都)

2024/03/14 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

掴めず…
夢なのか現なのか、とにかく単なるアイドル卒業のお話では無いなと。場面のシームレスな転換と同じ役者が唐突に別の役で登場するあたりは純粋に演劇的で面白い。
意味深な結末含め観るものの感性に委ねる実は難易度高い作品だと感じた。
で、私の解釈は…

ネタバレBOX

卒業コンサートの冒頭挨拶の言葉、タメなのに小学生のあやちゃん、必ず登場する一輪の白い花…
どうしても自死を連想してしまう。
いじめ加害側の苦悩と後悔、懺悔と再出発、そんなモチーフが根底にあるのでは?と。
考えすぎかな…
蛇ヲ産ム

蛇ヲ産ム

日本のラジオ

新宿眼科画廊(東京都)

2024/03/15 (金) ~ 2024/03/19 (火)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

未だにどう表現していいのか悩み続けている。
面白いとか面白くないとか、そんな単純な言葉では言い表せない初めて味わう空気感の芝居だった。修行が足りんな…自分。
無心で、日野さんの顔の演技に魅入り、沈さんの恐ろしくも耳に心地よい語り口を堪能した。

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