タバコの害について 公演情報 劇団夢現舎「タバコの害について」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    千穐楽観劇。新春版なのか 気を逸らせない工夫なのか、いずれにしても客いじりをしながら物語を展開していく。ただ話の核心はブレることなく心に響く。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台美術…レンガの幕絵のようなもので囲い 上手はBARカウンターのように洋酒が並んだ幕絵(畏まった場所ではないことの意?)。中央に演台が置かれ「タバコの害について」と演題が書かれている。その傍に大きな脚立と反対側に小さな置台と木椅子が1つ。上手/下手にロシアやソビエト連邦の歴代の皇帝/大統領のパネル写真が貼られ、客席の一部にプーチンの写真と取扱注意の字。講演者は くたびれた燕尾服を着たニューヒン先生(益田喜晴サン)、その助手(橘紗モカ サン)。ニューヒン先生曰く、自分は大学教授でもなければ と謙遜しつつ講演を始めようとするが…。

    先生はもったいぶった話し方とまわりくどい説明で、「たばこの害について」講演しようとするが、なかなか本題に入らずパネルの人物評とユーラシア大陸と日本の領土の大きさや人口密度を比較し、彼の地と日本の違いを観客を弄りながら本題と関係ない話を繰り広げる。しかし いつの間にか社会的なこと自然的な話から自分の家庭(娘や妻)の話へ替わっていく。特に日頃 自分を虐げている妻へと話の矛先を向けていくが…。

    物語は、在りし日の自分が抱いていた夢と、それとは乖離してしまった現在に苦悩する男(先生)の悲哀を面白可笑しく描いている。チェー ホフは、誰しもが抱くであろう人生の悲哀を「滑稽」であると捉えたよう。それが物語の核心であろう。
    劇団夢現舎では、独自の解釈と演出(観せ方)によって「たばこの害について」の講演を劇中劇仕立てにし、一方で観客を講演を聞いている聴衆に見立てている。同じ場所(行灯パブろびっち)でありながら、公演を観劇していることと参加(ウォッカならぬ赤ワインが振る舞われ 皆で乾杯)しているという違った感覚、その不思議な空間に立ち会わされているようだ。観客弄りも新春版の演出の1つ。

    何度も妻から講演するよう強要され辟易している先生の愚痴話へ。長年同じ話を繰り返してきた人生に対する嘆きが哀愁となって…。妻の呪縛の象徴、それが結婚式で着た 今ではよれよれの燕尾服。それを脱ぐことで呪縛から解放され清々しさ。一方で、妻は亡くなり 述懐することで その寂しさを紛らわせているかのようにも思えた。公演は、如何様にも解釈(捉えることが)出来る そんな幅広な独自性を感じる。

    「たばこの害について」は、劇団夢現舎にとって別のガイ つまり遣り甲斐になっているようだ。平成二十八年から取り組んでおり、夢現舎にとって成熟した公演になっているのではないか。特に公演が憚られるコロナ期はこの作品に支えられたとある。本来一人芝居であろう物語、それを漫才の掛け合いのように助手を登場させ、難なく違う方向へ話を持って行く巧さ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/01/13 07:24

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