MAKE 芸劇 GREAT AGAIN 公演情報 東葛スポーツ「MAKE 芸劇 GREAT AGAIN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    久々の東葛スポーツ観戦(観劇、というより観戦の趣)・・そう言えば今回の芸劇イーストの3.5面客席(一面は金山氏のDJブース、その脇に斜め方向に観る若干の座席群あり)に囲まれた四角はリングであった。出口の反対側奥に伸びる道からファッションショーよろしくリングにマイクを持って登場して、ガナり、去るというスタイル。もっと思い出せば、出演者皆が赤いジャージの上下にサングラス(髪は揃えたようなストレート)姿で一等最初に登場するのは、受付から直行してすぐ(右側)の入口。そして実はその直前までカメラがリアルタイムで彼女らの会場への移動を追い、その映像は舞台上方の受像パネル(各客席群から見える)に映される。まず車のドアを開けて登場するのが川上女史。声で判ると笑いが起きる。ラップ調の挑発ワードを喋りながら歩く彼女らをカメラがとらえ、さながら格闘技選手双方の入場直前の表情を映して実況する様式(まあこれをパロってるのは間違いなし)を、自らが喋りながらやる恰好だ。
    なお劇場入口には耳栓が自由に取れるよう置いてあるが、改めて観劇前、主宰自ら「爆音」注意のアナウンスがあり、「今日一の音量を試しに出します」と、鳴らした音が確かに大きい。耳栓を求めかけたが、折角だからと覚悟して臨む。
    選曲がダイナミック。曲に合わせてラップの披露。序盤は一曲ずつのオンステージの趣きで、共通するのは挑戦的・挑発的な言語チョイス、テーマはタイトル通り「芸劇」そして「演劇」だ。金山氏が好んで取り上げるいじりネタでもあった小演劇、俳優また演劇界の現状への皮肉や批評そして自虐ネタに、演劇ファンが強く共感する言語群が踊るパフォーマンスである。その合間にラップでない地語りや、芸劇ディレクター(本物っぽい)の登場、彼へのクイズ(演目を選ぶ「目」が必要だから認定試験を行なうとして視力検査をもじった「右・左」を政治的右・左に掛けて答えさせる)くだり等、バラエティに富む。開演前の挨拶が開演時刻に始まり、終演が1時間半切るくらいの長さ。
    思い出した事を順不同に書けば、金山氏は時折プライベート情報を自分いじりネタとして忍ばせる事があるが、ある常連女優の慶事が推測される映像がチラッと目に入る。そんな一コマが不思議と舞台の情趣に色を点す。

    一点、先に難点を書いておけば、この金山というオッサンは(私もオッサンだが)下町の右翼じじいとでも銘打つのが居ずまいとして相応しく思える(これ自体は難点とは言えないが..)。トランプ支持まっしぐら、高市万歳という感じである(と思しいくだりがある)。米粒写経の漫才やスタンダップにも感じた「そこだけ違うんだけどな・・」という違和感を棘のように残すのが、全て引っくるめて「風刺」と寛容にまとめるのが賢明か、やはり右翼のオッサンと言ってやるのがむしろリスペクトであるのかはともかく、東葛の特徴であった事を(忘れていたが)思い出した。
    いずれにせよ、小さなスペースでやってた基本ラップのパフォーマンスが、芸劇の空間で水を得た魚の如く、鳥の如く気ままに遊び尽す様を見て、金山氏の舞台構築の才能を改めて痛感する。
    舞台から熱を送り続けるパフォーマーは言うまでもない、自分のペースでなくリズムに乗せ、詰め詰めに当てはめた「歌詞」を喋くりまくる女優たち。台詞量も半端ない。東葛の常連たちというのがまたユニークである。菊池明明(ナイロン100℃)、佐々木幸子(元野鳩)、川上友里(はえぎわ)、森本華(ロロ)、川﨑麻里子(ナカゴー)、長井短、名古屋愛(青年団)と出自がほぼ被らない「選りすぐり」の東葛レディが、パフォーマンス中に吐露して(台詞だが)曰く、劇評家らしいのが「ただ残念な事は、サングラスで俳優の表情の変化が隠されてしまい、さぞ女優たちももどかしく思った事だろう」なんて書いてるが、言っとくが最後までサングラスかけていいって言われてっから私らこれやれてんだよ!
    言語チョイスがエグい。韻を踏むのは必須として、攻撃対象への最後の「とどめ」の言語を探り当てる才能は無二にも思える。参照事項は政治、スポーツ、芸能、時事何でもござれで得意分野は当然あるのだろうが多岐に亘り、飲みやすい参照例を混入して薬も飲みやすく脳内に入ってくる。
    何より驚きは本公演に持ちネタを掛ける事をやらず、芸劇で上演をやる事になった、という所から話は始まること。演劇ネタの爆裂批評と、真摯な演劇人の叫びを漫談よろしく入れ替わり立ち替わり様々なトーンでシャウトし、歌い、溜飲を下げる(個々には異論もあり得るにせよ)ステージであった。

    ネタバレBOX

    具体的に覚えてるくだり。芸劇ではまずない3,500円の当日精算に触れ、正月一発目の芸劇公演の経緯にも触れてネタにする。
    3,500円はモダンスイマーズの例があるが、確かに当日精算は珍しく、これについて訊かれて答えるに、クレジットカードを作れない人のためにだ、と、どストレートに質問者の喉元に刃を突きつける。小劇場女優にクレカは作れない・・とカード審査のやり取りを歌詞にして実態を描き出す。売れない劇でギャラは無い事もあるって生活手段でもないのに職業人を語る勿れ、え?家は持ち家「これはお見それしました」。が、あんたらがやってる事それって世間では「趣味」。職業欄に書くんじゃねえ! 結婚して初めてカードを手にした・・云々。
    値段の件。これだけの舞台とても自分らの力では作れなかった、映像、音、そして照明、こっちのリクエストにそれぞれが持ち込んだ技術、機材、献身的仕事に感謝してもしきれねえ。この人たちを紹介したい(と実名を挙げてで賛辞)。こうして出来たこのステージ、当然一人3500円でペイできるはずもねえ。なら何故この料金なんですか? 実家のどこそこから○○まで二時間高速乗って行ける料金が3700幾ら。せめてそれ以下にしたいってのが理由。まあそれなりの料金取ってる芝居を観て、レビューかなんかに「今までにない風景が見れた」とか書いてる人いるけど、高速飛ばして行ってみてご覧よ!その半分の料金で今まで見なかった風景が見れるって。・・これに止まらず皮肉は炸裂し続けるのである。本日千秋楽につき勧めても仕方ないが、一度見てみても良いパフォーマンス。

    「右翼のオッサン」と評したあたりについては、いつかまた。

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    2026/01/12 21:46

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